Queer as Folk - クイアー・アズ・フォーク - ★★1/2
放送局: ショウタイム
プレミア放送日: 12/3/00 (Sun) 22:00-0:00
製作: テンプル・ストリート・プロダクションズ、ショウタイム
製作総指揮/脚本: ロン・コーウェン、ダニエル・リップマン、トニー・ジョナス
製作: ケヴィン・インチ、シーラ・ホッキン
監督: ラッセル・マッケイ(プレミア)
オリジナル・クリエイター: ラッセル・デイヴィーズ
撮影: ソム・ベスト
編集: ビル・ゴダード
音楽: トム・サード
美術: イングリッド・ジュレク
出演: ゲイル・ハロルド(ブライアン・キニー)、ハル・スパークス(マイケル・ノヴォトニー)、ランディ・ハリソン(ジャスティン・テイラー)、スコット・ロウエル(テッド・シュミット)、ピーター・ペイジ(エメット・ハニーカット)、セア・ギル(リンジー・ピーターソン)、ミシェル・クラニー(メラニー・マーカス)、シャロン・グレス(デビー・ノヴォトニー)

物語: ペンシルヴァニア州ピッツバーグの大手広告代理店に勤めるブライアン、スーパーマーケットの店長マイケル、会計士のテッド、洋服屋店員のエメットは、いつもつるんで夜の盛り場に出没するゲイの仲間たちだった。とくに見てくれのいいブライアンは引く手数多で、今日もクラブで他の仲間たちを尻目に、引っかけた男を連れて二人で薄暗がりの中で男同士のセックスを楽しむ。ある時ブライアンは、クラブの外でまだ幼い印象の残るジャスティンと出会う。導かれるままアパートに連れ込まれたジャスティンは実はまだ高校生で、ブライアンが忘れられず、その後もことある毎にブライアンの前に出没するようになる。実は本当にブライアンに惚れているマイケルはそのことがあまり面白くないが、しかし彼らのグループはジャスティンもまじえて行動するようになる。一方、ブライアンは精子を提供していたレズビアンのリンジーが出産したことで、公式には一児の父となる。しかしリンジーの恋人のメラニーは、ブライアンとリンジーの仲がよすぎるのが気に入らない。ブライアンはそういう周りの人間の気持ちを知ってか知らずか、今日も夜の街へと繰り出していき、見知らぬ男との行きずりのセックスを楽しむのだった‥‥

Queer as Folk イギリスの民放、チャンネル4が99年に放映したゲイ・ドラマ「クイアー・アズ・フォーク (QAFとよく略される。邦題: モダン・ラブ)」が大ヒットしたという話は、アメリカでも話題になっていた。これがBBCが放送した番組だったら、すぐにでもアメリカでBBCが運営しているチャンネル、BBCアメリカで放送されたんだろうが、いかんせんアメリカでのアウトプット網がないイギリスの一民放だとそうもいかない。結果、アメリカの視聴者は大西洋を挟んだ向こうで面白い番組があるということを耳にしただけで、本物を目にする機会はこれまでなかった。

これに目をつけたのが、アメリカの2大ペイTV、HBOとショウタイムである。HBOは現在、「ザ・ソプラノズ」と「Sex and the City」という民放ネットワークを上回る人気を持つシリーズ番組を持ち、ここでまた話題の番組を独占放送ということになったら、鬼に金棒である。しかし、ただでさえHBOに差をつけられているショウタイムは、これ以上差を拡げられるわけにはいかない。そういうわけで、ショウタイムが大枚はたいて「QAF」のアメリカでの放送権を買い取ったのであった。因みに「クイアー・アズ・フォーク」とは、イギリスの慣用句的言い回しである「There's nowt so queer as folk」から来ている。字義通りには、普通の人くらい変なやつはいない、つまり、誰もが皆変なところの一つや二つは持っているということ。クイアー(queer) には変なやつという意味の他にも差別語的にオカマという意味もあるから、その辺もかけている。

ところで、ここがアメリカらしいところなんだが、ショウタイムはこの番組をそのままアメリカで放送するのではなく、アメリカ風に手を入れて再製作する方法をとったのだ。まったく、外国とはいえ同じ言葉を話す英語圏の番組をなんでまたわざわざ作り直さなければいけないのか理解に苦しむが、そこはそれ、オリジナルは全8話、スペシャルを入れても全10話しかない。アメリカで放送してどんなに話題になっても、週一放送で2か月ちょっとで全話放送が終了してしまう。しかしアメリカで作り直せば、人気が出ればどこまででも新しいエピソードを足していける。実際、ショウタイムは既に放送前から、1話100万ドル以上の製作費で22話の製作を決めているのだ。

ショウタイムは数年前、ゲイ・ドラマの先駆とでも言うべきアミステッド・モーピンの「バーバリー・レーン28番地 (Tales of the City)」を放送しており、元々ゲイ・ドラマとは関係が深い。「バーバリー・レーン」が放送されたのはついこの間で、その時初めてTVでシリアスな男同士のキス・シーンがあるということでわりと話題になったのが、たった数年でもうほとんどX-レイティングの男同士のセックス・シーンの登場である。時代が変わるのは速い。

私は「QAF」オリジナルは見ていないのだが、結構テープは流布していて、見た奴はたくさんいる。私の同僚もその一人で、少なくともショウタイム版のプレミアを見る限りでは、オリジナルとほとんどまったく一緒と言って差し支えない内容だそうだ。ショウタイム版の方がカメラ・ワークに凝っていたり、金がかかっていると思えるらしいが、大まかなストーリー・ラインに変更はないらしい。あと、オリジナルでは15歳に設定されていたジャスティン役が、こちらでは世論を意識してか、17歳と僅かながら年長に設定されている。

それ以外では登場人物の名前がアメリカ風に変えられていることと、主人公のブライアンがオリジナルよりもハンサムであることがまず目につく大きな違いと言っていたが、これはどうも本人の嗜好のせいのような気がする。しかし、私の目から見てもブライアンに扮するゲイル・ハロルドは非常に男前だ。ゲイだけじゃなく、女性からももてると思う。いずれにしてもショウタイムはまだこれから20話以上製作していくわけだから、違いが出るとしたらこれからだろう。因みにオリジナルのクリエイターであるラッセル・デイヴィーズは、こちらではコンサルタントとして参加している。

で、その内容はというと、いやあ、よくここまでやったなあと感心するほどだ。冒頭からブライアンが絡む男と男のフェラチオ・シーン(男性器そのものは見せないが、充分際どい)で度肝を抜き、さらにジャスティンとブライアンのセックス・シーンと、息つく暇もない。ヴァージンのジャスティンは年を上の方にごまかして手慣れたふりを装うのだが、すぐに見破られ、上に乗ったブライアンに手技でいかされてしまう。精液を撒き散らしたジャスティンはブライアンに、辛抱しろって言っただろう、シーツを汚してしまったじゃないかと怒られるのだが、いやあ、まったく、えらいリアルじゃないか。確かにこういうのってこれまでTVで見たことなんかなかった。

ここまでやると、ストレートの男性や女性から反感を買いやしないかと心配になる。私も日本にいた時だったら生理的に嫌悪を覚えたかも。しかしニューヨークで10年も暮らすとなあ。どうしてもゲイの知り合いが増えるし、こういうのって結局慣れちゃうのだ。特にダウンタウンはゲイが多い。私は一度、知り合いが撮影を担当したインディのゲイ映画をヴィレッジに見に行ったことがある。一人で行ったのだが、行ってみて驚いた。結構混んでいたのだが、そのほとんどがゲイのカップルなのだ。その頃はまだゲイに免疫ができていなかった私は結構肩身の狭い思いをしたのだが、それも今となっては懐かしい思い出である。

ところで上記のセックス・シーンで、ブライアンがジャスティンにリム(rim) は好きかと訊ねる。ジャスティンはリムって何のことか知らないのだが、知ったかぶりをして結局知らなかったことがばれちゃうのだが、私もまったく何のことだかちんぷんかんぷんだった。後で同僚に訊いたら、その後のシーンでやってただろうという。しかしやはりどのことを指してるのかわからなかったので説明を求めたら、ケツの穴をなめることなのだそうだ。ああ、そうでしたか。

登場人物はほとんどが新人か無名である。既に名の売れた俳優がこの番組を敬遠するのはよくわかる。その中ではナレーションも担当する、狂言回しのマイケルに扮するハル・スパークスが、以前芸能関係の番組だけで構成されるE!チャンネルの「トーク・スープ (Talk Soup)」というトーク番組のパロディでホストをしていたのが、唯一経歴らしい経歴である。とはいえ、これだって知らない人の方が多いだろう。それ以外では、「キャグニー&レイシー」という女性刑事二人を主人公としたドラマで人気を博したシャロン・グレスが、マイケルの理解ある母親役で出演している。

赤裸々な男同士のセックス・シーンが話題となったおかげで、「QAF」は高い視聴率をマークし、まずは上々のスタートを切った。意外なことにロウ・ティーンが結構見ているそうで、流石アメリカ、という感じである。しかし、扇情的なセックス・シーンだけでは視聴者はすぐに飽きてしまうだろう。なんてったってこれから22話も話が続くのである。いくらなんでもセックスだけでは持つまい。本当にそれだけが見たいのなら、そのものずばりのXXX-レイティングのゲイ・ポルノ・ヴィデオが簡単に手に入るのだ。番組が成功するためには、これからのドラマ部分の面白さが鍵となることだろう。その点、つかず離れずを繰り返すブライアンとマイケルとの関係、ジャスティンの絡み、レズビアン・カップルのリンジーとメラニーの導入等、確かに話を膨らませるための伏線は色々はってあった。勝負はオリジナルにはなかった話が製作されるようになってからと見た。


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