Malcolm in the Middle -マルコム・イン・ザ・ミドル- ★★★
放送局: FOX
プレミア放送日: 1/9/00 (Sun) 20:30-21:00
製作: リージェンシー・テレヴィジョン/Regency Television
製作総指揮: リンウッド・ブーマー、デイヴィッド・リチャードソン、アル・ヒギンズ、トッド・ホランド
製作: ゴードン・ウルフ
監督: トッド・ホランド
脚本: ジョン・ローガン
撮影: レヴィ・アイザークス、ヴィクター・ハマー
編集: スティーヴ・ウェルチ、ナンシー・モリソン
音楽: ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ
出演: フランキー・ムニツ (マルコム)、ジェイン・カツマレク (ロイス)、ブライアン・クランストン (ハル)、クリストファー・マスターソン (フランシス)、ジャスティン・バーフィールド (リース)、エリク・パー・サリヴァン (デューイ)

物語: 11歳のマルコムは、父ハル、母ロイス、兄リース、弟のデューイに囲まれて、毎日が戦争のような生活を送っている。実は長兄のフランシスもいるのだが、素行に問題があり、現在矯正の意味も兼ねて軍隊に送られている。ある日、学校の先生に呼ばれたマルコムはIQテストを受けさせられ、その結果実は天才的な頭脳を持っていることが判明、選ばれた者たちだけの特別クラスに転入を薦められる。子供たちの世界ではそれが仲間外れに等しいことを知っているマルコムは頑強に抵抗するが、結局は親の説得もあって渋々クラス替えに同意する。マルコムの想像通り、以前の友達は彼を遠巻きにするようになり、マルコムは一人孤立してしまう‥‥

malcolm family やっと不毛の12月が終わってアメリカのTV界にも活気が戻ってきた。9月下旬から6月までが1シーズンと見なされるアメリカのTV界は、元々夏場は再放送ばかりで大したものはやってない。しかし、それでも試しに新番組を投入したりするTV局もあるから、それはそれで何かしら見る番組はある。しかし、シーズン中であるはずの12月は、実は穴場的な不毛の月なのだ。何といってもクリスマスを目前に控えたアメリカ国民は、12月はTVを見る機会がめっきり減る。それはもう、歴然と減るのだ。この辺は、家族の集いがTVよりも大事と考えている伝統的なアメリカ国民の面目躍如たるものがある(もちろん都会や若者はこの限りではないが)。

TV局もそれを知っているから、12月の中旬以降は再放送のオン・パレードで、人気のある番組の新エピソードや目ぼしい番組は投入してこない。自分たちも休みたいしね。NBCなんか、クリスマスには毎年必ずフランク・キャプラの「素晴らしき哉、人生!」をプライムタイムに放送する。それを必ず見る奴がいて、結構いい視聴率をとったりするのだ。これなんか日本で言えば一時期の「忠臣蔵」に値するだろう。

年が明けてやっと登場した新番組が、FOXのこの「マルコム・イン・ザ・ミドル」。FOXは今シーズン絶不調で、編成する新番組新番組がことごとく低視聴率に喘ぎ、青息吐息の状態である。ドル箱番組である「X-ファイル」も「ビバリーヒルズ青春白書」も「サンフランシスコの空の下」も全部今シーズン限りと噂されているし、後がない状態なのだ。しかし、TVビジネスはアメリカでは「Cyclical business」と呼ばれていて、不毛の状態が続いた後は、ヒットが巡ってくることになっている。なぜだか本当にそうなのだ。昨年までネットワークではどんじりだったABCが、驚異の超ヒット・クイズ番組「フー・ウォント・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」で返り咲いたように、一時期、老人以外は誰も見ていないと陰口を叩かれていたCBSが「タッチド・バイ・アン・エンジェル」等の活躍で視聴率トップに立ったように、雨が降ればいつかは晴れるのがこの業界の特徴である。

そして「マルコム」は見事FOXの期待に応えてくれた。10年前の絶大なる人気を誇った最盛期の「シンプソンズ」以来の高い視聴率を獲得し、ほとんど死に体だったFOXを生き返らせた。「マルコム」はシットコムなのだが、業界の標準としてのシットコム、いわゆる「フレンズ」や「となりのサインフェルド」、「ダーマ&グレッグ」等とは毛色が違う。何が違うかというと、普通、スタジオでお決まりのセットで撮影されるシットコムのセオリーを破って、ほとんどがロケーションの屋外撮影によって撮られている。そのため、あのうざったい観客の笑い声、「ラフ・トラック」が挿入されてない。フィルムで撮影されているから、見た目にはまるでドラマである。手間暇がかかるため、30分番組のくせに製作費が1本120万ドル!もかかる。まったく新しいタイプのシットコムなのである。番組の第1回は、食事中の兄弟の目の前で母ロイスが、素っ裸で新聞を読んでいる父ハルの体毛をバリカンで剃っているという人を食ったシーンから始まる。一瞬げえーっとするが、こういったえげつない演出が、いやあ受けたらしい。あっというまにFOXを代表する人気番組となってしまった。

クリエイター/製作総指揮のリンウッド・ブーマーは、「大草原の小さな家」でアダム・ケンドールを演じていた俳優。NBCでも人気シットコム「サード・ロック・フロム・ザ・サン」を製作している。主演の11歳のマルコムに扮するフランキー・ムニツは、実は14歳。現在公開中の映画「マイ・ドッグ・スキップ」でケヴィン・ベーコン、ダイアン・レインと共演している。私は最初彼の写真を見た時、あれ、ディカプリオの弟かなんか?と思ってしまった。それほどよく似てる。特に「ギルバート・グレイプ」に出ていた時のディカプリオにそっくりである。

とにかく、あのカンに触る耳障りなラフ・トラックがないだけでも私はこの番組を擁護する。あれって笑いを強制されているようで気に入らないことおびただしいが、それがないだけでも私にとっては大きなプラス・ポイントである。絶対に自信をもって面白くないところで笑い声なんか聞くと、二度とこんな番組なんか見るかと思ってしまう。視聴者は面白ければ笑うし面白くなければ笑わない。それだけのことである。別にラフ・トラックなんかいらないのだ。そう思っているのは私だけではなかったようで、「マルコム」のラフ・トラックなしに言及した批評を多く見たが、そのほとんどが私と同意見であった。そういうわけで、私は「マルコム」には頑張ってもらいたいと思う。


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