The Mind of the Married Man - ザ・マインド・オブ・ザ・メアリード・マン - ★★1/2
放送局: HBO
プレミア放送日: 9/11/01 (Tue) 22:00-22:30
製作: フラー・プロダクションズ
製作総指揮: マイク・バインダー、マイケル・ロテンバーグ、スチュー・スマイリー
共同製作総指揮: グレッグ・ファインバーグ、ボブ・ニックマン、リッチ・シャイドナー
製作: ジャック・バインダー、スコット・スティーヴンス、ゲイ・ウォルチ
共同製作: スティーヴン・ロング
監督: マイク・バインダー、デニー・ライナー、ロジャー・ナイガード、ブルース・パルトロウ、ボブ・サゲット、ナンシー・サヴォカ
脚本: マイク・バインダー
美術: ピーター・ポリタノフ
出演: マイク・バインダー (ミッキー・バーンズ)、ソニヤ・ウォルガー (ドナ・バーンズ)、ジェイク・ウェーバー (ジェイク・バーマン)、テイラー・ニコルズ (ダグ・ネルソン)、イヴァーナ・ミリセヴィッチ (ミッシー)、M. エメット・ウォルシュ (ランドール・エヴァンス)

物語: ミッキーはシカゴの有力紙のエース記者だが、どうもいつも性的に満足していない。家では生まれたばかりの息子がおり、妻のドナはミッキーの性欲に構っている暇はないのだ。ある日、ミッキーのコンピュータに女性のヌード画像を保存してあるのを、妻のドナに見られてしまう。ドナは何も言わないが、それだけによけい不気味である。ミッキーは同僚のジェイクとダグに相談を持ちかける。ジェイクは、妻もいながらいつも浮気ばかりしており、それでも家庭はうまくいっているというミッキーから見れば幸福の極地にいるような男だが、ダグは結構な恐妻家である。一方、ミッキーはオフィスで仕事のためにはならないとわかっていながらも、つい自分の欲望に負けてセクシーなアシスタントのミッシーを雇うが、案の定、ミッシーの存在はミッキーに潜在的欲望を膨らませるだけとなる‥‥

The Mind of the Married Man 近年HBOが製作するTV番組は、ドラマといわずシットコムといわずTV映画といわず、アメリカTV界の台風の目となっている。4大ネットワークが放送するシリーズなど尻目に、「ザ・ソプラノズ」「Sex and the City」、「Oz」、「シックス・フィート・アンダー」等、ヒット・シリーズを連発、TV映画を製作すればエミー賞総なめ、現在、トム・ハンクスとスティーヴン・スピルバーグがプロデュースした、第2次大戦末期の米パラシュート舞台の活躍を描く製作費総額1億2,000万ドルという破格の10時間ミニシリーズ、「バンド・オブ・ブラザース (Band of Brothers)」を放映中である。おかげで、今ではHBOと契約さえしていればアメリカの代表的TV番組は抑えられるという、ネットワークにとってはなんとも無念な展開になっている。

そのHBOが放送する新番組が、この「マインド・オブ・ザ・メアリード・マン」だ。この番組、中年にさしかかった男の性的な妄想を面白おかしく描くコメディとして、「Sex and the City」の男性版として意識的にマーケティングされていた。「Sex and the City」が現在、女性に圧倒的人気があるため、今度は男性視聴者層を狙っているのがありあり。要するにHBOが製作するシリーズは、セックスと暴力、死という、ネットワークがタブーとして意識的に避けている分野に積極的に取り組んでいるのが最大のポイントである。いずれにしても、面白い番組を見せてくれるなら私は別に異議はない。ただ、はっきり言って私は「Sex and the City」は面白いとはまったく思わない。既に何度も書いたのでその理由をまたここで書くのは止すが、とにかく、その男性版ということで、おかげでこの番組に対してもまったく期待していなかったことは事実だ。

案の定、見終わっての印象も、こんなものかという感じであった。「マインド・オブ・ザ・メアリード・マン」は、始終欲求不満に悩まされている主人公と、その同僚を主人公としている。「Sex and the City」が、主人公が4人ともシングルで、セックス・ライフを謳歌しようとしているのに較べ、「メアリード・マン」の登場人物は、すべて30代で既婚。女性のセックス・ライフはシングルじゃないとダメだが、男性は結婚してても他の女性にうつつを抜かせるという、このあたりが結局はTVドラマの限界という気がする。「Sex and the City」の主人公たちが皆結婚していたら、今のように人気を得たかは疑問だ。逆に世論の反感を買っただけではないだろうか。

で、「メアリード・マン」だが、主人公のミッキーは、いつも性的な煩悩に悩まされている。妻のドナは子育てに忙しくてミッキーの性欲に構っている暇はないため、なおさらだ。それで日中でもちょっと油断をするとそういう欲求が噴き出し、オフィスでアシスタント相手に妄想を膨らませたりしている。

その、ともすれば頭の中で作り出した自分の世界に没頭するところが、HBOが10年前に放送した初めてのヒット・シリーズ、「ドリーム・オン」にそっくりだ。「ドリーム・オン」は、映画に浸り切って育った主人公の男が、何かあると頭の中で、これまでに見た映画の似たようなシチュエイションを思い出し、逃避の世界に入ったり、そこから現実世界の解決策を引き出したりするという展開だった。「メアリード・マン」も、とにかく勝手に自分一人の妄想を膨らませるわけだが、とにかく自分一人の世界に没頭するという構成はよく似ている。それよりも何よりも、両番組ともオフ・ビートで、コメディと題していてもほとんど笑えず、なんとなくペーソスを感じさせるところなんかそっくりだ。

番組のクリエイター兼脚本兼プレミアの監督兼主人公のミッキーに扮するのはマイク・バインダーで、「コンテンダー」に出ているそうだが、はっきり言って無名と言っていいと思う。アシスタントのミッシーに扮するイヴァーナ・ミリセヴィッチも、「ザ・エージェント」とか「エネミー・オブ・アメリカ」に出ているそうだが、まったく記憶にない。ジェイクに扮するジェイク・ウェーバーだけは、ティム・ロスにそっくりで、「ザ・セル」に出た時、本当のロスが偽名を使って出ているのではないかとずっと思って印象に残っていたので、よく覚えている。何度見てもやっぱりロスそっくりだ。そういった比較的名の売れてない出演者の中で、最も知名度があるのは、ミッキーの上司ランドールに扮するM. エメット・ウォルシュだろう。とにかく長い芸歴の持ち主で、100本以上の映画出演作がある。多分その中で最も知られているのは、コーエン兄弟の「ブラッド・シンプル」だと思う。

私はプレミアを見てこんなもんかと思ったので、また見る気は全然なかったのだが、この番組、今HBOで放送されている前出の「バンド・オブ・ブラザース」と抱き合わせで放送されているため、「バンド・オブ・ブラザース」を見ようとTVをつけると、どうしても何かと目に入ってしまう。それで全部ではないがその一部とかをその気でもないのに見るはめになるのだが、こないだ見た回では、ミッキーが妻のドナにフェラチオをさせたまま、幸せそうに呆けた顔をして終わるという終わり方をしていた。そういう終わり方をするという番組というのは確かにこれまで見たことはなく、それはそれで印象的とは言えた。しかし、問題はそれでもそういうシーンを出しておきながらまったくそのシーンがイヤらしくもなく色気もなく、ついむらむらという気にさせてくれたりもしないことで、セックス・ライフを扱っていながらこの色気のなさはなんだと思う。

これは結構「Sex and the City」にも言えることだが、セックスを題材にしていながら、まったくいやらしくない。これらの番組を見て感じることは、セックスとスポーツがほぼ同義になっていることで、エッチしたいというのは、運動不足だから身体を動かしたいと言っているのとほとんど同じだという印象を受ける。エッチ・ヴィデオを見るような気持ちでチャンネルを合わせたら、身体を鍛えるエクササイズ番組を見せられたというような気になる。見る方としては、なんか、よけい欲求不満が溜まるような気がするのだが。まあ、本当にエロティックにしてしまうと、コメディという本当の狙いから外れてしまうだろうということはよくわかる。しかし、いずれにしても両番組ともほとんど笑えないぞ。それだったらせめていやらしくしてもらいたい。「Sex and the City」も、「マインド・オブ・ザ・メアリード・マン」も、私にはまったくアピールしないなあ。ああ、じっとりとイヤらしい日本のエッチ・ヴィデオが見たーい。



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