キャロルは真夜中に殺される

You'll Die at Midnight
(aka) : Morirai a Mezzanotte
Midnight Horror
Midnight Killer


残忍嗜虐!アイスピックが美女の腹を突く!
怨念のスプラッター・ミステリー!!

1986年 イタリア映画 テレカラー/イーストマンカラー 約88/89分
ヴィスタ(1.85:1) 日本劇場公開(配給:マウントライト)
ビデオ(発売:パック・イン・ビデオ)

製作会社:VIPインターナショナル/レテイタリア=ダニア・フィルム
製作・監督:ランベルト・バーヴァ
脚本:ダルダノ・サケッティ(原案も)
ランベルト・バーヴァ
撮影:ジャンロレンゾ・バッタグリア
美術:デバイデ・バッサン
編集:ランベルト・バーヴァ
音楽:クラウディオ・シモネッティ

出演
ララ・ウェンデル(キャロル)/バレリア・ドビッチ(アンナ・ベラルディ)
エレアナ・ホッペ(モニカ)/パオロ・マルコ(ピエロ・テルッツィ警部)/
ジャンパオロ・サッカローラ(劇場の夜警:モツェッティ)/ディーノ・コンティ/
リア・マルティーノ(ジョイア)/レオナルド・トレヴィリオ(ニコラ)
バルバラ・スコッパ/マッシモ・バラッタ/
ロレダーノ・ロミート/
マルチェロ・モドゥーノ(ランベルト)
ロレッダーノ・グエッラ
ランベルト・バーヴァ(警察の写真撮影班)[クレジットなし]


物語

警察官ニコラ(トレヴィリオ)の浮気妻が惨殺された。
シャワーを浴びていた彼女はアイスピックで体中をメッタ刺しにされて
息絶えていた。殺人が起こる直前、二人は激しい口論を交わしており、
当然容疑は事件後行方不明になったニコラにかかった。
ニコラの同僚であるピエロ警部(P・マルコ)は、彼の無実を証明しようと
失踪したニコラを探し始めるが、同じ頃、女性精神分析医の
アンナも旧友ニコラに掛かった容疑に疑念を抱いていた。
事件の手口が8年前に<真夜中の殺人鬼>と恐れられた
精神病患者トリーボのそれと酷似していたからだ。

やがて第2の殺人事件が起きる。犠牲者はアンナの大学で働く
研究室助手の看護婦だった。車中で襲われた彼女は道路脇に建てられた
古い劇場に逃げ込むが、殺人魔は物陰から彼女を襲い、
アイスピックでメッタ刺しにして惨殺した。やがて殺人犯はアンナの
研究室に侵入、トリーボに関する資料をコンピューターから消去し、
彼のライフマスクの型を持ち去った。

それを機に、死んだはずのトリーボの姿を目撃した者が続出。
アンナは自宅で、ピエロ警部の娘で、アンナの元で心理学を
学ぶ女子大生キャロル(ウェンデル)は博物館でその姿を目撃する。
キャロルの元に殺人現場から発見されなかった凶器のアイスピックが
届けられ、魔の手は次第に彼女たちに迫ってくる。

アンナの周囲をウロついていたニコラは遂に彼女を襲い、
ニコラは駆けつけた警官隊に射殺された。しかし捜査陣を嘲笑うかのように
第3の殺人が起きる。今度の犠牲者はニコラの妻が下着を買った
ランジェリーショップの店員だった。閉店後の店に現れたトリーボは
彼女を店に閉じこめると下着を口に詰め、惨殺した。
事件を捜査するピエロ警部は、犠牲者がニコラの妻、娘の大学の
看護婦、そして知り合いの店員だったことから、犯人が身近におり、
自分に挑戦しているのではないかと推理する。

一方、嫌な事件は忘れようと、キャロルは級友のモニカ(E・ホッペ)と
ジョイア(L・マルティーノ)を連れて、シーズン・オフとなった
リゾート・ホテルを訪れるが、殺人鬼トリーボの影はそこにも現れる。
ジョギングに出かけた2人を後目に、ホテルに残っていた
モニカがまず襲われ、無惨にも包丁で刺殺されてしまう。

ジョギングから帰った2人は様子がおかしいのに気づくが
電気も電話も切られたホテルに閉じこめられてしまう。
キャロルが2階の様子を見に行った隙にジョイアが襲われ、
火かき棒で殴り殺されてしまった。キャロルは命からがら
ホテルを逃げ出すが、殺人鬼は執拗にキャロルを追ってくる。

ホテルに駆けつけたアンナはジョイアとモニカの死体を発見。
その様子をキャロルのBFランベルト(モドューニョ)が窺っていた。
キャロルはアンナの悲鳴を聞きつけてホールにやって来るが、
そこにはランベルトの姿が!彼は全ての真実をキャロルに告白する。
アンナはトリーボを診察中に彼に犯され、以来トリーボの性格を
心のうちに秘め、2面性を持つようになったのだ。

ランベルトの言葉が信じられないキャロル。なぜならそこに
アンナの死体が転がっているからだ。2人は恐る恐る死体に近づく。
すると物陰からナイフを持ったトリーボが飛び出し、ランベルトの
胸を突き刺した。恐怖に震えながら後ずさるキャロルを
一歩一歩追いつめる異常な殺人鬼。その時銃声が轟き、
トリーボは崩れるように床に倒れ込んだ。それは娘の危機を救うため
ホテルに急行したピエロ警部が放った銃弾だった。
倒れたトリーボの顔からマスクを取ると、そこには息絶えた
アンナの顔があった。キャロルがアンナの死体だと思っていたのは
惨殺されたモニカだったのだ。ピエロ警部は言う。
「これはアンナの私への挑戦状でもあったのだ。彼女は
自分がいかに賢いかを証明したかったんだ・・・。」
恐るべき殺人事件はこうして幕を閉じた。

 

解説

バブル・ホラー「
デモンズ」で脚光を浴びたL・バーヴァが
レテイタリアからの要請で発表したジャーロ映画。
父親マリオに習ってジョン・オールド・Jrなる変名を使い、
制作・監督・脚本・編集を担当している。

脚本はイタリアンホラーに欠かせない娯楽派ライター、D・サケッティ。
音楽にゴブリンのキーボード奏者C・シモネッティが参加し、
バラエティに富んだ殺人場面の数々を見事なスコアで彩っている。
この映画のテーマ曲は日本で発売された「
デモンズ」のCDに
収録(曲名は「Out of Time」)されており、発売当時、
この劇中未使用曲は何か?と話題になった。現在はBEATから
他の作品と抱き合わせで(もう少し収録曲の多い)サントラが
リリースされている。シンセを全面に押し出したピコピコサウンドは
(ファンならずとも)ちょっとした聞きもの?


主演のキャロルに扮するのは、子役時代から娯楽映画に
出演し続けた恐るべき怪物女優
ララ・ウェンデル。彼女について、
マウントライト発行の映画祭公式パンフは次のように書いている。
「イタリアのトップモデルの一人で、プロも交えた多数の応募者から
主役を勝ち取った。」うーん、ま、モデル経験の可能性もあるし、
間違いじゃないかもしれないけど、ちょっと眉唾モノ(笑)。
(偉大な彼女の出演作詳細に関しては、名前かココをクリック)

共演者は「ザ・リッパー」「作家マゾッホ・愛の日々」でお馴染み
髭面の
パオロ・マルコがキャロルの父親で事件を捜査する刑事に。
回は妙に渋い演技がイイ感じ。その他、後半で殺される女子大生役で
L・バーヴァとは「
グレイブヤード」でも組んだリア・マルティーノ
(プロデューサーであるルチアーノ・マルティーノの実娘)と、
デモンズ」の劇中劇に登場したエレアナ・ホッペ(多分、
テントの中で刺し殺されていたのが彼女)が登場。

初からわりと可愛いホッペはともかく、「グレイブヤード」では
メガネちゃんだったリアも、今回は結構見た目も可愛い役なのだが
やはり殺されてしまった(合掌)。また「
デモンズ」の劇中劇で
ホッペと共演(ソアヴィじゃない方が彼)した
マルチェロ・モドューニョ
キャロルのBFランベルト役で登場している。

また「グレイブヤード」「シャドー」「ビヨンド」などで気味悪い
存在感を発揮する
ジャンパオロ・サッカローラが、第2の被害者が
殺される劇場の守衛としてチラッと顔を見せる。過去に暴行歴のある
男という設定で、今回も笑わせてくれる。
今回もL・バーヴァの映画らしく、個性派俳優の共演は見どころと言えそう。



バーヴァの映画は毎回、過去のイタリアン・ホラーから何らかの
引用をしてきたような場面や設定が出てくるが、今回は(敢えて言うなら)
犯人のアンナが殺人魔トリーボに犯されて、そこから2面性を持ち、
彼の人格を再現していた、というオチ。これは父マリオ・バーヴァの傑作
「白い肌に狂う鞭」を彷彿させる。この設定はイタリアン・ホラーの
定番らしく、御大アルジェント氏も「スタンダール・シンドローム」で
用いていた(もっとも「スタ・シン」では心理描写の方に重点が置かれ、
謎解きと言うよりサプライズ・エンディングに近い、この作品のような
唐突な感じはやや薄いが・・・)。

更に警官が殺人犯と、それを止めようとしている人間を見誤り、
それが謎解きの鍵(ま、そんなご大層なものじゃないですけど)に
なっている点は、アルジェントの「歓びの毒牙」を思わせる。
実際に劇中、キャロルが逃げまどう鳥類博物館のロケ地は
「歓びの毒牙」と一緒っぽい。お?・・・とすると、この映画、
「白い肌に狂う鞭」よりも「歓びの毒牙」のリメイクに近いかも(笑)。

映画を見終わった後も、アサハカな深読みの楽しみを残してくれるなんて、
さすがはランベルト・バーヴァ!皆さんも、そう思うデショ(笑)?!


ドイツ版「ミッドナイト・キラー」のビデオスリーヴ。
プリントはメドゥーサのロゴが出るイタリア版を使用。
本編はドイツ語吹き替えだが・・・。

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