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Kinoppiの音楽日記


モスクワ室内歌劇場「ドン・ジョヴァンニ」 2003年3月1日(土)

モスクワ室内歌劇場の来日公演、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を
観てきました。会場は白井市文化会館ですが、これが遠かった! 浅草橋か
ら電車で40分ほど、さらに駅から文化会館まで歩いて約10分なんですが…
駅から文化会館までの道の両脇は 造成中(?)の更地に畑に林。さらに、
道の片側にしか街灯が点いてない。加えて、この日は冬の最後のあがきだっ
たのか とっても冷え込んでいて、しかも雨降りだったので寂しいこと こ
のうえなし。なんか、とんでもないところに来ちゃったなあ。
ようやく会場に着くと「本日は来日公演初日でリハーサルが延びてます。開
場まで、もう少しお待ちください!」という案内が。結局、5分ほど遅れで
開場。中に入ると、すでに幕が上がっていてセットも全部オープンになって
います。
 

 
とっても狭い舞台です。もちろんオーケストラ・ピットなんてありません。
で、オケはステージ上の左奥に配置され、前半分をメインステージとして使
うようです。さらに、(後から判ったんですが)メインステージだけでは収
まらないので、客席の通路や、最前列席の前のスペースなども活用した上演
となりました。
 

 
開演時間になると、客席前方のドアから どやどやと何人か入ってきて舞台
に上がり、けっこう流暢な日本語で挨拶(これは大うけでした)。そして、
こんどは(おそらくイタリア語?で)「モーツァルトのドン・ジョヴァンニ
のはじまりはじまり〜」てな感じと思われる口上があって、さらにチャンバ
ラ?が始まったりと、なかなか音楽がスタートしません。どうなるのかなー
と思ってたら、ようやく序曲がはじまります。
 
 
はじめのうちは、歯車がかみ合っていないというか…なんとなく ぎこちな
さを感じます。オケは今一つさえず、特に弦楽パートは霞がかかったような
響き。騎士長(ヴィクトール・ボロフコフ)の声も上滑り気味だし。
トホホな立ち上がりでしたが、だんだんとエンジンが暖まってきたのか、そ
の後は どんどん調子を上げていきます。
芸術監督・ポクロフスキーの演出は、どちらかというとフォルクスオーパー
的なノリ。合唱は口笛をピューピュー吹きながらおおはしゃぎだし、ツェル
リーナにしてもアリアを歌い終わった後、クスクス笑いながらマゼットとい
ちゃついてる。ドン・ジョヴァンニがマンドリンでセレナードを歌うと、
そのフェロモンに誘われたように女性たちがワラワラと集まってくる。フィ
ナーレの六重唱では、ヴァイオリンやオーボエ、クラリネット、そして指揮
者(アグロンスキー)まで舞台に出てきて ソリストたちと一緒に「悪人の
末路はこの通り」とやる、などなど。でも、こういった表面的な「楽しさ」
があるにせよ、モーツァルトの音楽からは大きく逸脱することはありません。
そして舞台を支える個性的なソリストたち。なかでもレポレッロ役のアレク
セイ・ヤツェンコは すっとぼけキャラが炸裂で、場内を何度も爆笑の渦に
巻き込みました。ツェルリーナのユーリヤ・モイセーエワも可憐な立ち姿と
歌声で客席を魅了しました。1幕でコケた騎士長のボロフコフは、ドン・ジ
ョヴァンニの地獄落ちでは見事に復活、威厳のある声は周囲を圧倒です。
そしてタイトルロールを歌うアレクセイ・モチャーロフは、なかなかの伊達
男ぶりを発揮、おそらくこの役を何度も歌っていると思うのですが、演技の
端々に余裕と貫禄が感じられました。レポレッロ役、ヤツェンコとの息もピ
ッタリでした。
 
 

 
これで通算3回目となる「ドン・ジョヴァンニ」。演奏会形式、歌劇場での
本格上演、そして小ホールでの室内オペラと三者三様の上演形式でしたが、
今夜のような小さなホールでの上演も 舞台との距離が近くて良いな、と思
いました。
ちなみにモーツァルトのこのオペラの台本作家ダ・ポンテは、ガッツァニー
ガのオペラ「石の賓客(ドン・ジョヴァンニ)」をヒントに、台本を作った
のだとか。このガッツァニーガのオペラが、5月に新国立劇場小劇場で上演
されるので、チケットが取れたら ぜひ観てみようと思います。
 


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