Cinderella -シンデレラ- ★★★★
放送局: ABC
プレミア放送日: 11/2/97 (Sun) 19:00-21:00
製作: シタデル・エンタテインメント、ストーリーライン・エンタテインメント、ブラウンハウス・プロダクションズ
製作総指揮: クレイグ・ゼイダン、ニール・メロン、ホイットニー・ヒューストン
監督: ロバート・アイスコーヴ
音楽: リチャード・ロジャース(作曲)、オスカー・ハマーシュタイン2世(作詞)
出演: ブランディ(シンデレラ)、ホイットニー・ヒューストン(魔法使いのおば)、ウーピー・ゴールドバーグ(コンスタンティーナ王妃)、バーナデット・ピータース(継母)、パオロ・モンタルバン(王子)

物語: シンデレラ(ブランディ)は父親亡き後、継母とその二人の娘からほとんど召し使い同然の仕打ちを受けて暮らしていた。二人の娘は、王子が妃を見つけるために催す舞踏会に出るための準備に忙しく、何かにつけてシンデレラに辛く当たる。塞ぎがちなシンデレラの前に現われたのが魔法使いのおば(ヒューストン)。夢と勇気を持てばかなわないものはないと、魔法を使ってシンデレラに新しい服と馬車を誂えてくれる。しかし、魔法が効くのは夜中の12時までで、その時刻を過ぎるとすべて元通りの姿になってしまうと念を押されてしまう‥‥

Cinderella 1957年、数々のミュージカルの作詞/作曲コンビとして知られるリチャード・ロジャースとオスカー・ハマーシュタイン2世は、TVの実写版ミュージカル「シンデレラ」用に、ディズニーの50年版「シンデレラ」とはまったく違う新しい曲を書き下ろした。この時シンデレラを演じたのは、ブロードウェイのミュージカル「マイ・フェア・レディ」に主演中の弱冠22歳のジュリー・アンドリュースで、CBSの生放送によって全米に放送された「シンデレラ」は、当時1億7,000万人の米国の総人口のうち1億人以上が見たという大ヒット番組となった。65年には、新人のレスリー・アン・ウォレン (「チューズ・ミー」) を抜擢して再TV映像化、これも話題となった。今回の「シンデレラ」は、ロジャース/ハマーシュタイン音楽を使用する3度目のTVミュージカルになる。

今回シンデレラを演じるブランディは、UPNが放送しているシットコム「モエシャ (Moesha)」に主演している他、歌手としても親しまれている、特に黒人に人気のあるアイドルだ。魔法使いのおば役には、番組の製作総指揮も兼ねているホイットニー・ヒューストン。因みに今回のプロジェクトが数年前にCBSの企画として発表になった時、ヒューストンは最初、主役のシンデレラとしてサインした!という経緯がある。その他ウーピー・ゴールドバーグ、ジェイソン・アレキサンダー (「となりのサインフェルド」)、バーナデット・ピータース (「アニー」) といったベテランが脇を固めている。

今回のTV化は、90年代に相応しく人種問題にも気を使ったポリティカリィ・コレクト (政治的に正しい) なマルチ・エスニック・キャストになっていることが最大の特長。主演のブランディとおば役のヒューストンは黒人、シンデレラの継母 (ピータース) は白人だが、二人の娘は白人と黒人一人ずつ、王様は白人、王妃は黒人 (ゴールドバーグ) で、二人の間から生まれてきた王子はアジア系 (フィリピン人) というキャスティングである。

その他、これまでのTV化では使用されなかったロジャース/ハマーシュタインの音楽から新しく3曲が追加、新しいキャラクターとしてお城の召し使い (アレキサンダー) が追加されたことなどが、これまでのTV化とは大きく異なっている。総額1,200万ドルという製作費をかけたプロダクションは、豪華絢爛な衣装とセットを実現させると共に、要所要所に効果的に最新のCGを使用して効果を上げている。ヒューストンと一緒に製作総指揮に名を連ねているのは、4年前にベット・ミドラー主演のTVミュージカル「ジプシー (Gypsy)」を製作、成功に導いたクレイグ・ゼイダンとニール・メロン。

一歩間違えば荒唐無稽ともなりかねない多人種キャストを、コンパクトにまとめた製作陣の手腕は高く評価されてよい。ただし、放送時には、こういったユートピア的な世界は、実際にどれほど現実から乖離しているかを強調するだけという辛辣な意見もあった。私はよくできていると思ったが、しかし、ブランディがシンデレラというにはちょっと無理があるんではないかという気は確かにする。単純に、エネルギーが満ち溢れんばかりの彼女が、シャイなはずのシンデレラに扮するというのが、私の頭の中では大きなギャップとして映るのだ。ただし、もちろん彼女の歌は本職であり、非のつけようがない。特に彼女がヒューストンと一緒に歌うシーンは圧巻であり、鳥肌ものだ。このシーンだけでもこの番組を見る価値がある。しかしそれにしても、魔法使いのおばさんとしてはまっているヒューストンが、ほんの数年前にはシンデレラとして主演するつもりだったというのが本当に信じられない‥‥


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