間劇(8/31)




今日は、試験の答案が返ってくる日です

それとともに、全校生徒の点数とその順位が張り出される日です






掲示の前には、人だかりが出来ています
その表情は、悲喜こもごもです




そのなかに、私と咲さんもいました・・・

(私は、人混みがすごく苦手なのですが)
(咲さんの話によると、どうしてもいかなくてはならないそうです)
(そうして、自分の位置を知っておかなくてはならないそうです)
(もちろん、学則なんかでそう決まってる訳じゃありませんよ)
(でも、この社会は私達にそう強いているのです)
(私に、人ごみの中に行くことを!)

















「水生ちゃん、テストの前って、ずっと私とおしゃべりしてたよね」

「ええ」




「あんまり勉強してないって、言ってたよね」

「ええ、前の日に、軽くおさらいしただけだったから・・・」





「得意な科目って、ないんだよね。」

「うん・・・」





「じゃあ、不得意な科目は?」


「・・・特に、ない・・・」


「・・・」





「水生ちゃん、すごいね、学年で4番だって・・」


そうです、私の名前は、割と上位にあったのです














咲さんは・・・ない・・・ない・・・どこに・・・

あった・・・あんな下のほうに・・・・




「私って、やっぱりお馬鹿さん・・・?」


「そんなことないよ」


「どこが・・・?」






・・・・・・・・





どこがって言われても・・・困ります

本当に、何をいったら言いのか・・・困ります





だって、私には分からないんです
どうして、あれくらいの問題が解けないのかを

(幼い童の考えること、言葉を、大きくなると理解できなくなるように)





そして、私にとって、そんな能力、試験で点数を取る能力なんて
本当に(心の底から)どうでもいいことなのです

ただ、私はまじめにやるから
(それはつまり、先生など他の人から反感をかわないためなんですけど)
そこそこの点数が取れる、それだけなのです・・・




そして、そうすれば、どう考えたって
学校の試験の問題くらい解けて、点数もらえるのです・・・





なにも、誰も解けなかった数学の難問、
たとえばフェルマーの定理の証明をしろというような
天才を要求されているわけではないんですから・・・


(そういえば、天才の脳を解剖しても、普通の人と全然変りないそうですね)







私にとって、本当に、どうでもいいこと
(私の本当の悩みは、食と、それによって成り立つ私の生存についてなのですから)

それについて、そんなに真面目に答えを要求されても・・・困ります
私には、分からないことなんですから・・・







「・・・いいよね、水生ちゃんは、頭良くて、可愛くて」

「そんなことないよ」

「どこが・・・」





「・・・」












しばらくの、とても居ずらい、沈黙・・・






先に口を開いたのは、やっぱり咲さんです
がっくり肩を落としてですけど




「あ〜あ、こんな点数じゃ、また、どこの学校にも進学できないぞ!、とか言われるんだよね・・・」

「あの・・・」





「水生ちゃんは、やっぱり××とかいくの?」


「・・・分からないわ」






咲さんが言ったのは、この地方では最も優秀とされている学校です
成績のいい子は大抵そこへいくか、それとも都市に出ます





私の場合は・・・私は今まで、自分の将来なんて、考えたこともありませんでした
それよりも、自分に将来がある、その事自体が、信じられないのです・・・








でも、咲さんは、私の言葉を違うふうに受け取りました




「そうなんだ、やっぱり、水生ちゃんとこって、お父さんの転勤多いから?」

「えっ、ええ・・」






私は、自分でついた嘘を繰り返されて、曖昧な変事しかできませんでした

(もちろん、今の私に父などいません)
(その場、その場で流されてゆく人生なのです・・・)



でも、私は、本当に、これからどうするんだろう・・・
(いまのまま・・・は、きっと、続かない・・・)










「大変だね、世の中誰も大変なんだよね・・・あ〜あ・・」













・・・そうだね






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