第6回目(5/18)






食堂車で一緒に紅茶を飲んでいるのは
可愛い男の子にも見えてしまう
(だって、黒いズボンをはいているんですもの、髪短いし)
「猫絨毯」売りの猫子さん











彼女は紅茶はそっちのけで
猫絨毯がどんなにすばらしいかを力説しています




「目が開く前の仔猫のようにふにふにで
白い綿毛のようにふわふわで
仔猫の群れのようにもぞもぞで
ぬくぬくとしてむにむにで
でも蚤なんて一匹も湧かなくて
色は夜よりも黒くて艶やかな黒から
雪のように白くてもまぶしすぎない白
どれ一つとして同じでない三毛から
縞縞の縞模様までいろいろあって
何にも着ないで寝っ転がったら
ふにゃーっていう感じでふにゃーとなって
むにゃーっていう感じでごろごろになって
ふにふにのむにむにで
すひゃーって寝入ってしまうくらい心地いい絨緞なのよ」













・・・なんだかすごく抽象的な説明のような気もするんですけど・・・


でも、なんだか気持ちよさそうな絨緞ですね
(あるいは、猫子さんの気持ちよい笑顔がそう思わせているのかも知れません)
私も欲しくなってしまいました


だって、列車の座席は、
一年も座るには(あるいは横たわるには)
硬すぎるものですから






「で、お値段、どれくらいなの?」












・・・返ってきた答えを聞いて、私は計算を始めました

そうですね、いくらくらいかと言いますとね、
私が全都市で読まれるくらいの作家になって
一ヶ月に一冊新刊を出し
それが全部ベストセラーになって
印税が10%で入ってくる
そんな生活を10年続ければ買えるでしょうか





つまり、滅茶苦茶に、天文学的に高いのです!











とても私なんかが手を出せるものではありません・・・・
(ええ、まあ、こういうものは大抵高価なのですけど)

















でも、猫子さんは続けてこういいました

「それでね、君の原稿に換算するとね」

猫子さんの小さな白くしなやかに動く手が、私の原稿用紙をめくります

一二三四五・・・・・・・・・・

そして、不意に手をとめ、お日様のような笑顔でいいました

「このっくらいかな!」


















そして私は、新作の長編散文詩「緑猫町」と引き換えに、
猫絨緞をもらいました

白と黒のぶち模様です

頬ざわりは本当にふかふかでふにふにで
ふにゃーっと引き込まれそうな感じです













「ところで、これって本当に仔猫の毛皮でつくってるの?」

つい気になってした質問に、
(だって、そういう噂があるのです)
(もしそうだったら、気持ち悪くて寝れません)
猫子さんは、やっぱりにっこりな笑顔で答えます

「皮なんかはいだりしないよ。でも、作り方は、内緒ね!」










そうです、猫には秘密が多いのです

でも猫絨緞を敷いて寝ると、そんな事も気にならず
ぐっすりすぅーと眠れました・・・










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