Gene Roddenberry's Andromeda - ジーン・ロデンベリーのアンドロメダ - ★★1/2
放送局: WB
プレミア放送日: 10/7/00 (Sat) 19:00-20:00
製作: ファイアワークス・エンタテインメント、トリビューン・エンタテインメント、アンドロメダ・プロダクションズ
製作総指揮: マエル・バーレット・ロデンベリー、アラン・イーストマン
共同製作総指揮: ロバート・ヒューイット・ウルフ
監督: アラン・イーストマン、アラン・クローカー
脚本: ロバート・ヒューイット・ウルフ
撮影: ゴードン・ヴァーユール
編集: エリック・ヒル
音楽: マシュー・マッコーリー
美術: ケン・ラべール
出演: ケヴィン・ソルボ(ディラン・ハント)、リサ・ライダー(ベカ・ヴァレンタイン)、キース・ハミルトン・コッブ(タイル・アナサジ)、ブレント・ステイト(レヴ・ベム)、ローラ・バートラム(トランス・ジェミニ)、ゴードン・マイケル・ウールヴェット(シーマス・ハーパー)、レクサ・ドイグ(アンドロメダ)

物語: 第1話「アンダー・ザ・ナイト (Under the Night)」
連邦防衛軍が誇るアンドロメダ・アセンダント号は、高度の自立知性を持つ最先鋭宇宙戦艦だった。ハント船長の指揮の下、宇宙空間のパトロールを続けるアンドロメダ号に、緊急のSOS無線が入る。救助に向かうアンドロメダ号だったが、それは連邦軍に強硬に反抗を続けるニーチェアンの罠だった。しかも、信頼していた部下もニーチェアンの一人だった。応戦するアンドロメダだが、ニーチェアンの総攻撃の前に今度ばかりは旗色が悪い。ハント船長はやむなく総員に撤退命令を出す。アンドロメダに一人残ったハント船長は、窮余の一策としてブラック・ホールの重力を利用してその場を脱出しようとする。しかしその時既にパワーの大部分を失っていたアンドロメダは、ブラック・ホールの重力を振りきれず、ハント船長ともどもブラック・ホール内の重力のひずみの中に取り残される。そこでは時間の進行がもが停止する暗黒の世界だった‥‥そして300年後、連邦軍はニーチェアンの前に屈し、宇宙の秩序は混沌を極めていた。ブラック・ホールの中に閉じ込められたアンドロメダには多額の懸賞金が賭けられており、掛け金目当てのならず者が絶えず宇宙を漂ってアンドロメダの後を追っていた。そしてそういう遭難した宇宙船を回収するサルヴェージ船ユーレカ・マル号が、ついに暗黒空間を漂うアンドロメダを発見する。アンドロメダを曳航しようとするユーレカ・マルはアンドロメダをブラック・ホールから引き摺り出したのを機に、300年間タイム・スリープに陥っていたハント船長をもまた、目覚めさせる。当然ハント船長はアンドロメダの引き渡しを拒否、ユーレカ・マルの乗組員たちは武力行使でアンドロメダ突入を図る‥‥

Andromeda アメリカのTV番組にはネットワークで放送される番組の他に、ケーブル・チャンネルが製作するケーブル・オリジナル番組、それに主としてネットワークに間借りして放送される、シンジケーション番組というある種特殊な番組が存在する。ABCやNBCのようなネットワークは、読んで字のごとく全米中にネットされているからネットワークと呼ばれるのだが、全米で朝から晩まで同じ番組を放送しているわけではなく、プライムタイム以外は基本的に系列局に編成は任される。日本でフジやTBSの系列局が、プライムタイム以外は地方局独自の編成をしているのと同じである。

広いアメリカではそのネットワーク系列局の空いた時間を狙って、地方局同士で連携 (シンジケート) して流通する番組が存在する。それがシンジケーション番組と呼ばれるもので、 プライムタイム以外 -- つまり日中や深夜に編成される。シンジケーション番組は棲み分けが確立しており、平日日中はトーク番組、夕方はクイズ/ヴァラエティ、深夜は昔の番組の再放送といった具合にほぼ時間帯で編成される番組の種類が決まっている。その中でも週末の午後は、歴史的に1時間枠のSF/アクション・シリーズが挙って編成され、これぞシンジケーション番組という独特のカラーを持つ番組群を形作っている。

しかし絶対的視聴者数の少ない週末、しかもプライムタイム外だと、当然ネットワーク番組に較べて視聴率は落ちる。そのためスポンサーから製作費をぶんどれず、どうしてもちゃちい番組になる。このチープさこそが、シンジケーションのシリーズ番組の最大の特色である。「ER」、「アリーmyラブ」、「サード・ウォッチ」のようなネットワーク番組と、「V.I.P.」、「ベイウォッチ」、「レリック・ハンター」等のシンジケーション番組とを並べてみれば、その違いがはっきりとよくわかるだろう。

このシンジケーション番組、製作費が安いから放映権も安い。そのため質のわりには世界中によく広まっているのも特徴で、「ベイウォッチ」が世界中で最もよく見られている番組になってしまったのも、ひとえにこの放映権の安さにあった。元手があまりかかっていないから、アメリカ国外で放送される時もそれほど視聴率を気にしなくてもいい。そのため、わざわざ金出して買っているとはいえ、深夜とか週末日中とかの人があまりTVを見ていない時間に編成されがちである。日本の民放でなぜだか誰も見てないような深夜に編成されている1時間枠の海外ドラマがあるとすれば、それは十中八九シンジケーション番組である。

シンジケーション番組は土曜午後という放送時間帯が作りのちゃちさと相俟って、ある種独特の雰囲気を形成している。なんといってもこの時間、健全な? 一般子女ならば家におらず、外で遊び回っている時間帯である。この時間に家でスポーツ中継以外のTV番組を見ているのは、不健康丸出しのサラリーマンか時間を持て余している学生、あるいはオタクかその予備軍と相場が決まっている。つまり、そういう種類の人々に最も受ける類いの番組がシンジケーション番組であり、つまりは(1)SFかアクションで、(2)適度なお色気があり、(3)その内容はあまり難しからず、(4)善玉悪玉が一目でわかる勧善懲悪のようなもの、であれば申し分ない。ほら、前記のシンジケーション番組はすべてこの要素を満たしているでしょ。

その中でも近年、シンジケーション番組として最大のヒットとなったのが、ルーシー・ローレスが主人公を演じる「ズィーナ (Xena: Princess Warrior)」である (日本人はなぜだかこの番組を「ジーナ」と発音してしまうものが多く、私も最初その口だったが、これはネイティヴには耐えられないものらしい。「ジーナ」と言うと必ず変な顔されるか、その場で矯正される。なぜだか本気で怒りだす者までいた)。「ズィーナ」は上記の要素をすべて過不足なく満たしている上、シンジケーション番組にしては製作費がかかっており、ネットワーク番組と比較してもほとんど見劣りしないという稀な番組だった。しかしその「ズィーナ」も近年の視聴率の低迷には勝てず、ついに今シーズン限りでキャンセルが発表になっている。

その「ズィーナ」以前、「ズィーナ」より人気があり、結果的に派生番組としての「ズィーナ」を生み出したのが、ケヴィン・ソルボが主人公ヘラクレスを演じた古代アクション「ハーキュリース (Hercules)」である (ハーキュリースとはもちろんヘラクレスの英語読み)。そして「ハーキュリース」以前、90年代前半までシンジケーションで長年にわたり人気ナンバー1の地位を維持していたのが、今なお放送され続けている「スタートレック」シリーズである。因みに「スタートレック」は今では新興ネットワークのUPNでプライムタイムに放送されているが、残念ながら視聴率の方は停滞気味である。この番組はやはりシンジケーション番組として土曜午後に放送される方がよかったと私は思う。

「スタートレック」は長年にわたって培われてきた歴史があり、シンジケーション番組に特有の「わかりやすい内容」という点では必ずしもそうとは言えず、マジで見ると結構深遠な思想らしきものを持っている。だから途中から見るとよくわけがわからなかったりするのだが、それだからこそ一度はまると抜け難いようで、結果として「トレッキアン」というハード・コアのファンが世界中にいる。クリエイターのジーン・ロデンベリーは既に物故して久しいが、ファンの間ではほとんど神格化されており、そのロデンベリーが残したメモを基に、前出のケヴィン・ソルボを主人公として配したSFが、この「ジーン・ロデンベリーのアンドロメダ」である。

いや、今回は前置きがやたらと長かったな。ま、とにかく、ロデンベリーとソルボというアメリカのSFファンにとっては身近な名前を揃えた「アンドロメダ」は、今シーズンのシンジケーション番組では最も注目されているということを言いたかったのであった。

実は私はシンジケーションでのSF番組には懐疑的である。何度も言うようだが、シンジケーション番組は製作費の関係もあり、どうしてもネットワーク番組に較べて見劣りがする。SFのようなスペシャル・エフェクツを多用する番組で、チープという印象を与えるのはほとんど致命的だと思うのだ。「スタートレック」だって、内容はともかく、製作規模がチープという印象は拭い難い。あの宇宙船の内部は、どう見てもベニヤの合板にしか見えないし、どこかの星に降りる度に宇宙服の必要もなく、ちゃんと地表に酸素が行き届いているような設定をチープと言わなくて、どこをチープと言えばいいんだ。

「アンドロメダ」も、その点では宇宙船アンドロメダ内部の仕様は、規模はともかく「スタートレック」と五十歩百歩であり、それほど違いがあるようには見えない。しかし、サルヴェージ船ユーレカ・マル号なんかはうまい具合に汚く前近代的な感じに仕上がっており、近年のCG技術の進歩のおかげもあって、宇宙での戦闘シーンの描写は以前より大分進歩したように見える。それよりも主人公のハント船長に扮するソルボが、ちゃんとそれなりのカリスマを出していたのが驚きだった。「ハーキュリース」の時より髪が短くなって、より軽快な印象を受ける。悪くないじゃん。その他の面々はカナダ出身の俳優ということもあって、ほとんど顔を知らない人たちばかりであった。

しかし、この手の宇宙SFって、必ず顔だけ獣ヅラして首から下は人間という宇宙人が出てくる。「アンドロメダ」も例外ではない。あれって進歩ないよなあ。アンドロメダ号は「2001年宇宙の旅」のハルのような知性を持った宇宙船ということになっているが、ホログラムで現れる視覚的に造型された人物像は、アメリカン・インディアンの趣きがあるのは最近流行りのポリティカリィ・コレクト (政治的に正しい立場) を意識してのものか。それと笑ってしまうのが、連邦軍指揮下に入るのを潔しとしない反乱軍の名前が、ニーチェアンとなっていること。こんなところにいまだに冷戦の影響が垣間見えるのがなんともおかしい。名を変えようとは思わなかったんだろうか。

とにかくプレミアは、主要な登場人物が揃っただけの時点で終わってしまった。特に最後の最後で出てきたキース・ハミルトン・コッブは、敵役と登場して出てきたが、クレジットの順位から見て、2回目以降からは寝返ってソルボの下につくのは間違いなく、その他のユーレカ・マル号の乗組員も同じことだろう。それでもアンドロメダ vs ユーレカ・マル乗組員のテンションが高まった時点で終わるプレミアは、なかなか興味を引っ張ってくれ、次回以降彼らがどうやってソルボに与するのか気にさせてくれた。主人公にソルボというアクション・スターを迎えており、「スタートレック」がいまだに放送されているため、今後の「アンドロメダ」は「スタートレック」的な思索的SF番組の方向には向かわず、もっとアクションを重視した路線に向かうに違いない。

製作総指揮は、ジーン・ロデンベリーの未亡人であるマエル・バーレット・ロデンベリーが務めている。マエル・バーレットは数年前にも「アース:ファイナル・コンフリクト (Earth: Final Conflict)」というやはりジーン・ロデンベリーの遺稿を基にしたTVシリーズをシンジケーションで製作している。死んでもなんやかやと担ぎ出されるジーン・ロデンベリーも草葉の陰でさぞや苦笑いというところだろう。ところで、ジーンとマエル・バーレットは大昔、結婚式をその時の旅行先であった日本で挙げている。ジーンは当時のアメリカ人には珍しく完全な無宗教者であり、郷に入っては郷に従えということで、式を神道に則って行ったという有名な逸話が残っている。


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