第13回目(8/26)






猫子さんは、ほくほく顔です
とても嬉しそうです




なぜなら、この前の交易で、猫絨緞がいっぱい売れたからです
それも、とても良い値段で


猫絨緞は結構高い品物です
だから、これを売り歩くのはとても難しいのです




でも猫子さんは、持ってた分のあらかたを売り尽くしました





「これで家に帰れるよ!」


本当に、嬉しそう

猫子さんの家は代々、猫絨緞を商っています
そして、そこの子は、一定の年齢が来ると行商に出されます
(たとえそれが女の子でもです!)
それは修行でもあり、一種の成人の儀式でもあるのです

もちろん、売れるまで帰る事はできません






でも、猫子さんはちゃんと達成したのです!

猫子さん、本当に嬉しそうです




にこにこ





で、嬉しいから、その嬉しさをおすそ分けしてあげると、彼女は言います
具体的には、食堂車の喫茶室で飲物を奢ってくれるというのです


それで、あまりに猫子さんが強く誘うので、私はそのお招きにあずかる事にしました
(本当なら私がなにかお祝いしなくちゃいけないんじゃないかしら?)
(ええ、まあ、そんな人に奢れるほど私、お金なんて持ってませんけど)







というわけで、今
他にも、猫子さんが親しくしている何人かの女の子とテーブルを囲んでお茶しています












ミルクたっぷりの紅茶を飲みながら、実に猫子さんは満足そうです
故郷や家のことなんかいろいろと話してくれます

「私の家にはね、日溜まりがあるんだよ」

「日溜まり?」

「いつも日が当たる場所ね。板張りのベランダみたいなところなの。」
「だからね、春なんかね、そこで寝転がるとぽかぽかと気持ちいいいの」
「でもね、夏でも涼しい風が吹くの、とても昼寝にいいところよ」





猫子さんの家って、面白いです

(木と紙の家ってどんなでしょう?)

猫子さんの街の話も面白いです

(ちゃんとした入り口も道もないんですよ、みんな庭と屋上を伝ってゆくんですって)







そして、そんな話をしてる猫子さん、本当に嬉しそうです
そんな彼女を、隣の席で見つめながら微笑んでる女の人がいます。



「それは、とても気持ちよさそうね」



上品な口調の彼女は、貴々さんといいます







長い黒髪を地味な三つ編みにしています
でもきれいな人です

特にお化粧なんてしてません
、でもきれいな人です

爪も短く清潔に切られています、
でもその桜色がきれいです

清楚で、きれいな人です

(うらやましい・・・)

それに、とてもすごい家のお嬢様なんだそうです
そういえば胸元の宝石もぱっと見は地味なんですけど
たまに光が射すと、はっ、とするほどきれいに輝きます


(とても価値ある品なんでしょう)

ええ、来ている服も地味なんですけど、
言葉づかい、物腰、動作、とても上品です

本当のお嬢様です
(ただお金持ちや由緒ある家柄の子弟というだけではなくて)




ちょっと、憧れてしまうぐらいに・・・










ただ・・・


気になるのが眼帯です
貴々さんは、黒い眼帯をしています
そう、よく海賊やギャングがしているような・・・
(いえ、本物はみたことありませんけど)

どうして、貴々さんみたいなお嬢様が、そんなのしてるんでしょう?
(それに、眼帯からわずかにはみ出している、縦の傷痕)







私は、つい気になって、見つめてしまいました
ええ、あまりに気になって・・・
見ていたら・・・


その視線を貴々さんに気づかれてしまいました



「気になります?」




優しそうに微笑みながら貴々さんは言います
私は何もいってませんけど、何を訊ねたいのか分かっているようです
(いろんな人から聞かれたのでしょうか?)



「いえ、あの、その」なんて私がいってると、猫子さん、遠慮なしに

「聞きたい、ねえどうしてそんなのつけてるの?海賊みたい!」なんて

屈託のない笑顔で訊ねています





そんな猫子さんをみて、貴々さん、くすりと笑います
そして、答えます







「私は、悪者に狙われやすくて、だから、ちょっとでも勇ましくえるようにと思って」






そういって貴々さんは、「どうかしら?」といってにっこり笑いました





勇ましく・・ですか・・・?







貴々さんのようなお嬢様が一人で列車にのっていることといい、 謎なのです










(しかし、彼女は私を大きく変えるきっかけになるのでした・・・)










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