
24 - 24 - ★★★1/2
放送局: FOX
プレミア放送日: 11/6/01 (Tue) 21:00-22:00
製作: イマジン・テレヴィジョン、20世紀FOXテレヴィジョン
製作総指揮: ジョエル・サーナウ、ロバート・コクラン、ロン・ハワード、ブライアン・グレイザー、トニー・クランツ
共同製作総指揮: スティーヴン・ホプキンス
クリエイト/脚本: ジョエル・サーナウ、ロバート・コクラン
製作: サイラス・ヤヴネック、アンドレア・ニューマン
共同製作: ロビン・チャンバーリン
監督: スティーヴン・ホプキンス
撮影: ピーター・レヴィ
編集: デイヴィッド・トンプソン
音楽: ショーン・キャラリィ
美術: カルロス・バルボサ
出演: キーファー・サザーランド (ジャック・バウアー)、レスリー・ホープ (テリ・バウアー)、エリシャ・カスバート (キンバリー・バウアー)、サラ・クラーク (ニーナ・マイヤーズ)、デニス・ヘイスバート (デイヴィッド・パーマー)、ペニー・ジョンソン・ジェラルド (シェリー・パーマー)、ターニャ・ライト (パティ・ブルックス)、ミア・カーシュナー (マンディ)
物語: 2004年某日深夜、自宅で妻と娘と寛ぐジャック・バウアーの元へ、非常招集がかかる。ジャックはCIAのCTU (Counter Terrorist Unit: テロ対策ユニット) のチーフであり、こんな時間に招集がかかるからにはそれなりの理由があるはずだった。折しもアメリカでは黒人として初の当選の見込みのあるパーマーが大統領に立候補しており、予備選を翌日に控えていた。ジャックはパーマーに関する非常事態が発生したと当たりをつける。一方、ジャックは家庭でも難しい年頃になった娘のキンバリーの教育という難問を抱えており、よりにもよってこういう時に、キンバリーは自分の部屋を抜け出して夜の街へと繰り出していた。ジャックは妻のテリに後を託し、後ろ髪を引かれる思いでオフィスに赴く。ジャックの勘は当たっており、パーマーの当選を喜ばない者の手によって暗殺者が放たれたとの情報が入っていた。しかもCIA内部に外部に通じている者がいるとの情報もあり、ジャックは誰を信頼することもなく事態に対処しなければならない。その頃、西海岸上空にさしかかった旅客機には暗殺者が乗っており、旅客機を乗客乗員もろとも爆破して、自分はパラシュートでアメリカ大陸に降り立つ‥‥
多分、今シーズン、最も話題性が高く、評価されていたのが、この「24」だろう。今シーズン、どのネットワークも軒並みCIAや秘密エージェントを主人公とするアクション・ドラマを編成したが、「24」もCIAエージェントが主人公である。「24」はCBSの「エージェンシー」と並んで、リアルなアクション・ドラマとしての評判が高かった。MLB (メイジャー・リーグ・ベイスボール) を中継しているFOXの番組ということもあり、ワールド・シリーズが終わった11月になって初めて、大トリの登場という形で放送が始まっている。
「24」が話題となったのは、何よりも現実の時間と番組内の時間の進行とが一致しているという、リアル・タイムの時間進行にあった。現実の1時間と番組内の1時間は同じ尺度であり、午前零時という設定で始まった「24」は、1シーズン、24回放送した24時間後にクライマックスを迎えて終了することになる (通常、
1シーズンのエピソード数は22話前後であるが、もちろん「24」の場合は24話である)。半年以上もかけて24時間しか時間が進行しないというのも気の長い話ではある。
番組内の時間と現実の時間が同じ速さで進んでいるということを強調するために、番組ではコマーシャルが挟まった時や大きな場面転換があった時に、必ず何時何分かということが表示される。番組の登場人物が感じているのと同じ時間感覚を視聴者にも感じさせようという試みだ。要するに「真昼の決闘」で行われたのとまったく同じことをやっているわけだ。「真昼の決闘」でも何度も時計がスクリーン上に現れた。「24」ではデジタルの時間表示ということが時代の差を感じさせる。でも、視覚の上ではやはり針が進んでいくアナログの時計の方が、いかにも時が進むという感じがするのだが、デジタル時代に染まって生きている若い人たちは、数字が点滅しながら変わっていくデジタル表示の方がもっとしっくり来るのかもしれない。その他にも、主要登場人物がある瞬間にいったいどこで何をしているかを示すために、スプリット・スクリーンを多用、画面を分割して異なる場所にいる登場人物を同時に見せるなど、色々と技巧を凝らしている。
主人公はキーファー・サザーランド演じるCIAエージェントのジャック・バウアーなのだが、物語は彼、彼の娘、妻、部下、大統領候補のパーマー、それに暗殺者等の主要な登場人物を交互に描く。それにしてもサザーランドは父のドナルドにますます似てきた。声もそっくりで、画面を見ていなかったらドナルドの声って最近若返ったなあと勘違いしそうだ。クリエイターは「ニキータ」のジョエル・サーナウとロバート・コクラン。プレミア・エピソードの演出は「ブローン・アウェイ」、「ロスト・イン・スペース」のスティーヴン・ホプキンスが担当している。
なかなか緊張感とサスペンスを持続させ、楽しませてくれる。TVでこれだけスリリングな番組を見たのは久し振りだ。問題はこの緊張感をいったいいつまで持続させてくれるのかだな。半年間はたった一つの主要なストーリーを展開させていくには長丁場である。果たして視聴者を飽きさせないで半年間も持っていくことができるか。プレミアは確かに面白かった。CIAと大統領候補暗殺というありきたりの展開だけでは面白くないので、それにちょっと素行の怪しい娘を絡ませ、その娘が犯罪に巻き込まれることで二重三重のひねりとサスペンスを提供する。よくできている。その後も最初の数回を見る限り、テンションは落ちていない。しかし、やはり勝負はこれからである。
「24」は9月11日のテロリスト・アタックからほぼ2か月も経って放送が始まったのだが、やはりその影響を受けている。というのも、プレミア・エピソードでは終わり間際に暗殺者が旅客機を爆破し、一人パラシュートで脱出して米大陸に降り立つというシーンがあるのだが、このシーンがやはりひっかかった。なんといっても9月11日は4機もの旅客機が貿易センター・ビルやペンタゴンに激突、炎上し、多数の死傷者を出している。旅客機爆破のシーンが視聴者にそれを思い出させ、不安にさせるのではないかという当然の危惧があった。結局、番組では旅客機が爆発炎上する、都合4秒にわたるシーンがカットされた。
そのシーンを見た印象からいうと、爆発シーンのカットは番組に何の影響も与えていない。その直前のシーンで暗殺者が時限爆弾を仕掛けるシーンがあり、パラシュートで機から脱出した暗殺者の後ろを炎の塊となった旅客機の残骸が落ちていくという描写があるので、それでも旅客機が爆破されたことははっきりとわかるし、視聴者の想像力に訴えかけるので、むしろ爆発シーンそのものを見せるより、もっとサスペンスフルに仕上がったとさえ言える。
ところでその暗殺者なのだが、私はすっかり騙された。暗殺者のマンディに扮しているのは「エキゾチカ」のミア・カーシュナーで、彼女は最初、飛行機の中で、隣りに座っているカメラマンと称する男に愁眉を送る女性として登場する。二人は意気投合して飛行中の機のトイレの中で立ったままセックスしたりするのだが、その時点ではまだどちらが暗殺者かわからない。カメラマンがこれからアメリカで大事な仕事があるので、マンディがそれは何かと訊くと、初の黒人大統領候補のパーマーの撮影が待っているのだという。なるほど、それなら疑われずにパーマーの近辺に近寄ることができる。要するにこいつが暗殺者なのだなと、視聴者としては納得する。
もちろんそれはひっかけであって、実は本当の暗殺者はマンディの方なのだが、その時点では私は完璧に騙された。しかもマンディの登場の仕方がミーハーで、男に対し、わあ、カメラマンなの、大統領候補を撮るの、いいなあ、有名人なんだ、という感じなので、いくらなんでも彼女が暗殺者ということはあるまいと判断するわけだ。カメラマンも、うざいなあ、この女、ちょっくら相手してやるかという感じで、トイレでHした後も、また会えるかなあと訊くマンディに対し、俺は忙しいんだと相手にしない。あーあ、可哀想なバカ女。と思っていたらその直後にいきなりシリアスになって、カーテンの後ろのスチュワーデスを一撃で倒し、いかにもプロフェッショナルという感じでてきぱきと爆弾をセットする。ドアにも爆弾を仕掛け、自分はパラシュートで降下していくわけだが、直前のミーハーな描写との対比が利いているので、そのシーンが実に格好よかった。頑張れマンディ。あんたなら大統領候補暗殺という世紀の大仕事もやれる。
「24」は24話かけて一つの話を物語るわけだが、だからといってFOXは最初から24話をオーダーしていたわけではない。姉妹会社の20世紀FOXTVが製作にタッチしているが、当初は13話しかオーダーを受けておらず、もし視聴率が稼げなかったら途中でキャンセルという可能性ももちろんあった。思い出すのが数年前、CBSが放送したスティーヴン・ボチコ製作の法廷ドラマ「マーダー・ワン (Murder One)」で、これも一つの事件を1シーズンすべてをかけて解決するという思い切ったドラマだった。「マーダー・ワン」は結局視聴率が稼げず、確か途中で尻切れトンボのまま終わったはず。また、昨シーズン、やはり「24」のように最も前評判が高かったCBSの「新・逃亡者 (The Fugitive)」が、結局視聴者をつかまえきれないままずるずると視聴率を落としていった例もある。「新・逃亡者」は最後の方は誰も見ておらず、話題性と視聴者の嗜好は必ずしも一致しないことを如実に示していた。そういう前例があるので、サーナウとコクランも気が気ではなかったに違いない。
実は「24」も前評判こそ高かったが、これまでのところ視聴率は大した成績を上げてないのだ。これだけ前評判を煽り、派手に番宣をして批評家のお墨付きを貰っても、必ずしも番組が成功するとは限らない。番組製作の難しいところである。しかしそれでもねえ、今年はワールド・シリーズは最終第7戦までもつれ込んで、数年ぶりに高い視聴率を獲得したのだが、バック・ネットに「24」のヴァーチャル広告がこれでもかというくらいに登場し、FOXも気合い入れて宣伝しているなあと思ったものだが、それでも大した視聴率はとれなかったか。番組が成功するか失敗するかはいつの時代でも結構水物である。結局「24」は苦しみながらもシーズンのフル・オーダーを得て、なんとか今シーズンは持ちこたえることが決定した。
とはいうものの、まだ楽観はできない。何といっても「24」が放送されている火曜夜9時台のこの時間帯は、今、ネットワークで最も激戦の時間帯なのだ。今シーズン、今のところ若者に圧倒的人気のある「スモールヴィル」がWBで編成されているし、NBCは「フレイジャー」、「スクラブス」の人気シットコム路線、UPNも今シーズンから昨年までWBで放送されていた「ロズウェル」の放送権を手に入れ、この時間帯で放送を始めた。とどめがABCで、新番組の「ボブ・パターソン」の視聴率が悪かったためにそれをキャンセルして、なんと本当なら今シーズンから水曜10時台に予定されていた「NYPDブルー」を火曜9時に移動してきたのだ。これは困る。私は「NYPDブルー」のファンなのだ。ただでさえ「スクラブス」や「スモールヴィル」もわりといいなと思っていたのに、これでは何を見ればいいか迷うではないか。今のところ、ちょっと「24」を追っかけようかなと思っているが、お気に入りの番組が多過ぎるのも考えもんだ。
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