アクシャン『課長のあだ名』
杉崎すいません え〜、あの営業の山中がですね都合がつかなくなりまして、私杉崎が書類の受け渡しの件をお伺いすることになったんですけれども え〜 私の特徴ですか? え〜とですね、眼鏡をかけてましてグレーのスーツに黄色いネクタイ あ、いっぱいいる そうですよね あ〜、あと中肉中背で、あの〜ほんのちょっぴりなんですけれどもユンピョウに似てるなんて言われまして え〜 分かりずらい? それは困った そしたらですね、あの〜必ずこれだという特徴を見つけ出しますんでそしたらのもう1度お電話します すいません は〜(目が合い)何だ〜
安井あ、いえ
安井(心の声)何でハゲですって言わねんだろ 自分の特徴を聞かれてるんだよね〜 あ〜、なんなら俺がハゲって言ってやりて〜
杉崎(心の声)あいつ俺がハゲって言わないのに絶対気付いただろ だって自分から笑顔でハゲって言えないだろ〜 あいつが気軽に「課長ハゲですよ」って笑顔で言ってくれれば、俺も小粋に頭を叩いて「あっ、そうか〜 ハゲがあったか〜」って相手に堂々とハゲって言えるんだよ〜 何とかお前の口からハゲって言わせてみせる
杉崎安井君ちょっといい?
安井はい
杉崎あだ名で呼び合ってるんでしょう
安井えっ?
杉崎いや同期の連中とさ〜
安井あ、知ってらっしゃったんですか はい
杉崎安井君はちなみに何て呼ばれてんの?
安井僕が背が低いからチビと
杉崎営業の山中は?
安井ま、天然パーマなんでモジャ
杉崎経理の長谷川は?
安井彼はま、ブーちゃん
杉崎あ、太ってるからか
安井はい
杉崎安井君さちなみに私にあだ名を付けるとしたら何になる? 直感で
安井え〜、いや〜考えたことなすけどね〜
杉崎スパ〜ッ付けていいよ〜
安井そうですか え〜、そうしましたらやっぱり女性に優しいんで、ダンディーとかそういうの
杉崎ダンディー?
安井そうです ま、優しい感じ
杉崎席戻っていいよ
安井すいません 何か失礼なこと言っちゃってすいません
杉崎(心の声)ダンディー? 何ダンディーって 俺よいしょしてくれって言ってるわけじゃないんだよ チビ? モジャ? ブーちゃん? みんな見た目じゃない 何ダンディーって 何で俺のあだ名だけ捻んのよ〜 あだ名ってパッと見だろ〜 普通俺を見たら100人が100人ハゲだろ〜 ちょっとお前のセンス問うわ〜 せっかくチャンス与えたのに
杉崎あの〜、安井君あの書類どこだったっけね、あれ
安井あ、これ僕の机にあります
杉崎あ、そう あ、そう
安井あ、それでですね今度の会議の資料なんですけれども、これで大丈夫かなと
杉崎どれどれ
杉崎(心の声)今この距離でハゲって言われたい
安井(心の声)今この距離でハゲって言いて〜
杉崎(心の声)ハゲって言って楽になりたい
安井(心の声)ハゲって言ってすっきりして〜
杉崎(心の声)笑顔でハゲって言われたい
安井(心の声)声を大にしてハゲって言いて〜
杉崎(心の声)それとなく言われたい
安井(心の声)指を差しながら言いて〜
杉崎(心の声)この際言われたい
安井(心の声)この際言いて〜
杉崎うん これで大丈夫でしょ
安井大丈夫ですか あ、すいません
杉崎(心の声)安井、今ハゲって言えば私振り向くから どんな小さい声でも振り向いてみせるから 頼む 私を振り向かせてくれ その一言でハゲで〜すっておちゃらけて見せるから〜 それでゲームセットだから
安井課長すいません あの〜先程のあだ名の件なんですけどちょっと変更で
杉崎ちょっと、ちょっと待ってね フーーーーー(軽く深呼吸をする)どうぞ〜
安井え〜、先程のあだ名なんですけれども、え〜ダンディーチェンジでハゲで すいません すいません
杉崎(ジ〜ンとした顔になる)もしもし お待たせしました あの〜私特徴ありました はい 私ですねそのは、は
安井課長、課長 ん〜ん〜、自分の頭に自信を持って下さい
杉崎すいません 私ですねその… え、泣いてないですよ 私ハゲてます
安井入った 入った 入った 課長どうしたんですか?
杉崎ハゲもいっぱいいるじゃないかだって
安井えっ
杉崎安井君、私言い損だよ
安井すいません