1999年1月4日 東京ドーム 新日本プロレス
ダッフィーに頼んだら、5000円で入場させてくれた。その代わり、イス
なし。あれ、けっこう売れているのね。大仁田効果かい。我々6人、通路に立
ち止まって、大騒ぎしながら、試合観戦である。何と言っても、俺の目を引き
つけたのはモルツのお姉ちゃんだ! か、かわいい! 3人でトリオを組んで、
ビールを売りに来る。訊いたら、高校生のバイトということだ。
「重いんですよー、これ」
背中に背負ったビールが痛々しい。よし、まかせろ。軽くしてやるぞと、ビ
ールをがぶ飲みするダメファンが6人。そしたら、お姉ちゃん達、20分おきくらいにうち
らのところに来て、ビールを売るようになった。そのたびに買う我々。完全な
カモ状態。でも、幸せだからいいのさ。ビバ、モルツ!
![]() | ![]() | ![]() |
| ビール買ってえ | 横の邪魔な小僧は誰? | もうどうにか、なってしまいそう・・・ |
素顔のハヤブサがこっちへやってくる。話しかけようかと思ったが、怖い顔
をしているので放置しておいた。
「やっぱりハヤブサ、今日は大仁田戦に乱入でしょうかね?」
「いや、それは。あ、巨人が戦ってますよ!」
我々は巨人(notジャイアンツ)が大好き。大きいのはとにかく良いことだ。
赤いパンツの巨人に声援を送る。そしたら、巨人がジャイアントスーパーフラ
イを決めてピンフォール勝ち。幸先が良いぞ。当然ワグナーJrも我々のお気
に入りだ。その後、バトレンジャーみたいなマスクマンのいまいちな試合があ
って、ついにこの時である。
「時は来た!」
大仁田厚 VS 佐々木健介
健介入場の後、ドームに鳴り渡る「Wild thing」。革ジャンを着込み、煙草
を喫いながら、堂々入場してきた大仁田。もう涙が溢れて止まらない。そんな
俺を見て、ドスがびっくりしてる。一度プロレスラーを引退し、
土木作業員として地面に穴を掘っていた男がFMWというひとつの団体を旗揚
げして日本のプロレス界を変えた。そして今、興行不振にあえぐプロレス界の
最大手・新日本プロレスまでを大仁田一人が救いに現れたのだ。どうして泣か
ずにいられるかってやつだ。今日の興行、大仁田なしには、何があっただろう。
大仁田の試合が終わると、俺達はドームを出てしまったので、後のことはわからない。しかし、観客動員の面でも、盛
り上がりの面でも、大仁田が作った興行だと断言して差し支えないだろう。そ
れくらい、大仁田の観客の視線を持っていく力はメジャーのレスラーの中にあ
っても、抜きん出ていたのである。
入ってくるなり、いきなりイス攻撃。健介は微動だにしない。いいね。健介
は健介でこの日自分の置かれている位置について考えたのだろう。健介が観客
に訴えるべきは肉体の強靱さ。レフェリーの山本小鉄が試合開始を告げると、
すぐさま大仁田を引きずり、圧倒的なパワーの差を誇示してゆく姿勢。入場ゲ
ートへ連れ出して、振り回し、「お前なんかには技もいらないんだ」というこ
とか。Tシャツを破り捨て、さんざんもてあそぶ。我々、熱狂的な大仁田コー
ルで大仁田を支援。
またも佐々木の方から場外戦を挑む。大仁田、佐々木にイスを投げつけ、机
の上に引き上げてのパイルドライバー。さすがにこれは効いたよう。しかし、
リング内ではまたも佐々木に圧倒される大仁田。ラリアット2連発。大仁田は
金村ばりの回転受け身でこれに呼応する。佐々木はフォールに行こうとしなか
ったが、大仁田のタフさを考えれば、これで取られるような攻撃ではないだろ
う。コーナーにもたれて、座り込む大仁田。健介が近づいたところで、意表
を突いた大仁田のビッグファイヤー! 我々、狂喜乱舞。大仁田反則負け。や
ったぜ、邪道の勝利!
![]() | ![]() |
| 健介のラリアット | 健介が仁王立ちなら、大仁田は這い回る |
片目を濡れタオルで押さえて苦しむ健介を後目に、大仁田のマイク。「新日
本の器量はそんなもんか!」いえいえ。新日本さん
もたいしたもんでございます。全日なんて、グラジに机上パワーボムもやらせ
なかったんだから。山本小鉄にビンタをくらっても、無反応のまま、よれよれ
で帰ってゆく大仁田。怒った新日ファンの紙コップが大仁田めがけて飛び交う。
それも大仁田を飾る素晴らしい演出の一部になっていることに気づかないあた
りが新日ファンなのね。微笑ましいですわ。中牧みたいには簡単に料理できな
いんだってば。大仁田、ゲート付近で何度か膝をついてしまうところなど芸が
細かい様子。いいけど、ちょっとサンドマン入りすぎてない? とにかく、も
う嬉しすぎて、あたりを飛び回ってしまう我々。
終わってみれば、本当によく計算されたプロレスである。この試合における
両者の仕事は、健介は新日の正統さ=強さを訴えることであり、大仁田は破天
荒でそれを壊すこと。その意味で、両者ともよく仕事したが、やはりアクの強
さとインパクトで大仁田が一歩長じていた印象は否めないだろう。新日のマッ
ト上が違う色彩に染め抜かれていた。邪道勝利である。
ドームを出て、スキップしながら、飯を食いに行く。いつもだったら、王将
だけど、今日はお祝い、焼き肉だ! 今日のプロレス、5千円払ったけど、充
分元は取った。モルツ3人娘で3千円。大仁田で2千円。ついでに素顔のハヤ
ブサで300円くらい。儲かったじゃないか! それはともかく、大仁田厚。
FMWという最高のプロレス団体を生み捨て、なおも前に歩いていく男。今日
は心底感動いたしました。
![]() | ![]() |
| 喜ぶ大仁田ファン | 肉が焼けるぞ |