雲霧仁左衛門
1995年 全15話
原作 池波正太郎
監督 工藤栄一ほか
出演 山崎努/池上季実子/石橋蓮司/増田恵子/本田博太郎/中村敦夫ほか
「犯さず、殺さず、貧しき者からは奪わず」の三カ条を守り、強欲な悪徳商人ばかりを襲う大盗賊・雲霧仁左衛門の一党と、雲霧の捕縛に執念を燃やす火付盗賊改方長官・安部式部とのせめぎ合いを、緊迫感溢れるタッチで描いた池波正太郎原作の傑作白浪物。雲霧仁左衛門の山崎努、安部式部の中村敦夫らの渋い演技が秀逸。原作に忠実に映像化された本作は、実在した仁左衛門像をリアルに描いた傑作となっている。(「ホームドラマチャンネル」解説より引用)
第1話「おかしら」
裏で高利貸しを営む医師・竹村玄洞に狙いを定めた雲霧仁左衛門は、同じく玄洞に目をつけた盗賊・暁の星右衛門と競い合いながら、用意周到に準備を進めていた。しかし、そんなある日、雲霧は、偶然、新たに火付盗賊改方長官に就任した安部式部に出会い、彼にただならぬ物を感じる…。(「ホームドラマチャンネル」より)

フジテレビが製作する時代劇は、1本筋が通っていて素晴らしいものがありますね。「鬼平」を彷彿とさせる脚本の上手さと豪華なキャスト。雲霧(山崎努)vs安部式部(中村敦夫)の構図が泣きたくなるほど渋いです。特に刀屋の振りをした雲霧が、安部式部と対話するシーンにはゾクゾクしましたね。雲霧一党の顔ぶれがまた個性的。本田博太郎がカッコ良いです。冒頭、2年もかけて七化けのお千代(池上季実子)に騙される若旦那もどうかと思いました(笑)。
第2話「狙われた男」
か、かっこ良い!演出、映像、役者、音楽、何もかもかっこ良いです。NHKもこれくらいのレベルのものを製作していただきたいものです(笑)。お千代と州走りの熊五郎(本田博太郎)が抜刀した岡田甚之助(平泉成)を押さえる瞬間には、鳥肌が立ちました。思わず「かっこいい!」と叫んでました(笑)。因果小僧六之助にはハラハラさせられます。その対比がクールな州走り。上手いです。盗人宿を未練なく燃やす潔さ、巧妙さ、こがしら吉五郎(石橋蓮司)もかっこ良いです。念入りな筋書きにも舌を巻きました。
第3話「兄いもうと」
木鼠の吉五郎の渋さ、カッコ良さが際立つ一品。思慮深さと用心深さにおかしらの信用が厚いことも頷けます。吉五郎ならばすべてを任せられる。素晴らしい。盗賊改めが仕掛ける罠が巧妙で手に汗を握ります。頭脳合戦とはまた渋すぎます。引っ掛かってばかりの六之助には困ってしまいますが、彼がいないとドラマになりませんし(笑)。大仕事という1本のしっかりとした線があり、それに纏わる人間模様や小技。完璧です。今回「おおっ」と思ったシーンは、西田健たちが六之助に関する密告を取り正すシーン。盗賊改め、ヤクザみたい(笑)。
第4話「川止め」
お千代姐さん、カッコいいです!懐刀ひとつで強盗を蹴散らす姐さんに惚れました(笑)。雲霧一味がそれぞれバラバラに名古屋に向かうところがカッコいいです。州走りは相変わらず六と仲が悪くて面白いです。あくまでも冷たく知的なこがしらにも思わず「かっこい〜」と叫んでました。
第5話「使い鳩」
鳩を逃がしたおもんに「よく気がついたな。足を折るか羽根を切るかしたらもっと良かった」と平然と言うおかしらにシビれました。そうか。六はお千代姐さんが好きなんですね。お京と六の駆引きもカッコ良かったですし、もうすべてが完璧でたまらないですね。
第6話「張り込み」
盗賊改めは本当に踏んだり蹴ったりで可哀相になります。でも、味方はできません。お千代姐さんを助けるおかしらに感動。自分が困ったときに、さりげなく助けてくれる男には惚れますよね。惚れますよね…。
第7話「松屋襲撃」
山猫の三次(山田辰夫)も本当に不憫なのです。「三次にとってはいい夢だったろう…」と寂しそうに呟くおかしら、そして、「掟どおり殺せ」と言い放つおかしら。どちらのおかしらも悲しい。そんな三次を片付ける州走りの熊五郎(本田博太郎)。久々の登場にシビれました。とことん計画したくせに、あっさりと松屋襲撃には拍子抜けしました。しかし、「お千代が攫われた」と嘆く善兵衛は憎めないですよね(笑)。お千代姐さん、お疲れさまでした。
第8話「まわしもの」
舞台は名古屋から江戸へ。おかげさまで敦夫が無事に登場してくれました(笑)。雲霧一党と盗賊改めとのスリリングな駆引きが楽しめますが、楽しめるというよりも、ハラハラドキドキ心臓に悪いです(笑)。「岡田はわしが始末する」と言い切るおかしらのカッコ良いこと。こがしらもカッコ良いですけど、やはりおかしら。最後の最後は締めてくれます。お千代姐さんが今度は老婆に!“七化けのお千代”変身願望を叶えてくれる素晴らしいキャラクターです。
第9話「不知火の勇五郎」
電波が悪くてほとんど見ることができませんでした。ただ、敦夫の扮装には笑いました(笑)。コメディですって(笑)。
第10話「拾った娘」
岡場所で女を助けるという余計なことに関わる六。だいたい買う男がいるから成り立つ商売なわけで、遊びに行っている男にそんな資格はないと思います。それでも、「女はゴザさえあれば、食べていける」というこの時代は、かえって生きやすかったような気がしないでもありません。しかし助けた女が木鼠の吉五郎の娘!?という疑惑が浮上。いつもクールなこがしらが戸惑う姿が可愛くもあり哀れでもあり…。松屋襲撃という大きな仕事が終わったので、今は雲霧も一休みしているのでしょうか?脚本の切れ目とでも申しましょうか。普通に1話完結じゃないですか!
第11話「おかね富の市」
最近はどうも脇役たちに光が当たっているようですね。しかし、富の市って…(笑)。「俺が盗賊だから近づいたのか!?」とおかねに詰め寄る富の市も悲しい。そんな男女の機微をお千代姐さんが語るととても含蓄があります。「好きになっちゃったんだろうねえ」と簡単に言いますけど、的を得ているのです。おかねを斬る刀を持ったおかしらもカッコ良ければ、そばに控えるお千代姐さんもカッコ良い。富の市の家に来る熊五郎がやはり素晴らしい。出来る男は何かが違う(笑)。
第12話「引き込み」
2700両を横取りされた雲霧一党が仕返しをするという物語。盗人の意地。このたびはお千代姐さんが抜群に美しかったです。子供のようにニコニコする笑顔の魅力的なこと。颯爽と登場したこがしらの背後にギョロリとした目の熊五郎。こういう図がゾクゾクするくらいカッコいい。監督のセンスが素晴らしいです。久しぶりに敦夫が登場。嬉しくなりますね。しかし、南條玲子は登場するだけで“嫌な女”度満点です。
第13話「お盗め前夜」
最終回を目前にして、雲霧仁左衛門(山崎努)が最高潮のカッコ良さを見せます。櫓の福エ門を問答無用で片付けるシーンは鳥肌もの。返り血を浴びないように、障子を閉めてから刀を抜く。シビれました。そばにいるお千代の艶やかさと並び、この上なく渋い。周到な熊五郎が簡単に後をつけられたりと意外な展開に。自分の顔を焼いた六の凄まじさも感動的。彼らを見つめる仁左衛門の目はどこか優しい。しかし、西田健が率いる盗賊改めが憎々しくてしょうがありませんね(笑)。特にお京(増田恵子)の貧乏くささがまた癇に障ります。がんばれ、雲霧一党!
第14話「雲霧捕わる」
サブタイトルが心臓に悪い(笑)。ひたひたと忍び寄る盗賊改めの影。雲霧一党がどうなるのか…。なんだか嫌な雰囲気があります。しかし、まさか丹波哲郎が…(笑)。そして、素晴らしかったのは、やはり木鼠の吉五郎(石橋蓮司)。壮絶なる最期には、涙しました。最後の仕事を終え、みんなで足を洗うというハッピーな終わり方はダメなのでしょうか。石橋蓮司は本当に素晴らしい役者です。彼の渋さに感動さえ覚えました。お千代姐さん(池上季実子)の健気さも素敵。本当に心臓に悪いです。
第15話「最後の大仕事」
感動の最終回。市中引き回しのうえ磔。それが雲霧の影の最期なら、因果小僧六之助は斬首。なんて悲しい幕引きなのでしょう。それでも、最後の最後まで、“おかしら”のため。おかしらの人望はすべてに勝るものなのでしょう。本当にレベルの高い時代劇でした。こういう素晴らしいものをもっと制作していただきたいものです。

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