第17回目(11/26)







私は、あれからしばらく、ずっと家で臥せっていました






・・・だって、あんな大きなお腹で学校なんていけないでしょう










だから、数日間、お休みです

暗い、閉ざした部屋の中で、布団にくるまりうつらうつらとしながら一人

漠然とした不安に揺れていました










・・・私があんなに恐ろしいことをするとは、思いませんでした

なにか、悪い夢のようで、現実の手触りに欠けていました





でも、私のアパートの裏の森には、確かに埋まっているはずなのです

白い、骨と・・・私の血に染まった、制服と・・・・








今ごろ学校ではどうなっているのでしょう?
とうぜん騒ぎにはなっているでしょう






だって、生徒が一人、消えてしまったのですから・・・






家出とも判断されないでしょう、自殺とも考えられないし
拉致や誘拐とも縁の遠そうな子でしたから・・・








くまなく、教室も調べられて・・・
いずれ私に辿り着くかもしれません













・・・私は、なにが怖いのでしょう

捕まることがでしょうか?
罰をうけることでしょうか?




どれも、違う気がします


でも、なんとなく恐くて・・・



ああ、よく考えられません・・・


お腹の中に、まだつかえる物があって・・・うつらうつらとしてしまうのです









(不思議なことに、八房君が喋ってしまうという可能性は全く考えませんでした)
(彼の心については、どうしてだか、確信が持てたのです)





















そうして、眠れもせずにぼんやりとしていると・・・






いきなり鋭い、耳障りな音が鳴り響きました
私の意識は急に現に引き戻されます

電話です





誰からでしょう・・・?




もしかして、警察から・・・?




「はい、神原です・・・」



















飛び込んできたのは、官憲の重々しい声でなく
溌剌とした、明るい声でした






「あ、水生ちゃん、私わたし、咲です。どう、大丈夫?熱だしてる
って聞いたし、ずっと学校休んでるから心配になっちゃって。」





「・・・うん、大丈夫だよ・・・」







「今ね、クラスじゃ大変なんだよ。あの、ラグボー部の・・・君、消え
ちゃったんだよね。警察とかきてね、いろいろ聞かれてる子もいたよ」







「・・・そう、そんな事があったの・・・」






「なんだか、自殺じゃないかって言われてるよ。なんでもね、何日か前から思
いつめたような感じだったっていう子が何人かいてさ、でも柄じゃないよね、
脳みそまで筋肉、って感じだったもん、悩むことなんてなかったはずだしねー。」





「・・・」






「でもさ、水生ちゃんも同じ日から休んでるじゃない。一時はねえ、駆け落ちし
た、なんていう奴もいたんだよ、そんなのまさかだよね、趣味悪すぎるじゃない」






「あの・・・私が熱を出したっていうのは・・・誰が言ったの・・・」







「あれ、先生が言ってたよ、違うの?」






「・・・ううん、その通りなんだけど・・・」












「・・・??。そうそう、今日お見舞いに行ってもいい?」
あの前行った美味しいケーキ屋の、持っていってあげ・・・」




「だめ!」



「・・えっ・」








「あの・・・ごめんね、今、私一人しかいなくて、その散らかってるから・・・」




「大丈夫だよ、なんだったら、片付けとか家事とかしてあげるよ?こうみえてもね、私ね・・・」






「うん、もう大丈夫だし、明日には学校にも行けると思うから、いいよ・・・」





「そお・・・じゃ学校来るの待ってるね。それじゃ、お大事にね、また明日ね」



「うん、また明日・・・」














何の疑いもない声をのこして、電話は切れました
私の心は、きりりと痛みました




嘘でかためた私の人生には目眩を憶えてしまいます・・・













はあ・・・

ため息とともに、この胸のつかえが吐き出せたらどんなにいいでしょうか・・・













私の明日は、どんなのでしょう・・・
まだ明るい日々は、続くのでしょうか・・・













どうして私は、毎日をこんな不安の中で過ごさなければならないのでしょうか・・・



(それでも生きたいというのは不思議なことです)











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