第25回目(6/26)








今日は、よく日が照っていて、
地面から水蒸気が立ち昇るのが見えるようで
暑くなりそうな一日です・・・


(私は寒いのが苦手ですが、暑いのも駄目なんです)






私は、いつもの通り学校に行きました
学級委員である私は、朝いつも職員室まで行きます
担任の先生から、学級日誌を受取らなければいけないからです




私は、分厚い日誌を抱えて教室へ戻る途中、
教室の前の廊下で、ひふみさんに会いました
彼女は、数人の同級生の女の子達と連れ立って、お喋りしながら歩いていました



「あら」



彼女が、私に気づきます
晴れた朝に相応しい爽やかな笑みを浮かべて挨拶してきます



「おはよう、神原さん」



その笑みは、昨日私が見た、妖しい、人ではない人の笑みではありませんでした
明るい、あくまで朝のように明るい笑みです
私は慌てて挨拶を返します



「あ、あの・・・おはよう・・・」



挨拶を受取ったひふみさんは、僅かに首を傾げ、ふふ、と微笑みます
そして、また友達同士のおしゃべりに戻りました

私には構わずに・・・






ほっとしました・・・・









席について、特に何もする事がなくて本を読み出した私の背中で、
ひふみさんや、それを取り巻く女の子達の、楽しそうな声が聞こえます
話題は、あるTV番組に関することのようです

(・・・ようです、なんていうのは、私はTVを見ないので確かではないからです)









彼女、どうしてあんなに明るく楽しげにおしゃべりできるんでしょう・・・?

私は、とても恐いと思いました・・・・













「あ、水生ちゃんおはよー!」


咲ちゃんです
いつもどおり、元気な顔をしています
朝から元気ですね






「おはよう、昨日はどうしたの?」

「うん、昨日ちょっと風邪ひいてね、それで休んだの」

「もう、いいの?」

「うん、一日寝たし、もうすっかり元気だよ!」




羨ましいです
私なんて、風邪ひいたら一週間は寝込んでしまいます
いつも、死んでしまいそうになります
だから、私はうがいなど、風邪の予防には気をつけています

(でも、別に死んでもいいですよね・・・)






「あれ、あの人は?」



ん・・・ああ、ひふみさんですね



「転校生よ、柊ひふみさん」



彼女の名前を私が呟くと、ひふみさんは私の方に振り向きました
そして、咲ちゃんを認めます



「あら?」

「あ、はじめまして、藤倉咲です、昨日ちょっと休んでたんだけど、よろしくね」

「柊です、こちらこそよろしくね」



咲ちゃんが、にこっと微笑みます
ひふみさんが、大人びた笑みを浮かべて会釈します



「あ、咲、おはよう、あのさー・・・」

ひふみさんを取り囲んでいた女の子の一人が、咲ちゃんに声をかけます

「なぁに?」



咲ちゃんは呼ばれて、とことこと行きます
そのまま、おしゃべりの一団に入ってしまいます



わいわい、きゃっきゃっ・・・





私は、また一人です・・・






(それにしても、どうしてひふみさんは、あんなに楽しげにしていられるのでしょう)
(あんなに楽しげにしていながら、どうしてあんなこと思えるのでしょう)
(言えるのでしょう・・・)

(私は、人が、むしろ恐いくらいなのに・・・)
(あんな風に思えるのは、彼女が食人者だからではなく・・・)
(・・・彼女だから、ではないでしょうか?)



















昼休み

咲ちゃんがめずらしく、私と図書室にいこうと誘いました

・・・もちろん、彼女の好きな、あの子がいるからでしょう





とたとた、とことこと二人で・・・











休み時間の学校はどこも賑やかなのに、図書室は、静かです
私と咲ちゃんは書架に向かいます


・・・昨日借りようとした本は、まだ借りられたままでした
仕方がないので、別の書架から別の本を取ります
咲ちゃんが、その隣の本をとります
難しい本です



「あれ、そんなの興味あったの?」

「ううん、全然」



悪びれもせず、咲ちゃんが答えます

・・・ああ、つまり本は、読むふりだけってことですね
でも、それじゃあんまりにも・・・



「咲ちゃん、なにか興味のあるの、ないの?」

「ううーん」

「私、結構本棚詳しいから・・・探してあげるよ」

「漫画とか、ないよね」

「・・・それはないかも」




私達は、開いている六人用の机に、向かい合わせに座ります
本を広げます

咲ちゃんは、伏し目がちに男の子を探します

ちらちら・・・


あ、いたらしいです
視線が動かなくなりました


でも、咲ちゃんどうするんでしょう・・・??


まあ、それは彼女の問題なので、私は本を読み始めましたが・・・
ふと視線を上げると、咲ちゃんの顔が赤くなってます

あれ・・・?


ふと、後ろに、こちらに向かってくる気配を感じました
私は振り返ります


あっ、あの子です
ちょっと女の子みたいな顔した、咲ちゃんの好きな男の子です こちらの方に歩いてきてます!


な、なんでしょう・・・?




男の子は、今日は何故か眼鏡をかけていません
その整った顔が、僅かに紅潮してます



「あの・・」

「はい・・・!」「はい・・・」
咲ちゃんと私が二人、返事をします



「あの、これ・・・昨日、探してたでしょう?」


彼は、私に、本を差し出しました!



「あの、僕は読んだから、もう返却手続きもしてあるから、君、あの、よければ」


「あの・・・ありがとう」












教室に帰る廊下の途中で:




「ねえねえ、水生ちゃんあの子知ってたの?!」
「・・・ううん。昨日、ちょっと、本の取り合いになっちゃって」
「で?」
「本の少し、そう、言葉をかわしただけだよ」
「それだけ?」
「うん、それだけよ。親切なのよ、きっと、彼・・・いい人だね」
「ふううーん・・・いいなあ、水生ちゃん。私も本読んだりしておけば良かったな」




何がいいのか分かりませんけど・・・
なんだか、ややこしい事になりそうな気が・・・






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