Do You Remenber
NICOLETTA ELMI ?


天使のようなニコレッタと、悪魔のニコレッタ。


皆さんはニコレッタ・エルミという子役をご存知ですか?
ダリオ・アルジェントの
「サスペリア2」で、事件の謎を解くために
D・ヘミングスが訪ねる不動産屋で登場する、赤毛の娘がエルミです。
トカゲをピンで刺したり、「オバケがいるんだから!」と叫んだり、
気味の悪いルックス(失礼!)を活かした見事な演技が
印象的でしたが、彼女はその前後も数本の作品に出演、
子供時代をホラー・サスペンス映画で過ごした変わった経歴の
女優さんなのです。

エルミがそれらの諸作に出演したのはごく限られた期間だけでしたが、
イタリアン・ホラーのファンからは、彼女の出演作は全て非常に重要な
作品として評価されているものばかり。


「私がスクリーンから消えたのは、もう私に会うような役柄が
映画からなくなってしまったからなのよ。」とエルミは語っている。
「私がティーンズになってしまった途端、映画のプロデューサー達は
私に対する興味を完全になくしてしまったようね。
彼らが映画に欲しかったのは小さな悪魔っ娘だったのよ。」

かのダリオ・アルジェントから「スクリーミング・キッド」という愛称を授かった、
燃えるような赤毛の持ち主だった少女ニコレッタが、映画界に足を
踏み入れたのは、イタリア映画界では良くあるように全くの偶然から。
当時エルミがなついていた叔母、マリア・ジョヴァンナ・エルミ(下)は、
イタリアのTV番組の人気司会者を務めていて、
エルミは撮影現場になっていたチネチッタや、
番組の打ち上げパーティーに良く出入りしていたのだそうだ。

 
M・G・エルミ。似てる?

そんなとき、偶然エルミを目にしたイタリア映画監督ロベルト・
マノレッティはまだ4歳だった彼女の不思議な雰囲気と、
真っ赤な赤毛に魅せられ、1969年の監督作
「姉妹」で彼女を
映画デビューさせた。
「姉妹」はナタリー・ドロン扮する姉と、
スーザン・ストラスバーグ演じる妹の確執を描いた作品で、
もちろんホラーやサスペンスではないが、効果音や音楽の使い方、
奇妙な人間関係やプロットなどが醸し出す不思議な雰囲気が
出色の作品。エルミはドロンが貨車で出会う可愛らしい少女を
演じている。当時を振り返ってこうコメントしている。

「あの映画が私がキャメラの前に立った一番最初の経験だったわ。
実際、撮影現場で私がどう振る舞っていたのかは良く覚えていないけど、
君はちょっとシャイだね、って誰かに言われたのだけは覚えているわ。
でもそんな小さな女の子が初めて撮影現場に来たら、シャイな反応をして
当然だと思わない?あの映画はナタリー・ドロンと、スーザン・
ストラスバーグが主演にクレジットされていてね。違うわ!
あの映画はホラーじゃなかったのよ。」

食堂車で登場する幼女エルミ。確証はないが、
年齢から言って、この少女に間違いないだろう。



ニコレッタ・エルミは子供の頃から映画界に身を置いて、
数本のコメディ映画に出演していたが、本人はそれらについて
「どんな映画だったか良く覚えていない」と語っている。
エルミがホラー映画に始めて出演したのは彼女が6歳の時。
それがマリオ・バーヴァの監督した
「血みどろの入江」だった。

「ホラー映画でキャリアを始められたことは私にとって
とてもラッキーだったと思う。でもバーヴァについては
どんな人だったのか良く覚えていないわ。彼はホラー映画史に
残る傑作を発表し続けた人ね。彼の映画は今でも同じ
ジャンルの映画群に多大な影響を与え続けていると思う。」


「血みどろの入江」では幼いエルミが兄と共に
両親を殺害する場面があるが、後に発表された
「ザ・チャイルド」や「チルドレン・オブ・ザ・コーン」等、
子供の繰り広げる殺戮を描いた作品を例に挙げ、
「似たような悲劇的モチーフを扱った映画は何本もあるけど、
結局マリオの監督した作品ほどのクオリティに達した映画は
見あたらないわ。私の演じた役柄は私自身見たこともないような
アメリカ製のホラー映画に影響を与えているようね。
その点については良く人から指摘されるわ。」とエルミは
他の作品を評価している。

彼女の両親は、自分たちの娘が映画の中で殺人を犯すような
役柄を与えられても、ちっとも構わないという人々だったらしい。
「多分、両親は私がそんな映画を見る筈はないだろうと
考えていたのかもしれないわ。


「ナイトチャイルド」で悪事を働くエルミ。この顔、怖すぎ。

エルミの個人的な意見では、彼女のキャリアの中で最も良くできた
作品は、D・アルジェントの
「サスペリア2」だという。
また演技の面に関してもベストの出来で、ジャンル映画の
代表格となった
「サスペリア2」は、エルミの誇りらしい。

しかし、彼女が撮影現場について思い出すのはなにも
「サスペリア2」
だけではない。M・ダラマーノの「ナイトチャイルド(V)」では、
エルミはスター俳優達に混じって、初めて主役級の役を演じ
その存在感を観客達に見せつけた。



70年代中頃で映画界から遠ざかった後、暫くのブランクを経て
エルミは再びアルジェントが製作した
「デモンズ」に出演。
彼女の少女時代を知る一部のイタリアン・ホラー・ファン達から
大いに歓声を浴びた。

「デモンズ」の撮影中にはファンゴリア誌からもインタビューを受け、
幼い頃の思い出を語っている。
彼女の実像は映画のそれとは違い、セクシーでありながらも
優しく可愛らしい一面を持ち、はっきりと自分の意見を主張しながらも
決してそれが嫌味にならないタイプなのだとか。
実際にファンゴリアのインタビュアー氏が感じたエルミの印象は
ちょっと古風で礼儀正しく、質問には熟考しながら答え、
何かを説明するときには嬉しそうに、また自分の意見もちゃんと発言する
女性だったそうだ。そんなチャーミングなエルミは機会があれば、また
女優業に復帰してみたい意向を持っている。しかし彼女はエージェントを
付けていないので、なかなか映画の企画が来ないんだそうだ。
そんな彼女がいつか銀幕に復帰することを祈ってこのページを作ってみました(笑)。


役作りの為には努力を惜しまず!でも煙草は20になってから。


<フィルモグラフィー>

デモンズ(1985)
Demoni
aka :Demons (米題)
イタリア映画/カラー・88分/ヴィスタサイズ
日本劇場公開86年4月(配給:東宝東和)/


↑噂のモギリ嬢、エルミ。後半では予想通りバケモノ化。↑

●前作「ナイトチャイルド(未)」(75)から、およそ10年を経て蘇ったエルミ!
怪しげな案内嬢役がハマってる!詳細は題名をクリック!!

 

 

「I Ragazzi della Terza C (TV:未)」(1984〜89)


監督:クラウディオ・リージ
出演:ファブリッツィオ・ブラッコネリ(ブルーノ・サッキ)/
レナート・チェスティ(マッシモ・コンティ)/ステファニア・ダッダ(エリアス)/
ファビオ・フェラーリ(チッチョ・ラッツァレッティ)/シャロン・ガスベルティ
(シャロン・ザンペッティ)/ニコレッタ・エルミ(ベネデッタ・ヴァレンティーニ)/
ジャコモ・ロセッティ(ダニエレ・ルテッリ)/クラウディア・ヴェランテ
(ロッセラ・シュネル)/フランチェスカ・ヴェンチューラ(ティシーニ)

●「ナイトチャイルド」から「デモンズ」までは、ほぼ10年間沈黙していたと
思われていたエルミ。だが、最近になってポロポロと目撃情報が浮上。
「デモンズ」の前年から始まったこのTVシリーズもその一つで、
IMDbの投稿欄では"イタリアのベストTVショー"と評されている。

中身はティーン向けのコメディドラマで、放映当初から話題となり、
現在もファンサイトが運営されているほどの人気番組に。
ドラッグの問題や自殺志願を含め、人生に思い悩む若者たちの群像劇を、
肩のこらないライトな演出で描き出したもの。
エルミは写真から察するに(またしても)オカルト少女?:笑
物語のメインとなる若者の一人に「虹を渡る風船」などで
日本でも人気があった子役のレナード・チェスティがいて、
彼の変りっぷりも驚き。番組の詳細が分かるファンサイトは
ココ
(写真もそこからパチりました。ゴメンネ・・・
でも、それ以外のエルミの写真は、この頁からパクられてる・・・:笑)


↑何て言っていいのか・・・
目の辺りは面影ありますね。

 

 

「Windsurf - Il vento nelle mani 」(1984)

イタリア映画/カラー・88分/日本未公開(ビデオ未発売)
監督:クラウディオ・リージ
出演:ウルバノ・バルベリーニ/ピエール・コッソ/
ニコレッタ・エルミ/フィリップ・リロイ/
ララ・ナツィンスキー/パオラ・オノフーリ

●「I Ragazzi della Terza C」と同じく、C・リージ監督の
(多分)青春映画。伊題の英語直訳である「Windsurf -
The wind in the hands」から察するにサーフィンもの(まさかね)?
スゴイのはキャストで、「デモンズ」のU・バルベリーニを筆頭に
ナスターシャ・キンスキーの従姉妹で「暗闇の殺意」のL・ナツィンスキー、
「ラ・ブーム」のP・コッソも出てる。これ、見たい・・・。

 

 

「Amarsi un po' (未)」(1984)

イタリア映画/カラー・93分/日本劇場未公開(ビデオ未発売)
監督:カルロ・ヴァンツィーナ
脚本:カルロ&エンリコ・ヴァンツィーナ

出演:クラウディオ・アメンドーラ(マルコ・コッチア)/
ターニー・ウェルチ(クリスティーナ)/パオロ・バローニ(ルドヴィーコ)/
アライン・ブロンドー(フェリックス)/アウレリオ・ボルツィーリ/
ファブリッツィオ・ブラッコネリ/マリオ・ブレーガ(アウグスト・コッチャ)/
クラウディア・カヴァラカンティ/クリスティーナ・コレッチア/
ロサンナ・ディ・ロレンゾ/ニコレッタ・エルミ(アマンダ)/
リカルド・ガローネ(チェリーニ王)/ヴィルナ・リージ(マリア王妃)/
カルロ・マレスコッティ・ルスポリ(ウルバノ)/ジャコモ・ロッセリ/
マルコ・ウルビナーティ(スルフィスタ)

こんなのが埋もれてたなんて!前に調べたときは無かったのに!
監督はイタリア喜劇の伝説的巨人ステーノ(
S・ヴァンツィーナ)の息子で、
「ドレスの下はからっぽ」や「アバンチュールはデュエットで」などのジャッロ、
そして最近はレスリー・ニールセン主演で歴史喜劇
「裸のローマ帝国
20001/2年前」なんてのを撮っているC・ヴァンツィーナ。

若いメカニックである青年マルコが、偶然出会った美女クリスティーナと
恋に落ちるが、彼女は何とプリンセス!クリスティーナにとって、
身分の差は恋の障害にはならなかったが、彼女の両親は大慌て。
ある晩、クリスティーナはマルコに電話をかけ、
自分が結婚する日が近づいていること告げようとする。
しかしマルコはパリへ向かうカーレースに出場中、
事故に遭ってしまい・・・というような他愛ないもの。

イタリアでは
84年の10月に公開。ローマ周辺でロケされた映画らしい。
要するに現代版「ローマの休日」みたいな映画か??
主演のマルコ役を「永遠のマリー」「王妃マルゴ」に出演したC・アメンドーラ、
相手役のお姫様を永遠のセクシー・ボム
=ラクウェル・ウェルチの
娘で、「コクーン2」などに出ていたT・ウェルチが演じている。
しかもターニーの母親役(多分)は、あのヴィルナ・リージ!!
「恋のセックスゲーム」
(83)に続く出演作のようだ。

 

 

「ナイトチャイルド (V)」(1974〜75)
aka : The Cursed Medallion / Il Medaglione insanguinato - Perche? /
   : Night Child /The (76:米) / Perche !


イタリア映画/日本劇場未公開(DVD発売:エプコット)

監督:マッシモ・ダラマーノ
脚本:マッシモ・ダラマーノ/フランコ・マロッタ

出演:リチャード・ジョンソン(マイケル・ウイリアムズ)/
ニコレッタ・エルミ(エミリー・ウイリアムズ)/ジョアンナ・キャシディ/
リラ・ケドローヴァ/イヴリン・スチュアート[イダ・ガッリ]/
エドモンド・パルダム

●「毛皮のヴィーナス」のマッシモ・ダラマーノが撮った悪魔憑き物。
エルミはリチャード・ジョンソンの娘、エミリー・ウィリアムズ役。
作品の要となる重要な役柄を演じているだけに、
「サスペリア2」よりもずっと出番も多く、まさに悪魔っ子エルミの為に
企画された
決定打、という印象。
このページに使った写真は大部分がこの作品からだが、
ご覧になってお分かりのように、ティーンになったエルミは
とても個性的で、その後が期待できそうなルックスをしている。
本作は初めてエルミが主演した記念碑的映画だが、残念ながら
これを最後に彼女はすっかりスクリーンから遠ざかってしまった。

明らかに「エクソシスト」のヒットを受けて製作された
「Night Child」だが、セルジョ・レオーネの作品で経験を積んだ
監督のM・ダラマーノの冴えた演出があちこちに垣間見られ、
この作品を隠れた傑作と呼ぶに相応しい出来に仕上げている。
ダラマーノは76年に不慮の交通事故死を遂げてしまったが、
西部劇の名作「バンディドス/CREPA TU ... CHE VIVO IO」(67)や、
ジャーロ映画のジャンルで古典とされる傑作「ソランジェ/残酷なメルヘン(V)」 (71)、
H・ベルガーを主演に起用し、有名な著作をスリージーに映像化した
「ドリアングレイ:美しき肖像」(72)などを撮り残している。



家庭内暴力に走るエルミ。笑ってます。うふふふ。


<物語>
妻を火災で亡くしたイギリス人のTVプロデューサー、
マイケル(ジョンソン)は悪魔崇拝の影響を強く受けた絵画の
TVドキュメンタリーを製作する為、娘のエミリー(エルミ)、
秘書(スチュアート)らと共にイタリアにある古城にやって来る。
彼は問題の絵画の中に、最近謎の焼死を遂げた妻の死にざまと
ソックリの絵があるのを発見してショックを受ける。
一方、エミリーが手に入れたメダリオンには魔力が秘められており、
彼女の性格はメダリオンのせいで豹変し、父親と彼の新しい恋人
(キャシディ)は様々な怪奇現象に苦しめられ始める。

悪霊に取り憑かれたエミリーは、クロッケーの杖で秘書を
滝壺に突き落とし、次は焼死した母親と同じ手口で
愛人をも焼き殺してしまおうとする。

エミリーは廃墟となった教会に足を踏み入れ、
悪魔の魔力が取り憑いた呪いの絵画と対面し、恐怖に戦く。
後を追ってきた父親の深い愛を込めた抱擁でエミリーは我に返るが、
その時、邪悪な力を受けた短剣が二人の体を貫いた・・・。


(前世を思い出すエルミ↑。初テレシネとなる
伊版プリントを使った日本のDVDには、
他のマスターにない前世のシーンが入ってました)


劇中、葡萄酒の樽と車が衝突するという
素晴らしいアイデアが披露される事故シーン。
助手席に座る父親役は「サンゲリア」「フィッシュマン」
「デアボリカ」のリチャード・恥知らず・ジョンソン。


監督のダラマーノについてエルミは、
「彼はとても才能ある人で、視覚的な効果について
とても良く分かっていたと思うわ。ダラマーノは私に
自分の与えられた役を演じるために努力を惜しんではいけない事、
それに何より役に情熱を注ぎ込む楽しさを身をもって教えてくれたわ。
私がもし、観客の皆さんから上手な子役だと評価して貰えたなら、
それはダリオとダラマーノから得た物がとても役に立ったのだと思うわ。」
・・・と語っています。


 

「サスペリア PART 2」 (1975)
Profondo rosso
aka : Deep Red [米:98分]/ Deep Red Hatchet Murders /
   :Dripping Deep Red / The Hatchet Murders[米題]/
   :The Sabre Tooth Tiger[仮題]/Suspiria ( part ) 2[日本版英題]/


イタリア映画/カラー・106
分(イタリア版は125分)
日本劇場初公開78年9月(配給:東宝東和)
ビデオ(発売元:日本コロムビア<英語版>/
    カルチャア・パブリッシャーズ<伊語・全長版>)
LD(発売元:日本コロムビア<英語版>/
   カルチャア・パブリッシャーズ<伊語・全長版/
   「サスペリア」とのカップリング>)
DVD(カルチャア・パブリッシャーズ<伊語・全長版>)

製作会社:リッツォーリ・フィルム
製作:クラウディオ・アルジェント/サルヴァトーレ・アルジェント
監督:ダリオ・アルジェント
脚本:ダリオ・アルジェント/ベルナルディーノ・ザッポーニ
撮影:ルイジ・クヴェイレル
編集:フランコ・フラティッシェリ
美術:ジュセッペ・バッサン

美術助監督:マウリッツィオ・ガローネ
セット装飾:アルマンド・マンニーニ
衣装:エレナ・マンニーニ
メイキャップ・スーパーヴァイザー:ジュリアーノ・ラウレンティ
メイキャップ:ジョヴァンニ・モリージ
へア・スタイリスト:ニコラ・パロンビ
特殊効果:カルロ・ランバルディ/ジェルマーノ・ナターリ
プロダクション・マネージャー補:カルロ・クッチ
助監督:ステファーノ・ローラ
サウンド編集:ニック・アレキサンダー
サウンド録音:マリオ・ファラオーニ

ブーム技師:エウジェニオ・フィオーリ
音楽:ジョルジョ・ガスリーニ/
    ゴブリン(ウォルター・マルティーノ/マッシモ・モランテ/
    ファビオ・ピニャッテリ/クラウディオ・シモネッティ/
    アゴスティーノ・マランゴロ/アントニオ・マランゴロ)

出演:デヴィッド・ヘミングス(マーク・デイリー)/ダリア・ニコロディ
(ジャンナ・ブレッツィ)/マーシャ・メリル(ヘルガ・ウルマン)/
ガブリエレ・ラヴィア(カルロ)/ジュリアーナ・カランドーラ
(アマンダ・リゲッティ)/エロス・パーニ(カルカビーニ警部)/
ピエロ・マッツィーニ(バルディ)/グラウコ・マウリ(ジョルダーニ教授)/
クララ・カラマーイ(マーサ:カルロの母)/アルド・バナマーノ(カルロの父)/
リアーナ・デル・バルッゾ(エルヴァイラ:アマンダ・リゲッティのメイド)/

ヴィットリオ・ファンローニ/ダンテ・フィオレッティ/ジュラルディン・フーパー
(マッシモ・リッチ:カルロの恋人)/ジャコポ・マリアーニ/
フリオ・メニコーニ(ロッジ:不動産屋)/フルヴィオ・ミンゴッツィ
(ミンゴッツィ刑事)/ロレンゾ・ピアーニ/サルヴァトーレ・パンティーロ(刑事)/
ピエロ・ヴィーダ(太った刑事)/ニコレッタ・エルミ(オルガ:リッジの娘)/
サルヴァトーレ・バッカーロ(果物屋:クレジットなし)/アンティーロ・ドテッシーオ
(花屋:クレジットなし)トム・フェレジー(外科医)/グラウコ・オノラート
(クレジットなし)/マリオ・スカッキア(超心霊学会会場の観客)

●アルジェントの最高傑作。D・ヘミングス扮する主人公マークが
殺人事件の謎を追ううちに、辿り着いた謎の空き家を管理する
不動産屋ロッディの自宅。そこでマークが出会う、気味の悪い事が
大好きなオカルト少女、オルガを演じているのがエルミ。
この役は彼女の集大成っぽい雰囲気があり、エルミ自身もこの映画は
自分の出演作の中でも特別なお気に入りなのだとか。

撮影中のエピソードとして、エルミがデイビッド・へミングスに片手を上げて
応える場面を撮っているとき、アルジェントは彼女に右手を上げて
欲しかったらしく、エルミのところへやって来ると、いきなり彼女の右手を
ガブッと噛んだのだそうだ。そして「痛い方の手はどっち?」と尋ね、
エルミが右手を上げると、「じゃ、そっちの手を高く上げてね」と言い残し
カメラの向こうへと帰っていった。撮影は問題なく済んだが、
エルミは大変なショックを受けたという(画面の中でも私の動揺ぶりが
表情に出てしまってるわね!と彼女はインタビューで答えている)。
他にもエルミがトカゲのイタズラを見つけた父親から殴られるシーンで、
父親役の俳優が本気で顔をぶったので痛かったワ、と回想している。

<物語>
ヨーロッパのある都市(ローマ?)で開かれた超心霊学会の会場で、
テレパシーと透視の超能力を持ったドイツ人女性ヘルガ・ウルマン
(M・メリル)が突然、会場の中に殺人鬼がいることを察知し、
かつてその人物が犯した血みどろの殺人現場を遠視する。
その晩、アパートで一人休んでいた彼女は何者かに襲われ、
肉切り包丁でメッタ切りにされて惨殺されてしまった。

偶然にその現場を目撃したイギリス人ピアニストのマーク・デイリー
(D・ヘミングス)は、要領を得ない地元の刑事カラブリーニ(E・パグニ)の
詰問にうんざりしながらも、特ダネの為なら危険も厭わない
猪突猛進型の女性新聞記者ジャンナ・ブレッツィ(D・ニコロディ)と
協力して殺人事件の背後に潜む、かつて起きた殺人を追う。

マークは殺人現場となったヘルガの部屋にあった一枚の絵と
アパートから歩き去った茶色いレインコートの男を目撃しており、
そこに事件の謎を解く鍵があると睨む。
殺人のあった晩、ヘルガのアパート前でしばらく会話を交わした
マークの友人カルロ(G・ラヴィア)はアル中のイタリア人ピアニストで、
元は女優だった母親マルタ(C・カラマーイ)と暮らしていた。
マークはカルロに自分が気にかかっている絵の事を相談するが、
彼は「そこには重大な意味があるはずだ」と言い、マークに
危険だから事件に深入りしないように忠告するのだった。

神経質で芸術家気質のマークと、ウーマンリヴの代表選手のような
タイプのジャンナは、常に小競り合いを続けながらも捜査を続け、
ヘルガと親しかった心霊学者のバルディ(P・マッツィンギ)と
ヘルガの愛人でもあったジョルダーニ(G・マウリ)と接触する。
しかしマークの身にも危険が迫り、何者かがアパートに侵入、
もう少しで殺されそうになる恐ろしい体験をするはめになる。
マークはドア一枚隔てた向こうから「お前を殺す」と囁いた老若男女とも
取れない異様な声と、アパートから立ち去る茶色いレインコートの人影、
そしてどこからともなく聞こえてきた奇妙なララバイを耳にしていた。

ジョルダーニらは、殺されたヘルガが超心霊学会の会場で幾つかの
光景を言い残しており、その中に子供の歌うララバイもあったことを思いだし、
アマンダ・リゲッティという女性が書いた都市伝説と幽霊を扱った著書に
子供の歌が聞こえる幽霊屋敷の話が載っていたとマークに教えてくれた。
マークは本の作者アマンダ(G・カランドーラ)に会いに行くが、彼女は既に
殺人魔によって酷たらしく惨殺された後だった。
また、アマンダ殺害の現場に残されたダイイング・メッセージから
犯人の手がかりを掴んだジョルダーニも自室にいるところを襲われ、
ナイフで刺殺されてしまう。

マークはアマンダの著書に掲載されていた幽霊屋敷の写真を手がかりにして、
郊外にある今は廃墟となった問題の屋敷を発見、単身その内部を調査し始める。
マークがそこで見たのは、塗り込められた壁に描かれた奇妙な絵。
それはクリスマスツリーを背景に胸を血に染めた男と、血だらけの包丁を
高く掲げた少年を描いた物だった。
夜になって、アマンダの著書の写真と、現在の屋敷を比較して
窓が一つなくなっているのに気付いたマークは、屋敷の中に隠された部屋が
あることを確信、再び屋敷に乗り込む。そして遂にマークは壁の向こう側に
閉ざされたままの部屋を見つけ、そこでミイラ化した男の死体を目撃した。
しかし背後に迫った何者かがマークを殴りつけ、彼は失神してしまう。

マークが意識を取り戻すと、彼の目の前で屋敷は業火に包まれ、
今にも焼け落ちていくところだった。マークの残したメッセージを読んだ
ジャンナが屋敷に駆けつけたところ、彼は燃えさかる火の中に
倒れていたという。万事休す。殺人を証明できる証拠は消えてしまった。
意気消沈し、屋敷を管理する不動産屋の自宅から警察に連絡して
火災を伝える2人。その時、マークは気味の悪い事が大好きな不動産屋の娘
オルガ(N・エルミ)の部屋に飾られた1枚の絵に釘付けになった。
それはあの屋敷にあったのと全く同じ絵だったのだ!
オルガに絵の在処を問いただした2人は、彼女の通う小学校へ向かう。
オルガは資料室で同じ絵柄のスケッチを見つけ、それを元にして自分でも
同じ絵を描いていたのだ。とうとうマークは絵が誰によって描かれたのかを知る。
それはカルロだった。

暗闇の中でジャンナが襲われて重傷を負い、踏み込んできた警察に
驚いたカルロは道路に飛び出して車に轢き殺された。
しかしマークの中には釈然としない謎が残されていた。
再びヘルガの部屋に戻ったマークは、自分が見たと思いこんでいた絵が、
廊下に飾られたガラスに写った人間の顔だったことに気付く。
それは憎悪に満ちた恐ろしい表情の顔だった。
事件の真犯人に気付いたマークの背後に、茶色いレインコートを着て
ヘルガを殺したのと同じ巨大な肉切り包丁を手にした殺人魔が忍び寄っていた。
異常な連続殺人の真犯人、それは
カルロの母親だった。
精神に異常をきたした彼女は、自分を病院に入れようとする夫を
クリスマスの晩にナイフで殺害、死体を屋敷に隠し、以来秘密を暴こうとする
人間を次々に殺害してきたのだった。カルロは母親をかばおうとして
自ら命を落とした被害者だったのだ。唸り声を上げて襲いかかる老母の
凶器から逃れたマークは廊下で転倒してしまい肩を切りつけられるが、
危うく身をかわし、勢い余った母親はエレベーターホールにネックレスを挟んでしまう。
マークがとっさにエレベーターの降下ボタンを押すと、ネックレスのチェーンが
母親の首に巻き付き、凄まじい音を立ててその首をもぎ取った。
こうして血塗られた連続殺人事件は、そのおぞましい幕を降ろしたのだった。
(今更だけどネタバレを反転処理。遅いっつーの)

 

 

悪魔のはらわた」(1974)
Flesh for Frankenstein



aka :Andy Warhol's Frankenstein[米題]/Frankenstein /
   :Andy Warhol's Young Frankenstein /
   :Up Frankenstein / Carne per Frankenstein (伊題)/
   :De la chair pour Frankenstein (仏題)/
   :The Devil and Dr. Frankenstein /
   :The Frankenstein Experiment

【別邦題】悪魔のはらわた/フレッシュ・フォー・フランケンシュタイン(ビデオ新題)
      フレッシュ・フォー・フランケンシュタイン(リバイバル上映題名)
      アンディ・ウォーホルのフランケンシュタイン(衛星放映時題名)

イタリア=フランス合作/カラー・97分/シネマスコープ
日本劇場初公開:74年8月(配給:ヘラルド)
再上映:95年6月(配給:コムストック)

製作会社:チャンピオン・フィルム=ジャン・ヤンヌ=
       ジャン・ピエール・ラサム・プロ
製作総指揮:カルロ・ポンティ
製作:アンドリュー・ブラウンズバーグ
監修:アンディ・ウォホール
監督:ポール・モリッシー/アンソニー・ドーソン[アントニオ・マルゲリティ]
脚本:ポール・モリッシー
撮影:ルイジ・クヴェイレル
特殊効果:カルロ・ランバルディ
音楽:クラウディオ・ジッツィ

出演:ジョー・ダレッサンドロ(ニコラス)/ウド・キア

(フランケンシュタイン男爵)/モニク・ヴァン・ボーレン(カトリン)/
アルノ・ジュエギング(オットー)/サッシャ・ゼルノヴィーク
(男の人造人間)/ダリラ・ディ・ラッツァーロ(女の人造人間)/
ニコレッタ・エルミ/カルラ・マンシーニ(農婦)

●フランケンシュタイン伯爵の血みどろの惨劇を、こっそりと
壁の通路から覗き見ている兄妹。その妹モニカがエルミ。
ニュープリントのクライテリオンLDでは、エルミの名前がなぜか
農婦を演じたカルラ・マンチーニに入れ替わっている。

日本ではアンディ・ウォホールの映画として紹介され続けてきた
「悪魔のはらわた」だが、実際に現場を仕切ったのは本編に監督として
クレジットされているポール・モリッシーではなく、「地獄の謝肉祭」の
アントニオ・マルゲリティらしい事が最近になって分かってきた。

しかし海外で発売されたLDにオーディオ・コメントを寄せた
モリッシーは堂々と各々の場面について自分が考えていた
演出効果を語っているので、どこまでがそれぞれの分担なのかは
良く分からない。マルゲリティ自身は「悪魔のはらわた」について
「プロデューサーだったカルロ・ポンティ(イタリアの大御所)が
私に電話してきてね、同時進行で撮影中の2本の映画(もう1本は
「処女の生血」の事か?)が上手く行っていないので、
私にフォローを頼みたいと言ってきたんだよ。私が現場入りすると
実際にはやることは余り残されていなかった。モリッシーは
ウォホール映画で実践したアングラ演出しか経験がなかったので、
台本は全く使わず即興で撮影を続けていたんだが、
この映画には商業作品としてのキッチリした筋立てが必要だったし、
全体の体制を整える必要もあったんだ。ただ撮影は殆ど
終わっていたので、私は特殊効果を追加し、映画を3D(立体)に
仕立てたんだよ。「悪魔のはらわた」はイタリアのマスコミからは
カルチャー面を持てはやされたが、海外では無視だったね。
H・G・ルイスのゴア映画をちょっとお上品にしただけの作品だと
叩かれるか、でなければ完全無視だ。まぁ映画には結構面白い
場面もあったので、それなりの稼ぎにはなったようだがね。」

これもパチりました。ゴメンナサイ。

エルミはこの映画について「映画を監督したのはマルゲリティ」と
言い切っている。「マルゲリティが起用されたのは映画の撮影が
半分終了した時点で、彼は主に役者の演出と特殊効果を
任されていたわ。(これは事実関係が確認されている)
ポール・モリシーと会ったかどうかは良く覚えていないの。
もし会っていたとしても彼については何も覚えてないわ。」

(エルミが出てくる場面は主に特殊効果が絡むシーンが
多いので、モリッシーに対する感想も当然か?)

更にエルミは「悪魔のはらわた」について
「この映画もやっぱりどんな内容の映画なのか深く考えて
出演した訳じゃないわ。私の周りで撮影されているシーンが実際は
どんな内容なのか、私自身は全然理解していなかったんだもの。
子供の頃って、日常の全てが一種の遊びのように思えるでしょう?
それに映画の撮影現場にいるって事は私にとって凄く興奮する
体験だったのよ。なにしろセットで目にする物は私にとって
全部が新しい発見だったから。・・・「悪魔のはらわた」の現場で
良く覚えているのは、チネッチッタの中に建設された巨大な
研究室のセットね。人間の手足や内蔵が入れられたガラス瓶が
沢山並んでいたのが印象深かったわ。それは全てゴムで出来た
偽物なんだよ、と教えて貰ってはいたんだけれど。それから
水槽で泳いでいるピラニアがゴム製の手に食いついていたこと、
後はセットが一面血の海だったことも覚えてるわ。
一日の撮影が終わるとママが私を何度もお風呂に入れて
ゴシゴシ体を洗わせたのを覚えてる。こうした事がみんな
私の目には面白い物として映っていたの。だからその当時は
映画がどんなに暴力的な内容なのかなんて、私には
想像もつかない事だったのよ。」


日本では完全にキワモノ扱いを受けた「悪魔のはらわた」は
当然海外でも賛否両論となり、イタリア国内の大半のマスコミからは
無視され、ヨーロッパ諸国のいくつかの国では上映禁止の
処置を受けた。作品を巡って<俗悪>から<神聖を冒す行い>まで
あらゆる罵詈雑言が飛び交ったらしい。

だがエルミはこう言う。「私にとって「悪魔のはらわた」は
とても役に立った作品だったのよ。なぜならあの映画を見た
ダリオ・アルジェントが私を「サスペリア2」の少女役に
起用しようと思い立つきっかけになったのだから。
私は脚本を書いてくれたベルナルディーノ・ザッポーニに
とても感謝しているの。なぜなら私の演じた少女が映画にとって
重要な役割を果たす役として彼の脚本に設定されていたのだから。
自分の役の重要性を知ってとても嬉しかったわ。」

 

 

「Le Orme (未)」(1974)
aka:Footprints/Primal Impuls(米:ビデオ題)
Footprints on the Moon(ギリシャ:ビデオ題)


奇妙な字幕はギリシャ語↑

イタリア映画/テクニカラー(部分黒白?)・110分/
日本劇場未公開(国内ビデオ未発売/TV未放映)

製作会社:シネマルテ
製作:ルチアーノ・ペルジーア/マリーナ・シゴーニャ
監督:ルイジ・バッツォーニ
原作:「La Huerras」(マリオ・フェネーリ)
脚本:マリオ・フェネーリ/ルイジ・バッツォーニ
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
編集:ロベルト・ペピニャーニ
美術:ピエール・ルイジ・ピッツィ
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ

出演:フロリンダ・ボルカン(アリス・チェスピ)/
ピーター・マッケニー(ハリー)/ニコレッタ・エルミ(パウラ・バートン)/
カテリーナ・ボラット/ジョン・カールセン(アルフレード・ローレンサル)/
イヴリン・スチュアート[アイダ・ガッリ](マリー)/
ミリアム・アケヴェード(ローズマリー)/クラウス・キンスキー
(ブラックマン教授)/リラ・ケドローヴァ(ハイムス夫人)/
エスメラルダ・ルスポーリ

●「新・殺しのテクニック」(72)のルイジ・バッツォーニが撮った異色スリラー。
(IMDbではなぜか、マリオ・フェネーリと共同名義の監督になっているが)
主演は毎度ニューロティックな演技を披露してくれる
ブラジル出身の美人女優F・ボルカン。共演にクラウス・キンスキー。
エルミの他、E・スチュアートやL・ケドローヴァら、
「Night Chid(未)」
ダブるキャストもチラホラと。

<物語>
通訳の仕事をしている美女アリス(ボルカン)は、幼いときに観た
「月の足跡(原題)」という映画の記憶によって呼び起こされる
異常な悪夢に悩まされていた。
精神が不安定になって仕事も休みがちになり、遂には職を失ったアリスに
1枚のミステリアスな絵葉書が届いた。その消印を頼りに
彼女は悪夢の謎を探ってガルマと呼ばれる寂れた避暑地へ旅することになる。
アリスはそこでパウラ(エルミ)という名の少女に出会うが、
パウラはアリスに向かって「あなたは砂漠の近くにあるリゾート地に
泊まっているニコルって女性と瓜二つね」と告げる。
奇妙なデジャブに襲われながら、アリスは人気のないホテルに赴き、
幾つかの死に遭遇しながらも、悪夢の謎を解こうとするが・・・。

「新・殺しのテクニック」と同様のタイトな作りと、ボルカンの熱演、
「黒衣の淑女の香水(未)」のスコアを担当したN・ピオヴァーニの
限りなく「黒衣〜」に近いサウンド・トラックなど、面白い要素を
数々持ちながらも、映画のラストまで観客の注意を惹きつけられなかった
失敗作(と某誌では評されている)。
ただオープニングで宇宙服を着た何者かに砂浜を追われてくる
F・ボルカンの悪夢シーンなど、捨てがたい場面は数々あるようだ。
イギリスのレダンプションからのビデオ発売が予定されている
(が、実際はいつになることやら:笑)。


ボルカンとエルミの砂遊びショット(なんか豪華な雰囲気)と、
いかにもナゾ秘めちゃってますという扉越しエルミ。

 

 

死んでいるのはだれ?(V)」(1972)
Chi l'ha vista morire?
aka:Who Saw Her Die ?/Verta Venetsiassa
死んでいるのは誰?
イタリア映画/カラー/日本劇場未公開(DVD発売:エプコット)

監督:アルド・ラドー
脚本:フランチェスコ・バリーリ/マッシモ・ダヴァック
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジョージ・レイゼンビー(フランコ)/アニータ・ストリンドベルイ
(エリザベス)/ペーター・チャテル/アドルフォ・チェリ/
ドミニク・ボスチェロ/ローズマリー・リンド/ジョージ・ウィリング/
ピエロ・ヴィーダ/ジョゼ・クアグリオ/アレッサンドロ・ハーバー/
ニコレッタ・エルミ/ジョヴァンニ・フォルティ・ロッセリ/
サンドロ・グリファン/ヴィットリオ・ファンローニ/カルロ・ホレッシェ/


<物語>
彫刻家のフランコ(ジョージ・レイゼンビー)を訪ねて、幼い娘ロベルタ
(エルミ)がロンドンからヴェニスへやって来る。その夜、フランコがGFとセックス
している間にロベルタは誘拐され、ヴェニスの運河から他殺体で発見された。
罪の意識からフランコは離婚した妻エリザベス(「幻想殺人」のA・
ストリンドベルイ)と協力して、自らこの事件を捜査し始める。
そして判明した恐るべき事実とは・・・?

●傑作ジャッロとして海外での評価ばかりが先行していた本作も、遂にDVD化!
監督は「暴行列車」「家庭教師」「ヒューマノイド(変名で監督を担当)」
「愛のかたち(佐川君事件を映像化!)」で知られる中堅アルド・ラドー。
最近発売された輸入DVDでは、ヴェニス出身のラドーがインタビューに答え、
自分の生まれ育った街で映画を撮るのは楽しかった、と語っていた。

またラドーはエルミの起用について「本作でのニコレッタは子供の純粋さを
象徴する存在なんだ。赤毛の子供ってのは純粋さのシンボルであり、
殺人鬼は彼女を子供の姿のままで永遠に閉じこめてしまおうと思って
いるんだよ。だから印象的な赤毛の持ち主だった彼女は、この映画に
ピッタリの子役だった訳だ。少女殺人事件の裏に隠されたシンボリズムを
強調する為の起用だったんだよ。」と語っている。

撮影時を振り返ってエルミは「かつて一度ジェームズ・ボンドを演じた
(「女王陛下の007」)ジョージ・レイゼンビーが私の父親に扮していたの
だけれど、彼は撮影現場の誰に対してもとてもフレンドリーな態度を
取っていたのを良く覚えているわ。彼はアルド・ラドーの演出に対しても
凄く理解を示していたわ。」と回述しています。

エルミの出番はごく僅かながら、強い印象を残すオイシイ役どころ。
少女の歌声をフィーチャーした効果的なスコア音楽はE・モリコーネ。
共演にアドルフォ・チェリ、ペーター・ハンテルら。
DVDには是非、エルミのインタビューも欲しかった。
全然無視されてるんだもんなー悲しかったっす。

 

 

処刑男爵(V)」 (1972)
Gli Orrori del castello di Norimberga
aka :(The) Baron Blood (73:米題)/
   :Chamber of Tortures / The Thirst of Baron Blood /
   :The Torture Chamber of Baron Blood

イタリア(=西ドイツ)映画/テクニカラー/
86分(日本版ビデオ表記/米版:90分/伊版:98分)/
ヴィスタ・サイズ(日本版はほぼTVサイズにトリミング)/
日本劇場未公開(ビデオ:東芝映像ソフト)

製作総指揮:サミュエル・Z・アーコフ(アメリカ版のみ?)
(ビデオのクレジットでは)サム・ラング/J・アーサー・エリオット
製作:アルフレッド・レオーネ
監督:マリオ・バーヴァ
原案・脚本:ヴィンセント・フォートル
撮影:エミリオ・ヴァリアーニ
音楽:ステルヴィオ・チプリアーニ
(アメリカ版はレス・バクスター)
SFX:フランコ・トゥッツィ

出演:ジョセフ・コットン(処刑男爵:バイロン・オットー・フォン・クライスト
&アルフレッド・ベッカー)/エルケ・ソマー(エヴァ・アーノルド)/
マッシモ・ジロッティ(カール・ハンメル博士)/ラーダ・ラシモフ
(クリスティーナ・ホフマン)/アントニオ・カンタフォーラ(ペーター・クライスト)/
ウンベルト・ラオー(警部)
/ルチアーノ・ピゴッツィ(フリッツ)/
ディエテール・トレッスラー(ドルトマウンド市長)/ニコレッタ・エルミ
(グレッチェン・ハンメル)/ヴァレリア・サベール(マーサ・ハンメル)/
ロルフ・ハルウィッチ

●マリオ・バーヴァが監督した怪奇映画。
エルミはグレッチェン・ハンメルと言う名の幼女役。
後半で森の中を処刑男爵に追われる見せ場もある。
主演はジョゼフ・コットンとエルケ・ソマー。
日本でも衛星での放送に続いて、DVDが発売されるので
改めて作品を評価する動きが出てくれば良いのだが(実は切望)。

 
あくまで可愛らしい少女として使われているエルミ。
・・・が、処刑男爵の正体をズバリ言い当てるシーンもあり、
ちょっとした霊感少女っぷりも発揮されている。

小さかったエルミはM・バーヴァのことを良く覚えていないらしいが、
バーヴァについては「ホラー映画史に残る作品を発表し続けた監督で、
彼の映画は今でも、このジャンルに大きな影響を与え続けていると思う。」
と語っています。
「処刑男爵」に関する思い出としては残念ながら「ゴテゴテとした
衣装が重かった」という点くらいしか覚えていないそうだ。




 

「Sotto a chi tocca !(未)」(1972)
aka:Besos para ella(スペイン題)

イタリア=スペイン=西ドイツ合作映画/カラー
日本劇場未公開(国内ビデオ未発売/TV未放映)

監督:ジャンフランコ・パロリーニ
出演:ディーン・リード/イグナツィオ・スペラ/ニック・ジョーダン/
サル・ボルゲーゼ/マリオ・ブレーガ/ファニー・サカンタニー/
マルチェロ・ディ・フォルコ/カルロ・タンベラーニ/マニュエル・セラーノ/
ジョージ・ワン/フランコ・ウクマー/ジョン・バルーサ/トニー・コルティ/
ピノ・マッティ/ポリー・ベーゲン/アルレーネ・ダール/
ニコレッタ・エルミ/フレッド・マクマーレイ/カルラ・マンチーニ/
イーライ・ウォラック

●監督:ジャンフランコ・パオローニ。
ディーン・リード、イーライ・ウォラック、
カルラ・マンチーニらが出演。
西ドイツ・イタリア・スペインの合作。

 

 

「血みどろの入江(V)」 (1971)
Reazione a catena
aka :Antefatto , Bay of Blood / Before the Fact-Ecology of a Crime /
   :Bloodbath Bay of Blood / Bloodbath Bay of Death / Carnage /
   :Ecologia del delitto / The Ecology of a Crime/
   :Last House on the Left Part II / New House on the Left /
   :Twitch of the Death Nerve /

●別題が多すぎ!マリオ・バーヴァが監督した血みどろジャーロ映画。
エルミはクローディーヌ・オージェ扮するレナータの幼い娘役。
最初と最後にしか出番がないが、エルミと彼の兄が手にしたライフル銃で
オージェら、両親を射殺するナイスなオチが用意されている。

エルミの評価では「血みどろの入江」の悪魔っ子達に影響されて
その後発表された諸作、「ザ・チャイルド」「チルドレン・オブ・ザ・コーン」等は
似たような悲劇的なテーマをモチーフにしてはいるが、バーヴァの映画ほどの
クォリティーには到達できていないという。


まだまだお子さま風のエルミ。しかし既に
その表情に「悪魔っこぶり」が発揮されている。
男の子の方はその後は余り姿を見ないが、
どうなったんだろう。

 

「Mezzanotte d'amore (未)」 (1970)

イタリア映画/カラー・95分
日本劇場未公開(国内ビデオ未発売/TV未放映)

監督:エットーレ・マリア・フィッザロッティ
原案:ルチアーノ・フェッリ
脚本:エットーレ・マリア・フィザトッティ(原案も)
    ジョヴァンニ・グリマルディ(台詞)
出演:アル・バーノ/ロミナ・パワー/ニーノ・タラント/
ビース・ヴァローリ/リーノ・バンフィ/ウォルター・ブルジョーロ/
ニコレッタ・エルミ/エンゾ・カナヴァーレ/カルロ・タラント/
エヴァ・マリア・グルーミュラー/リーノ・バンフィ/
ドロレス・パルムーボ/シルヴィオ・ロージ/
ルーカ・スポルテリ/ニーノ・テルーゾ

●監督:エットーレ・マリア・フィッツァロティ。しかしご覧になって
お分かりのように、キャスト・スタッフが異常に「Il Suo nome
Donna Rosa」(69)とダブっている。しかも監督のフィッツァロッティには
同じ年に「シューベルト物語/Angeli senza Paradiso」
(公開は72年3月。モンディアル・フィルム配給)なる音楽伝記映画があり、
こっちも本作同様シューベルトの音楽を主題にした物語のようす。
となると、どうにも3本とも同一作品疑惑が浮上するのだが、
まとめ撮りが得意なイタリアのこと、もしかしたら同一主題の
全く別の作品なのかもしれない(それはそれで、またコワイ)。


あんまり意味ないけど、
「シューベルト物語」の画像を半端な位置に置いてみました。
こっちには「わたしは目撃者」の子役が出てます。
因みに、ロミナ・パワーは最近もイタリアのTVドラマで活躍中。

 

Il Suo nome Donna Rosa(1969)

イタリア映画/カラー・104分
日本劇場未公開(国内ビデオ未発売/TV未放映)

監督:エットーレ・マリア・フィッザロッティ
脚本:エットーレ・マリア・フィザロッティ(原案も)
    ジョヴァンニ・グリマルディ
出演:アル・バーノ(アンドレア)/ロミナ・パワー(ロゼッタ)/
ニーノ・タラント(アントニオ・ベルモンテ)/ビース・ヴァローリ(ドンナ・ローザ)/
ピッポ・ブアード(ピッポ)/リーノ・バンフィ/ウォルター・ブルジョーロ
(ピエトロ)/アンナ・カンポーリ(カルメラ)/ニコレッタ・エルミ(ロージー)/
エンゾ・カンアヴァーレ(ジェナマリーノ)/ルチアーノ・フィネッシュ(リーフ)/
エンゾ・グアリーニ(アヴォカート)/リサ・ハルヴォーセン(トゥリスタ)/
ドロレス・パルムーボ(アンドレアの母)/ステルヴィオ・ロージ
(ジョルジ・デ・バルベリス)/カルロ・タラント(フランチェスコ)/
ニーノ・テルーゾ(ガエタノ)

●監督:エットーレ・マリア・フィッツァロッティ。
出演者の中で知った名前はロミナ・パワー
(タイロン・パワーの娘)と、彼女の旦那アル・バーノくらい。
この映画にはエルミのクレジットがちゃんとあるらしい。
題名から察するに恋愛映画か???

 


「姉妹」 (1969)
Le Sorelle


Thanks to GoreGore Geisha san for Pressbook
イタリア=フランス合作映画/カラー・113分/
日本公開70年6月(配給:東宝東和)/ビデオ(東芝映像?)

製作会社:チネ・アジムート
監督:ロベルト・マレノッティ
脚本:ブルネッロ・ロンディ/ロベルト・マレノッティ
撮影:ジュリオ・アルボニコ
音楽:ジョルジョ・ガズリーニ

出演:ナタリー・ドロン(ディアナ)/スーザン・ストラスバーグ(マルタ)/
ジャンカルロ・ジャンニーニ(ダリオ)/マッシモ・ジロッティ(アレックス)

<物語>

国際会議の同時通訳を仕事にしている知性的な美女ディアナ(N・ドロン)には、
結婚して去っていった妹のマルタ(S・ストラスバーグ)がいた。
2年前まで同じ家に住んでいた彼女たちは、とても「仲の良い」姉妹だった。
ある日、ディアナは人里離れた豪邸で暮らすマルタを訪ねる決心をする。
列車に揺られて到着した邸宅は、典型的なヨーロッパのブルジョアである
夫のアレックス(M・ジロッティ)の趣味を反映した洒落た作り。
久々に出会った姉妹は再会を喜んでいるかのように見えた。

その夜、床に着こうとしたディアナは、向かい側に見える夫妻の寝室で
行われるマルタとアレックスの愛の営みを目撃してしまう。
激しい男女のセックスに、ディアナの心は闇の中で揺れる・・・。

翌日、アレックスの従兄弟に当たるダリオ(G・ジャンニーニ)が
屋敷に遊びに来た。カメラマンをしているダリオは快活な青年で、
美しいディアナに目を奪われたが、彼女の気持ちは妹のマルタから
片時も離れないのだった。
その夜、パーティーの席で、ダリオは自分が撮影した写真を
スライドにして公開して見せた。それはセックスを象徴的に扱った
作品だったが、写真を見たアレックスが意外な告白をする。
言葉は遠回しだったが、自分は不能者であり、マルタへの愛は
父親のそれに近いのだと。
二人の激しい情事を目の当たりにしたディアナの胸は掻き乱された。
あれはマルタが自分への当て付けで見せた光景だったのか?

ディアナとマルタの秘密・・・それは二人で暮らしていた時に
交わされていたレズビアンの歓喜だった。しかし妹を今でも愛する
姉に対してマルタは冷たく言い放つ。「もうあれは終わったこと。
私は男を愛しているのよ・・・」と。マルタの情事の相手、
それは森番の男だったのだ。
姉妹の秘められた感情は激しく渦巻き、ぶつかり合った。
全ての事情を察したアレックスはダリオを連れて旅行に出た。

女二人だけが残された広大な邸宅で、憎しみの姿を借りた
不毛の愛が爆発する。感情に任せるまま、激しい口論を交わす姉妹。
やがて落ち着いたマルタは豪華なバスタブに身を沈め、
かつてのように姉に甘え始めた。だが、姉ディアナの手には
アレックスが温室で使う薬品が握られていた。
愛する妹を自分だけのものにするために・・・。

急に旅行を取りやめて帰宅したアレックスは、虚ろな眼差しで
庭にたたずむディアナを見つける。全てを悟ったかのようなアレックス。
それは晩秋の日差しが長い影を落とす、ディアナがマルタを訪れて
5日目の朝の出来事だった。



●やはり映画業界でプロデューサーをしていた父親の影響を受けた
監督のロベルト・マレノッティが、ブルネッロ・ロンディと共同で脚本も担当。
数本の助監督経験を経て、長編デビュー作として発表したのが
この作品だった。撮影はジュリオ・アルボニコ、音楽にジョルジョ・ガズリーニ。

ナタリー・ドロン扮する美しい姉が、地味な妹(S・ストラスバーグ)に感じる
倒錯した愛情を押さえられず、悩みながらも欲望に溺れていく。
いかにも60年代末という透明感のある映像に、
レズビアン的なムードを漂わせた一編。

けだるいムードと神秘的な陰りを同居させるN・ドロンは
本名をフランシス・カノバといい、1941年モロッコのカサブランカ生まれ。
10代後半からモデルをしていたが、60年に保険代理業者の男性と結婚、
カサブランカへ戻り、一女を儲けたが程なく離婚。

モデル時代から使っていたナタリーを名乗り、娘と共に生活する為
モデル兼カメラマンとして働いていたという。
63年の夏にアラン・ドロンのボディガードを勤めていたミロス・

ミロシェヴィッチ(後に変死、遺書に「自分が死んだらドロン夫妻を疑え」と
書き残した為、ドロンとナタリーは一大スキャンダルに巻き込まれる)と

知り合い、「黒いチューリップ」を撮影中のドロンに近づいたらしい。

大女優であり、長年付き合っていたロミー・シュナイダーを捨ててまで
自分を選んだ結婚相手アラン・ドロンとは、彼女が67年の「サムライ」に
夫の反対を押し切って出演したことで呆気なく破局。結婚生活は
およそ3年しか続かなかったが、離婚後は精力的に映画に出演し、

この「姉妹」は、68年の「個人授業」に続く第3作目となる。

一方、「女優志願」で高く評価されたS・ストラスバーグは、
アクターズ・スタジオで有名な俳優リー・ストラスバーグの一人娘。

1938年NYに生まれた(やっぱナタリーより年上。画面を見る限り
妹には見えないから、記憶で文章書いて役柄を間違えちゃいましたよ)
彼女は、TVドラマや舞台での成功を経て若手演技派女優の地位を確立。
舞台の「椿姫」で共演したクリストファー・ジョーンズと結婚したが、
やはり上手く行かず一女を儲けながらも離婚。
映画デビューは55年の「蜘蛛の巣」だが、59年に「ゼロ地帯」に
出演してからは国際的なスタートして幅広い活躍ぶりを見せた。

その他、共演の「タランチュラ」「ミミック」のジャンカルロ・ジャンニーニ、
「テオレマ」のマッシモ・ジロッティらが脇を固める。
日本初公開は70年6月20日。

N・エルミは食堂車の少女に扮して、前半チラッと顔を見せる。
幸せそうに微笑むその姿は、N・ドロンが感じる、幸福な
少女時代への回想なのかもしれない。