染五郎ハムレットをみて

9月某日


キャスト

ハムレット:市川染五郎
オフイーリア:奥菜恵
クローディアス:村井国夫
ガートルード:久野綾希子
レィアティーズ:大沢健
オズリック:佐古正人
ホレイショー:西川弘志
墓堀1:不破万作
父王の亡霊:勝部演之
ボローニアス:金田龍之介
フォーティンブラス:合田雅吏 ローゼンクランツ:赤星明光 ギルデンスターン:中川浩三
バーナードー/ノルウェー軍兵士:保村大和 マーセラス・ノルウェー軍兵士:関貴昭 フランシスコー:小山彰一
ヴォールティマンド:上杉陽一 座長・コーニーリアス:俵木藤汰 旅役者(劇中の王妃)・侍従:木村靖司
旅役者(ルシアーナス)・兵士:田中龍 旅役者(劇中の王)・牧師・兵士:山下禎啓 口上・兵士・船乗り:吉岡健二
旅役者(番頭の妻)・侍女:阿部裕見子 旅役者(少女)・貴族の娘:福森加織 侍女:高柳さち子
貴婦人:穂高ちほ 貴婦人:田村茉紗子 船乗り・貴族:内田龍磨
ノルウェー軍隊長・貴族:石田博英 英国使節・貴族:金田拓三 墓堀2・旅役者(番頭):内田我強

普段、ハムレットを観るかどうかを決める基準って、クローディアスとガートルードを誰がやるかっていう部分なんですけど、
染五郎のハムレットとなったら話は別!誰がクローディアスだろうと、誰がガートルードだろうと行くわよー
…っていうところへもってきて、村井国夫さんのクローディアス&久野綾希子さんのガートルードだっていうんだから
行かないわけにゃーいかない。というわけで、新学期スタート間もない、このクソ忙しい時に行ってきました。

★ロビー
ロビーの雰囲気がかなりちがう。テレビカメラが入っていて、ここにいてはいけないはずの私は逃げまくってプログラムが買えませんでした(笑)。
よし、いないな、と確認して売場に行くとカメラが写そうとしてくるんだもの(笑)
ロビーでは「奥菜恵グッズ」の販売があり、かなり普段のロビーとちがう雰囲気。
お客さんもよく見ると他の「ハムレット」では見ないような客層の人が多い。
一目で奥菜ファンだな・・・とわかる感じ。実際そうだし。
あとロビーにあったネタとしては、染五郎さんあてのお花の中に「加藤茶」からの物があったこと。
「染五郎、実はドリフ好き」という背景を知らないと面白くないので、純粋歌舞伎ファンのツレには言えず、苦しい思いをしました。
劇中、墓掘りの役の人が「ちょっとだけよーん」と言う場面があったので、
多分裏で「ちょっとだけよーん、のネタ、舞台で使ってもいいですか」「いいですよ」
という取引が染−茶の間で行われていたであろうことが想像される(笑)

★父王の亡霊
父王の亡霊が何だかすごくスタスタと歩いてしまって、全然亡霊っぽくなくて、生きている人みたいだった。
その割にセリフにエコーをきかせたり、ハムレットを含む周囲の人々は大騒ぎするしで、ちょっとチグハグな感じはありました。
「いかにも幽霊」か、「まるで生きているかのような」かの、どっちでいきたいのかはっきりしませんでした。
どちらかというと「いかにも幽霊」な父王ハムレットのほうが私は好きなんですけど…。

★クローディアス
わたし的に今回の目玉の一つである、村井さんのクローディアス。
いちゃつきまくり。ガートルードの胸はまさぐるは顔はうずめるは、やりたい放題。
こういう不潔(笑)なクローディアスって、ありそうでなかったかも。
染五郎さんのハムレットが本人が望もうと望むまいと、非常に気高い清潔感の溢れるハムレットになっているので、
対照的でとっても良かったです。まあ、半分趣味でやってるんじゃないのか?とか勘ぐる気持ちがないでもないですが(笑)。

★ガートルード
久野さんのガートルードは、クローディアスといちゃついている場面なんかは「女」で、
ハムレットと話しているときは「母」になるという感じ。スタンダードといえばそうなんでしょうけれど、
変わりようがすごくて、こんな母親の姿を見せられたんじゃあ、ハムレットもつらいやね、という感じです。
ただ、後半寝室でハムレットと話をした後は、いちゃつかれたい・保護されたいという欲求を
母親としての心意気が打ち負かしていて、よかったです。

★オフィーリア
奥菜恵さんのオフィーリア、最初は「可愛いだけのアイドルが染五郎ハムレットのオフィーリアか…」
とブルー入っていたのですが、結構良かったです。
幼い感じはしましたが、こういうオフィーリアもアリかな〜って思えた。
幼いだけに純粋な感じがして、染ハムの清潔感(←まだ言うか・笑)にピッタリ。
声もよく聞こえてきましたし。
でも狂ったところは熱演しすぎという感じ。そこがちょっとだけ残念でした。

★レアティーズ
私はこのレィアティーズという人物自体に納得がいかないというか、
「シェイクスピア、もう少し書き込んでくれ」と思っている人物なので、何とも言えないのですが…。
脚本の中での書き込みが足りない(と私は思っている)役なので、
もう少し自由に解釈して冒険しても良かったのに…と思いました。
何か、普通って感じでした。
すっごく別方向的見方ですが、大沢さん、フェンシングの型が結構上手でした(笑)。

★ホレイショー
この役を演じた西川さん、舞台の役者さんとしてはかなり特殊な声の持ち主だと思います。
まあ、有り体に言ってしまえば聞こえにくい声ってことなんですけど(笑)。
声が小さいというわけではないと思うのですが、聞こえない。
聞こえないから声を張り上げる→よけいに聞きづらくなる…という悪循環…。
喉もいためているのでは…?

★ボローニアス
ふ・ふ・ふ…何気に好きなんですよ、金田さん。
今回のボローニアスも、単なる心配性の親父、一応国の政治を司る人物…と、
ボローニアスの色々な面を見せてくれました。

★フォーティンブラス
…なんでこんなに柄が悪いの…?
これじゃあ、どうしてハムレットが死の間際にこの人に国を任せようという気になったのかわからない。
だって、この人が国を治めたら絶対にいつか国、滅びるぞって感じの人物なんですもの…。
ハムレットの国民に対する嫌がらせか?(笑)

★染五郎ハムレット
はっきり言って前回のハムレット(not 葉叢丸)までは王子というよりも「貴公子」という感じだったのですが、
今回のハムレットからはちゃんと王家の香りが漂ってきていました。
周囲のキャスティングが染五郎ハムレットの清しさを強調するものだったというのも良かったですけど、
やっぱり前のハムレットとの間にオフィーリア(実刈屋姫)も演じたというのが大きいのではないかと思います。
オフィーリアとの場面がかなり良かったのも、そのおかげなのではないでしょうか。
「尼寺」の件を良いと思ったハムレットは初めてです。
染五郎さんのライフワークになるであろうハムレット。次の公演も楽しみです。

★色々な方々
いわゆるアンサンブル・脇に個性的な役者さんがたくさん出ていて、とっても面白かったです。
普通だったら色が出過ぎてうるさくなってしまうのかもしれませんが、
各所各所で自分の場面になるとバーンと出て来るのですが、他人を押しのけて個性を出すという
感じではなかったので、楽しめました。
小劇場系のお芝居は当たりハズレが大きいので、静岡に帰って来てからはあまり見ないのですが
この方の出ているお芝居、見たいな〜という役者さんがたくさんいました。

★どこ見てんだ(笑)
空調のせいかなんだかわかりませんが、ライトが常にゆ〜らゆ〜らと揺れているのが気になりました。
劇場の冷暖房ってこれでもかというぐらい効かせているから、結構ライトの当たっている舞台上は
上昇気流とかが起こっているのかもしれない(笑)。


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