
小澤征爾オペラ・プロジェクト2003 2003年4月20日(日)
小澤征爾オペラ・プロジェクト2003を観てきました。フランス国立パリオペラ座 との共同制作で、ラヴェルの<スペインの時>とプッチーニの<ジャンニ・スキ ッキ>という2つの喜劇が上演されます。 指揮はもちろん小澤征爾、オケは このプロジェクトのための特別編成オケ「小 澤征爾オペラ・プロジェクト2003オーケストラ」です。このオケ、メンバーリス トをざっと見た限りでは、サイトウ・キネン・オーケストラや水戸室内管弦楽団 に参加している人たちが多いようです。
まずは、ラヴェルの<スペインの時>。このオペラ、トゥールーズ・キャピトル 劇場管弦楽団の来日公演で演奏会形式で聴いたことがありますが、本格的な舞台 は初めて。で・・・期待を裏切らない楽しい舞台でした。 まずは、イニーゴとゴンザルヴが時計の中に隠れるシーン。大きな時計のなかに 隠れたあと、その時計をラミロが軽々と運んでいくんですが、どう考えても人間 1人が入った大時計を運ぶのは無理のような気がするので、イニーゴとゴンサル ヴは、時計の中に入ったあと何かの仕掛けで中から抜け出して、ラミロは空の時 計を持ち上げただけ?(まるでマジックの世界ですねー) あと、時計の中に収まったイニーゴが、鳩時計のまねをして「クックー」と鳴く ?シーンでは、ジョセ・ヴァン・ダムさんのマジメな演技が大うけでした。それ 以外にも、コンセプシオンの旦那・トルケマダが帰ってきて慌てて時計の中に隠 れようと時計を開けたゴンザルヴに、既にその時計のなかに収まっていたイニー ゴが「使用中だ!」というところなど、爆笑シーン満載でした。 ちなみにダムさんと爆笑シーンを演出したゴンザルヴ役のロベルト・サッカさん は、それ以外の出番でもエルビス・プレスリー?風の衣装で濃ーい演技を展開、 ソロ(歌唱)もなかなか手応えがありました。 トルケマダ役のジャン=ポール・フーシェクールさんは、小柄だけど存在感があ ります(ちなみに、ラミロ役のジョン・ハンコックさんがかなり大柄なので、余 計にフーシェクールさんの小柄さが目立ちました)。 そして、フレデリカ・フォン・シュターデさんのコンセプシオン。さすが!シュ ターデさんと言える貫禄の演技と歌唱でした。 小澤征爾/小澤征爾オペラ・プロジェクト2003オーケストラの演奏は、アンサン ブルは問題ないんですが、ラヴェルの音楽が持っている芳醇な香りを100%出 せていたかというと、必ずしもそうではなかった。舞台としては申し分なかった けど、音楽的な感銘度という意味では、プラッソン/トゥールーズ・キャピトル 管弦楽団のほうが上だったような気がします。 休憩をはさんで、プッチーニの<ジャンニ・スキッキ>。これまた楽しい舞台! プッチーニのオペレッタ風喜劇というと、例えば<ボエーム>の第2幕がありま すが、あの雰囲気をさらに洗練させたような作品でした。 ドタバタの最初はブオーゾの遺書をみんなで探すシーンなんですが、ブオーゾの 親族8人の動きは混乱しているようにみえて 実は(演出レベルで)きちんと計 算されつくされている感じ。 この後、ジャンニ・スキッキが登場です。ハラマキにジャケット、頬紅付きのメ イクは まさに「田舎もの」そのもの。ジャンニ・スキッキは、ジョセ・ヴァン ・ダムさんなんですが、<スペインの時>のイニーゴ役とはガラリと雰囲気が変 わってびっくりですが、ダムさんも七変化ですねえ。 そして、ラウレッタ(ダニエレ・デニースさん)の「私のお父さん "O mio babbino caro"」へ。おそらく<ジャンニ・スキッキ>を知らなくても このアリアのメロディは聴いたことがある人は結構いるはず。さっすがプッチー ニ!な あまりにも美しいメロディなので、まさか「もし私の願いを聞き入れて くれなかったら、生きていても仕方ないので、アルノ河に身を投げますわ」なん て歌っているとは想像もしなかった(^^; という訳で、このオペラ最大の聴きどころ(の一つ)なんですが、デニースさん はコンディションが悪かったのか、あるいはもともと線の細い声なのか、どうも 今一つでした。 このアリアで それなりに盛り上がったところで、ここから先、プッチーニの音 楽と舞台上の演技が見事にかみ合っていきます。ブオーゾの診察にやってきた医 者を上手くごまかして追い払う場面、スキッキに遺書改ざんの秘策を告げられ 親族一同喜ぶシーン、そして公証人を呼んで遺書を口述筆記させるシーン、そし て「スキッキに騙された!」と親族が騒ぎ出すシーン、などなど、演出の素晴ら しさが光っていたと思います。 そして皆がドタバタ去ったあとのラウレッタとリヌッチオ(ロベルト・サッカさ ん)の二重唱のなんと美しいことか。やはりプッチーニは凄いなあ。 <ジャンニ・スキッキ>では、何と言ってもタイトルロールを歌ったヴァン・ダ ムさんの芸達者ぶりが目立ちました。ブオーゾの口調を真似て医者や公証人を騙 しちゃうシーンは もう爆笑もの! リヌッチオさんは前半のアリア、フィナー レの二重唱で美声をアピール、ラウレッタさんは「私のお父さん」も含め調子が 今一つだった?チケットを買ったときは、上演時間(約2時間)に比べて ちと割高だなあ、と いう印象でしたが、こんな素晴らしい舞台を観ることができたので、まずは満足 です。 それにしても小澤さん人気は凄いなあ。この日の東京文化会館は ほぼ満席状態 でした(全然関係ないけど、1階席には大江健三郎さん夫妻と息子の光さん?ら しき姿もみえました)。ウィーン国立歌劇場では、そんなこと(小澤さんが指揮 するから満席になるなんてこと)はないらしいですが。

