のど自慢   
  1999/1/15公開  東宝
  おすすめ度★★★☆・・・・・・・・・のど自慢を見たことない人も楽しめます

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も ど る

 売れない演歌歌手、何をやっても長続きしない中年パパ、母子家庭の次女で自分の気持ちを素直に表現できない女子高生、自閉症気味の孫を預かった祖父の4人と彼らを取り巻く人々が心を通わせていく模様を、タイトル通りNHKの名物番組、のど自慢を舞台に描き出すハートフルストーリー、もちろんコメディです。

 4つの話のオムニバスというわけではなかったですが、互いに干渉しない4つのストーリーが実に上手く、そして手堅く詰め込まれた映画だと思いました。僕は全然、見たことないんですが、のど自慢と言う番組を通してこんな風な物語があるのかもしれないと思ってしまいました。

 キャスティングはすごいです。伊藤歩を持ってきたのはびっくりしましたが、室井滋、大友康平ら主役はもちろん、助演も尾藤イサオ、松田美由紀、小林稔侍らで硬めに入り、他にも竹中直人はじめ田口浩正、古尾谷雅人など普通なら主役か、いい脇役をやるような役者をチョイ役で贅沢に使いつつ、さらには坂上香織や川越美和(今は初瀬かおるというらしい)まで出る始末。特別出演は坂本冬美、大川栄策、金子辰雄の3人だけでしたが、実際はほとんど特別出演(もしくは友情出演)じゃないの?という感じでした。しかも感心したのはみんな上手い具合にチョイ役をこなしてるんですよ。井筒監督の人脈でしょうが、これはこの映画のひとつの魅力だと思いました。

 4つあるストーリーはと言うと、どれも深くなく、と言うよりかなり浅くて、深く掘り下げればそれぞれで一本映画が撮れるくらいの話なだけに、この手の映画としてはかなりスピーディに感じました。そういう意味では、一歩間違うと大森一樹監督の『大失恋』になってしまっていたかもしれません(好きな人ゴメンナサイ)。僕はこの映画、見終わったときに「なかなかよかったな」と思ったんですが、ラストシーンで、それぞれ4つの話の人間関係がすっとまとまっていくのがとてもよかったですね。問題定義されたあと、解決の過程をすっ飛ばして解決してしまったという感は否めませんが、そのたたみかけ方がとってもよかったです。

 もう少し泣けるように作ってもよかったような気もしましたが、そのせいで邦画によく感じる泥臭さみたいなものが少なくて、とてもすっきりとした印象を受けました。タイトルから年輩の人向けの内容を予想していましたが、全年齢対象で楽しめると思います。僕はよく分かりませんでしたが、かなりNHKののど自慢を意識した細かいネタがちりばめてあったようなので、見たことがある人はもっと楽しめるのではと思いました。

監督 井筒和幸  脚本 井筒和幸・安倍照夫


             

あらすじ  売れない演歌歌手の赤城麗子はマネージャーの須貝とともに故郷の群馬県桐生市へ営業にやってきた。レコード店や健康ランドなどで2人は営業を開始する。しかし、キャンペーンの甲斐もなく全く売れず、ついに資金も底をついてしまったのだった。

麗子は金策のため仕方なく理容店を営む父の元へ向かったが、そこには常連客である近所のおじさんが居て借金話を言い出すことが出来ない。その常連客は娘のグチをこぼしており帰る気配がない。聞くともナシに話を聞いていると、その娘は何年ぶりかに町にやってくるテレビ番組「のど自慢」に出場して、全国ネットで彼にプロポーズをするつもりらしい。常連客はその行為をとがめているのだ。ついには娘も理容店に乗り込み、口げんかとなるが、結局常連客が予選出場を認めなかったため娘は泣き出して出ていってしまった。ずっと2人のやりとりを見ていた麗子の足下には常連客が丸め捨てた「のど自慢予選出場」のハガキが転がっていた。麗子は何を思ったか、そのハガキをポケットに忍ばせるのだった。

一方、スーパーの前の屋台「焼き鳥ピーコちゃん」では1人の男が焼き鳥を焼くのに四苦八苦していた。男は荒木圭介40才。妻と妻の母、中学3年生を初めとする3人の娘に囲まれる中年パパだ。圭介は何をやっても上手くいかず、いくつも職を転々としてきたが、今度もやっと手に入れたラーメン店を火事で焼失し、新しい職業として選んだ焼鳥屋で研修をしている最中なのだ。しかし、今度の土曜日が採用試験の日だと言うのに、物覚えが悪い圭介は店長に怒られっぱなしだ。さらに圭介にはもう一つ気になることがあった。その土曜日は兼ねてから出たくてしょうがなかった「のど自慢」の予選の日だったのである。

室井 滋

AS

赤城 麗子

売れない32才の演歌歌手。どこへ行ってもまともに歌を聴いてもらえず、せっかくもどってきた地元のレコード店のキャンペーンでも買ってくれたのはレコード店の息子だけというありさま。しかし、のど自慢が近くのホールで開催されることを知り、彼女の気持ちの中で何かがはじけた

テレビに映画に出ずっぱりの室井さんはコメディからシリアスまで何でもこなす役者さんですが、最近では海外にカセットテープを売りに行くのがメインのお仕事になってしまっているようです(^^;アジアが終わって今度はアメリカ!?その合間をぬっての舞台挨拶も大好評だったようです。


大友 康平

AS

荒木 圭介

何をやっても上手くいかない中年パパ。転職の回数は数知れず、同居する母方の母親にも頭が上がらない。しかし、妻や娘からは愛され、家族仲はとてもよい。前向きで目立つことが大好きな彼の趣味は唄うことである。

いわずと知れたハウンド・ドッグのボーカリストです。一度でもハウンド・ドッグのコンサートを見たことがある人ならば、この役が大友さんのはまり役であることが分かるはず?演技なんかじゃありません。絶対に地です。ぼけぶりもあの笑顔も絶対に地。見たことないあなたは一度コンサートへ行きましょう!
伝説のいっきゅう〜っ!にきゅう〜っ!サンキュウ〜っ!!を聞こう!!


伊藤 歩

AS

高橋 里香

母子家庭に育つ高校3年生の少女。カラオケが好きで友達内では自分が一番上手いと思っていて、密かに歌手になりたいと思っている。分の思っていることを 素直に表現できない彼女は、不倫の末の妊娠した姉と母親の喧嘩をあおってしまい、母からは「冷たい子だね」と言われてしまう。せめて家を出て恋人の元へ行ってしまった姉には自分の歌を聴いてもらいたいと考えるが、そのためには本戦に出場してテレビに出なければならない。

めざましテレビで本作の紹介を見て、スワローテイルに出ていた子だというのは知っていましたが、言われなければ分からなかったですね。何かすごくかわってしまった(外見が)気がしました。演技はすごくナチュラルなんです。初め画面に出てきたときは脇役か?と思わせるほど素人っぽいぎくしゃく感があって、ヘタだなあと思いましたが、それがストーリーを追う内に演技であることが分かって、感心してしまいました。顔は地味ですが存在感があります。これから注目してみてみたい子です。


北村和夫

AS

耕太郎老人

椎茸栽培をして暮らす老人。しかし、今は自閉症気味の孫を都会に住む息子夫婦から預かり、何とか励まして普通に笑い、しゃべれる子になって欲しいと願っている。しかし、孫が少しずつ心を開きはじめてきたところへ、息子からサンパウロ転勤決定の知らせが入る。孫と一緒にいられるのもあとわずか、老人は何とか孫に勇気を与えたいと思い、のど自慢で熱唱する。

名優北村和夫の久々の映画出演です。他の3人のストーリーに比べて著しく少ない露出で、セリフが少ないのはもちろん、状況説明等もほとんどないのに、その表現力で耕太郎老人が何を言いたいのか、何をしたいのかが十分に見ている方に伝わってきました。本編では北村さんと監督の編集能力だけに頼っていた耕太郎老人編の説明はパンフレットに詳しくかかれていましたが、それを読めば、本編でいかに行外の意を上手く伝えているのかがなおさら分かりました。

 

 

 

 

 


 その他の出演者  尾藤イサオ(赤城麗子のマネージャー)    小林稔侍(麗子の父)

 松田美由紀(圭介の妻)   竹中直人   佐々木すみ江   由利徹   田口浩正

 古尾谷雅人   坂上香織   初瀬かおる   りりイ   岸部一徳     他