ビートニクラジオ

アナウンス「街でいちばんの男、ビートニクラジオ」



司会「レディース・アンド・ジェントルマン、B&B!」

洋七「これが青春や!これがしたかったんやね、そやけど。ほんまでっせ。これを言いたかったんや、やっぱりね。そやからね、やっぱりね、青春というのは、失敗したり何やかんなあるから、俺青春があると思うねん」

洋八「喧嘩なんかしたりあるがな」

洋七「学校行って宿題忘れて、『先生』『何や、お前は。宿題なんか忘れて』そこで一言『これが青春や!』言うたったんや(客笑)。青春色々あると思うねん。道歩いててもね、交通事故でバーンぶつかって『おお、これが青春や!』言うて(客笑)」

洋八「何がよ!そんな事あるかいな、ほんまに」

洋七「やっぱり色んな商売やってるからね、最近漫才だけでは食えんから、二人でこうして『ようあわとれまんなぁ』言うて(客笑)。こないだなんか、電話かかって来てね、チョコレートのコマーシャル出てくれ言われて。うれしかったよ。今チョコレートのコマーシャル出てるのって、三浦友和しかいてへんからね。三浦友和と私。やっぱ品があるんですね、僕達はね。『どういうチョコレートですか?』て聞いたら、『かぶと虫チョコレートや』て(客笑)。ああ、似てるなぁ思て、どないするかいうたら、赤の靴はいて、短パンはいてね、ピンクの帽子かぶって、かご持って、網持ってね、かぶと虫チョコレート持って、ディレクターが『スタート』。『あ、かぶと虫!かぶと虫!かぶと虫!かぶと虫!チョコレート!』言うて、アホやがな(客笑)。ほんまね、自分でやって、情けなかったで、ほやけど」

洋八「恥ずかしいで、ほんまに」

洋七「たった15秒のコマーシャルやのに、七時間かぶと虫のまんまや(客笑)」

洋八「そればっかりや」

洋七「終わったら、頭の中かぶと虫だらけや(客笑)。俺自分で思たがな、『あ、俺かぶと虫かな?』て(客笑)」

洋八「思うかいな!そんなもん」

洋七「思うがな、そやけど」

洋八「思うとる場合ちゃうで、そんなもんしかし」

洋七「ほんまやないか、そやけど」

洋八「まあ、色んな仕事がありますよね」

洋七「こないだなんか、東映がら電話がかかって来てやな、『映画出て下さい。トラック野郎』ちゅうなもんでね」

洋八「菅原文太と競演しまんねん」

洋七「どんな役かいうたら、二人でドライブインでメシ食うてまんねん。表ぱっと出たら、菅原文太がトラックで来て、『おう、君達どこまで行くんだい?』て言うたら、僕が『広島!』言うて、それで終わりや(客笑)。たった二秒やそれ」

洋八「それだけや。そやけど、あんたええやんか、セリフあるから。俺は『うん、うん』言うてるだけやないか(客笑)」

洋七「こいつね、『ふんふん言うな』言われとったやないか。『声はいらん、これだけでええわ』言われてて(客笑)」

洋八「そんなアホな!」

洋七「でもたいそうやねん、映画ちゅうなんかね。テレビの台本なんか、1センチぐらいやのに、こんなんでっせ。バーッと見たらね、411ページで二行しかセリフないもん。洋七『広島』洋八、うなずく、や。三行目が腹立ったがな。『それ言うたらすぐ去れ』や(客笑)」

洋八「そこまで言うんかい!」

洋七「ええ加減にせぇや。広島いうだけやのに、大層に、監督が『この映画は君達にかかってるんだよ』。お前アホか!いうねん(客笑)。ストーリー何も関係あらへんがな。『ようし、わかった?セリフ誰も間違わんように』て、誰も間違わんよ(客笑)。広島言うだけで、誰が間違いまんのや、アホな。そっちはうなづくだけやがな」
島田「ほとんど覚えてないな、これは」

博士「これはだって、定番のネタじゃないですね」

島田「ないね」

博士「ザ・マンザイ用に作ってますね。劇場でかけてるようなやつじゃないですね。当時はでも、ほんとに映画に漫才師が出るって事だけでも、すごい事だったのに」

殿「トラック野郎に出ただけで、ネタが出来るんだもんなぁ。今はこのネタ使えないよなぁ」

博士「そうですね」

玉袋「逆ですもん。コマーシャル出たって事だって、すごいですね、漫才師が」

殿「CMとかさ、映画出るのがさ、ネタになっちゃう時代だよなぁ。だからあれだよ、役者さんなんか見てさ、緊張したんだろうなぁ、当時なぁ」

玉袋「B&Bはトラック野郎で、ツービートはダンプ渡り鳥ですか」

殿「二百三高地でさ、コマネチやって、日本兵。『突撃ー!』っつって、『コマネチ!』ってやって怒られたんだ」

島田「だからやっぱり、テレビ局行って、急に売れた訳やから、いろんなスターの人と会うやん、すれちがったり。そんなんドキドキするもん、シロウトみたいやったな」

玉袋「急にですもんね」

殿「歌手とはランク違ってたもんな。あの当時歌手の方が全然すごいだろ」

玉袋「それをひっくり返したっていうのは、気持ち良かったでしょうね」

博士「もう、試聴率23%取ってるっつったらもう、こっちの漫才師の方が上になってきますもんね。それでもう、どんどんそういう位置関係変わってきましたよね」

島田「俺フジテレビのね、八階か九階から下のスタジオまで、吉永さゆりさんと二人っきりになったんや、エレベーターで。その時なんかもう、ドキドキしたもんなぁ。『俺はこんなとこで何してんやろう?』って」


洋八「おかしいやないか今の、お前」

洋七「おかしかったら笑えや」

洋八「笑えやあらへんがな。呼んだから返事しただけやないか」

洋七「当たり前やがな。呼ばへんのに返事したら、アホやがな(客笑)。呼ばれもせんのに『はーい!』言うたら、アホやがな(客笑)。呼んで返事するの当たり前やないか。洋八!」

洋八「はい」

洋七「呼んでみただけや(客笑)」

洋八「それがおかしい、言うてんのや!」

−−−−『マイ・ウェイ』−−−−

アナウンス「街でいちばんの男、ビートニクラジオ。出演はビートたけし、浅草キッド、そして島田洋七。今夜は、先週にひき続き、たけしさんと洋七師匠の伝説のトークスペシャル。80年代の漫才ブームの絶頂から、現在にいたるふたりのマイ・ウェイ。その生き様を辿っていく1時間。どうぞ、ごゆっくりお楽しみ下さい」

博士「街でいちばんの男、ビートニクラジオ〜〜!!さあ、今週もですね、洋七師匠にお越しいただいてます」

殿「お前、今週も洋七師匠って言うと、リアルでやだな(一同笑)。とても二本撮りとは思えない。ほんとに今週も来たような感じするな」

玉袋「ずいぶんヒマまもんで、ええ」

殿「ちゃんとスケジュール押さえた感じがあるじゃねぇか」

玉袋「押さえました、はい。師匠、反響がもうすごくてやっぱり」

島田「すごかった?」

博士「やっぱすごいですよ。『栄華を極めた男』っつってね」

玉袋「『我々はなぜこの時代に生まれなかったんだ』っていう若者のはがきが」

島田「タクシー乗ってて言われたもん。『夜中にたけしさんが、洋七さんの事、色んな事言うてますよ。知りません?』『いや、知りませんね』て」

玉袋「いやもうねぇ、とにかく今知らないですからね、漫才ブームっていうのをね、若者というのが」

博士「でもあの漫才ブームで、大体何億ぐらい稼いだんですかね?」

島田「それは三年間ぐらいやからね。二年半から三年半ぐらいやから。何かよくわかんないけどね」

博士「じゃ十億ぐらいは?」

島田「いや、そんなないやろうけどね」

博士「どこに消えたんでしょうね?」

島田「いや、どこに消えたって、税金持ってかれて、アホやからね、俺も」

殿「あれだろうお前、熱海の方の土地買って。竜雷太ともめたり」

島田「んで結局金取れずで。裁判勝っても金取れずで、会社潰れて。後は株で損したなぁ」

殿「あれでお前、一億?」

島田「一億六千」

殿「一億六千の土地か何かだとか言って、俺に一億四千で売りつけようとしやがって(一同笑)。そしたら調べたら、八千五百万だった(一同笑)。ふざけやがって、この野郎。『買ってくんねぇか?』っつって」

島田「それ買うてもろうたらなぁ」

博士「株も損したんですか?」

島田「株も損したね。最初は良かったけどね」

博士「だって、日銀の代わりに、何か日本の円を支えたとかって」

玉袋「一時期ね」

島田「間に合わんかったな(一同笑)」

博士「洋七師匠はそれわかるんですけど、僕らの疑問は、洋八師匠のお金ってのは、どこに消えたんですか?」

殿「あれ、何か商売やってんじゃねぇのか?」

島田「何もやってないね」

玉袋「同額稼いでたんですか、当時?」

島田「いや、違う。ギャラは違う」

玉袋「四分六?」

島田「四分六か三七ぐらいか、最終的には」

博士「あ、差があったんですか」

玉袋「それでもまぁね、稼いだでしょうね、洋八師匠も」

島田「でも俺の場合ね、やっぱりね、ずうっと頂点からこうね、翳りが見えてきた時に、やっぱあせっちゃうんだよなぁ。何かせなあかんとかな。その何かが失礼やったんや、やっぱり」

玉袋「お好み焼きはでも」

島田「うん、あれはよかったよ」

博士「あれは当たったんですか?」

島田「ほんとよかったんやけど、おかんがもうしんどいからって」

玉袋「初日行きましたもん、僕」

島田「あれはあのままやっとけばよかったな、今考えると。んで、殿は芸能界ずーっとやってく訳やんか。一時みんな冷えたんよ。漫才ブーム終わって、紳助もひょうきん族だけしかなかってな、後は大阪帰ってな。一回シーンとなって。それからまた、みんなそれぞれのほんとの力がでてきた訳やんか。だからいっつもね、まぁ、大阪でさいしょB&Bが売れて、それを見て紳助なんかが芸能界入って、それでやろうかなと思ったらヤングオーオーに紳助たちが出て、紳助とさんまに抜かれて。これ嫌やって東京来て、ガーッと売れたから、『ザマぁ見やがれ、紳助、さんま』と思ったら、またヒューと抜かれてやな。もう行くとこないからな、これからはロシアやなと思って」

殿「アジアのマラソン選手みたいになってきたな、トップに出ると必ず抜かれるんだ(一同笑)」

島田「すぐ抜かれるもん、俺な。抜かれやすいタイプでね」

博士「じゃあ、翳りが見えた頃っていうのは、逆に言えば殿がグーッと行く時ですから、そういう時に会ってしゃべってる時ってのは、どうなんですかね?」

島田「いや、全然売れても変わらんからな。会うたびに飲みに行こうって、バーッてな。その頃から反応がわかるわ、世間の。それまでは、『洋七さん、キャーッ!』って、銀座言うてたのが、段々こうな、『たけし、ワーッ!』とかなってくんねん。段々なってくんねんて。まぁ、それでも俺平気やったけどね」

博士「最初は洋七師匠の方が売れてるから、殿がボディーガードみたいな事やってたのが」

島田「『やめろ、コラ!』とか、子供に言うたりしてたんや。それが二人で、金沢かどっかに旅行に行った事があったんや。そしたら全部『キャー、たけしー!』って来るから、俺が『押すな、押すな!』って言うてたんやけど、誰も俺の顔なんか見てへんで。向こうばっかりやもん。ガードマン洋七やもん」

博士「最後には、軍団さんのガードマンまでやってたって(笑)」

島田「うん、東に押すなって言われたもん。『師匠、やめてください』って(一同笑)」

殿「(笑)馬鹿だよなぁ。そいで金沢で酒飲んじゃって、百五十万円も飲んじゃったんだ」

博士「金沢でですか?」

殿「金沢のホテルの飲み代で百五十万てあるかお前。三人で飲んでたんだ、東とな。それでいつの間にか仲居さんも呼んで、ダンスフロアーみたいなとこに、みんなあぐらかいちゃって、あるだけみんな飲んじゃったんだよ。スポンサーのおじさんが、『たけしさん、昨日お酒飲んだって言うけど、ほんとに飲んだんですか?』って言うから、『飲んだよ』って言ったら、『百五十万飲みましたけど』って(笑)。だからほんとに百五十万なんだぜ。旅館代別で」

島田「旅館の中にクラブあるやん。あそこで百五十万飲んでたね、マジで。何がどうなったか知らんけど」

玉袋「どんな団体さんですか、それ」

博士「銀座どころじゃないですねぇ」

島田「んで酔っぱらって、俺裸になってな、ストリップショーやったりな」

博士「ステージまでこなしといてね」

殿「北海道行って、北海道で裸になっちゃって、スナックのおやじあきれ返っちゃって、俺がもう、『洋七馬鹿野郎、裸になるんじゃねぇ!』っつってさ、真冬によ、雪が降ってる時に、外おん出してドア閉めちゃったんだよ。そしたら外でドンドンドンドン叩いてんだけど、その叩いてる音がだんだんしずかになってくんだわ(博士笑)。『死んだぞ、おい』って開けたらいないんだよ。雪の下にいるのかと思ったら、いないんだよ。おかしいなーと思ったら、はす前のスナックで、フルチンで飲んでんだよ(一同笑)」

島田「だって寒いもんなぁ」

殿「はす前のスナックに裸で入ってって、カウンターで飲んでんだよ(笑)。『暖かいの作ってくれ』って」

島田「でも、何も言わんかったらびっくりして、向こうの人。パッと見たらフルチンやんか。『すいませんがあの、水割り一杯』って入ってって。もうまっ裸で。裸族やもん。だってしまったもん、こう(笑)。みんなパッと見たら、知らん顔するなぁ。芸能人やし裸やし、どうとらえてええか、わからんのやて」

博士「質問していいもんかどうか」

島田「うん。チンチンの周りに霜が付いたりして(玉袋笑)。だって二十分ぐらい立ってたんやから、俺」

殿「しょうがねぇよなぁ」

博士「まぁね、収入編ていうのがありましてね、殿の給料の話は、このラジオでね、何回も聞いてるんですけどね、まぁすごかったですよね。B&Bの場合はですね、上京して1年目は、月給十五万円で。で、歩合制がスタートして、フジテレビの昼帯、『笑ってる場合ですよ』をやって、五百二十一万円?」

島田「そうやね、そんなもんやね。いや、帯が始まるちょい前かもわからんね」

博士「でも、最初は二十一万円かと思ったんですか?」

島田「うん、そうそうそうそう、給料がね。袋に入ってて、それ嫁さんにパッと渡して。また忙しいから」

博士「それをお金だと思ってなかったっていう」

島田「いや、俺は思ってたけど、かみさんが思ってなかっただけやねん」

博士「で、その翌月でもう、二千万円台。その翌月でESSO、NECなどのCMが入って八千万円(玉袋笑)」

島田「それが最高やと思う。一回こっきりやけどな」

玉袋「すごい上がり方ですよねぇ。その頃住まいはどこだったんですか?」

島田「いや、江東区や。まだ引っ越しもしてなかった。2DKのマンション」

博士「あの頃の話で、八千万ぐらいの給料もらってる時に、戸崎事務所の社長が『あ、洋七君』っつって止めて、『給料の歩合の計算間違ってて、二千円入れ忘れてた』っつって」

島田「二万円や。バイクで持って来よったな(一同笑)。八千万の追加が二万円や」

博士「それで信用したって話ありますよね」

玉袋「すごいですよね、八千万入った所で、事務所には相当入ってた訳ですもんね」

島田「入ってるやろうね。CMね、四本ぐらいまとめて撮ったんよ、多分。それで年契やしね」

玉袋「そうすっと、何に使おうとしたんですか、最初?」

島田「いや、使うも何も、酒ばっか飲んでた。二人で」

博士「いや、でもその年にお金を合わせていくと、三億円押入にあったって」

島田「いや、それはオーバーな話やけどな。でも多分、一億なんぼあったと思う」

博士「押入の中に現金が?」

島田「うん、知らんかったね、嫁さんもマジで。そらほんまマジですわ。だから端数っちゅうの、その二十一万とか四十何万が、嫁はんやっぱ給料やと思てるわなぁ。十五万から上がってきて。ほんで三十一日の日に、行く年来る年終わって帰ったら嫁はんが、『あんたこんだけ働いて、あんたたけしさんなんか、テレビで二千万の五千万の言うてはるのに、何であんた、こんな二十一万とか』って言われた時、『鬼か、お前は』って。こんだけ渡してんのに、給料安いとか言われてやな」

玉袋「それで、奥さん知らなかったと」

島田「うん、そんでファンレターもいっぱいもろてたから『こんな包みあるやろ』いうて押入開けたら、そんな金があったんや」

博士「一億円。それ現金で置いてたってのがすごいですよね」

島田「わからずじまいでな。そん時にかぎって、親戚来てたんや。売れたらいっぱい来るやろ。それまで知らんとか言うてて、嫁はんの兄弟とかな。そらやっぱ、開けてあってびっくりしてね、一日二日三日は銀行休みで、嫁はんが四日目ぐらいに電話したんちゃうかな。江東区の冬木町の三菱銀行に。そしたら正月やから、『おめでとうございます』言うて、向こうはな、『貯金したいんですが』『ありがとうございます』『取りに来て下さい、一億ちょっと』言うたら、ガチャンて電話切られたんや」

玉袋「(笑)要するに、イタズラだと思われて」

島田「そうそうそう」

玉袋「はぁ〜、すごいなぁ」

島田「そういう時もあったね」

博士「それで、翳りがちょっと見えた頃にですね、うちの玉袋筋太郎がですね、一応洋七師匠のボウヤに付いたんですよね」

玉袋「そうですよ、僕。付き人ですよ」

博士「島田玉七って名前でね」

殿「ボウヤレンタルなんだ」

玉袋「いきなりですよ」

博士「これ、売れなくなってくると、マネージャーが付かなくなってくる、ボウヤが付かなくなるっていうのがありますよね」

島田「って言うのはね、俺は事務所も何も入ってなかったもん、その頃。そんで地方行く時、チケット二枚送ってくるやん、ロケの時な。いっつも二枚送ってくるけど、誰もおらへんやんか。殿に言うたら、『玉袋行け、お前』て」

玉袋「ただ僕は、師匠とほんとに旅行してましたよね、ずーっと」

島田「うん、旅行番組やから」

博士「だって、利尻まで行ったんですからね、最北端へ」

玉袋「だって、付けって言われた次の日に、もう利尻。北海道飛ばされてんだから、なんか」

博士「利尻島にウニおじさんていう、有名な人がいるっていうんでね」

島田「そうそう、昆布おじさんとかおったな」

博士「だって利尻にボトルがあったって」

玉袋「そうですよ、師匠。あんなとこにボトルキープしてるんですもんね」

島田「ほんまやったやろ?」

玉袋「俺嘘だと思ってたんですよ。『玉袋お前、利尻にボトルキープしてるから』っつって。絶対嘘だと思ったら、行ったらあるんですよ、ほんとにヘネシー一本。『洋七』っつって」

島田「半年ぐらいに行ってたんや、一回。取材でね」

博士「もう一回訪れるっていうのは珍しいですよね」

玉袋「喜んでくれましたよね、あのママさんはね」

島田「そうそうそうそうそう。ほんまに来た言うて」

玉袋「そうですよね、色々行きましたよ、ほんとに。広島も行きましたし。広島で、実家に泊めていただいた事もありましたもんね。お兄さんのお宅へ」

博士「広島はすごいんでしょう?でも帰ったら」

玉袋「師匠はもうちゃんと、『金おろせ』っつって、カードわたされて、俺が百万おろして。で、それ持ってく訳ですよ」

殿「だってあの、広島のもみじ饅頭のおやじにな、行くと招待されるもんな。『洋七さんのお陰です』って、でっかい工場建てちゃってな。あそこに行くと、洋七と二人で行くと、向かえに来てくれて」

玉袋「あん時時間がちょっとなかったから、連れてってもらえなかったですけど」

島田「みもじ饅頭の工場二人で見学した事があってね。無菌工場みたいなさ」

博士「番組ではなくて?」

殿「遊びに行ったんだよ」

玉袋「二人で遊びに行くっていうのはいいですねぇ」

殿「どういう訳か、二人で遊びに行って、二人とももてないんだよなぁ、二人で行くと」

博士「いや、殿はもててるじゃないですか、今の話聞くと」

島田「いや、俺らはもててるねんけど、もててるから安心してガンガン酒飲むやろ。結局三時頃になったら二人やねん」

玉袋「グスグスですから」

島田「あれがあかんわな」

殿「お前、だけど箱根でも何でも、こいつと一緒に行って、いい事全然ないぜ。一回箱根行こうっつって、箱根で二人で待ち合わせて。正月だよ、あれなぁ。箱根のお前、本箱根って言うのか。それで、『いいとこ見つけたんだ。萎びた温泉なんだ』っつうんだよ。それで客が誰もいないっていうんで、『ここだ』ったら、きったねぇ旅館で、確かに旅館って書いてあるんだよ、本箱根に。ガラッと開けたら、地下足袋がズラッと並んでて、つるはしが何か置いてあるんだよ。『これ洋七、飯場じゃねぇのか?』『いやいやいや』って、そしたらお母さんが出てきて、『いらっしゃいませ。あ、洋七さん』とか言って。で、『お酒』『あ、そうですか』っつって、『じゃあ、お風呂でも入って』ってお風呂入ったら、変なライオンがあって、ライオンの口からお湯が出んだけど、ここが壊れてて、喉元からお湯が出てんだよ(一同笑)。ライオンがあっちゃ向いちゃって、喉頭癌の手術の痕みたいな、こんなんなったお湯でよ。何か泥みたいなお湯で、ぬるいんだよ、それが。したらよ、洋七がよ、『ぬるいけどね、温泉ていうのはね、しばらくあったまって出れば、いつまでもあったかいんだ』とか言って、上がって浴衣着て震えてたらよ、したら俺、しょうがねぇから愛想でよ、『お母さん、やっぱり温泉はいいね』っつったら『昔は出たんですけど』って、お湯だぜ(一同笑)。完全な沸かし湯でよ。やんなっちゃったよ」

島田「あのライオンの喉は、気持ち悪かったなぁ」

殿「それでその後、また行ったんだよ。そしたらそこに、カマボコの板が貼ってあったんだよ」

島田「そしたら今度、目から出てるんだよ(一同笑)」

殿「あん時にお前、おねぇちゃん二人連れてって、二人で『なんにもしない、なんにもしない』って言うからよ、女の子がその気になっちゃってよ」

玉袋「なんにもしなかったんですか?ほんとに」

殿「気が付いたら、二人で抱き合って寝てたんだよ。馬鹿馬鹿しい。『向こう行け、この野郎!』ってさ」

玉袋「手弁当で行って、弁当食えなかったですか」

島田「いや、『なんにもしない、なんにもしない』ってずーっと言うてたから」

殿「そしたら、そのまんまあれだよな、静岡の営業行ったんだよな、結局」

島田「そうそうそう」

殿「現地で相棒達に会って、漫才やって帰って来たんだよ」

玉袋「はあ〜。ブームの頃ですか?」

殿「うん。ブームのちょっと後かな。営業があった時だ。それでお前、こっちがベンツで、俺がポルシェ乗って、こんななってやってんだよ。それでまた、俺がこうやって首曲げる癖があるから、『ベンツで後ろで走ってたら、たけしがこうやって首曲げるから左の高速で降りちゃった』って、嘘ばっかし言ってんだよ(一同笑)。降りる訳ねぇだろ、そんな事ばっかし言っててよ」

島田「二人で行くのに、何で二台で行くんやって、これもわからんやろ。嬉しいんだろな、車こうてるから」

玉袋「車いいの買ったんですよね、やっぱり」

殿「そうだよお前、ベンツの銀ヤンマみたいなよ」

博士「ああ、乗ってました乗ってました」

殿「それでお前、その二台でよ、静岡の営業でよ、市民会館なんかによ、ポルシェとベンツで乗り付けんだよ。タレントでお前、カッコいいじゃない、なぁ。それで漫才やって、そのまま帰って来るた。あん時はお前、いい気持ちだったぜ」

玉袋「飲んでる時は、どんな話するんですか?二人で」

島田「いやほんでね、箱根はね、芸者さんとかおったから、二人でな、『おねぇちゃん、ちょっと今日な、一人づつ部屋別々に取ってるから。ねぇちゃん俺が話つけるから』言うて。そんで俺酔っぱらって、多分十万渡したと思うねん、二人な。ほんでずーっと待ってたけど、来ぃへんねん。『もう来ると思うねん』『お前渡したのか?ちゃんと金』『渡した』(一同笑)。ずーっと待ってから、マッサージが来よったんや。しゃあないからマッサージしてもろて、その後『どないなってんや!』て、もう朝方やもん。『渡したんやけど、お金』『馬鹿たれが』とか言われて。もうしゃあないなと思たら、朝起きたらもう仕事やったんや。帰っちゃって。俺は仕事なかったから、昼からでも間に合うと思って。そしたら、その芸者が普通の格好して、アジの開き十枚持ってきて、『きのうはすいません、あんなにチップもらったの初めてです』て、チップやと思われたんや(一同笑)。誰が十万も払うねん、チップに」

殿「それで、その後また箱根行って、今度梨本いたんだ。あれを引っかけようっつってよ。あの野郎、悪口ばっかし書きやがって、あいつのスキャンダルをやろうっつって、芸者あてがって、寝てる時写真撮ろうって、そんな事ばっかし考えて、梨本連れて行ったんだよな。それで俺らが先に酔っ払って、倒れちゃったんだ(一同笑)」

島田「(笑)写真取れなかった」

玉袋「ただ接待しただけじゃないですか」

島田「おお、ただ接待しただけ。やっぱ酒で全部駄目やな」

博士「殿は、酒の席ででも、自分からは口説かないでしょ?」

島田「うん、ないんちゃうかな」

博士「ねえ。だから洋七師匠がサポートしますよね」

島田「うん、まぁ大体な」

殿「サポートするんだけどよ、前岡山のフグ屋の後、明け方の四時頃よ、『おねぇちゃんいないんだよ』『てめぇ、どうなってんだ!洋七、この野郎!』って言ったら、二人見つけてきたんだ。それがもうね、何つうんだろう、五十メーター先からブスって見えるもんな(一同笑)。遠くから見てもわかるの、『あ、ブスだな』ってのが。もう特徴がある訳。何かホエール・ウォッチングみたいなもんで。『お、あそこにいた!』ってぐらいのあれなんだよ。それが来たんだ、ここにいる訳。それを二人でホテルに連れ込んじゃってよ」

博士「あ、一応連れ込んだんですか?」

殿「そうだよ」

博士「やめときゃいいじゃないですか」

殿「それでさ、あんまりすごいんで、もう酔っちゃったままこうやって、ベロベロになってよ、もう後は記憶ないんだよ。明くる日起きたら、そのねぇちゃんが隣に寝てんだよ。驚いちゃってさ。すぐ服着させてさ、『頼むから洋七んとこ行ってくれ』って、洋七んとこ行ったんだ。したらすぐ帰って来たんだよ。『どうした?』っつったら、『開けた瞬間にスリッパ投げつけられた』って。『向こう行けー!』って(笑)」

島田「パッと開けたら、ねぇちゃんが入って来て、『どないしたんや?』って聞いたら、たけしさんに向こう行けって言われたんやって言うたら、パッと見たらマネージャー来る時間やんか。そこおったら、俺がやったと思われるの嫌やから、『出てけ、この野郎!』言うたんや(一同笑)。そしたら、その時マネージャーがバッと来て、『また洋七さん、何でもかんでもやっちゃって』って(一同笑)。やってやいっていうんや、俺。やってないがな、ほんま」

殿「(笑)やってないったって、怒ってたって言うじゃねぇか、お前」

島田「俺やってないって。でも部屋に入ってたから、そう思うてたんやろな、マネージャー。帰って社長からも言われたもん」

博士「そんなにすごかったんですか?」

島田「いや、すごかったんやって」

玉袋「語り草ですね、ほんとに」

島田「私の倍ぐらい太ってるもん」

博士「(笑)よくそんなの入れましたね」

玉袋「何か戦争帰りの人に戦争の話聞いてるみたいですね、俺ら」

博士「福井県の話を」

殿「フグ屋行ってお前、フグの刺身が薄いって怒りだしてお前。フグのてっさでこう、薄いじゃない。皿が透けて見えるぐらいのお前、あれがうまいのにお前、こんなブツ切りなんだもん。食ったらガムみたいで、顎が痛くなっちゃったよ。『焼け!』なんつって、串刺してフグ丸焼きにしてるんだよ(一同笑)」

玉袋「お金の使い方がわかんないからもう」

殿「そんで、『これ焼け!これを』っつって、焼いちゃってよ。焼いて醤油つけて、サンマみたいにして食ってんだもん。うまくもなんともないんだよ」

博士「薄いって怒ってるってのがいいね」

殿「もう滅茶苦茶だよ」

島田「三万なんぼやっつったら、『おとっつぁん、それじゃ生活できないだろ』っつって、十万ぐらい置いて、『じゃあな、おとっつぁん』って(笑)。それで十分もうかってるんや、田舎やから」

博士「昔でも、殿が二百万賽銭箱に入れようとしたって話が」

島田「あれは私がちょっと酔っ払ってなくてよかったなぁ。入らないんだ、二百万なんか。木がこうなっててさ」

玉袋「どこなんですか、それ?」

島田「深川。『売れたのは、神様のおかげだ』とか言うて、二百万ガンガンいれようとして。俺『やめといて、やめといて』言うてたんや。それで俺預かって、次の日渡したんやけどな」

博士「すごいよねぇ」

玉袋「あぶねぇ。やってるじゃないですか、殿も馬鹿な事」

殿「何だかわかんないよ」

島田「馬鹿だもん、だって」

−−−−『風の街のじゅうちゃん』−−−−

博士「まあそれでね、洋七師匠も翳りがあるんですが、殿の方にですね、まあフライデー事件があって、今度は謹慎期間がね、あった時に、最初は伊豆ですかね」

島田「うん、最初は伊豆」

博士「そん時に何回も訪ねたって話もありますよね」

島田「それからね、三月ぐらいやったからね。暖かいとこがいいんじゃない、みたいな」

博士「洋七師匠の紹介だったんですか?」

島田「違う違う。俺はね、あっちの方がいいんじゃない、とは言うたけど、紹介してくれたのは、松方さんちゃうかな」

殿「石垣島行っちゃったんだよ。そんでこっちの方遊びに来るんだよ。で、やる事ねぇから二人でよ、石垣の街へ、夜中飲みに行くんだよ。すっと、みんな『あ、たけしだ』っつってよ、捕まったの知ってるからおばあさんが来て『みんな知ってますよ』って言って、パッといなくなんだよ。『警察もあんた知ってるよ』って、『いや、別に知ってたっていいじゃない』って、逃亡者だと思ってんだよ(一同笑)。そんで『お父さんがね、漁師やってるから、台湾に逃げなさい』だって(一同笑)。やんなっちゃったよ。それで飲み屋で飲んでたんだ。すごいんだ、いけす料理の店で。これぐらいのでかいいけすがあんだよ。その前にカウンターがあんだよ。そこに魚一匹だけいるんだよ。グワーッて泳いでて。それを取れって言うんだよ。板前こんなんなって、『すいません、取れません。かんべんして下さい』ってよ」

島田「このスタジオのでも、倍ぐらいあったよ」

博士「いけすが?」

島田「そんで、海が荒れてて、魚が一匹しか入ってなかったんや。三十分たっても取れないんだもん。俺に入って、向こうから追ってくれって言ったんやもん(一同笑)。追い込み漁じゃないんだからよ、いけすの中で」

殿「それでまた酔っ払ってな、『おいたけしな、俺よ、いけす料理でアイデアあるんだよ。史上最大のいけす料理屋。板前が船で現れて』『それお前、漁じゃねぇか』『船で投網打つんだよ。お客は堤防で見てんだ』『それ、漁師じゃねぇか、馬鹿野郎』っの(笑)」

玉袋「でも商売がね、すぐビジネスにポーンと展開する所がいいですね」

殿「そんでドナン、45度とか60度とかよ、あれ飲んで、二人でひっくり返っちゃって。お前、石垣の西表行ったっけ?」

島田「行った行った」

殿「西表も行ったんだよ。西表行って、酒飲んで帰ったんだよ」

島田「みんなはな、逃亡者や思てるから、かくまってあげるっつってな、向こう行って飲んでて、気が付いたらおまわりさんも一緒に飲んでたという(一同笑)。かくまってないちゅうねん、いっこも。『大変でしょう』とか言うて」

玉袋「でも、その間もう、密に会ってんですか?」

殿「よくやってたな、何だか知らないけど」

島田「で、俺は週に一回だけ仕事があったから。たけし城のインディアンで踊る仕事が」

博士「ありましたね」

島田「だから帰って、『また来いよ』とかね『いやそんな、遠いから』って。今は直行便あるけど、なかったから。でもまたその、『来いよ』っちゅうのが気になんねんな。で、たけし城終わって局の車で所沢と思うけど、すぐ『空港行って』言うて、でまた空港から沖縄行って、三回か四回ぐらい行った」

殿「あれは何だ、俺落ち込んでるっていうか、俺冷静だったよな」

島田「俺、初めて行った時はコテージの前で、芹沢がおって」

博士「運転手さん」

島田「うん。で、『殿があそこにいます』ったら、やっぱり海の所でな、椅子を置いて本を読んでたんやんか。俺が行ったら何しに来たんやお前って、自分で呼んどいて何しに来たんやって、まあそういう口調やんか。その割にはこうな、目がキラッとしてたっていうな。ほんで照れて、なんやかんや言うてたんや」

殿「あん時、越前屋も一回来てたよな」

島田「うん、来たらしいねぇ。ほんでね、帰る時に暗示にかけるんや。『お前、来週も絶対来るだろう』とか言うて。『いや、そんなしょっちゅうこられへんで』『いや、お前は来るやつだ』とか言うてな。それが気になんのよ、かえって。ほんでまた来て、空港行ったら迎えに来てるという。麦わら帽子かぶって」

玉袋「迎えにまで来てたんですか?」

島田「そうそうそう。一時間に一本あんねん、南西航空が。んで来てたっていうな。『俺は来ると思ってた』みたいなな」

殿「だけどあそこな、テレビは入るしな。で、デレビは見ねぇじゃない。だって自分がいないんだから。するとな、結局意外にテレビってのはな、それがいつも身近にあるもんなんだな。それをパッとカットしちゃうだろ。すると意外に孤独になるなぁ、あれな。田舎で独り暮らしでも、テレビついてりゃいいって時あんだよ。で、それも見ないから、寂しいぜ、意外に。それで色々考える訳だよ、休みの間にな、勉強してな、東大受けてみようかとかよ、訳のわかんない事考えんだよ。それで中学校の参考書なんかやりだすんだよ。んで解けなくなるんだよ。頭きちゃってさ、『何だ、頭悪いや俺』とか思って。そうすっと今度は『そうだ、バンカーショットには砂浜がいいぜ』って、そこで球打ってんだよ。十分でやんなるもんなぁ。そうすっと酒なんだよ。そんで酒独りで飲んでもつまんないじゃない。そうすっと、『誰かいねぇかなぁ。あ、洋七だ』と思う訳だよ。で、洋七呼んで酒飲んでりゃいいやと思って」

博士「はるばる呼ばれる方もね」

島田「いやでもね、浜辺で珊瑚礁の死んだやつあるやん、白くなった。あれをな、こう置いてな、海にパーンと打ってたわ。すっと俺がこう、一個置いてな(一同笑)。『今後どないすんの?』『うーん、実刑だったらどうしよう』やっばそら、不安もあるて」

玉袋「ありますよー」

島田「もう映画のワンシーンやがな。日がこう沈んでな。そこに俺がこう一個置いて、それをカーンと打って」

殿「措いてるお前はカッコ悪いけどな(一同笑)」

島田「いや、俺はゴルフせぇへんからなぁ」

博士「ソナチネのヤクザみたいなもんですよね。何もする事がなくて」

殿「うん。結局だけど、あん時はな、漫才ブームも終わっちゃってな、俺一人でやってて、そっちも翳っちゃっててよ、それで話してっと、俺も洋七と同じ所に家があったからな、あん時。二人とも仕事ねぇなぁ、なんて、前みたいな事ない訳じゃん。すっとな、二人で飲んでんだけど、でも意外にそんなになぁ、さみしくねぇんだよ多分な、洋七も俺もな、やっぱりな、漫才ブームの一時代を共に闘ったって感じあんだよ。戦友みたいなとこあるからよ、いつでも会っても普通にいるよな。もう『あの時代大変だったなぁ』ですむもん。んで一緒に遊んでるから、女の話しでも何でも、ジャンジャン笑うんだよ。だから別のどうってことないんだよ」

島田「だからね、よくね、『ピートたけしって神経質でしょ?』とか、よく言うやろ、俺は思わんもんな、そういう風に。何なんだろうかと思うけど。ただ、いつ物事を考えてるのかっていうのはわからんだけで。俺の前で努力してるとか、全然見せないじゃない。『馬鹿野郎、アホ』しか言えへんし。だから、俺はそのままの北野武でいいと思てるしな。やっぱりあんまし、努力してるとこ見たらな、つまらんやんか、そんなん。それは、一生懸命やってるとこをパッと見たらな、何か『うわー、また負けてんな』とか、そんな事考えなあかんやんか」

殿「だから俺よ、洋七と飲む時、『早くこいつ酔っ払わして、今日一日駄目にしといて、俺はその間に勉強しよう』と思って(一同笑)。やたら勧めたりなんかしてよ。『飲め、早く、馬鹿野郎。飲まねぇか、この野郎』っつって。何か二人で喧嘩してるみたいによ、『早く飲め、馬鹿、この野郎』とかやってんだよな」

玉袋「楽しそうですもんね、二人で飲んでる時、キャッキャしちゃってさぁ、もう」

殿「くだらねぇだろ、だって。大体よ、基本的によ、洋七ってよ、ほんとに笑うだろ、くだらなくて」

玉袋「笑います。大爆笑です 殿「馬鹿だなこいつ。笑うんだ、これ。おっかしいんだから」

島田「部屋見たらわかるよ。おとっつぁんの部屋って、本がアホほどあるやん。もう、難しい本から、原子力の核から、ものすごいあるやんか」

玉袋「エロ本まで」

島田「うん、俺の部屋もみっつ部屋があるんやけど、何ひとつないからな(一同笑)。布団がいっこ、後テレビ、冷蔵庫、それだけやもん。インスタントラーメン、そんなもん。あれがやっぱ、違いやろな。俺は本能のまま。だから言うてみりゃ、俺の方が実力、こっちは努力型と思うよ(一同笑)。大体本はすんごいもんなぁ」

殿「必ず女違うんだよ、連れてる女な。どうしてこいつ、こんなにもてんだろうなっていうと、必ずいい女連れてんだよ」

島田「それはあの、人のネームバリューで生きてんねん、今は。『北野武に会いたくない?』『キャー!会いたい!』『おう、会わしたろやないけ。ちょっと酒飲まない?』とか言って(笑)。ほんで帰りふられてな。『いやー、たけしさんの方がかっこ良かった』とか言うて(殿笑)。これはいかんわ。やっぱ有名人に会わしたらいかん。もう、向こうへ行くな、気が」

博士「ああ、そうでしょうねぇ」

玉袋「会わせる、会わせないぐらいでこう、ちょっと」

島田「そうそうそうそうそうそう、素通りすると。『ほらほらほら、遠くから見る方がええわ』。もう、一緒にしゃべってたら、全然駄目やな、うん」

博士「二時間泣いてた女も取られるんですからね」

島田「取られるやろ、それは最近気付いたな。『有名人に会わしたろ』っていうのはよくないっていう」

玉袋「最近ですか(笑)」

島田「うん、お茶とか飲んでパッと帰る時、向こうは運転付きで車がバーッと来て、『洋七またなー』って、俺はねぇちゃんと二人で『おい、電車なくなったなぁ』っていう(博士笑)。後がさみしいやんか。これはいかんわ、もう。具合悪なるな(一同笑)。でも優しいよ。俺一人で飲んでたら、送ってくれるもんな」

博士「優しいですねぇ。友達ですもんねぇ」

島田「後迎えに、飲みにいかへんかって、雨降ってるからいややなと思ったら、それは迎えに来る人はええわ、目の前に車あんねんから。もういややな、と思うやんか。『迎えに行く』とか言うて。『迎えに来たら行かなあかんな』と思て。んで帰り送ってもらえるという。その辺はすごい、助かってるわな」

玉袋「殿のフライデー事件の時は、どう思ったんですか?師匠は」

島田「いや、俺は朝気付いたからね。最初は何か、意味もわからんけど、やりそうなおっさんやなぁ、とは思ったけど(一同笑)。またすごいなぁと思ったなぁ。そういうのないから、自分の想像では。いつもやった後にすごいと思うだけでなぁ」

博士「あっちの、バイクの事故の時は?」

島田「あれは怖かったな。嫁さんが朝方バーッと起こしてな」

玉袋「やっぱもう、すぐ香典包んで?(博士笑)」

島田「俺葬式の格好してたら、嫁はんが『まだわからないから、この服がいいんじゃない?』ってな(一同笑)。またあのニュースがな、いかにももう、駄目みたいなニュースやったやろ」

玉袋「終わりみたいでしたからね」

殿「うん、重体って出て」

島田「血がすごかった、悪いけど。それ見たらもう、そうかなと思うもんなぁ」

玉袋「駄目だと思いましたねぇ」

島田「だから、今やから言えるけど、背広と普通のと、『どうしようどうしよう』っつって、ほんまもう、怖かったなぁ。訳わからんまま言ったわ、病院まで。そしたら会えなくてな」

博士「またお二人が、ジョギング友達だってのも不思議な話ですよね」

殿「ああ、あそこのよ、赤坂のよ、事故起こしたとこよ、権田原んとこでいつも待ってたんだよ。それでそのままサウナ行ったんだよ。んで『洋七、走るぞ』っつってよ。洋七がまた変なジャージの上下着て、俺もジャージの上下着て。で、赤坂のよ、誰かいるとこだろ、御所のとこ。ガードのお巡りさんが、無線でずーっとやってんだよ。んで、誰が通ったかって言うんだ、ジャンジャン。んで『二人今走って行きました』って言うんだけど、俺らの場合よ、『あ、今たけしさん通りました。その後デブ、デブ一人』って(一同笑)。立ち止まって『誰がデブや!』って言って、また走ってって(一同笑)。お巡りさんゲラゲラ笑ってんだ」

島田「青山の本田の前の交番のとこで、ちょうど信号が赤になったら、止まらなあかんやん。そんでお巡りさん出て来て、『たけしさん、何ですか?』『ええ、今度ちょっと映画に出るんで、やせなくちゃ駄目なんですよ』そんで、何も聞いてないのに『洋七はヒマだから走ってるんです』やて(一同笑)。いらんことはええて。でもね、『ジョギング明日からしようか』って言うたのがね、渋谷ビデオでね」

玉袋「どっちが誘ったんですか?」

島田「いや、あっちから。アメリカの映画行くから、どうのこうのって」

博士「ああ、JMの前ですね」

島田「うん、んでボウヤに頼んでバッグ持って来たら、『これ明日からな、ジョギングするからな、ジョギングシューズ』言うて、ジョギングシューズ買うてくれんねん。俺子供扱いや。靴まで買うてくれたんやで」

博士「殿はあまり芸能界に友達を作らないですよね。珍しいですよね」

殿「そうだな、俺あんまり作んないなぁ。別にだって、しょうがないじゃない、芸能界はなぁ」

島田「しや、みんないないと思うよ。レギュラーやってる時は毎週会うからみんな仲良くなってるけど、あれは仕事があるから会うねんで。あれ楽屋友達て言うねん」

玉袋「実際そうですよねぇ」

島田「ほんで番組終わったら『また会おうね』て、段々会わんようになってくんねんて。友達てそんな何百人もおらへんよ。よう考えたら、みんな商売敵やんか」

博士「ああ、そらそうですね」

島田「なぁ、誰かが出てたら嫌だろうしなぁ。だからそんなに芸能界で友達でけへん。ここまで離れりゃなんともないやんか(一同笑)。ライバルやないんやから、どう考えても」

博士「キャディやろうが何やろうが、いいですよね」

島田「うん、俺がラーメン屋やろうが、何やろうがな。お父さんはどんどん行っちゃってな。それでもええなと思うやん。やっぱり気ぃ遣う友達やったら、作らん方がええ。やっぱり何でもズバッと言えるからええしな。やっぱり頭でも、いつまででも殴ったり殴られたり、それで充分だと思うよ」

玉袋「下半身出してね」

島田「うん。『たけしさんの事、何てお呼びしましょうかね?』って、悩んじゃった時は終わりだと思うな。よくそんなのあるやん、人が売れたら呼びにくいなとか。のりおやないけど、さんまさんって言うてるらしいから(一同笑)。やめろっていうのにな、ほんまにな。十年前はさんまって言うてて、今はさんまさんとかな、さんまちゃんとか、そんな事で悩む時点で次元が低い。最初に会うた名前で充分やないかと。だって、一人ぐらいワーッと言われるやつおらんと、つらいやろ。だからその、芸能界の才能ではすごいんやろうけど、世間でわかってない部分かて、おとっつぁんかて一杯ある訳やからな。ええ事しか聞こえてけぇへんねんから。『すごいですね』とか、確かにすごいんだけど、『違うね』っていう事もあるはずやで。そんなもん神様やないんやから、全部おうてる訳やないんやから。そういう時に俺が『違うわ』言うんや。『こいつ、何でもかんでも言いやがって』とかな。そういう人も必要やど、友達ちゅうのは(一同笑)。よう行ったもん、丸商に買い物。そんで、『一人で何でこんなに買うんですか?』言われるぐらい買う訳やんか、軍団のもんまで。ほんで昔乗ってたあの、トヨタのリムジンで丸商行くから、みんなびっくりしてんねんな。俺がリムジンの後ろから持って来んねん。ほんで運転手がパッと開けて『お疲れ様』って、俺がそれで出て買い物やんか。ほんで馬鹿ほど買うてリムジンに乗ってくその姿(博士笑)。何者でしょうかねって。ほんでブツブツ言うてんのや、俺も。『これおとっつぁん食えへんからな、こっちがええな』て。『好物まで知ってますか』って運ちゃんが。『これ食わへんわ。堅いの嫌いやからなぁ』て、もう愛人状態やからね(一同笑)」

博士「いい女ですよねぇ」

殿「やれたらやってんだけどなぁ。やれないよなぁ」

博士「愛人同然の暮らししてた時期もありますよね」

殿「前よ、乃木坂にいた時よ、こっちは仕事ないんで、洋七に電話してよ、『洋七よぉ、今日はうどんやりたいんだ、うどん。お前うどん作って、鍋で待ってろ』っつったら、『俺は愛人か、馬鹿野郎!』って(一同笑)。『何でお前の料理作って待ってなきゃいけないんだ』って。したら、行ってみたら手打ちうどんのセットまで買ってやがって(一同笑)。棒でグルグルやってんだよ。『お前、何やってんだ?』『いや、手打ちうどんだ』。手打ちだぜ。粉まいて、こうやって作ってたんだから(一同笑)」

島田「鍋するから言うんやけど、うどん作っとけて言うから、うどん作るんやったらやっぱり、こねなあかんなぁ思て、あの棒みたいなの得ってるやんか、セットで。わざわざ金物屋でなぁ」

殿「あのうどんの板まで買って、こうやってたんだよ。笑ったよ(一同笑)」

島田「俺、よう行ったもん、丸商に買い物」

−−−−『マイウェイ』−−−−

博士「で、今は洋七師匠はビデオを作られてると」

島田「もう終わったけどね」

博士「もうそれは是非宣伝していただいて、見ていただく方が」

殿「Mr.ビーだよ」

博士「それは何か、映画で公開されるらしいですよ、Mr.ビーが」

島田「うん、そうなったんや。それでやっぱり、俺聞いたからな、色々アイデアを」

殿「よく出来てるよ」

博士「あ、やっぱよく出来てますか?」

殿「うん、そんなにセコくねぇ」

島田「ただね、やっぱその精神的なもんがね、相談した時に言うてもらえるの、すごい嬉しいやん、ねぇ。そらなぁ、世界の監督をつかまえて、『どやねん、このビデオ』言うてなぁ。予算は百分の一ぐらいやから。ほたらこうしてああしてって、『撮ってる時にくじけんな』とかな、『撮ってる時は多分面白くないぞ、多分コメディーってな』笑わへん訳やからな。そういう事も、俺わかってないから。『お客さんがいる所だと反応があるけど、撮ってる間は全然つらいけど、そこを我慢すんだ』っていう。そういう事はやっぱり、ずうっと聞いて」

殿「『我慢すんだ。面白くなくてもいいんだ』って言って、失敗させようと思ったんだけど(一同笑)。失敗したなぁ」

島田「んでネタもチョコチョコ聞いて、んでうまいことこう撮ったら、結構うまいこと出来て。まぁ、子供とかお年寄りとかね」

玉袋「誰にでも?」

島田「そうそう。これやったら暴力も何もないから。それで英語で撮ったから、どこでもいけるやろっていう事で。ま、ポンキッキとかね、ああいうのに流して、後海外のコメディーの映画祭とか。そら非常に感謝してるわね。撮る事は出来ても、取り方がわかんないから。そらやっぱり、精神的なもんやんか。『くじけるな』とか、『ベタはベタなりにいけ』とかな、『照れることない』とか。あぁ、素晴らしいなぁとか思ったりするけど、それが生きていく上で、すごい俺は勉強になった。次なんぼ落ち込もうが何しようが、なんっとも思わないな。んで落ち込んだ時はすぐ電話するもん。『一緒に飲みに行けへ〜ん?』とか言うて。そしたらまた、元気になるしな。『ああ、俺友達やんか、こんなすごい人と』とか。そしたらまた、『俺も頑張らな』と思うやん。だからそのビデオの件でも、やっぱりなぁ、ああいう映画祭で獲った、うわ、すごいなっていう。何がすごいって、新幹線のニュースで出てきたやんか、あの映画の。『北野武監督ベネチアで…』って、あれ見た時に、ほんまにすげぇなぁって思ったもん。『うわぁー、電話しにくいなぁ』と思たけど、すぐしたけどな(一同笑)。『どないやねん?何がどないやねん?』『馬鹿野郎』とか言われてな(一同笑)。まぁ、なんちゅうの、あの、鳥肌立った事ないんですけど、初めて鳥肌立ちましたなぁ、そのニュースで。今まで事件のニュースしか見た事ないから、大概引くニュースでしょ」

博士「ああ、成る程ね」

島田「それがやっぱなぁ、思わず、全然知らんなぁ、新幹線乗ってる、どっかの社長やんか、グリーン車やから。思わず『すごいですねぇ、ほら』言うたもん(一同笑)。思わず言うたんやで、人も巻き込んで。ほしたらその人も、『はぁー、すごいなぁ、あのたけしさんて』ってやっぱり、ニュースで見たら違うぞ。あの、横に字が出てくるやろ」

玉袋「出てくる時、やっぱ驚きますよね。『タレントのビートたけしが…』『またやったか!』って」

島田「タレントって出ぇへんかったな。北野監督って出てたなぁ。もう監督でしょうから、そん時。そん時鳥肌がガーッて立って。まぁすげぇなぁーって思うもんなぁ。漫才ブームが全部嘘やったなぁ、みたいなな。これが現実やなと、今は。そういう風に思うたんや」

博士「これMr.ビーがね、そうなるかもしれないですからね」

島田「うん、まぁどうなるかわからんけどな。そんなん見て、やっぱり俺も何かせなあかんと。見てるよそらぁ。飲んでアホばっかり言わんと。でも、やっぱり全部負けてしまう訳やから。勝ってんのは年が若いだけやから(博士笑)。マラソンしたって、こっちの方が速いもんなぁ。坂道なんか上がれないもん。全敗や、俺ら。でもやっぱ、それがすごいいい事。会えるちゅうのがええやんかなぁ。日本一のおっさんに電話して、『飲もうか』って言いにくにやろ。お前ら電話して、『タケちゃーん』とか、言いにくいやろ」

玉袋「誘われるままですよ」

島田「そやろ、それがやっぱりな、自慢ちゅう事やないんやけど、落ち着くな、自分で」

博士「酔っ払ってる時に、あれだけ殿の後頭部をバンバン突っ込める人はいないですよ(殿笑)。驚きましたもん、僕」

島田「それはまぁな、連れやからええんちゃう」

玉袋「靴でやりましたからね」

島田「こないだおでん屋行ったら、俺が靴で叩かれてたわ(一同笑)」

殿「今日飲みに行こうか?(一同笑)待ってろ」

−−−−『嘲笑』−−−−

アナウンス「街でいちばんの男、ビートニクラジオ。出演はビートたけし、浅草キッド、そして島田洋七。ご案内役は柴田梓。今夜お送りしたナンバーは、フランク・シナトラで『マイ・ウェイ』、ビートたけしで『風の街のじゅうちゃん』『嘲笑』でした。なお、洋七師匠が企画・脚本・主演、たけしさんも演出の相談に乗って完成した映像作品『ハートマン』は、99年春にビデオリリースの予定で、併せて全国の映画館でも上映されます。どうぞ、お楽しみに」

おしまい

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