[音楽日記top]

 

Kinoppiの音楽日記


新国立劇場(小劇場)「無人島」 2003年1月26日(日)

新国立劇場の小劇場オペラを観てきました。演目はハイドンの「無人島」。
交響曲、弦楽四重奏曲のジャンルでおびただしい作品を残したパパ・ハイド
ンですが、そのオペラはあまり知られていません。今回の「無人島」にして
も実演に接する機会は まず無いのでは?と思います。CDだって ほとんど
見かけませんし。。。
 

 
(あらすじ)
新婚のジェルナンドとコスタンツァは妹のシルヴィアとともに船で新婚旅行
に行くが、途中 嵐を避けるために立ち寄った無人島でジェルナンドは海賊
に捕らえられ奴隷にされてしまい、コスタンツァとシルヴィアの姉妹が無人
島に置き去りにされる。姉妹は無人島で暮らすが、コスタンツァは夫に捨て
られたと絶望して岩に死への思いを刻みつける。一方、外界を知らないシル
ヴィアは無人島でのびのびと暮らす。
 
13年後、恩赦で自由の身となったジェルナンドと仲間のエンリーコがコス
タンツァとシルヴィアを探しに再び無人島を訪れる。
二人の乗った船を真っ先に見つけたシルヴィアはエンリーコと出会い恋に落
ちる。一方、ジェルナンドはコスタンツァの碑文を見つけて コスタンツァ
が死んだと思い込み、無人島にとどまることを決意するが、思いがけずコス
タンツァと再会。コスタンツァは、はじめは誤解からジェルナンドを許さな
いが真相を知ってジェルナンドとの愛を再確認する。
これにシルヴィアとエンリーコも加わって、二組のカップルによる大団円。
 

 
エステルハージ家のニコラウス候のために作られた作品ですが、イタリア語
のオペラです・・・これは、映画「アマデウス」の1シーンを思い出しまし
た。イタリア出身の作曲家が「ドイツ語のような野蛮な言葉ではいけません。
やはりオペラはイタリア語でないと」てなことを言っていたような。ハイド
ンの時代には、オペラといえばイタリア語だったんでしょうね。
という背景もあってか、このオペラからはドイツ・オーストリアの香り(に
おい?)がほとんど感じられませんでした。何と言えばいいのか、これがハ
イドン?という意外さが心地よかったです。
 
演出も面白かったですね。キーワードは「鏡」で、まず舞台の左右に大きな
鏡が置かれて空間的な広がりを演出。さらに、可動式の鏡という面白い仕掛
けが。説明しづらいけど、舞台上の床面に「難破した船」「小鹿」などが描
かれていて、それを鏡が映し出して客席に見せるというもの。コスタンツァ
が岩に刻みつけた碑文も客席から見ると反対側にあるのですが、その鏡のお
かげで文字を見ることができるなど、細かな点まで工夫がありました。
また(これはハイドンのスコアに指示があるのかもしれませんが)第2幕の
フィナーレで、ヴァイオリン、チェロ、フルート、ファゴットの4人が 宮
廷楽師風の出で立ちで舞台に登場、幸せいっぱいの2組のカップルを祝福す
るというシーンもありました。このときには、4人とも「お色直し」があり
無人島暮らしのボロボロ衣装・ボサボサ髪から一転、ヨーロッパの上流階級
のいでたちで再登場。さっきまで殺風景な無人島の砂浜だった舞台が、一気
に本国(オーストリア?)の屋敷の一室に変わってしまった感じ。
舞台転換とかは(可動式鏡が動いているのを除けば)全く無かったんですが、
いろんな工夫が生きて、楽しい舞台がしつらえられたと思います。
 
コスタンツァ役の中村春美さんは、ちょっとビブラートかかりすぎな歌い方
が気になる。メロディ・ラインがぼやけてしまったのが残念です。
シルヴィア役の森田裕子さんは、小柄ながらハリのある声が魅力的。高音も
難なくクリアしてました。また、表情豊かな演技も(ちと、オーバーアクシ
ョン気味だったかもしれないけど)天真爛漫に育ったシルヴィアを よく表
現していたと思います。
ジェルナンド役の岡本泰寛さんは、コスタンツァの碑文を読んで絶望したと
きのアリアが とっても良かった。久しぶりに男声のアリアに感動したかも。
エンリーコ役の佐野正一さん、「これは!」という印象に残るシーンはなか
ったけど、堅実な演技・歌唱だったと思います。
 
新国立劇場小劇場オペラ・アンサンブルの伴奏、そして指揮の山上純司さん
の指揮は、ちと難あり。全体的に緊張感を欠く演奏でしたし、特にホルン!
が何度も何度もミスを繰り返していたのが気になりました。
 
 
結局のところ、劇中で拍手が起きたのはシルヴィアのアリアで1回だけ、
カーテンコールでも、歌手にブラーヴォが飛んだのはシルヴィア役の森田さ
んに対してだけでした。そして、歌手でも指揮者でもなく、演出家の井原広
樹さんが いちばん拍手とブラーヴォを浴びるというのは かなりのことか
もしれません(私が感じた以上に、「工夫された演出」と「今一つだった演
奏」の落差の大きさを 今日の聴衆は感じていたのかも?)
 
   


音楽日記のtopへ戻る

別館indexへ戻る


ジオシティーズの入り口へこのコミュニティの入り口へご近所を訪問する