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Kinoppiの音楽日記


新国立劇場「アラベラ」 2003年2月2日(日)

新国立劇場の「アラベラ」を観てきました。
主なキャストは、アラベラ:シンシア・マークリス、マンドリカ:小森輝彦、
ズデンカ:天羽明惠、マッテオ:経種廉彦、ヴァルトナー伯爵:山口俊彦、
アデライデ:白土理香。オケは若杉弘指揮/東京交響楽団です。
 

 
第1幕冒頭のカルタ占いの場面は、音楽も舞台も落ち着きがなかったんです
が、オーボエのソロに導かれるようにアラベラが登場すると一気にR.シュ
トラウス節が炸裂、アラベラとズデンカによる二重唱は正に極上のうたでし
た。アラベラのマークリスさんはどことなく硬さが見られましたが、ズデン
カの天羽さんは伸び伸びと歌っている感じ。二重唱のあとには二人に惜しみ
ない拍手が贈られました。
そしてマンドリカ登場。アラベラの父ヴァルトナー伯爵は、ヴァルトナー家
の窮状を救うため、かつての戦友で大金持ちのマンドリカにアラベラの肖像
を送っていたのですが、マンドリカは既に死んでいて、その甥っ子のマンド
リカ(同名)がアラベラの絵姿に惚れ込んでヴァルトナーのもとにやってき
たのでした。この取り違えのためヴァルトナー伯爵とマンドリカのやり取り
はギクシャクするんですが、事情が明らかになり さらにマンドリカが相続
した財産で羽振りが良いというのでヴァルトナー伯爵の態度が一変! ヴァ
ルトナー伯爵役の山口さん、この辺りの演技が実に巧み。特に、マンドリカ
が財布を出し「どうぞご自由に・・・もっと取ってください」という場面で
は、コミカルな演技に場内の笑いを取っていました(ちょっとやりすぎだっ
たかも?)。
そして第1幕の終わりにアラベラの美しいモノローグが待っています。が、
アラベラの歌にしっかりと寄り添うはずのヴァイオリン・ソロの音程がどう
も怪しくて、雰囲気ぶちこわし寸前。あのソロはコンマスだったのかなあ?
もうちょっと頑張って欲しかったです。マークリスさんのソロは、ズデンカ
との二重唱の時とは違って落ち着きのある歌い方。アラベラの心情をしっと
りと歌い上げたと思います。
 
 
休憩をはさんで後半へ。初演指揮者のクレメンス・クラウスの改訂版を採用
しているので、第2幕と第3幕は続けて演奏されます。
前半の聴きどころは やはり、冒頭では大勢いた登場人物が一人去り二人去
り・・・いつのまにかアラベラとマンドリカの二人だけが舞台上に残って
(いや、二階に何人かいたかな?)歌う二重唱でしょう。小森さんは、マー
クリスさんと並ぶと背格好では見劣りする(マークリスさんは よっぽど長
身なのかな?)のですが、その よく通る声は五分五分といったところです。
ん、主役2人がドラマの半ばで「愛の二重唱」を歌っちゃったということは
・・・この後、すったもんだがあるんですねー。
つまり→マッテオはアラベラに思いを寄せている。ズデンカはマッテオを愛
している。アラベラがマンドリカと結婚してしまうと、マッテオは絶望して
自殺してしまうかもしれないので、それを恐れたズデンカは「アラベラから
部屋の鍵を預かった」といってマッテオに自分の部屋の鍵を渡す。このズデ
ンカとマッテオの会話を聞いてしまったマンドリカは激怒する・・・という
感じです。
この間、ドラマの本筋とはあまり関係ないけれど、余興劇ということなのか
歌姫?フィアッカミッリが登場してコロラトゥーラを散りばめた歌を歌いな
がら、舞台上をはしゃぎまわります。フィアッカミッリ役の藤田美奈子さん
は小柄だけど元気いっぱいの歌と演技、高音も難なくクリアしてました。
 
第2幕から第3幕への転換は音楽が途切れることなく行われます。大勢の登
場人物を載せたセットが下に沈み、暗転した舞台には先ほどの舞踏会場のイ
メージが映し出されています。そして前奏曲の長さにあわせるように、舞台
の奥のほうから第3幕のセット(ホテルのロビー)が出現します。こういう
ダイナミックな舞台転換は新国立劇場ならでは。東京文化会館やオーチャー
ドホールだったら「音楽を止めて幕を下ろして、舞台転換してから第3幕の
前奏曲開始」ってことになったでしょうね。
そして取り違えドタバタ劇の結果、ズデンカとマッテオは愛を誓いあいます。
ここで、義理の息子(になるマッテオ)と握手したヴァルトナー伯爵が、
「はいはい、これで終わりましたよ。じゃカードゲームを再開しましょう」
と、博打仲間と中庭に消えるところは笑いを誘いました。博打好きで お金
への執着もたっぷりというヴァルトナー伯爵、伯爵家を傾けたのも当人の責
任なんでしょうが、それでも憎めないキャラだなあ。
 
で、勘違いのためにアラベラを侮辱してしまったマンドリカは思い切り落ち
込むんですが、最後にはアラベラと和解します。グラス1杯の水がポイント
になるんですねー(第2幕でアラベラは、マンドリカの領地での風習「花嫁
が花婿に1杯の水を捧げる」を聞いていたのです)。そして、この場面に
R.シュトラウスがオーケストラに与えた音楽が、なんと美しく響くことか。
 

 
R.シュトラウスのオペラというと、サロメ、ばらの騎士、ナクソス島のア
R.シュトラウスのオペラを観るのは「ナクソス島のアリアドネ」「サロメ」
に続いて3作品目ですが、「アラベラ」も素晴らしい作品でした。
このところプッチーニに傾いていたけど、R.シュトラウスもいいかも!
次のR.シュトラウスは、7月の二期会「ばらの騎士」です。
 


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