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Kinoppiの音楽日記


ジュゼッペ・ヴェルディ歌劇場「タンクレディ」 2003年6月7日(土)

トリエステ・オペラ(ジュゼッペ・ヴェルディ歌劇場)の来日公演を
観てきました。今日はロッシーニのタンクレディ。個人的にロッシー
ニのオペラが”マイ・ブーム”だったので、比較的珍しいこの演目は
ぜひ観なければ!と思ったんですが・・・安めの席は発売当日にすぐ
売り切れてしまったので、結局びっくりするようなお値段なのに3階
右端という席、、、
 

 
オーケストラは、アッリヴァベーニ指揮/ジュゼッペ・ヴェルディ歌
劇場管弦楽団。ピットに入っているメンバーは、弦10-8-6-4-3くらい
の中規模編成。序曲でのオケの音量は ホール中を圧倒するようなも
のではなく、どちらかといえば控えめなんですが、弦のつややかな響
きなどは さすがですね。
 
さて、タンクレディには2つのバージョンがあります。ひとつはヴェ
ネツィアで初演されたときの「ハッピーエンド版」、もうひとつは
フェラーラで再演されたときの「悲劇版」で、今回はフェラーラ版に
よる上演です。
いずれのバージョンにしてもオペラ・セリアであることに変わりはな
く、「セビリャの理髪師」などで聴くことのできる軽やかなロッシー
ニでは決してないなあ、という印象。でも、アリアも重唱も合唱も構
築感のあるガッシリしたもの、そして判りやすいストーリー展開もあ
って、演劇としても十分に見応えのある舞台になっていました。
 
冒頭は、アルジリオとオルバツィノの和解の場面。両家の家臣たちが
続々やってくるのですが、男声ばかりの合唱にしては けっこう高音
が使われる。
そして何よりも目立つのが衣装。アルジリオ側の家臣(オレンジ)、
オルバツァノ側の家臣(紫)、アメナイデ(白)、そして後から登場
するタンクレディ(青)、タンクレディの従者(緑)とコントラスト
も鮮やかですし、金色をふんだんに使った甲冑は豪華そのもの。
大道具自体は重厚な質感だけどシンプル(大仕掛けではない)だった
ので、衣装の豪華さが目立った感じ。
高音といえば、アルジリオにもアリアや重唱で けっこう高音が出て
きます。アルジリオ役のチャールズ・ワークマンは、高音部にやや不
安定なところもありましたが、
第2幕冒頭、娘の死刑宣告書にサインを迫られたアルジリオの背後で
2群の合唱が「娘を思うのは当然、慈悲を求めよ」「国のために犠牲
になるのは当然」と歌い、その二つの声の間で苦悩するところや、
オルバツァノに決闘を申し込んだ匿名の騎士(実はタンクレディ)と
語らう場面など、演技力と存在感では他を圧倒していました。
そしてタイトルロールのタンクレディにはダニエラ・バルチェッロー
ナ。ホール中に響き渡る堂々とした歌声、そして男性たちに負けない
背の高さもあり、ほんとうに見栄えのする舞台姿。今後が期待される
ロッシーニ歌手という触れ込みでしたが、なるほど!と納得。
アルジリオの娘、アメナイデ役のアニック・マッシスは、透き通る高
音はまずまずなのですが、演技という意味ではタンクレディとアルジ
リオの間にあって、ちょっと目立たなかったかも。
 
「悲劇版」なので、ラストはタンクレディの死で終わります。アルジ
リオや騎士たちが去り、チェンバロと(弱音器をつけた?)弦、それ
も低弦の響き中心、という静かな伴奏のなか、瀕死のタンクレディが
アメナイデに語りかけるシーン。ボエームやトラヴィアータのような
「お涙頂戴」風ではないのですが、こういう幕切れも(別の意味で)
なかなか感動的です。
 
 
 
1976年に再発見されるまでは幻の存在だった「悲劇版」タンクレディ
を、最高のソリストたちによる舞台、しかも東京で観ることができる
機会というのは なかなかないはず。思い切ってチケットを買ってみ
てよかったです。
 


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