
新国立劇場「オテロ」
2003年6月15日(日)
新国立劇場の「オテロ」公演を観てきました。 これまで観てきたヴェルディは、リゴレット、トロヴァトーレ、トラヴィ アータといったところでしたが、いよいよヴェルディ晩年の傑作群の登場 です!
第1幕冒頭の嵐のシーンから、迫力満点の演出に圧倒されました。暗闇の なか稲妻が走り抜けるのですが、雷光は舞台上だけでなく客席上の天井で も光り、オケは大音量をかきたて、そして舞台をうめる群集による合唱が 止めを刺します! このあと、オテロの第一声「喜べ、敵の艦隊は壊滅した」となるんですが ・・・あれ? なんだか今一つだなあ。オテロ役はウラディーミル・ボガ チョフ、何と言うか声の質がちと軽めで、輝かしさや威厳といった要素が 今一つ欠けているような。あと、第1幕のデズデモナとの二重唱では 声 がかすれたような瞬間もありましたので、声が軽いというよりも、コンデ ィション不調だったのかも? 一方、オテロを陥れるイヤーゴ役のホアン・ポンスは、歌唱、演技ともボ ガチョフ凌駕する好演だったと思います。もちろん、オペラの筋立て自体 が「イヤーゴがオテロの嫉妬心につけこむ」訳ですから、イヤーゴが目立 つのは当然といえば当然なんですが、メフィストフェレスさながら悪魔の ような囁きでオテロを翻弄する演技の一つ一つが素晴らしかった。 デズデモナ役のルチア・マッツァリーアは、歌唱は まずまずのレベルな のですが、「柳の歌」や「アヴェ・マリア」のような聴きどころも含めて どうにも印象が薄かったのです。 日本人歌手のなかでは、カッシオ役の吉田浩之と、エミーリア役の手嶋眞 佐子の二人が○でした。 演出は、オーソドックスなもの。奇抜さや、あっと驚く仕掛けはなく、台 本を忠実に再現した、という感じ。ま、こんなもんなんですかね。 5月のベルリン・ドイツ・オペラで度肝を抜かれた「イドメネオ」みたい な体験は そうそう何度も味わいたくはないけど、一方で こちらの想像 を越えない範囲の演出というのも面白くないなあ、と思えてきたりして。

