第26回目(12/9)




激しい、物音


ざあざあざあざあ……


屋根を打つ音、窓を打つ音


今日は雨です



ざあざあざあざあ……



雨ということはつまり、今日はシャワーということです
もう反射的に、私はザックのなかから入浴道具を取り出してしまいます


でも、今日は冷たそう……


ちょっと考えてしまいます

臭いのは嫌ですけど、寒いのもちょっと……



周りも見てみると、もう駅も近いので我慢するという人も多いです
(知らされた予定によれば、あと二日です)






でもやっぱり、私は雨を浴びることにしました

やっぱり女の子ですし、
猫子さんがいつものように誘いにきたものですから……











「うう、さむい〜!」
「さむい〜!」

着替え室で服を脱いだ私達は、思わず声を上げてしまいます

列車が今走っているこの地方は比較的温かいとは言え、
季節が季節ですから、空気はきりと裸の肌を突き刺します


「はやく洗って出よう、風邪ひいちゃうよ」
「そうだね、出たら食堂車で熱いお茶飲もう」



猫子さんと私は、雨の降る浴場車に飛び出します
幸い雨は思ったより冷たくなくて、むしろ空気より温かい気すらします

それでもやっぱり寒くって、私と猫子さんは急いで体を洗い始めます

石鹸の泡をたて(あんまり立ちません)、スポンジで体をこすって
洗面器に溜めた水で髪を洗って……この寒いのに、結構根性です

(それほどまでにきれいでいたいのですよ、年頃の子は)







そうして私達が入浴にいそしんでいる時、雨音に混じって爆音が聞こえてきました
これは……プロペラエンジンの音、

飛行機です!


こんな悪天候をよく飛ぶものです
みんな空を見上げます

ぶうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんんぉぉぉぉ……


ああ、しかもこの飛行機、列車の上を旋回してます
正確には、浴場車輌の上を

ぎりぎりに機体を傾けて


なぜ?



……



……もしかして、のぞき?




それに気づいた瞬間、私も、みんなも前を隠してしゃがみこみます


きゃーきゃー!
耳をつんざく黄色い悲鳴!



そんななかで、猫子さんだけが無邪気に飛行機に手を振っているのです





「おーい、やっほー!」









私はそんな猫子さんを、ついじっくり見てしまいました


白い、細い体
肉の薄い、女性の丸みに欠ける体
胸も膨らんでなくて、まるで少年のような体つきです

(その、足のところをみなければ)



彼女が、その……キスしてたなんて、信じられません
(しかもあれは、チュッ、ってやる軽いものではありませんでした)


猫子さんはもっと、なんというか……子供に見えるのです
清らかな、ああいう大人な事とは無縁な無邪気な子供に

(確かに、時々彼女は歳に似合わない賢さをみせますけれど)




「ばいばいひこうきさんー!」



「……」






人は見かけによらないものなのでしょうか?






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