桂木紗枝さんからの情報です。改行+α以外、基本的に原文のままです。



★「星の刻印」
この話の舞台はチベットです。「ペーの国」とはチベット人が使う「チベット」を意味する言葉で、「ふるさと」という意味があるそうです。「プー」を表記することもあります。ちなみに「チベット人」は「プーパ」「ペーパ」となります。
「チェエレンシ」という言葉もチベットのもので、そのものずばり「守護神」を表します。チベット神の守護神とは観音菩薩が人として生まれ変わった姿であり、その人となった観音菩薩こそが代々のダライ・ラマ法王なのです。うーん、ありがたや。(笑)
ダライ・ラマという呼び方はモンゴル人が付けた言い方で、外国人しかこの言葉は使いません。チベット人は「チェレンシ」または「イシンノルブ」と呼びます。イシンノルブは「如意宝珠」のチベット語です。
主人公の名前は「ザザ」ですが、チベットの高級貴族の称号に「ザサー」というものがあります。またザザのあとをよたよたと追う「リンポチェさま」は「高僧」に対する一般的な呼びかけです。
リンポチェのお供をする「ツァロン」と「ジグメー」は、映画「セブンイヤーズインチベット」にも登場する、チベット政府の大臣たちの名前です。特にツァロン家は歴代ダライ・ラマ法王の血族と縁戚関係を結び、代々大臣を出してきた日本で言えば藤原氏級の大貴族です。「チベットのえらい名前」の代表としてお使いになったのかと思います。もっともジグメーはありふれた名前なのですが、当時の高官に多い名前でした。
ツァロン家の子孫の方はインドの亡命地に健在です。

★「君がいた丘」
あの話の「オケイ」さんには確かに実在のモデルがいます。日本史界では「カリフォルニアおけい」と呼ばれている人です。「国際舞台の女性たち」という本に載っていました。
その本ではヘンリーさんは、調査団の質問に目を輝かせておけいさんがどんなにいい少女だったか話した、となっていましたが、「君がいた丘」では無愛想でしたねえ。(笑)

★「シルクロードシリーズ」より、ターラについて
シルクロードシリーズの本編(で、いいのでしょうか)の神様の兄弟プラスアルファを見て、チベット関係でちょこっと追加いたします。(笑)
ターラという女の子がいて分身したりしてる(でいいのかな)みたいですが、彼女はチベット仏教で最も人気のある双子女神多羅(ターラー、ドルマと読む)菩薩がモデルではないかと思います。
衆生の苦しみがつきないことを嘆いた観音菩薩の涙から生まれた双子神で、白の多羅、緑の多羅と呼ばれています。仏画のモチーフとしてもポピュラーで、ドルマはチベット女性の名前としてもよく使われます。

ツァロン家末期の有名な姫君は「リンチェン・ドルマ」というお名前でした。彼女は「チベットの娘」という自伝を出していて日本でも翻訳されていますが現在絶版で、実は私は復刊運動をやっています。(笑)
http://www.fukkan.com/vote.php3?no=4102(復刊リクエストのサイトです、笑)
「セブンイヤーズ」のハラーさんがツァロン家に泊まっていたときに使った部屋は、リンチェン・ドルマさんが実家に里帰りするときに使うために作った部屋です。彼女はダージリンで英国式の教育を受けたので西洋の調度品がそろっていたのでハラーさんには願ってもない部屋だったと思います。

またターラさんには第三の目があるそうですが、チベット仏教の修行者の瞑想に現れて修行を助けるダーキニーという女性精霊は、第三の目を持っています。人と神の間の存在としては、キリスト教で言えば天使のような存在かもしれませんが、天使よりずっと積極的に人と関わります。チベット仏教の女性型具現の代表である多羅菩薩とダーキニーをモチーフに、神坂さんはターラというキャラを創造されたのかと思います。
シルクロード「ゾマの祭り」 の表紙の絵の剣を抜きかかる第三の目を持つ娘は、おそらくダーキニーではないかと思います。
人の心の弱さを怒り、それを打ち壊すための剣をダーキニーは持っています。私たちがよく知っている「でんでん太鼓」も彼女の持ち物です。(笑)ダーキニーはこの二つを両手に持って描かれることが多いです。



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