血の祝祭日2

Blood Feast 2: All U Can Eat


2002年度/アメリカ映画/カラー・98分
日本劇場未公開/ソフト未発売(今のところ)

製作総指揮:デビッド・F・フリードマン
製作:ジャッキー・リー・モーガン
共同製作:W・ボイド・フォード/ペネロープ・ヘルマー/
     メリッサ・モーガン/ジミ・ウッズ(助監督と兼任)
監督:ハーシェル・ゴードン・ルイス
脚本:W・ボイド・フォード
撮影:クリス・W・ジョンソン
編集:スティーヴ・ティーグル
特殊効果:ジョー・カストロ/ジョナサン・ソーントン


<物語>

夜道を歩いてくる二人のホームレス男。
ゴミを集めていた彼らは、ある建物の裏口で立ち止まる。
建物の戸口からは怪しい赤い光が漏れており、
その光に操られるように、男たちは笑いながら互いの体を傷つけ合う。
はらわたが飛び出し、割れたガラス瓶が喉を引き裂く。
流れ出した鮮血が路上を染め、現場には血まみれの死体が残された。

街でエジプト料理屋を開店した若い料理人
フアド・ラムゼス(J・P・デラホッセイ)は、
突然マイケル・マイヤーズ刑事(マーク・マクラクラン)の
手荒い訪問を受けた。マイヤーズ刑事はラムゼスの祖父が起こした
忌まわしい犯罪−エジプトの女神イシターの復活を信じ、
若い娘を切り刻んだ− を引き合いに出し、執拗に彼を責める。

刑事が帰ると、今度は美しい娘ティファニー(トニ・ウエイン)を伴った
ランプレイ夫妻が店に現れた。彼らはラムゼイに娘とマイヤーズ刑事の
結婚パーティー用に晩餐作りを依頼しに来たのだ。
高圧的な態度の夫人(メリッサ・モーガン)に苛立ちながら、
開店早々でヤル気満々のラムゼイは早速準備に取りかかる。
店の奥にある閉ざされた扉を開けた彼は、
そこに女神イシターの石像が安置されているのを見つけ・・・。

その晩、ランプレイ家ではティファニーの学友たちが集合し、
結婚式の話で大盛り上がり。だが、夜遅くなって帰宅した
ミッツィ・モーニング(クリスティナ・クエンカ)は
路上で何者かに誘拐されてしまう。犯人はラムゼイだった。
彼は石像の魔力に操られ、女神イシターを復活させる
伝説の晩餐作りを始めたのだ。ミッツィは片腕をミンチ機にかけられ、
下腹を引き裂かれて内臓を抜かれてしまう。

マイヤーズ刑事は、上司のルーミス刑事(ジョン・マッキャネル)と
犯人探しを始めるが、平和な町に慣らされてしまった彼らの捜査は
遅々として進まない。次の犠牲者はシャワーを浴びていた若い娘。
耳にコルク抜きを突き刺された彼女は、脳味噌を全て掻き出された。

ラムゼイの犯行は次第にエスカレートし、
大胆にもティファニーの自宅に侵入。集まった女学生のうち、
キャンディ(ジル・ラーオ)とバンビ(クリスティ・ブラウン)の
レズカップルを襲い、惨殺。遺体の首を切断し、目玉を掘り出して舌を引き抜く。

ラムゼイの店を捜査したルーミス刑事たちは、
奥の倉庫に安置された石像に興味を持ち、インターネットの検索で
それが乙女の血を求める呪われた女神だと知る。

その頃、ティファニーの結婚式に出席する準備をしていた
トリクシー(クリスティ・ポリット)の自宅を訪れたラムゼイは、
彼女を誘拐。その場に居合わせたトリクシーの親友ブランディ
(シンディ・ラウバル)を殺害し、頭皮を引き剥がして脳味噌を掴み出す。
店に戻ったラムゼイは、助けを求めて泣き叫ぶトリクシーの喉を切り裂き、
イシターの晩餐を開く為の最後の仕上げに取りかかった。

やがて迎えた結婚式の当日。若い二人の結婚を祝福する客
(H・G・ルイスの片腕デビッド・F・フリードマン)や、
倒錯神父(ジョン・ウォーターズ監督!)らの出席するなか、
ラムゼイの狂気は沸点に達し、未曾有の惨劇が幕を開ける。


<感想>

ルイス待望の復活作は、こちらの期待以上に血まみれ。
前作同様、ケルトドラムで始まった音楽が、
ハードロック風の主題歌に転調する、思わずニヤリの冒頭を始め、
オリジナルを観て(特にビデオ発売当時から20年近く見続けて)いる
ファンには嬉しい目配せが全編に散りばめてあるのも嬉しい感じ。

・・・が、前作にあったような異様な空気を望むのは
最初からお門違いだと分かっていても、このいかにも現代風の
スッカスカの仕上りには一抹の寂しさを禁じえない。
改めて60年代ルイス映画の核は「血」なんかじゃなくて、
カットを割らない撮りっぱなしのショットが持つ、
一種の圧迫感だったのかも、とか考えたりして。しみじみ。

出演者の大半は(調査が足りないのかもしれないが)
あまり有名ではない俳優たちで、ティファニー役のトニ・ウエインを初め、
犠牲者となるモデル系美女たちは、殆どが映画初出演の新人かプレイメイト。
この辺のキャスティングもかつてのルイス映画とほぼ同じ。
取り敢えず、一見の価値あり。ファンの皆さんにはお勧め。

製作者ジャッキー・リー・モーガン氏による
映画のオフィシャルサイトは
こちら


血の祝祭日

Blood Feast


●ルイスの記念すべき”ゴア・フィルム”第1作。
エジプトの女王復活を信じて、若い女性を襲って、
その臓器を捧げる男の狂気を描く。

映画はマイアミビーチにあるスエズ・モーテル周辺で
(ルイス曰く)何と6日間!で撮影された。
撮影中のエピソードとしては、ある晩、スエズ・モーテルの
オーナーが、泊り客に撮影をイベントとして見学させたがったが、
その日の撮影シーンは少女が頭を潰され、脳味噌をえぐられる
場面だったので、現場を見に来た人々は蜘蛛の子を散らすように
逃げ帰った、などが伝えられている。

血に関しては(当然、前例のないほど)無法地帯となった
「血の祝祭日」もヌード描写に関しては厳密に撮影され、
女性たちの裸が見えないようなアングルに、カメラをセットしたという。

他にも、舌を抜かれる犠牲者役のアストリド・オルセンは
製作者のデビッド・フリーマン自身が
マイアミのプレイボーイクラブから調達してきた北欧?女性で、
スカンジナビア訛りが強くて困ったとか、
彼女に羊の舌とクランベリージュースを仕込んで撮影された
件の場面は、ルイス自身も劇中でベストの血みどろ場面!と
賞賛する出来になった、など面白エピソードが多数伝えられている。

実際の撮影現場でも、完成後に映画を上映したドライブ・インでも
ルイス(とスタッフたち)は、画面に展開する
血みどろの惨状に笑いを堪えることが出来なかったらしい。

狂えるエジプト人料理人に扮したマル・アーノルドは
マイアミ出身の俳優だったが、ルイスは彼がその後
どうなったか全然知らない(「スカム・オブ・ジ・アース」(63)にも
一応、クレジットはあるんだけど・・・ルイス、忘れた?笑)という。
本名をマル・アーノルド・エプステインという彼は、
確かに「血の祝祭日」以降、細々と活動するのみだったが、
90年に突如復活?「Vampire Cop」に顔を出している。

脚本はアリソン・ルイーズ・ドーン。ヴィッキー・マイルズの
変名も使い、「アレイ・トランプ」(66)「悪魔のかつら屋」(67)
「シー・デビルズ・オン・ホイールズ」(68)などの諸作でも
脚本を担当。元々はルイスの初期作品に女優として出演していた
人のようで、「ボーイング」「スカム・オブ・ジ・アース」(共に63)や
「サバーバン・ルーレット」(67)などにクレジットされている。

67年の「テイスト・オブ・ブラッド」以降は助監督に昇進?
「ブラスト・オフ・ガールズ」(67)に関わった後、
「血の魔術師」(70)「ゴア・ゴア・ガールズ」(72)では
特殊効果も兼任して、ルイスの右腕的存在になったもよう。