
アンサンブル金沢 第91回定期公演 2000年4月28日(金)
アンサンブル金沢(OEK)の第91回定期公演を聴きに、2ヶ月ぶりに金 沢にやってきました。指揮はシュマルフスさん、ピアノ・ソロに清水和音さ んを迎えた公演ということで、大いに期待したいところです。1曲めは、シューベルトの歌劇<謀反人たち>の序曲。非常に珍しい曲で、 CDもあまり見かけませんし、もちろんOEKも取り上げるのは初めてとの こと。OEKの端正な演奏もあって、未完成交響曲や歌曲集<美しき水車小 屋の娘>といった作品と同時期に作曲された隠れた名曲を楽しむことができ ました。 続いて、ショパンのピアノ協奏曲第2番。 ショパンの曲によくある、「字余り」とでも言うのか「イチ・ニ・サン・シ」 と刻まれる拍子に収まりきらないリズムの伸び縮みを、清水さんは巧みに表 現し、シュマルフスさんとOEKも、その伸縮によく対応していたと思いま す。ショパンの協奏曲ではオケはあくまで「伴奏」扱い、聴くべきは清水さ んのピアノ・ソロなのですが、OEKも正確無比なアンサンブルでがっちり とソロを支えていたと思います。 いろんな意味で聴き所だったのは第3楽章で、清水さんの演奏にヒヤリとす る場面が。音がいくつか落ちてしまい、その後も、そのミスを引きずったの か混乱があったのですが、なんとかつじつまを合わせて、オケに旋律を引き 渡しました。危なかった! ホルンの掛け声に導かれてコーダに入りますが、清水さんは「あっ」と思う ような速めのテンポで弾きはじめます。途中で再び、ちゃんと弾ききれない パッセージが出てしまいましたが、勢いよく曲を締めくくることができまし た。 鳴り続く拍手に応えてのアンコールは、プロコフィエフのバレエ音楽<シン デレラ>からの小品。ちょっぴり物悲しい静かなワルツといった趣きの原曲 (オケ版)のイメージとは異なり、ずいぶんと豪快な演奏となりました。 休憩をはさんで、シューベルトの交響曲第1番。 シューベルトの交響曲というと、<未完成>と<グレイト>が抜きんでて有 名で、あとはワルターの名盤が残っている5番が知られている程度なのです が、これ以外にも、いい曲がたくさんあります。第1番はシューベルトが16 歳の時の作品なのですが、堂々たる規模と内容を備えています。 ゆったりとしたテンポの導入部ではじまる第1楽章は、典型的なソナタ形式 なのですが、再現部が導入部の変形ではじまるのがユニークです。ちなみに、 シュマルフスさんは提示部を繰り返して演奏。個人的には、交響曲の提示部 はわざわざ繰り返さなくてもいいんじゃないのかなあ、と思っているのです が・・・(^^; 第2楽章は、ゆったりとしたテンポで、シューベルトらしい歌心にあふれた メロディをたっぷりと歌い上げます。 続いて「メヌエット」と指定された第3楽章。以前に聴いたブロムシュテッ ト/シュターツカペレ・ドレスデンの演奏では、まさにメヌエットなテンポ だったのですが、シュマルフスさんのテンポ設定は「スケルツォ」じゃない か、と思えるほどの速さ。ちょっと面食らいましたが、中間部のゆったりと したレントラー風舞曲との対比が鮮やかで、メリハリのある演奏になったと 思います。 帰ってきてから、ブロムシュテット盤で第3楽章を聴いてみましたが、 OEKの演奏を聴いてしまった後なので、とんでもなく生ぬるい演奏と感じ てしまいました(^^; 第4楽章は、音楽的にも盛り上がる部分なのですが、シュマルフスさんの指 揮もノリノリで、左を向いたかと思うと、コンサートマスターの譜面台を越 えて鼻先まで指揮棒を振り出すなど、大きな身振りで指揮をしてました。正 面を向いているときも、軽快なリズムに乗って踊るように指揮。ゲネプロで は、上下の動きだけが目立ったのですが、本番でこうも変わるものかと、ま たまたびっくりです。 シュマルフスさんの「踊り」を除けば(笑)、OEKのシューベルト演奏は、 いわゆる「ロマン派的解釈による厚化粧」を拭い去った、すっきりとしたア プローチによるもので、シューベルトの曲が持っている端正な姿を、ストレ ートに再現してくれたと思います。 アンコールはシューベルトの<5つのドイツ舞曲>から第1番。これは、ゲ ネプロでも演奏された「予定の曲」でしたが、アンコール曲のあとも拍手が 鳴り止まないので、大サービスということで、交響曲第1番の第3楽章が もう一度演奏されました。これはサービス過剰だったかも(^^; ところで、シュマルフスさんが、拍手に応えてオケのメンバーを立たせよう としたところ、「この拍手はシュマルフスさんに」という意味なのか、コン サートマスターは動かず。シュマルフスさんも、コンマスの意図を察したか、 ハハハと笑いながら、オケに向かって一礼したのですが・・・ん? これと 同じ光景を1週間前の読響の演奏会で見た! これって、客演指揮者を迎え たときの「歓迎法」として、流行しているのかな?(^^;

