女子プロレス・オールスター戦 98年12月26日 有明スタジアム


 ゆりかもめは夜のパノラマが素晴らしい。大胆な曲線美を見せるレインボー ブリッジや巨大な観覧車(建造中)の隙間を縫って、モノレールは有明スタジ アムの前へ。ここに来たのは92年の大仁田VSレオン・スピンクス以来か。 中○のおっちゃん(notカオリンパパ)から、7000円のチケットを300 0円で購入するが、4枚欲しいのに、3枚しかない。調達してくるからと言わ れ、自転車を乗り回すおばっちを眺めながら待っていると、おっちゃんは正規 のチケット売場の中へ。おいおい。チケットの束を抱えて出てきたおっちゃん、 今度は7000円のチケットを4000円で売る。仕方なく1枚購入し、デル ヲさん、すぎちょさん、ひろかずさんと合計13000円を4人で割った勘定 に。7000円のチケットが1人約3333円で買えたわけね。まあ、いいで しょう。ヒロケンさんはSAMURAIのチケットプレゼントでもらった券だ し、きちんと正価のチケットを買った人は我らのうちではオバケさんだけだった。
 会場に入ると、なかなか壮観である。客の入り、4000人いないくらいだ ろう。招待券も相当ばらまいたようで、後楽園ホールで充分だったという感じ。 女子団体のほとんどが集まって、これだけなのだろうか。ひとつにはこの興行 にジャガー引退以外のテーマが見えにくいということもあるのかも。カード自 体いまひとつだし、主催者側に現在の女子プロレスの苦境が充分わかっていた のか、やや疑問である。

全体では3割以下の入り選手入場式で


第1試合 久住智子、天野理恵子 VS 宮口知子、本谷香名子

 いつものJWPの試合。悪い試合じゃないんだけど、面白くないんだな。あ まり。くじゅみのみちドラ、いかにも危なっかしくて怖い。

パワーでは宮口天野、足をバタつかせ、切り返す雪崩式フロントスープレックス


第2試合 高橋奈苗、納見佳容 VS 前川久美子、中西百重

 全員、生で見るのは初めて。納見のかわいらしさは知ってはいたが、生で見 ると、やはり格別である。コーナーに控えている時のスレンダーな背中が良い。 しかし、雪崩式ブレーンバスターに手間取る納美を引き剥がして、自ら雪崩式 ブレーンバスターを決めた高橋は、その大きさと存在感、まったく素晴らしい。 この体で決めたプランチャには歓声が起きた。
 中西も綺麗なスープレックスなどプロレスセンスを感じさせ、ちょっと長か ったが、決してダレない面白い試合だったと思う。最後は高橋が豪快すぎるナ ナラッカで中西をピン。新人が使って良い技かどうかはちょっと疑問である。


第3試合 シャーク土屋 VS 小杉夕子

 小杉、良いとこなし。鎌や有刺鉄線スティックで小杉を流血させたシャーク が完勝した。

場外乱闘を仕掛けた小杉だったが鎌で切られ有刺鉄線スティックを押しつけられて


第4試合 シュガー佐藤、永島千佳世 VS ザ・ブラディー、ファング鈴木

 レスラーとしての「圧力」みたいな部分で、OZの完勝だった。ブラディー のうまさ、ファングのパワーも、OZの畳み掛ける勢いに呑まれて、差を見せ つけられたような感じ。隣のすぎちょさんが「やっぱりGAEAは強いわ」と ため息をついた。


第5試合 アジャ・コング、吉田万里子 VS 浜田文子、秋野美佳

 この中に入ると、アルシオンの異質さが浮き彫りになる。なんていうか、 「冷たい」のだ。女子プロレスに「和み」を求める人には受け入れられにくい 世界であろう。しかしながら、このシャープな冷たさが特定のファンの心を掴 んでいるのも本当のこと。とりわけ、スタイリッシュにクールな吉田と戦う彫 刻のような浜田の絡みは他団体との差別化を意図してここに持ってきたのかと も勘ぐってしまう。2人とも無表情。でありながら、たまらず魅力的。特に浜 田には自然に観客の視線を集めてしまう何か言い表しがたい不思議なオーラが ある。端正な顔と均整のとれたスタイル。客に見せなければ勿体ないほどの張 りのあるボディの持ち主であるだけに、これからもビキニスタイルでリングに 上がってもらいたいものだ。本来、このタッグマッチはアルシの最強タッグV S新人コンビなわけだが、浜田、秋野のふてぶてしさ、存在感の大きさが先輩 2人をも飲み込んでしまい、これがチャレンジマッチに相当するものであるこ となど、見ている間はすっかり忘れていた。
 若手2人は鮮やかな空中殺方で魅せる。秋野のトペコンもさることながら、 浜田のケブラーダの鮮やかさ。吉田は適当に流すと、関節に引き込んでいく。 フィニッシュはアルシオンらしく唐突に訪れた。吉田の足を絡めた裸締めに秋 野がギブアップ。見入っていた観客の多くは驚いたようだが、アルシオンには いんちきUWFとしての側面もあることを忘れてはならない。ともかく、面白 い試合だった。

真っ向から組み合うマウントを取った吉田。ここから腕ひしぎに移行善戦はしたものの、遠く及ばず


第6試合 タイガードリーム、チャパリータASARI VS 矢樹広弓、坂井澄江

 タイガー、動きが重い。首を負傷しているようだが、初代タイガーの軽やか なイメージにはほど遠いようだ。アルシオンは普段ディレクティービーで見て いるが、やはり奥津はタイガーには向かないというのが以前からの感想。今回 は負けん気の強いパートナーが超人的な空中殺法を連発したために、完全に食 われてしまう結果となったようだ。
 これではもったいない。奥津にはASARIにはないパワーあふれる畳み掛 けがあったはずではないか。今のところ、タイガードリームは奥津の魅力をそ のマスクの中に押さえ込んでしまっているように思えてならないのだ。最後は タイガーが坂井をタイガースープレックスで押さえたものの、試合を持ってい ったのは、場外へのスカイツイスターなど、凄まじい技を軽やかに決めていっ たASARI。あと坂井は、Jd’のトップとして、この組み合わせの中でも、 きちんと自己主張を見せた。
 試合全体としては、どっちかというと、失敗だったような。夢タッグが売り 物だったはずだが、夢が見られなかったのだから。普通の試合として見れば、 特に悪いものではない、という程度。4人とも良い選手なのだが、こういう時 もあるか。

飛行少女タッグ場外へのスカイツイスター

タイガーの飛び技はオーソドックスなもの同時に飛ぶ


第7試合 ジャガー横田 VS デビル雅美 <ジャガー横田引退試合>

 体格に勝るデビルがジャガーを圧倒し、垂直落下式ファルコンアロー(のよ うな技)でピン勝ち。しかし、ジャガーの完敗した姿、「もうこれ以上はでき ないんだ」という説得力に溢れ、むしろ感動的だった。最後まで毅然とした姿、 実に見事なり。
 思えば、ジャガーの試合は生では革真浪士団で一度見ただけである。しかし、 間近に見るその貫禄、凄みに驚いたものだった。もともとあまり女子は見ない だけに、引退試合に立ち会うことになるとは思っていなかったが、かつて髪切 りマッチで丸坊主にされた姿もテレビで見た記憶のある者としては、偉大な選 手の長いプロレス人生がここで終わったのだなという感慨があった。今後も裏 側からJd’を引っ張っていってもらいたいと思う。

全女技ねドロップキックは背面飛びなのだ

試合後、ただ抱き合いするべきことを終えて、去ってゆく


セミファイナル ライオネス飛鳥 VS 尾崎魔弓

 最初は裏拳連発で攻めた尾崎だったが、テキーラサンライズを防がれ、逆に 飛鳥のテキーラ・サンライズを喰らうと、一発で簡単にピン負け。館内の雰囲 気も「え?」。予想を裏切る淡泊な試合に、デルヲさんは「時間が押していた からだ」という単純明快な答。本当にそうかな。
 抱き合う飛鳥と尾崎。尾崎のセコンドについていたアジャも加わって、握手。 それに怒る裁龍軍を置き去りにして、飛鳥は帰っていった。

単身の飛鳥に対し、OZが介入フィニッシュ


メインイベント
井上京子堀田祐美子
下田美馬 VS 豊田真奈美
三田英津子井上貴子

 でかい女6人の戦い。でかいだけじゃなくて、プロとしての凄みがびしびし 伝わってくる。
「西堀幸絵を一人入れておくべきでしたね」
「写真撮る時、煙草を置くみたいなもんね」
 貴子と京子の関係についてはいろいろ周囲で囁かれていたが。それが本物の ケーフェイなのか、大きな意味でのアングルのひとつか、俺にはわからない。 しかし、両者の当たりは厳しく、場外乱闘はストリートファイトマッチさなが らの迫力、なおかつ京子は徹底して全女組の技をスカしてしまうのだ。さらに は京子のラリアットで貴子がダウン、戦闘不能である。これはプロレスではな い、という批判も聞かれたが、個人的にはガチをアイテムとしてちらつかせた プロレスとして、非常に楽しめた。客席の熱い京子ファンとアンチ京子派のピ リピリした雰囲気も含め。「京子が好き」という人は少なくとも自分の周囲に は今まで誰も発見できなかったものだが、いるところには本当にいるんだとい うことを実感したのも本当。あれだけ数の多いはずの新日ファンが自分の周り には、探し回っても1人もいないというのと同じ現象か。(^_^;
 貴子は試合後半になってようやく復活したものの、完全に引き気味、実質上 のハンディキャップマッチをネオレ側が余裕を持って取った。負けたものの、 豊田の大きさ、華やかさ、安定感にはさすがエースだと感心した次第。活動停 止が噂されるネオレの全女出戻りは新たな興奮を呼びそうである。

豊田のブファドーラも受けていないのがわかるか?ワッキーの必死の声援が響く堀田も一矢報いたが


 特にダメな試合は1試合もなかった。通しで面白かったです。興行的には大 失敗でしょうが。やはりメインが抜きん出ていた感じ。合い言葉は「トゥゲザ ー!」。
 新宿で飲んだら、また夜が明けた。


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