1998年12月11日 後楽園ホール  USO倶楽部


 移動チケット屋から5千円の席を4千円で買う。後楽園のエレベーターの中 で落ち武者と一緒になった。不吉。中に入ると、客の入りはちょっと苦しそう。 そこんじょそこらのインディーよりははるかに入っているが、それは当たり前。 客層を見ても、かなりバラまいたという話には信憑性がある。
 俺の席に行くと、田中お姉さん(美人)が座っていた。
「こんにちは。そこ俺の席だよ」
「あたしもここの席だよ」
 彼女はG列とE列を間違えていた。2列前に移る田中お姉さん。俺の間違い だった方が、良かったんだけど。隣はプロレスのことなんか何も知らないサラ リーマンの一団、ばらまきで来たか。あからさまにプロレスをバカにしながら、 大声でヤジる。今日はたいして思い入れのある選手が出ないから気にならない けどさ。
 ちなみにきょうはよしさんから1万円で買ったデジタルマビカのデビュー戦 である。35万画素だから画像はいまいち、だけど10倍ズームが魅力。どん なもんでしょう?


第1試合 三上恭平 VS 黒影

 大仁田とDDTがどこで結びついたのか。誰か、教えてくれ。黒影は三上よ り一回り大きいマスクマンである。最初はグラウンド。腕を取り合い、互いに 腕ひしぎを狙う。黒影はサマーソルトドロップからフェースクラッシャー。三 上はコルバタ、ドロップキックからトペコンで舞い、ジャーマン。黒影もドラ ゴンスープレックス、モハボムを返すが、ムーンサルトは自爆。
 三上はスワンダイブ式のミサイルキック2発。黒影の後頭部にぐさっと突き 刺さる。黒影もニールキックを見舞ったものの、三上はフランケンシュタイ ナーで黒影を振り回し、ムーンサルト一閃、最後はみちドラから背中で押さえ 込んだ。今日のベストマッチか?

腕の取り合いのワンシーンフランケンシュタイナー


第2試合 サンボ浅子 VS 上田勝次

 上田の衰え切った寸止めパンチ&キック。それでもけっこう痛そうで、浅子 は鼻血を流す。しかし、浅子もすっかり痩せたねえ。
 浅子がグラウンドに持ち込んで上になるシーンもあったが、関節技など決め ることはできず。観客の嘲笑の中でだらだらと続き、満足にガードもとれない 浅子に上田がKO勝利。

顔合わせの面白さだけ浅子が攻めた数少ないシーン


第3試合 女子バトルロイヤル
<参加選手 中山香里、シャーク土屋、クラッシャー前泊、RIE、コンバット豊田、キラー岩見、ツッパリ・マック (レフェリー 工藤めぐみ)>

お久しぶりラーメン食べ行きます良い表情になった

 この試合のために来たようなもんだ。実際、なかなか面白かったのである。 里美和と清水真弓が出なかったことだけ、何とも残念だ。
 この試合で印象に残ったのがRIE。すごくいい感じになった。あか抜けた というか。こんなRIEがFMWにいてくれたら、中山にとっては心強いだろ うが、RIE自身にとってはやはり長与のところに行ったのが正解だったのだ ろう。これからの活躍を期待したい。
 最初は当然岩見いじり。全員で岩見を踏みつけ、ひどい目に遭わす。そんな 状況にもめげない岩見は発狂してからの「ロケット〜」。元の取れない今日の 興業で、これは千円くらいの価値があったと言える。土屋が工藤に手をかけた り、工藤が押さえ込んでいる土屋を踏み越えてカウント取りに行ったり、かつての因 縁もちらっと姿を見せ、全員で土屋と前泊を丸め込んでフォール。2人はすっ かりいい人モードで、負けてからも場外に残り、リング内の選手達のファイト に茶々を入れる。
 豊田、RIEと脱落し、残ったのは中山と岩見。これも300円くらいの価 値がある岩見のクロスチョップを受けたりしていた中山だが、最後はジャック ナイフで岩見をピンフォールして優勝。土屋からのマイク。「中山、がんばれ よ」ツッチーにがんばれと言われるようではダメだ。レスラーとして認めても らってないようなもの。ツッチーと出会ったら、鎌で切り刻まれるくらいでな くてはね。最後は土屋と前泊をのぞいたメンバーで円陣を組んだ往年のFMW 女子だった。

大流行の変な顔〜。岩見に似つかわしい「お前は一人だ」(豊田)俺は胸の谷間を信じるぞ


セミファイナル 吾作 VS ビックバン

 俺は正真正銘のダメ外人だ! 全身でそう訴えているようなビッグバン。よ く「日本向けの外人選手」という言い方がされるものだが、そういう意味でこ いつは確実に日本向けではない。ファイトスタイルはパンチ、トーキックを主 体にしたアメリカンなもの。それに吾作がつきあって、退屈な試合は進む。ビ ッグバンのボディプレス、サーフボード、ワンハンドバックブリーカー。パワ ーボムはなかなか強烈、これは褒めていい。そして、エルボードロップ。フォ ール。1、2、…3。あれ、入っちゃった。吾作、何もしないまま、ダメ外人 に負けた。
 吾作と1試合戦うために太平洋を越えてきたビッグバンさんもご苦労と言う か、大変な無駄のような気がするが。吾作の情けなさ、もはや芸術的。全日の 大森なんて目じゃない! ザ・ダメレスラーとは俺のこと。吾作ここにありき を証明した試合だった言える。


シーク引退セレモニー

 サブゥーを伴って現れ、落ち着きなく徘徊するシーク。火を放ち、短剣をマ ットに突き刺した。何も変わってねえ。素晴らしい。
 俺の隣のべろべろに酔っぱらったサラリーマンの集団、ワンカッ プ王関を手に、立ち上がって汚いヤジを怒鳴る。いいかげんキレかけていたと ころ、サンボ浅子がやってきて、「押さえてくださいね」と丁重な注意を入れ て、その場は収まった。山崎だったらいきなり殴るところ、さすが社会人経験 者&飲み屋のマスターね。
 マスコミから記念品の授与。竹内さん(週刊ゴング)の満面の笑顔。シーク は竹内さんを手招きし、抱き合う。俺もほろっとなった。竹内さん、どこかの 落ち武者とは違い、本当にレスラー達と信頼関係を築いてきたんだろう。この 日一番の良いシーンだった。


メインイベント 大仁田厚、佐々木嘉則 VS 黒田哲広、保坂秀樹

久しぶりのサソリ。そういう意味か?モグラ叩きが健介相手にも出るか?

 この試合に意味を見いだすとしたら、それこそ大仁田に最後まで付き添った 者達への邪道伝授、そして健介戦を前にした大仁田の決意の現れってとこだ。 結論から言おう。見るべきものは何もなかった。それもこれも大仁田自身の絶 望的な出来のためである。
 とにかく動けない。最初は張り切って全日時代の得意技のランニングネック ブリーカーなども披露したものの、途中から明らかなスタミナ切れ。保坂に連 発して仕掛けたサンダーファイヤーの情けなさは目を覆いたかった。それに合 わせる黒田や保坂もトーンダウンせずにはおれないわけで、まるで生彩なし。 大仁田と黒田のラリアット合戦、保坂が大仁田に仕掛けたサンダーファイヤー にも胸に響くような重みはほとんど感じられなかった。こんな試合でいったい 何を伝授したというのだろう。そもそも今の大仁田に他人に伝授できるような ものがあるのか疑問だが。
 客席もほとんど沸かないまま、大仁田がサンダーファイヤー(と呼びたくな いようなダメ技)であっけなく保坂をピンフォール。試合後は大仁田も自分の ダメさを痛感したようで、マイクで「俺には往年のパワーはない!」。おい、 40歳っていきなり肉体が衰える歳でもないだろう。いかにあんたがトレーニ ングしてないかってことだ。こんな試合でも、大仁田フリークのマットバンバ ンが始まる。君らの気持を聞いてみたいもんだ。本当にこれでいいのか? 誰 を支持しようと個人の自由だが、これで盛り上がれるのなら、そもそも試合な んかしなくていいくらいだね。マイクだけやっていた方がボロが出なくていい。 やはり大仁田さんは政治家かタレントになった方がいいよ。あげくには「今日 でUSOは終わりじゃあ!」わかってたよ。何をやっても、行き当たりばった り。
 試合後、白黒マミーさんやぼっくさんに挨拶。白黒マミーさんは「昔、大仁田 ファンでしたから、見ていて哀しかったですわ。佐々木はドームで大変ですね 」。同感。いくら俺がFMWファンでも、今回は佐々木に同情せずにはいられ ないだろう。もっとも大仁田は突然良い試合をしたりするから、 まったく期待できないわけでもないのだが。
 金を損した。そういう気分で帰途に着く。内容的には今年のワースト興業じ ゃないか? やはり大仁田の主催興業なんて見に来るもんじゃない。また騙さ れた俺がバカだった。でも、俺みたいないい人ばかりじゃないよ。今回のチケ ット売上、会場の客層がすべてを表しているだろう。

黒田も特に光るところなしパフォーマンスだけで大仁田信者は着いてくる


 大仁田厚がFMWの始祖であること、かつて多くの感動を与えてくれたこと は事実。しかしながら、今日の興業を良しとすることなどできない、かつての姿を知 っているからこそ認められないんだよね。誰かが言っていた。「今、大仁田厚 のことをボロクソ言っている人たちはみんな昔の大仁田が大好きだったんだ」 その通り。これを良しとしたら、かつての大仁田厚は何だったのかということ。
 ドームには行くし、応援する。その後はもういい。新日の外様選手としてやっていくんだ ろう。ここまで晩節を汚してしまったのが至極残念だ。新日マットで挽回する ということもあるだろうが、それはもう俺の視野の外。ありがとう、大仁田厚。 もう二度と見に来ないだろう。あなたの作ったFMWをこれからも愛していく。


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