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今になって思うこと
トップ奏者に向けて

ヴァイオリンをはじめて4年目。オケで弾いて4年目。
今になって思うこと。
昔はわからなかったこと。
卒業前に書いた、私のアマオケ体験。


トップ奏者へ、指揮者へ。
多くのプレーヤーの上に立ち、まとめていく立場にある人へ。

たくさん迷って、傷ついて、いろんな人にいろんなこと言われて、また悩んで、何が大切なのか忘れてしまいそうなときに。
たった一度だけだったけれど、トップをやらせてもらって、最終的にたどり着いたところというものを、書き留めておこうかと思います。
きっと今、トップをやったならば、ずいぶん上手に切り盛りしてゆけて、みんなに迷惑かけることも少ないだろうと思うから。人の失敗談に学びうることもあるだろうから。同じ間違いを繰り返して欲しくないから。


INDEX
妥協するな
大きなものから削り取っていこう
何度も繰り返す
指示は具体的に
練習方法を提示する
長く弾かせない
スコアを生かす
個人的にチェックとフォロー
音のキャラクターは決定しておく
動揺しない、即答しない
ボーイングは変えない
自信を持てるまで練習しよう
指揮者とパートリーダーの連絡は密に
信じること

妥協するな
一番大切なことは、妥協しないことだと思う。
ここは、こういう音が欲しいと思うなら、演奏会直前まで、その音を追求し続けるべきだ。

「無理だ」「不可能だ」なんて声に、屈してはならない。
自分もできないかもしれないなどという不安に駆られる必要はない。
難しいのを承知の上で、「できないかもよー」と言いながら、選んだ曲。それでもやろうとしている曲なのだから。

妥協しない。
そう決めることで、迷うことが少なくなって、かえって楽になる。
その姿勢が、第一歩。

だいたい、約半年もかけて練習するのだから、そうそうできないことなんて、あるはずがない。
やれば、できるものです。

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大きなものから削り取っていこう
曲を作り上げていく課程では、大きなものから削り取っていくような、彫像を作っているような気持ちで、取り組むべきです。
小さなところから、積み上げて作っていこうという考えは、道を誤る最大の原因です。

最初は荒削りでいいんです。
はじめから細かいところをつついても、そもそも、みんな、まだそれほど練習できていないんだし、曲の全体が見えてこなくて、イメージすら持てません。

だから、何度でも繰り返すつもりで、はじめは細かい弾き方よりも、曲の感じ、リズム、音量変化、速度変化なんかから、大枠を固めていって、早く全体をつかめるようにし、徐々に細かくみていくようにした方が、うまくいきます。

一時間書けて、二段くらいを集中的にやるなんていう練習を、最初にやったとしても、弾いている方は何をやっているのかわからず、退屈だった…なんて印象しか残らない可能性があります。

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何度も繰り返す
人間は忘れる動物だということを、よくよく覚えておくべきです。
一度言って、そして一度はできたから、次もできるだろうなんて幻想にすぎません。
そんな都合のいいこと、まず、絶対にないと理解しているつもりでも、失望感にさいなまれるというのが現実です(爆)

だから、パート練習などでは、定期的にフィードバックする必要があります。
一カ所を集中的に練習するのは、かえって非効率で、たくさんの箇所を何度でもできるように、できる限り、さくさくと進んでは、戻るように。

ちなみに、たとえ同じ音型でも、音が少しでも違えば、当然できないものと思っていないと、大変なことになります(笑)

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指示は具体的に
たとえば、音域が下がっていくため、デクレッシェンドに聞こえてしまって、曲の流れがへこんでしまうようなとき、「そこ、音がへこんでる」とか「デクレッシェンドしないで」と言っても、ほとんど効果がありません。
「そこにクレッシェンドを書いておいてください」と言うべきです。

たとえば、速いテンポの曲で、八分音符があって、次に八分休符があるようなとき。八分音符を音の長さ分、ぎりぎりまでのばして欲しいときには、「休符をなしにしてください。四分音符と思って弾いていただいて結構です。」と言う。

逆に、次にある音を生かすために、八分休符をしっかりと休んで欲しいときには、「八分音符は短く切って、スタッカートで弾いて。その変わり次の音にしっかり入ってください。」と言う。

楽譜は、音楽を書き記したものにすぎません。
当然、完璧に書けるものではない。
どんな効果をねらっているのかをパートリーダーがくみ取って、パート員に伝えるときには、抽象的な言葉は、使わないことです。

そうしないと、いつまでたっても伝わらないのです。
「短く」と言われても、その感じ方は人それぞれ。
かえってバラバラな音の長さになってしまったり、みんな、わかったような、わからないような気持ちで、弾くことになり、たまたま、その場ではうまくいったとしても、すぐに忘れてしまうということになりかねません。

指示は、楽譜に符号で書き込めるくらいに、具体的に。
中途半端な指示は、出さないように。

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練習方法を提示する
パート練習では、時間の節約のために、練習方法を提示して、次のパート練習の時間までに、各自で練習するようにしてもらう、という方法もあります。

あたりまえのことですが、パート員だって、練習していないわけではないんです。
単に、練習の仕方がわかっていないから、できないっていう場合も多々あって、そういう場合には、たとえば、うまい指番号があるなら「私は、こういう指遣いで弾いているんですが…」と参考のために公開するとか、「ここはこういう練習の仕方をすれば、弾けるようになる」とか、自分の通ってきた道を、具体的に示すだけで、練習の仕方がわかり、状況が劇的に改善されることがあります。

そのとき、単に口で言うだけではなく、その場で少しだけ、実際にやってもらって、「後はそんな調子で、来週までに、各自で練習してきてくださいね」って言うようにすれば、伝えたつもりで伝わっていなかった…なんて事故も回避できます。

あ、自分にもできるんだ、って体験をして、練習の仕方さえわかってしまえば、普通、人間って練習したくなるものなんですよ。

そうそう、ちなみに、「来週までに」などと、期限を切ったときには、必ずその期限にチェックを入れることをお忘れなく。
チェックを怠ると、「なんだ、しなくてもいいや」なんて怠け心が、パートに蔓延して、収集つかなくなります(爆)
オオカミ少年になると、後で自分がしんどい目に遭いますから、「来週また同じところをしますから、練習してきてください」って言った場合には、事情が変わろうと、何だろうと、必ず予告を守らなくっちゃ。
信頼関係が壊れますよ(^^;)

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長く弾かせない
気になる箇所を抜き出して練習する場合は、可能な限り短い単位で繰り返すべきです。
そして、できるようになってから、徐々に長くしていくこと。
無駄な部分まで弾くと、言いたいことが伝わりにくい上、弾いている方はいらいらします。
不必要なことはさせないように、よく考えてから、練習に挑むように。

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スコアを生かす
スコアをよく読み込んでおいて、パート練習のときに利用できるようにしよう。
スコアを読むポイントとしては、

*自分と同じことをしているパートはどこか、かけあいになっている部分はないか(→お互いに聞きあって、ニュアンスをそろえる必要がある)
*自分はメロディーなのか伴奏なのか(→メロディーと伴奏では、当然弾き方が異なる)
*他のパートと比較して、自分のパートはどのようなバランスの音量になっているか(→同じfでも、控えめに弾くべきなのか、オケの中で一番目だっていいのか等)
*最小単位で動いているパートはどこか(→一番細かく動いているパートにあわせるのが基本)
*入りのタイミングを測るのに聞くべきパートはどこか
*和音を構成している場合のバランスはどうなっているのか(→最低音を担当しているなら、はっきり目に出さないとバランスが悪くなる)

「他のパートを聞いて…」なんて言葉で指示しても、なかなかわかってもらえないから、あらかじめ下調べした後、必要ならば、他のパートを歌ったり、他のパートを弾いたりして、パート員の注意を喚起するようにします。
一度聞いたことのあるフレーズなら、自然と聞こえてきたりもするので、言葉だけで言い続けるよりも、何倍も効果があります。

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個人的にチェックとフォロー
年齢も、経験も、情熱も…バラバラな人たちが集まっているのだから、当然、演奏技術には、かなりの差があるものです。
パート練習のときに、誰にあわせて進めていくべきか、悩むところですが、弾けない人にあわせて進めようにも、なにしろその場では、何をどうしようと弾けないのですから、ちっとも進みません。
なので、この際、弾けない人のことは、ちょっと置いておいて、パート練習自体は、弾ける人にあわせて、どんどん進めます。

弾けない人は、パート練習だけでなく、全体の練習でも、なんとか弾けるように見せたり、おちても食い下がってついていくようにする練習が必要なのですし、たとえ、弾けないとしても、本来どんな風に弾こうとしなければならないかとか、曲想といったものの理解が進むので、パート練習の場では、それほど気にかける必要はないのではないかと思います。
それよりも、弾ける人にとって、時間を浪費したと思わせないような、密度の濃いパート練習をするように心がける方が、大切です。

パート練習についていけない人に対しては、個人的にフォローする必要があります。
躓いている場所は、人それぞれ違うため、その人ごとに声をかけて、どのように練習したらいいかを提案して、またチェックするというようなことを繰り返しましょう。
それほどの時間をかける必要はないのです。少しずつ、パートのみんなのことを気にして、一人ずつ声をかけていれば、不満や悩みなども聞くことができて、トップとしても、非常に勉強になるはずです。

また、パート練習の場では、全員で弾くばかりでなく、半分ずつに分けて弾いてもらったり、二人ずつ、三人ずつで弾いてもらったりすることにも、非常にメリットがあります。
誰が弾けていないのか、パートリーダーにはっきりわかるから、フォローを入れやすい上、分けて弾いてもらっている間、弾いていない人は、どこが悪いか客観的に聞くことができるからです。
同時に聞いて聞き分けられる音の数には、限界があるので(私は三人同時に弾くときまでが、どうにかはっきり聞き分けられるぎりぎりの線だと思う)よくわからない場合には、分けて弾いてもらうのが、一番手っ取り早いと思います。

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音のキャラクターは決定しておく
パート練習を始める前に、トップあわせを始める前に、徹底的に自分は同弾きたいのかと言うことを考えておくべきです。
ひとつひとつの音のキャラクターが見えるまで、練習したり、考えたりしておいた後に、いろいろなことを始めるようにしないと、すべてが崩れていってしまいます。

後で、迷ったりしないために、人の意見に流されてしまって後悔しないために。
はじめに自分で考え抜いておくことが、自信につながります。
音のキャラクターが決定しないと、本来、ボーイングだって決められないのですから、おろそかにしないことです。

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動揺しない、即答しない
何かもっともらしいことを言われた場合、その場では「検討します」と逃げておいて、後で考え直すことをおすすめします。
ただし、誠意を見せるために、意見はその場で必ずメモっておいて、後日、直接結果報告をすること。

あせって結果を出そうとすると、ろくなことはありません。
何度も言っていることを変更するのも、はた迷惑です。
ですから、ゆっくりと考え直した後で、結論を出した方がいいと思います。

それに、あまりに動揺したり、その場で迷いだしたりすると、パート員の信頼ががたがたと音を立てて崩れます(爆)
実際問題として、ある程度の威厳を保っておかないと、パートの統制がとれなくなってしまいます。
「さぼってもいいかぁ」なんて思わせるようなパート練習なら、しない方がましです。

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ボーイングは変えない
何でもないようなところにも関わらず、迷いに迷う箇所って、あるんですよね。

私は、ベストなボーイングとは、一番弾きやすいボーイングだと信じています。
作曲家が指示しているボーイングも、多少は尊重してあげたいけれど、何もそれが絶対ではないはず。
プロオケでさえも、ぐちゃぐちゃに手を入れて指定ボーイングなんかで弾いているわけではないのに、アマチュアの私たちがこだわる必要が、どこにあるのでしょう。
事故が起こりやすいようなボーイングを必死になって練習するよりも、たとえ弾きやすいボーイングに変えたとしても、追求すべきものがたくさんあると思うのです。

それから、どのボーイングも、いまいち…なんて場合には、あまりに悩んで変更を重ねるのは、いただけません。
結局のところ、どんなボーイングでも同じこと。
ならば、やたらと変えないことです。

せっかく練習したボーイングを変えられると、結構ダメージ大きいですから(^^;)
特に、楽器を初めて間もない人にとっては、かなり厳しい。練習していた人ほど、立ち直れなくなります。
トップが迷っていて、トップの都合で、パート員にいらぬ練習を強いるなんて、迷惑千万です。

よっぽどまずいボーイング以外は、一度決めてしまったボーイングで、徹底的に練習しよう、という方針の方が、やたらに変わるより、よっぽどいいと思います。

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自信を持てるまで練習しよう
パートの雑用で忙殺されて、人に教えることに時間をとられすぎて…自分がほとんど練習できないような事態に陥ることがあります。
でも、それは、絶対に避けなければいけないことです。
自分が練習をしないと、言っていることに自信がなくなります。
そんなこんなで悩んでいて、ますます練習する時間がなくなったり…
どんどん悪循環にはまりこんでいってしまうのです。

自分が納得できるまで練習できる時間を、優先的に持つべきです。
悩んでいるときほど、自信がもてるまで徹底的に練習するべきです。

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指揮者とパートリーダーの連絡は密に
パート練習でできるようなことは、全体の練習でする必要はありません。
パート練習でできることとできないことを、しっかりと伝えて、指揮者の要望をパートに伝えるのは、トップの仕事です。
連絡がうまくいっていないと、非常に非効率的な曲作りになってしまいかねないので、お互いにいろいろなことを言い合えるような場を、定期的に持つ方がいいかと思います。

〔INDEXへ〕

信じること
最後には、パート員を信じること。
これに尽きます。

いろいろ大変なんですよ。やっぱりね。
でも、みんな頑張ってるから。みんなでやろうとしてるんだから。
そんなに自暴自棄にならずに、パート員を信じて、自分の職分を全うしてください。

〔INDEXへ〕

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