
新国立劇場《光》
2003年1月18日(土)
新国立劇場で、一柳 慧による新作オペラ「光」を観てきました。 若杉弘指揮/東京交響楽団による演奏です。新国立劇場の上演を東京フィ ル以外のオケで聴くのは おそらく初めてですが、東京フィルは同時期に 藤原歌劇団の「椿姫」のピットに入っているので、その関係なのかも。
ストーリーは。 宇宙飛行士ミツダは月から帰還したあと記憶喪失になり、入院しているが 記憶を取り戻すために病院を抜け出す。そして、痴呆症?の老女、ホーム レスの老人との交流を通して、宇宙での体験を思い出していく。 というもの(ちょっと纏めすぎですが)。 音楽は いかにも現代音楽風で重々しい。まあ、これは20世紀の日本現代 音楽でのスタンダードの一つではあるし、管弦楽曲という形では それな りに聴きなれているから良いとして・・・。問題は「うた」。メロディと いうものを捨て去ったような 聴いていて快適とはいえないものです。ま た台本の問題かもしれませんが、「歌う」にしては余計な言葉が多すぎて 無理やり1小節に収めちゃったような部分が多々ありましたし、何を言っ ているのかよく判らず おもわず日本語字幕を追いかけることも何度か。 どうやら、日本語の抑揚とメロディが合っていないんじゃないのかな。 逆に、「うた」の部分よりも セリフ劇部分のほうが、ダイレクトにメッ セージが伝わってくる点で ずっと優れていました。 それにしても「うた」よりもセリフのほうが伝わるというのでは・・・オ ペラという形式をとる意味合いはあるんだろうか。 舞台装置の基本部分は第1幕から第4幕まで同じもの。細かいところまで 神経が行き届いた照明(+小道具)のおかげで、病院の病室、マンション の一室、オフィス、新宿の公園、月面・・・などなど、さまざまな場面に 化けるのですが・・・それにしても ちと手抜きというか工夫がないよう な気も。こういう仕立ては小劇場オペラでなら よく判るんですけどね。 と、いろいろ不満な点がある上演でしたが。歌い手たちのなかでは、ミツ ダ役の星野淳さんと老女役の斉田正子さん、そして老人役の蔵田雅之さん の歌と演技が光っていたと思います。 特に老女の歌! メロディ(といえるのか?)自体は現代音楽風の聴き辛 いものなのですが、高音域を自在に操る斉田さんの技巧は文句なしに素晴 らしかったです。![]()

