第18回目〜異変・前篇〜(2/20)






窓の外はとても寒い銀世界ですが
この喫茶室はとても暖かです

機関部の排熱を暖房に利用したぬくぬくなここで
私は貴々さんの話を聞いています




・・・え、珍しいですか?

そうですね、私はいつも書いたり語るほうですからね





でも、貴々さんも、とても話し上手ですよ



それになんといっても彼女は本当の”お姫様”だったのです
(正しくは”女王様”ですね)

私は大都会の下町育ちの勤め人の娘で
ごく平凡な生まれの女の子ですから
どうしてもお姫様とかに憧れてしまうのです
だって、絵本なんかにはよく出てくるのに、実際に会う事なんてないでしょう



だから、貴々さんに、お城の暮らしとか色々と聞いてみたら
今日は後ろ髪を結わずにのばした彼女は、色々話してくれたのです




何も知らなかった小さな頃のお城の暮らしとか
召し使いとか家庭教師なんかが百人もいた話とか
きれいに着飾った貴族達の子弟が集まる舞踏会の話とか
国王、王妃が(つまり、貴々さんのご両親です)相次いで逝去した後
貴々さんが後を継いで、女王陛下として国を治めようとした事
とんでもなく馬鹿な大臣やとんでもなく強気で好戦的な将軍達の話
下級将校達を中心に勃発した革命の話は少しで
貴々さんと、AさんBさんの手に汗握る逃走劇
あるいは革命政府に捕らえられ処刑されかかった人達の救出劇など

ただ私達とはかけ離れた世界の奇妙さだけではなくて
冒険や活劇やスリルやサスペンスが盛りだくさんな
とても面白いお話でした





「とても・・・すごいですね、まるで小説の主人公みたい!」



私がそう言うと
貴々さんは(そんな冒険をしてきたとは思えない)優しい笑みを浮かべて
くるくるとコーヒーカップにいれた銀の匙をかき回しながら
夢見がちな子に言うのです



「本当は、そんなに格好良いものではないわ」



でも、私はそんな波乱と冒険に満ちた生き方に憧れます
ああ、これはぜひともお話にしなくちゃ!



「あの、ぜひ・・・」













その時です

列車の上に、黒い影が被さりました

ほどなく、遠い向こうの車輌から
くぐもった、硝子の割れる音がします
そして叫び声と、あれは銃声?!

「な、何?!」


けたたましく非常ベルがなります
銃声がさらにあと何発か、それに悲鳴、怒鳴り声!
窓には鉄製のシャッターが下り、ドアにはロックがかかります
でも自動的にロックが下りたこの喫茶室のドアを
誰かが無理矢理蹴破ろうとしています



ドカッ、ドカッ、バアン!



そして破られた通路から現れたのは
黒いぴったりした服に黒いマスク、ヘルメット、ゴーグルの
銃を構えた男達でした!




「あなたたち!」













〜第19回・後編へ続く〜










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