
第9回目(6/26)
エアリアルフィッシュ・・・空気のなかを泳ぐ魚
エアリアルフィッシュ・・・青白く透けて光る・・・
エアリアルフィッシュ・・・なめらかに、涼しげに・・
(いいえ、それは飛んでいるのではありません、泳いでいるのです・・・)
幸子さんは、一年間の無聊を慰めるために、
2匹のエアリアルフィッシュを列車に持ち込みました
1匹では少なすぎ、2匹では多すぎるのですが・・・・
エアリアルフィッシュ・・・死ぬと、空気の中に溶けます(滴が水に溶けるように)
2匹のエアリアルフィッシュ・・・それはキスをします(溶ける前に)
キスをすると、1匹の大きなエアリアルフィッシュになります・・・
大きなエアリアルフィッシュは、4匹の小さなエアリアルフィッシュになります・・・・
エアリアルフィッシュ・・・空気のなかを泳ぐ魚
エアリアルフィッシュ・・・青白く透けて光る・・・
エアリアルフィッシュ・・・なめらかに、涼しげに・・
1年の列車旅に、1匹では少なすぎ、2匹では多すぎるのです・・・
綿くずと紙くずを食べるエアリアルフイッシュ・・・
気がつくと、1匹の小さなエアリアルフイッシュが、私の原稿の端っこを齧っていました
「きゃっ!これはダメ!」
「あら、ごめんなさい」
「いえ、ちょっと齧られただけですから」
ほんの少しぎざぎざ縁の、原稿です
「悪いわ。その原稿、買い取らせてもらうわ。」
「いえ、本当に、少ししか齧られていないですから。」
「でも、もう交換には使えないでしょう。引き取らせてもらうわ。」
「そうですか、じゃあ・・・」
「お支払いは、この子でいいかしら・・・」
幸子さんの両手の中に、小さな、きれいな、エアリアルフイッシュ・・・
!
(1年の列車旅に、1匹では少なすぎ、2匹では多すぎるのです・・・)
「ほら、綿ほこりを手の平にのせて・・・ほら、食べてるでしょう・・・もう、なついたわ、この子」
私の手の平に、一匹のエアリアルフィッシュ・・・
こそばゆい・・・
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