第16回目・クリスマス特別編(12/25)






猫子さんは、気配を感じて眼を覚ましました

それは、ある祝祭日の寒い夜のことでした
列車の外ではしんしんと雪の降る、寒い日のことでした




で、猫子さん、気配を感じて眼を覚ましたのは良かったのですけど

彼女、寒さに弱くて
ついでに寝起きも悪いほうでしたし
猫絨緞は全部売れちゃって、特に大切な物も持ってなかったものですから

毛布にぎゅっとくるまって
くーすーとまた寝ちゃったのです・・・・











運転士さんも車掌さんも、計器の僅かな狂いを見逃しません
ええ、ほんの僅かな狂いも、異常な針の振る舞いも

だから、その晩も気づきました
投入した燃料に比べて、速度がほんの僅か遅いことに



それはつまり、余分な重量が増えたということです

そして、それはきっと、定員以外の人が増えたのです




ええ、たまにいるのです、切符を買わずに途中で飛び乗る人が

列車は結構なスピードで走っていましたが
世の中には無謀なチャレンジャーがいないとも限りません





だから、車掌さんは車内を見回ることにしました・・・















貴々さんは、ぐっすりと眠っています

その寝床は、かつての広くて柔らかくて清潔な絹の寝台ではありませんが
むしろ、昔よりも安らかに眠っています





でも、彼女を守るAさんとBさんは眠りません
昔の習慣通り、貴々さんを不休で守っています





そんなAさんとBさんは、ある気配を感じました
この列車に乗っている・・・誰のでもない、気配です



AさんとBさんは、王室を守るために特別に訓練された護衛です
彼らの感覚は鋭く、確かです







誰かが、この列車に侵入しています







彼らは互いに目配せし、
音も立てずに貴々さんの周りに立ち、 懐の銃に手を伸ばしました・・・

(でも、火器や危険物の持ち込みは禁止の筈なんですけどね・・・)


















からくり嬢は、自分の体の立てる軋みの音で眠れませんでした

他の人には聞こえない軋みが、彼女の体の中に響いているのです



そして夢うつつの彼女は、誰かの気配を感じていました

真夜中にうろつく気配です
かなり怪しいです



だから彼女は、油が切れて関節が軋むのにも関わらず身を起こしました
その手が、硬いなにかに触れました・・・














私ですか?

私は、すっかりぐっすり寝ていました
原稿用紙によだれを垂らしてぐっすり眠りこんでいたのです

その日は夜遅くまで頑張っていたのですが
いい話が思い付かなくて、それで悩んでいる内に
いつの間にかぐっすり眠っていたのです





だから、朝までなんにも気づきませんでした・・・・






































祝祭日の朝、窓からは白くまぶしい光が射し込んでいました

冷たい太陽に顔を照らされて起きた人達は、
枕元に何かが置かれているのに気づきました



どの包みも、きれいに包装されて、赤いリボンがかけられています
そして、一枚のカードが



「メリー・クリスマス!!」




それは、プレゼントだったのです!



猫子さんには、あったかいぬいぐるみが贈られていました
車掌さんには上等の珈琲豆が一箱
だれも近づけなかったはずの貴々さんの枕元にも、美しい花
AさんやBさんの寝床にも、ちゃんとプレゼントはありました
からくり嬢には機械油に加えて美しい青い反物が贈られていました









私は・・・なにも貰っていません
包むことが出来るもの、箱に収めることが出来るものは、なにも貰いませんでした













でも、私は夢を見ました
今まで見たこともない、楽しい、美しい、そして少し悲しい夢でした


きっとその夢が私へのプレゼントだったのです











あなたも聞いてみませんか、私の夢を
贈られた、物語を


今から、テーブルを囲んでお話しますから


熱い紅茶もありますよ・・・・









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