今週のCDご紹介2

モッズが愛したニッポンの夜、バッファロー・ドーター、森高千里、藤本卓也作品集テイチク編、
Misia、ロス・アミーゴス・インビジブルズ、ベティブーカ、
エイジアン・ダブ・ファウンデーション、ペドロ・ルイス&パレーヂ、ガロ 

評価は5段階です。(★が得点。☆はオマケ)

★★★

『モッズが愛したニッポンの夜/VA』なんちゅうタイトル!?。なんと、60年代に“モッズ”は日本に紹介されていたんですと!(ファッションとしてネ) で、作られた映画が『空いっぱいの涙』。主演は田村正和!(観てぇぇぇえ!) このCDも正和サンの頼りない歌唱で幕をあけます。エレキ歌謡! カッコいい。で、このアルバムのカラーを2分すると、(1)アメリカンポップス(R&B)のカヴァー、(2)ビート曲のインスト。重要なのは圧倒的に(2)。“テケテケ”なエレキ路線の歪み方は過激だし、ファンクネタは黒くってグルーヴィ! 海外の“モンド”ネタなんか全然軟弱に聴こえるぜ!(あ、もともと軟弱か…) こんなに気持ち悪い『007のテーマ』初めてさ。 誰かに聴かせたくってたまらないです。 

★★★★

『Great Five Lakes/バッファロー・ドーター』カッコいいです。ロックで、テクノで、ヒップホップで、しかもキュート。ニッポンのアーティストはここまで来てしまったんだなぁ。「技」だけでなく、「音」で世界と勝負できるんだなぁ。それにしても気になるのは、ここんとこニッポン人で優秀なアーティストって皆、女性なのね。チボ・マット、少年ナイフといったグローバル組もウーア、ミーシャも。男性陣は化粧して気合い入れてるだけ? コンサバだっちゅーの! ラジカルな音を出す人は迷わず海外へ出て行っちゃう模様。良い良い、行け行け。そして、輸入盤で聴かせてね。バッファロー・ドーターは是非ライヴを観たいです。(できたらニッポンで)

★★★☆

『今年の夏はモア★ベター/森高千里』うふふ。買っちゃった。実は森高サンのCDを購入したのは、これが初めて! ご察しの通り、細野晴臣とのコラボレート目当てです。ラテン⇔夏⇔細野サン⇔エキゾチック期待しちゃうでしょ、やっぱり。あ、森高サンには期待してないみたいですね…。コシミハルまで登場しちゃう細野サンのプライベート・プロデュース作品。細野サンが力入れまくったプロデュース作品って「企画」や「編集」が過剰すぎてシンドいケースが多いと思うのですが、これは軽いです。(だって、アンビエント音楽をあんなに重く聴く羽目になっちゃうのよね、細野サンたら。好きなんだけどね、細野印のアンビエント) 森高サンの“例のドラム演奏”も浮いてるんだけど、特性は抜群に活かされている、さっすが!! ウッソ〜、8ビートでカリビアン!? この軽いアウトプットのキーを握っているのは、まちがいなく森高千里。「過剰な個性による表現」が「過剰な制作意図」を超えてしまうってこと? まあ細野サンもアウトプットの軽さを強く意識したと思いますが。だって、敵は森高千里なんだからさ。別に敵じゃないけど…。

★★★

『幻の名盤解放 藤本卓也作品集テイチク編 真赤な夜のブルース』 私、「幻の名盤解放」シリーズが好きなんですぅ。虜(トリコ)なんですぅ。“夜のワーグナー”と呼ばれて崇められている作家・藤本卓也の作品集。うふ〜ん、フジタクぅ〜ん・ 五木ひろしの『待っている女』の作曲が代表作なんだけど、アマいアマい。チッチッチだぜ。作曲依頼した五木のスタッフに「五木さんを潰す結果になってもよろしいんですね?」と念を押したっつーんだから…。フジタクの作品(特にフジタク作詞・作曲作品)が描く世界は闇のベールを幾重にも巻き付けている。夜・怨み・悲哀・敗北・負け惜しみ・愚痴・情欲・肉欲・金欲・挫折・悪あがき・絶望・逆ギレ・死臭・・・。ぜぇぜぇ、辛いキーワードばっかしだが、書きながら興奮してしまった。今作はフジタクの愛弟子・矢吹健の魂入りまくった歌唱作品を中心にドス黒い“暗黒歌謡”のオンパレード。梅宮辰夫兄ィの『シンボルロック』はファンキーな男根ロック! キングレコード編の『君が欲しい』ほどではないが疲れた。どっぷりと疲れた。憑かれた、とも言える。癒えない。←しつこい洒落。

★★★

『Mother Father Brother Sister/Misia』冒頭からお詫び一発。おみそれいたしました。歌ウマイんですね、Misiaさんあ、もしかして常識だったンスかぁ? ちょっと鼻炎ぎみの低い声で、ニュアンス一発(!)で軽く歌い流される瞬間なんかゾクッとしちゃう。エリカ・バドゥを思い出した(誉めすぎ?) “ニュアンス芸”と言う意味でテクニシャンだと思う。(ニュアンス芸って何だ、一体!?) 楽曲に対する咀嚼力と、歌唱の集中力が恐ろしく高いんじゃないでしょうか? ただし、狙いに行った瞬間に粗が出るのね。高音でシャウトすると声が細いんだわ。バックトラックは抜群ですね。(ミックスが良い、とも言えますが) ドラムスとベースだけで成立してる。コンプレッサーの威力! コード楽器は添え物。なのにキッチリとコード展開もリズムもキープしてしまうベースライン。かなりイヤらしいコード進行なのにネ。ぶっといリズムと達者なボーカルで聴かせるヒップホップ歌謡。最高ではありませんか。

★★★☆

『The New Sound Of The Venezuelan Gozadera/Los Amigos Invisibles』 言いたくないんだけど、結局、90年代で元気が良い音楽って有色人種が作ってるのよねえ。この人達はベネズエラのグループなんだけど、言うならばファンクやロックを“目的”にしてないんですね。“手段”なの、完璧に。「夏はラテン聴いて爽やかだぜぃ」なんていう脳天気なリスナーには手強いサウンドだけど、ファンクやロックを真面目にお勉強してしまったリスナーにとっては、憎らしいくらい軽やかに笑い飛ばされてしまう。白人ミュージシャンが崖っ淵でヤケクソに放ったミクスチャーロックも、元来ミクスチャーな文化圏に育ったミュージシャンの手にかかったら、斬新な上にエンターテイメントなの。“手段”を“目的化”したことに満足してしまうようなエクスキューズも、引けまくったヘッピリ腰も無い。昨年のニューヨリカン・ソウル以来、ラティーノがロックやソウルを力技でねじ伏せ始めた。白人ロッカーの明日はどっちだ!?

★★★☆

『ペティブーカの青い体験』前回のシングルでは“ぺティブーカ・フロム・テキサス”でお茶を濁されましたが、また出身地(?)のハワイに戻ったようです。めでたい。1曲目からいきなりラモーンズの楽曲をハワイアン化したカルトナンバー。以下、お馴染みのナンバー(ちょい通好みかな?)がハワイアンにドレスダウン。歌はあいかわらず下手クソなんだけど、バックトラックの「ハワイアン」解釈が実に素晴しい。「スチールギターとウクレレがあれば、ハワイアン」なんてヘッポコな企画ではありません。最近ありがちな「スラックギターを入れたらハワイアン」ってな開き直りも僕は嫌いだ。このアルバムのハワイアンはカリビアンビートやホーンまで飛び出したりしてとても楽しいです。しかし、ベティブーカには日本の歌謡曲のカバーを日本語で歌ってほしいもんだ。マニアックなやつを。最終曲では“エキゾチック・ミュージックの帝王”マーティン・デニーがピアノで参加しています。生きていたとは知らなかった。

★★★★

『FACTS AND FICTION/エイジアン・ダブ・ファウンデーション』 このコーナーでは2回目の登場となるADF。幻のアルバムと言われた95年の1stアルバムが過熱気味のADF人気に便乗して発売。う〜む、これ95年に聴きたかったなあ。もっと興奮&感激したはずだよなあ。2ndアルバムのリメイクである『RAFI'S REVENGE』と出会ってしまったショックの後で、過去の作品に戻るのは辛い。完璧に良い出来なのに比較したら甘いの。(僕はニューエスト・モデルも『ユニバーサル・インベーダー』から入ってしまったものだから、逆戻って旧作を聴くたびに辛かった。絶対良いのに最高ではない。これって辛い!) ADFがこの段階で充分にコンセプトを完成している事実に驚愕。ダブ+ジャングル(ドラムンベースではないのは時代ってもんだ)。これからADFを聴く人は迷わずに、このアルバムから聴いて、次に『RAFI'S REVENGE』を聴いて欲しい。あなたは、僕の2倍感激できるわけです。うらやましい・・・。  関連(

★★★★

『アストロナウタ・トゥピー/ペドロ・ルイス&パレーヂ』 またまた、ブラジルから暴れん坊が登場。ジャケを見ただけで分かるでしょ? メンバー全員の担当楽器を「パーカッション」とクレジットするあたり、根性の入り方もハンパじゃない。1曲目から怒涛のパーカッションと重低音のベースで先制攻撃、1分でイッちゃう。ポルトガル語のラップってなんだか怒ってるよな。その意味でもUKエイジアンのミクスチャー音楽とリンクしている、と僕は言い切りたい。(エイジアンのイントネーションも怒ってるんだよね、なんだか) ボサノバのギターコードをパーカッシヴに録音する手法は今のブラジル新勢力の基本だけど、これって最強だと思わない? コードに代表される音楽性に奥行きがあって、しかもパワフルなんだから。このグループのベース音域の低さはADFと競い合ってるかのように“ダブ”的。腰に来る。バラードが妙にロマンティックなのもブラジリアンの特徴。ウットリさせられたり、ガコガコに踊らされたり、飽きないアルバムだ。カルニーニョス・ブラウン、レニーニに続き、このペドロ・ルイスがグローバルな勢力と化し、UKエイジアンの世界侵攻が決定的になった瞬間、白人の居場所はあるんかいな? ニッポン人もガンバラないとネ。

★★★☆

『サーカス/ガロ』 待望のCD復刻!! 『学生街の喫茶店』でガロを認識している人達は不幸だ。CSN&Yから直結したメロディのニュアンスとコーラスハーモニーが内省的で微妙な世界を構築する。これってニッポンのポップ史においては貴重だと思うよ。ガロがワン&オンリーとも言える。ビートルズが下敷きになっていると露骨に判る楽曲もチューリップのそれのようにオープンな印象が無い。それにしても作曲のセンスは3人とも達者だ。深町純の過剰なアレンジも含めて、スタイリッシュで都会的で、優秀なポップです。マーク(堀内護)とトミー(日高富明)の歌唱とエコーの相性は抜群で、これをストリングスがバックアップした瞬間に、品格が極度にレベルアップする。そして、その分だけ匿名性もアップ。ガロへの印象が薄いのも、それが原因だと思う。バラエティでカラフルなのに淡いの。トータルアルバムという意味で『Sgt.Peppers』との対比は理解できるし、確実に意識しているはずなのだけど、作家個人の美学がここまで露呈すると、僕なんかは照れ臭い。つまりパロディ的要素が無く、マジなんだな。演奏や楽器のセレクト(シンセが古くてカッコいい)は74年という時代において最高峰だ。ラストの曲、キングクリムソンだよな、モロに。メロトロン入れてんの。ドラムはこのアルバムも高橋ユキヒロなのかしら? ベースも上手。小原礼? 関連

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