1998年12月13日 後楽園ホール FMW
今日はチケット完売。ここ1、2年のFMWではめったにあることじゃない。
ECW人気とトーナメントへの興味の相乗効果であろう。がら空きの会場もス
テキだけど、満員ってのも熱気があって良い。
今日のハードロックマニアはカオリン。「土屋選手にがんばれよって言われ
て、どう思いましたか?」ってファンの質問に「がんばりますって思いました
あ〜」カオリン、元気である。
第1試合 黒田哲広 VS モハメド・ヨネ <オーバー・ザ・トップ2回戦>
第1試合でこのカードは豪華。タッパは変わらないんだけど、体の厚みにか
なり差がある両者。モハが求めた握手に黒田は応じない。モハはヘッドロック
から脇固め。黒田はアームホイップでモハを投げ捨て、鉄柱での足攻め。膝へ
ドロップキックを入れて、膝十字固めで絞る。黒田がモハの足を攻める展開が
続く。
モハはキックで対抗。得意のダイビングギロチンも放ったが、地力の差が出
たか。最後はモハの顔面キックを受けた黒田が怯まずラリアットで勝利。試合
後は両者ともしばらく立ち上がれなかったほどの激しい試合だった。この興行
全体が成功したのも、この第一試合が見事なスタートダッシュだったためもあ
るだろうか。第1試合も大切ってことで。
第2試合 非道 VS 折原昌夫 <オーバー・ザ・トップ2回戦>
鍋物のおいしい季節だ。すき焼きなど食べる機会も増えることであろう。言
うまでもないが、すき焼きにはルールがある。野菜、野菜、肉、野菜、野菜、
、肉、野菜…、それは鉄のルールだ。この人間として最低のルールすらも守ら
ず、肉、肉、肉、野菜、肉…なんて神をも恐れないようなことをやる奴が社会
人として失格なのは言うまでもない。疑うのなら、会社の忘年会ですき焼きが
出た時にひたすら肉ばかり食べてみればいい。確実にみんなのあなたを見る目
は変わってくるだろう。
折原にとって良いペースは、技、技、玉、技、技、玉、技…くらい。それが
今日は玉、玉、玉、玉、技、玉…。とにかく徹底して、非道の睾丸にこだわっ
たのである。試合前は壮絶な睾丸の潰し合いを予想したこのカードだが、非道
に一度も急所蹴りを出すチャンスがなかったと言えば、どんなもんだが、わか
っていただけるだろう。後ろへ蹴り上げるだけではなく、前からパンチも入れ
る。非道はひたすら股間を押さえて呻きをあげるだけだ。
折原の雪崩式フランケンシュタイナーで落とされた非道だが、ラリアットか
らミサイルキックで反撃。しかし、折原はなおも玉狙い。いいかげんにしろと
後ろから抱きかかえたテッドにもカチーン! トドのような体をくねらせて苦
しむテッドが反則勝ちを宣告し、折原はやる気なさそうに引き上げていった。
第3試合 ミスター雁之助 VS 金村ゆきひろ <オーバー・ザ・トップ2回戦>
自分のテーマ曲を待たずに飛び込んできて、奇襲をかけた金村。場外でもつ
れた間に雁之助は復帰後初の流血である。しばらくやられるままだった雁之助
だが、机の破片を持って襲いかかる金村の足を取って曼陀羅捻りに行くと、板
は大きな弧を描いて客席の中へ。危ないだろ! 雁之助は机の破片で金村をモ
グラ叩きに処す。流血させ、なんと仏具の数珠で金村の首を絞める。ラフに走
ると、途端に光り出す雁之助。やはり、あんたはこれか。人生のコピーからや
っと抜け出すのね。
最後はファイヤーサンダーで金村をピン。引き上げていく金村は哀しそうで
した。
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| 雁之助、流血 | 金村の拝みパワーボム | 哀しそうに帰る |
第4試合 ハヤブサ VS 大矢剛功 <オーバー・ザ・トップ2回戦>
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| 大矢の奇襲 | 二人ならではのグラウンド |
おおっ! なんと後楽園で桃ブサだ! 地方興行専用と思われていた鶴の舞
う桃色の羽織を来て、ハヤブサが後楽園にやってきたのである。と、ハヤブサ
が羽織も脱がないうちに襲いかかった大矢。ハヤブサは「紳士の大矢さんがあ
んなことをするなんて…」などと言うわけもなく(昔ネタ)、すぐさま蹴散ら
し、羽織を着たままのトペコン。美しいの一言。けど、写真撮影はブレて失敗
でした。リングに戻った途端、大矢はバックドロップ! 頭からマットにめり
込んだハヤブサは突進する大矢の頭にキックを打ち込み、ファルコンアロー!
いきなりハイスパートの展開なのである。
ここからじっくりとした流れ。ハヤブサは頭の痛みを気にしながらも、大矢
を膝十字で攻める。大矢はアキレス腱固めで返す。ならばと、ハヤブサはヒー
ルホールド。大矢はナックルを打ち込んで、スウィンギングネックブリーカー
ドロップ。ハヤブサが腕ひしぎからキーロックに移行すれば、大矢はハヤブサ
の足を折りたたんでから、弓矢固めを決める。猪木入っています。
ハヤブサはカウンターのスクリューキックで大矢を場外に落とし、ラ・ケブ
ラーダ。トペ・アトミコからラ・ブファドーラへの一連の流れ。もう決めるつ
もりか、フィッシャーマンバスター、ドラゴンスープレックスで叩きつけてい
く。しかし、大矢はコーナーから飛んだハヤブサを膝で受け、ネックブリーカ
ードロップ、DDT、逆エビ固め、バックドロップ、卍固め、そして、なぜか
ハヤブサ戦になると出てくる技、かんぬきスープレックス2発の大攻勢をかけ
る。ダイビングニーも決めて、これがとどめとバックドロップの体勢に入るが、
これはハヤブサが空中で体勢を入れ替えた。
ペースを取り返すにはこの技、ハヤブサの掌底に大矢が顔を覆う。ハヤブサ
のファルコンアロー! 惜しくも2カウント。ならばと、タイガードライバー
で叩きつけておいて、ファイヤーバードスプラッシュ。しかし、これも3カウ
ントぎりぎりで返されてしまう。逆に大矢の延髄斬りを受けたハヤブサは焦っ
たのか、中途半端に大矢をブレーンバスターの体勢で持ち上げたところ、一瞬
のうちに大矢のグランドコブラに丸め込まれていた。アーーー! J太郎なら
ずとも叫びたくなるこの一瞬。1、2、…3! 大矢が勝った!
わっと沸く館内。大矢コールが響く。ハヤブサが負けたのは残念だが、誰も
が一目置く実力者でありながら縁の下の力持ちに収まっていた大矢さんの勝利
は清々しいインパクトがあった。手を振り回し、やってらんないやという様子
のハヤブサ。いいんだ。時には落ちることもレスラーの大切な仕事。来年、ま
たベルトを取り戻してくれればいい。今日の試合はハヤブサVS大矢が今まで
常に良い試合をやってきた通りの良い仕事だった。まだまだ何度もハヤブサと
大矢の試合を見ていきたい。この試合が大仁田なき後の新生FMWの象徴だっ
たのだから。
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| ふわっと飛ぶのである(シンさん撮影) | ファルコンアローも出たが…(シンさん撮影) |
第5試合
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| 暴れるレザー。ファンも嬉しそう |
| リッキー・フジ | 冬木弘道 | |
| フライングキッド市原 | VS | 中川浩二 |
| スーパー・レザー | 外道 |
先発は市原と外道。フライングボディアタック、場外コルバタを披露し、調
子の良さそうな市原。外道、中川2人同時にドロップキックで吹っ飛ばしてゆ
く。今日の市原はやる気だなと思っていたら、あっという間に3人がかりのス
ーパーパワーボムから、冬木のラリアットでピン。リッキーとレザー、出番な
しである。
怒り出したレザー。パートナーの市原をトゥームストンパイルドライバーで
叩きつけ、フェニックスに反旗を翻す。飛び込んできた山崎にもラリアット。
山崎、おいしいぞ。まるで試合後のハンセンのラリアットを喰らっていた若手
時代の三沢のようである。
第6試合 フランチャイズ VS トミー・ドリーマー <ECW世界ヘビー選手権>
フランシーンに尽きる。試合に乱入してはドリーマーの足を痛めつけ、つい にはドリーマーに捕まってお尻ペンペンのお仕置きを喰らう。観客は大喜び。 こんなものを見せられたら、試合どころじゃない。あとはフランシーンへのパ イルドライバーを期待する態勢だったが、それは今度の楽しみということで。 最後はフィッシャーマンズスープレックスでフランチャイズが世界のベルトを 防衛。ちなみにフランシーンは黒でした。(何が?)
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| チャンピオン | お仕置き | フランチャイズを見ろ |
第7試合 ババ・レイ・ダッドリー、D−ボン・ダッドリー VS サブゥー、ロブ・ヴァンダム <ECWタッグ選手権>
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| すっかり大物の風情 | 雪崩式フランケン |
いきなり乱闘開始。サブゥーのトリッキーな技が次々に飛び出す。飛びつき
雪崩式フランケンシュタイナー、アラビアンプレス。ヴァンダムの回転の速い
トペコンも見事。残念ながら、サブゥーはイスを置いてのトリプルステップに
何度も失敗してしまう。成功するまで何度もやるあたりがまたサブゥーらしい
のだが。今日は完成形を見ることは結局できなかった。
サブゥーがイスを踏み台にしてのプランチャで飛べば、ヴァンダムも飛ぶ。
ババ・レイの持つ机にニールキックを見舞って、机を顔面に打ち当てたシーン
では大きな歓声が。パワーでは、ダッドリー・ボーイズ。サブゥーを雪崩式ブ
レーンバスターで投げ捨て、ヴァンダムにパワーボム。しかし、サブゥーはバ
バ・レイをイスめがけてのDDT。ヴァンダムと2人で同時プレスを見舞い、
イスを敷いてのギロチン。最後はジャックナイフでババ・レイを丸め込む。3
カウントフォール。ベルトが移動した。
ECWらしさ溢れるとても面白い試合。サブゥー、ヴァンダムはさることな
がら、ダッドリー・ボーイズも大変素晴らしい。
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| プランチャ | おいしいオヤジ |
セミファイナル ミスター雁之助 VS 非道 <オーバー・ザ・トップ準決勝>
非道がここにいるのは何かの間違いだ。ま、運だけで残っているってのも非
道らしくて良い。でも、あれだけ折原に急所いたぶられて運がいいとか言って
いいのだろうか?
雁之助のセコンドはなんとスーパー・レザー。これは予想外の展開である。
新軍団結成なのか。非道はニールキックで奇襲をかけ、STF、パイルドライ
バー、予告付き非道ちゃんボンバーと畳みかけたものの、雁之助のネックブリ
ーカードロップから拝みパワーボムで簡単に追いつめられ、首固めで最後の悪
あがき。涅槃を決められると、軽くギブアップ。客席も盛り上がらないまま、
時間にして2分ちょっとである。ここで金村、中川が乱入したものの、雁之助、
レザーに軽く一蹴された。どうやらFMWの軍団抗争、ここらでシフトチェン
ジの様子。雁之助が台風の目になりそうだ。
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| 非道も少しは攻めた | レザーと合体 |
メインイベント 大矢剛功 VS 黒田哲広 <オーバー・ザ・トップ準決勝>
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| いっちゃうよ | 黒田の卍 |
ハヤブサも冬木も田中も大仁田もいない、金村や雁之助さえもいないメイン
イベントである。ECWがあれだけ盛り上がった後で、そっけなく終わったFMWのセ
ミ。メインがコケれば、FMWはECWよりつまらないという印象が残ってし
まうかも。地味な印象のある2人だけに一部のファンには不安があっただろう。
ハヤブサ戦に続き、またも大矢は奇襲攻撃をかける。場外戦へ。黒田の定番
・南側通路を突っ走ってのラリアットが決まる。客席をかき回し、暖めた後で、
リングに戻っての正統派プロレスに。コーナーに振られた黒田に大矢が突進す
ると、スライディングレッグシザーズを決めようとする黒田。しかし、大矢は
絡みつかんとする黒田の足を飛び越えてしまう。客席は拍手。大矢のコブラツ
イスト。黒田は膝へのドロップキックから、鉄柱を使っての足攻めへ。もちろ
ん、お客さんへのアピールも忘れるわけがない。珍しい鉄柱4の字も決めた。
リング内でも足4の字固め。大矢も裏返すことを狙う。力が入っている。
大矢は延髄斬りを返していくが、突進したところをスライディングレッグシ
ザーズに取られ、ロープに首をかける。黒田はラリアット、かわず落とし。し
かし、一瞬の隙をついた大矢のバックドロップが炸裂! 続けて、渋いかんぬ
きスープレックス。黒田も哲ちゃんカッター。
冬木、ハヤブサの2大トップを倒したグランドコブラが黒田を丸め込む。ひ
やっとしたが、黒田はこれをクリアー。すぐさま黒田の逆さ押さえ込み。これ
も決まらない。大矢の脇固め。そして、大技のぶつけ合いへと雪崩れ込んでゆ
く。大矢のバックドロップ。黒田のラリアット。さらにラリアット。客席の温
度が今日一番のボルテージへ上り詰めてゆく。大矢がバックドロップ。黒田の
ディスカスラリアットをよけて、もう1度バックドロップ。延髄斬り。バック
を取った大矢。バックドロップか? いや、初公開のジャーマンスープレック
ス! それは猪木のそれのように低い角度で、黒田を的確にマットへ叩きつけ
た。3カウント! 場内大熱狂。
大矢がヒーローになる日があっても良いじゃないか。新日では猪木の付き人
までを勤め、一度引退してカムバックしてからは、SWS→NOW→FMWと
渡ってきた苦労人の大矢。マイクを握り、「行きますかー。1、2、3、ダー
(俺にはパーって聞こえた)」。猪木のダーなんて嫌いだけど、今日だけは許
す。大矢、見事なり。
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| フィニッシュのジャーマン | ハゲタカの日 |
良い興行だった。観戦した客の大方が満足したのではないか。ECWが話題
を呼びながら、終わってみれば今日の主役は大矢。ハヤブサ、黒田という若い
スター選手2人を相手に素晴らしい好勝負を展開し、ともに勝ってみせたこと
への賛辞は語り尽くせない。さらには大矢VS黒田という飛車角落ちのメイン
が見事に観客を納得させたことは今後のFMWの大きな自信になりうるもので
ある。言ってみれば、「FMWブランド」。FMWの選手なら誰でも観客を納
得させるだけのものを持っている、そういうかたちになるのが一番の理想。
誰が来ても楽しめるファミリーエンターテイメントプロレスを目指せ。今日
の興行もまた4・30横浜文体に続くFMWの理想的なかたちであると言って
いい。シリアスなレスリングとECWのハチャメチャが絶妙に絡み、観戦後の
印象はとても暖かだった。ハヤブサと冬木が早々に消え、大矢と黒田が締めた
ことで来年は横一直線での争いになるか。その中で、改めてハヤブサが上がっ
てくることを期待するものである。
マビカの充電を忘れたので、今日は元のカメラで撮影。できあがってみれば、
ブレてるのばかり。いい加減頭来たので、4万円で買って半年なんだが、質屋
に出してやりたい。しかし、マビカってシャッタースピード早いし、ズームも
ばりばり、本当に良い。まるでプロレスをネットで扱う人のために作られたカ
メラではないか? 14倍ズームの新しいやつがすごくほしいんだけど。11
万円、うーむ。