■ 「蒼のマハラジャ」登場人物  ■

この作品は、大体1940年代をメインにしています。史実に基づいている部分もありますが、 主な登場人物については、全て架空ですね。
モイラ・バーンズ(モイラ・バーンズ・シン)
スタート時、14歳の少女。第二次世界大戦終了時で、大体20歳くらいかな。
イギリス人。のちに、インドのラジャスタン藩王国のひとつ、 ジョドプール王国のマハラーニ(王妃)となります。(だから一応、クリスチャンから ヒンディーに変わったことになります)
お父さんが、英国インド領におけるスパイであり、14歳の時にインドにやってきた。 ラジャスタン藩王国のひとつ、ジョドプール王国唯一の後継者: シルバと出会ったことで、彼女の人生は大きく変わってゆく。
とにかく快活でパワフルな女の子。見かけは華奢ですが、 思い立ったら即実行、一度やり始めたら、とことんやり抜くタイプです。
シルバと結婚して、モイラは確かに「おとぎの国の王妃」になったけれど、 事実上モイラの立場は、ジョドプール王国という巨大な会社 (しかも内外ともに多くの困難を抱えている)の経営者。 そんな「王妃」になった女の子を、あくまでキュートに描いた作品 って珍しいんではないかなと思います。
シルバ・アジット・シン
ジョドプール王国の第40代目マハラジャ。モイラより一つ年上。
戦後のインド政府の政策によって、最後のマハラジャとなった。 モイラの夫。この作品のタイトル「蒼のマハラジャ」は、彼のこと。
最初の登場時こそ、貧相なくらい子ども子どもしてましたが、 モイラと出会って、あっというまに立派な青年になってしまいました。
というわけで、1巻の終わり頃で既に完成したキャラクターになってしまい・・・ 状況をきちんと把握し分析する冷静さと聡明さを併せ持ち、 モイラを一途に愛していて、と凡そ条件らしい条件は全部揃っているんですが、 それゆえにモイラのはちきれんばかりのエネルギーに対して、 ちょっと抑制的すぎるかな?でも実に素敵な男性です。
ちなみにヘビが大嫌い。(^^;)
シバパンディット
ともに、マハラーニ:モイラの付き人。この作品中、最もヒットなコンビ。
お人好しで、間が抜けていて、でもモイラのためにいつも一生懸命。 気落ちしているモイラを励まし、調子に載せるのも彼らだったりします。
特筆すべきは、この仲のよいふたりが、それぞれシバはヒンズー、 パンディットはイスラム、と宗教が違う点です。 ある意味、モイラやシルバの目指す「国」を具現しているふたり。

モイラとともにイギリス脱出の際、このふたりが用意したのがなぜか、 ちっちゃな手こぎボート。しかもカレー持参。これでドーバー海峡を渡り、 はるばるインドを目指すってんだから、気の長い話です。
のちにモイラは、「マハラーニのためなら、どんな異教の地でも耐えてみせます」 などと言われたとき、「そー言って、ドーバーをボートで渡らせてくれた奴がいたわ」 とぼやいてます。

おばあちゃま(マーサ・バーンズ夫人)
モイラの父方の祖母。モイラにそっくりな(向こう見ずなくらいの)行動力と、 思いやりのある女性。
イギリス人らしい上品なおばあさまですが、 ナチスに追われるユダヤ人達を独特のテンポで助けたり、 いざというときの助言も的確。この年でインドへの永住を簡単に決意したり、 必要性を感じたら全財産をぱっと使ってしまうなど、思い切りもよし。
こんなおばあちゃまになれたらと思います。毎日楽しくていいでしょうねえ。
ジャイ(サヴァイ・マーン・シング・バハドゥール)
ジャイプールのマハラジャなので、みんな「ジャイ」って呼んでます。シルバのよきパートナー。 シルバより、5〜6歳年上かなあ。宗教はイスラム。
ジャイプール王国は、ラジャスタン藩王国中最も大きな国。
ジョア・ホールディンチャンドリカ
ジョアはイギリス人で、専門は建築。チャンドリカはインド人で、専門は医学。
ふたりともケンブリッジ出身で、そこでチャンドリカに惚れたジョアは、 インドまで追ってきて、めでたくゴールイン。
ジョアは、マハラジャ・シルバの新王宮建築の責任者。モイラの「町造り」も、 彼がだいぶん助けたのでは。始めの頃、シルバとモイラの家庭教師をやっていたことも。
チャンドリカも、新しく生まれ変わるジョドプールに随分、貢献しています。 あと、モイラとシルバの赤ちゃんをとりあげたのも、彼女ですね。
エミール・ラージャ(ラージャ・エル・フィール・マフマド・イブン・サウド)
サウジアラビアのサウド家:第16王子。勿論イスラム教
シルバとうり二つな容姿を持っていますが、性格はむしろ反対。 話が進むほど、コメディなキャラクターになっている・・・ 強引で、自分勝手なこともしてしまうけれど、それは経験不足によるものであって、 実際には分かっている訳で・・・モイラについての形容、 「どんな力にも屈しない、アラブの戦士のような彼女」 というラージャの台詞が、個人的にとても気に入っています。
ま、とにかく憎めないイイ奴です。後半登場しなかったのが残念。 もっと出してほしかった。
ウシャ
ウダイプル(ラジャスタン藩王国のひとつ)の姫君。宗教はイスラム。
おとなしくって我慢強い、かわいい女の子。シルバの妃になる予定でしたが、 結局ラージャのところへ嫁いでいきました。
モイラと凡そ正反対のタイプですが、(モイラの影響という修正を加えながら 基本的に)こんな女の子も、作者は、肯定的に描いています。
ナルシス(シンディア・バーンズ)
インド・カースト制度の最下層・ハリジャン(不可触選民)の少年。 容姿がとてもきれいなので、おばあちゃまが「ナルシス」と名付けました。
名前もなかった、という設定を背負っての登場は、全10巻中9巻です。そのくらい、 彼が出てくるにあたって、様々な時間と過程が(モイラに)必要だったのかもしれません。
モイラが、なぜナルシスと一緒にいられないのか悟ったとき、そして、 多くの悲しみを乗り越えて、ナルシスが「奥さんや子どもを目の前で殺された (ユダヤ人の)ハシディームさんよりも、ボクの方が幸せだ」 と言えるようになったラストへの繋がりは、感動的です。



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