第5回目(5/25)





新しい環境
馴染みのない教室(そして、そこにいる人達)
地方都市のそこそこに古びた、鉄筋校舎の無個性な一角・・・
(それはたくさんの人がうつろう場所だからです・・・)










私は、誰とも親しくなろうともせず、いつもただぼんやりと窓の外を眺めていました
(山に囲まれた小さな市街・・)

普通は、放っておいてくれるのです
話しかけもしない
知り合いでもない
魅力的でもない
暗い子は・・・

(どこでも、いつでもそうでした)







そして、心を知られてはいけない私は
”気軽に話せる”友達は作ってはいけないのです
(そうしている間に、作り方も忘れてしまいました)












でも、なぜかいたたまれないのです!
一人でいる事が、この場所では、とてもいけないような気がするのです!

だから、私は一人でいられるところに行きます・・・(逃げるのです)

人がみえないと、ほっとします
(特に、良く知らない人の群れは、私を不安にさせます)


この学校では、裏庭の校舎の陰の植え込みの傍にあるベンチ
そこが一番落ち着きました














でも、この学校には、ちょっと(いえ、かなり)変わった子がいました

薄い色にくせのある髪をして
いつも微笑んでいるか笑っているかしている
(それでちょっと脳がゆるいんじゃないかっていわれてる)
その同級生は、

「ねえ、ここいい?」

と、一人でいる私を訪れ、隣に座り、話しかけてきました・・・













「みずおさんって、なんだか雰囲気、違うのよ。」

名前で呼ばれるのは、随分久しぶりです
それも、よく知らない人から・・・
この人、何を言い出すのでしょう・・・?


「そうねえ、なんかねえ、なにか私達に見えないもの見てるみたい。」








「ええ、みえるわ。たとえば、天使とか」
「天使?」
「そう、天使。あなた、天使ってどんなのか知ってる」
「あの白い着物きて、頭に輪っかを載っけた・・・」
「いえ、天使は、卵なの。羽根の生えた卵。まだ生を経験しない純粋。」
「・・・」
「でも、その純粋は欲望と機械的なものから生まれたものなの」

「・・・すごい、文学的ねえ。みずおさんって頭いいのねえ!」







どうして、文学的なんでしょう?
どうして、頭の良いことになるのでしょう?
からかわれているのでしょうか?
(でも、その様子はなさそうです)








「・・・いえ、ただ言葉をならべただけ。ただの言葉遊び。頭よくなんてないし・・」
「頭いい子はみんなそんな風に言うんだよね、でも、みずおさんて、なんかおもしろい!」

なにが面白いの?

そう言いかけて、やめました
次の言葉に面食らったからです








「ね、私達、友達になりましょう!」

友達になりましょう!

なんて、直接的な言葉でしょう!
直接的すぎて、唐突で、私は、断る事も出来ません
(それに、断る理由も思い付きませんでした)













だから、私はこの子と、友達になりました・・・

(名前は、ええと、確か藤倉さん・・です、藤倉咲さん)
(食人してからはじめての、友人です・・・)




















友達とはいいものだと、みなさんは言います
とても、よいものだと・・・

でも、薄桃色の柔らかい肌に
この子は
歯をたてさせてはくれないと思います









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