| 緋色のお父さんは人形師です。 家には沢山の人形が飾ってあります。 天使の人形も、異形の人形も、すべては細部まで精密に本物と見まごうばかりに造ってあります。 (球体関節がなければ本物と見分けもつかないでしょう)。 当然、緋色さんの 人形もあります。 顔立ちもスタイルがそっくりなのは当然として、身長やスリーサイズまで同じです。 瞳や睫毛だけでなく、産毛やいささか人には見せられない箇所までそれこそお尻の孔までそっくりに造ってあります。
緋色さんは毎日自分の人形を視ていました。 まるでもう一人の自分を見ているようでした。 まるで自分が人形になってしまったようでした。 時々、緋色は妄想しました。 実は自分は人形で、生きている緋色と入れ替わったのではないかなどと。 ある日、自分が動かなない人形になってしまうのではないかと。 時々、緋色は思いました 。 胸が小さいとか、 やっぱり私は可愛くないのかしらとか、いろいろ。 髪型を変えた方がいいかしらなどと、いろいろ。 でも、ある時、人形は全然自分に似ていないと緋色は気づきました。 本物はもう少しほんの少し大人びているし、胸だってほんの僅か大きいです。 それに人には言えない箇所が本物はもっと毛深いのです(人形はひとつまみ僅かに生やしているだけです)。 当然です。 緋色さんは成長したのですから。 背は変わりませんが、髪は伸びました。 胸もほんの僅か大きくなりましたし。 体つきもふくよかになりましたし(婉曲表現?)、きわどいところも生えそろいました。 険の腕だって上がりました。 去年斬った悪は、一昨年より百七十九人多い千三百五十八人。 もちろん全て峰打ちです(更生不能な者を除く)。 |
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