レビューE






ホワイトアウト
真保裕一さんの冒険小説です。日本最大の貯水量を誇るダムが武装グループに占拠された。織田裕二 主演で映画化もされたばかりの原作です。人物の描き方が素晴らしく、一人のダム職員が悠然と武装テロリストグループに立ち向かう冒険活劇です。終始、緊迫感あふれる展開で、読み手を飽きさせません。綿密な取材をもとに描かれており、ハイテク化されたダムのシステムがよくわかります。フィクションでありながらノンフィクションに近く楽しめる点はフレデリック・フォーサイス、あるいはトム・クランシーのような徹底的な取材による賜物でしょう。お勧め度★★★★☆




ペルソナ探偵
黒田研一さんの長編ミステリーでメフィスト賞を受賞した『ウェディング・ドレス』に続く第2作です。連作短編集といってもいいかもしれませんが、とにかく上手さが光る作品で、仕掛けられた伏線が最後に収束する様はまさに芸術作品です。第二話の殺人ごっこは短編としてもかなりの出来で、個人的によく楽しめた作品です。とにかくいい作品なので私がグダグダ言うよりも、読んでみるのが一番でしょう。(笑)次回作に早くも期待がかかります。お勧め度★★★★☆




クールキャンデー
若竹七海さんの中編ミステリーで祥伝社の企画ものです。中学生の女の子が主人公で、この主人公による一人称で書かれています。文体は散文のような感じで、個人的にはなじめませんでしたが、女の子のライトな感じと素直な気持ちをあらわすにはこの文体が効果的であるかもしれません。主人公のまわりで起きた事件が、おもわぬ方向に進み、あっというドラマティックな展開を見せるのですが、それは読んでからのお楽しみです。お勧め度★★★☆




ゆきの山荘の惨劇
柴田よしきさんの長編ミステリーです。猫が主人公のミステリーですが、しっかり本格しています。題名どおり、ゆきの山荘、孤立した環境でのクローズド・サークルものですが、クローズド・サークルものにありがちな暗い雰囲気はなく、むしろライトな感じであっさり読めます。猫からみる一人称なので、猫が好きな方にはお勧めです。お勧め度★★★☆




謎まで三マイル
コリン・デクスター氏の長編ミステリーです。この本の最大の問題点、それは翻訳が非常にまずいということです。最近の翻訳は、それが翻訳と気づかずに読めるのが多いのですが、この本は違います。英語の直訳ぽい訳が多々出てくるのです。このために非常に読みづらく、またロジック重視の作品であるために余計に混乱してしまうのです。ただ、作品自体は二人の警察官の視点のドキュメンタリータッチで描かれ面白い構成となっています。また、誰が犯人であるのかという問題に、誰が被害者であるのかという謎が微妙にクロスして作品の出来栄えはいいです。この作品は原作で味わってみたいものです。ただし私も英語力がないのでかなわない夢ですが(^^;)タイトルは実に素晴らしいです。お勧め度★★★




魔弾
極大射程で有名なスティーブン・ハンター著の処女作『THE MASTER SNIPER』が翻訳された作品です。舞台は第二次世界大戦中のドイツ。ドイツの弾道学者が秘密裏に開発した高性能銃の存在をつかんだOSSのジム・リーツは敗戦間近のドイツに降下した。面白いかと言われるとちょっとつらいです。お勧め度★★☆




刑事コロンボ『死の引き受け人』
おなじみの刑事コロンボシリーズで長編ミステリーです。今回、コロンボが対するのはハリウッドで成功を収めた葬儀屋なんですが、日本の葬儀屋というイメージとは大違いなので、アメリカの文化を知るうえでもお得な一冊かもしれません。出来はシリーズの中では、普通の出来といったところでしょうか・・お勧め度★★★




殺しの双曲線
西村京太郎氏の初期作品で本格ミステリーです。フェアな作者が冒頭で触れているように、この作品は双生児がトリックになっているのですが、実に良く出来ています。吹雪の山荘物で、クリスティの『そして誰もいなくなった』を思い起こすような、東北の山荘に招待された6名の男女が次々と殺されていきます。クローズド・サークルが好きな人にお勧めです。お勧め度★★★☆




白銀荘の殺人鬼
彩胡ジュンというペンネームで書かれていますが2人の作家、二階堂黎人と愛川晶によって書かれた合作長編ミステリーです。白銀荘の見取り図なんかがついているので、思いっきりフーダニットの直球勝負かと思ったのですが、それは私の勘違いで、サイコ・ミステリーと本の扉部分にしっかり明記されていました。面白さはどうか?については好みの別れる本だと思います。タイトルに鬼がついているのはどうも鬼門です。(^^;)お勧め度★★




なつこ、孤島に囚われ。
西澤保彦氏の中編ミステリーで祥伝社の企画ものです。表紙はおとなしいが中身がエロというとんでもない隠れキリシタン的な本です。これでは間違えて購入されてしまう人もいるわけで、表紙もフランス書院?くらいドぎつくしないと反則でしょう。ミステリー度はそんなわけで濃いわけもなく、一応論理が展開されますが納得できるレベルではありません。やはり売りはエロなのか〜(笑)お勧め度★★☆




双頭の悪魔
有栖川有栖氏の長編ミステリーです。好評の江神シリーズの第3弾にあたり、これも純然たるパズルミステリーです。前回の話を受ける部分があるので、2作目の『孤島パズル』を読んでいるといっそう楽しめます。読者への挑戦という作者からのメッセージもあり、フーダニットが好きな方にはお勧めです。私は先に映像でこの作品を見ていたのですが、それでも十分楽しめたところは、さすがに有栖川氏といったところではないでしょうか?最近、火村シリーズの出版が多いのですが、こちらのシリーズの方が実は好きだという方は多いのではないでしょうか?お勧め度★★★★