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Kinoppiの音楽日記


藤原歌劇団《椿姫》 2003年1月19日(日)

藤原歌劇団のトラヴィアータを観てきました(オーチャードホール)。
 

 
この公演の目玉は何と言っても、ウィーンでブレイク中のボンファデッリ
の出演でしょうが、今日のヴィオレッタは野田ヒロ子さん。野田さんは
1998年にハンガリー国立歌劇場のボエーム(ミミ役)でオペラデビュー、
2002年日伊声楽コンコルソで優勝を果たし、今回が日本デビューとなるの
だそうです。
 
で、野田さんのヴィオレッタ。とてもリリックな声の持ち主なんですが、
第1幕のヴィオレッタとアルフレートの二重唱では鋭角的(攻撃的?)な
歌い方が目立ちました。この印象は、おそらく長年聴き慣れているコトル
バス(クライバー盤)の歌い方との差異が気になったという側面もあるの
でしょうが。あと、第1幕最大の聴かせ所「花から花へ」のラストの手前
で声が途切れてしまい、さらにラストの高音も出せなかったというアクシ
デントが! 拍子抜けだったので、幕が下りたあとの拍手も今一つ盛り上
がらず、ヴィオレッタとアルフレートのカーテンコールも1回で終わり。
第1幕ではコケてしまいましたが、第2幕以降は調子を取り戻したよう。
ジェルモンとの緊迫したやり取りの場面は 演技がちょっとぎこちない感
じもしましたが歌唱上のミスは ほとんどなかったのでは? そして第2
場の「アルフレード、この心の愛のすべてがあなたにはわからないのよ」
での透明感のある歌声は ほんと素晴らしかった! 
 
アルフレート役は、これまた若手のフランチェスコ・グロッロさん。第2
幕の2場、その場の感情にかられてヴィオレッタを侮辱してしまったのを
後悔している場面で ほとんど突っ立ってヴィオレッタの歌を聴いている
など、全体的に演技が今一つではありましたが、声量も含めて その歌唱
は立派なもの。あと、グロッロさんはなかなかの男前で、野田さんヴィオ
レッタとの若き美男美女カップルは、舞台にそれなりのリアリティを与え
てくれたかもしれません。
 
ジェルモン役は、この役に初挑戦という谷友博さん。去年10月の新国・ル
チアでのエンリーコ役では正直言って、チンツィア・フォルテとワルター
・ボリンに挟まれてパッとしなかったのですが、今日のジェルモンは そ
んな先入観を覆す堂々としたものでした。
 

 
伴奏は広上淳一指揮/東京フィル。第1幕への前奏曲で、弦のアンサンブ
ルに綻びがあったり、歌とオケがずれちゃったり、指揮者とオケ 双方に
それぞれ若干問題があったかも?
 
そして演出。ニュープロダクションということでしたが、「これは!」と
思えるような目新しい点はほとんどなし。単に「舞台装置を新しく作り直
しました」といった程度か。
さらに第2幕第1場。第1幕の舞台から料理の並んだテーブル、向かって
左側の階段を取り除き、さらに大きな鏡がはめこんであったところをぶち
抜いたら第2幕第1場になるのでは? 調度品がほとんどない室内という
のも、あまりにも寂しすぎますねえ。
 
という訳で、去年9月の新国立劇場、11月のウィーン国立歌劇場に続く3
回目のトラヴィアータは、演出、指揮、オケの出来は今一つながら、ヴィ
オレッタ、アルフレート、ジェルモンの主役級3人の健闘が光った舞台だ
ったと思います。
 


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