Survivor II: The Australian Outback - サヴァイヴァー II: オーストラリアン・アウトバック- ★★★
放送局: CBS
プレミア放送日: 1/28/01 (Sun) 22:00-23:00 以降 (Wed) 20:00-21:00 (1hr x 13)
製作: サヴァイヴァー・プロダクションズ、マーク・バーネット・プロダクション
製作総指揮: マーク・バーネット
製作: コンラッド・ピリジャン
音楽: ラス・ランドー、デイヴィッド・ヴァナコア
美術: ケリー・ヴァン・パター、ウェンデル・ジョンソン
ホスト: ジェフ・プロスト

参加者:
クッチャ族:
マイケル・スカピン(38)ソフトウェア会社社長
エリザベス・フィラースキ(23)シューズ・デザイナー
ニック・ブラウン(23)陸軍オフィサー
デブ・イートン(45)刑務所員
キミ・カッペンバーグ(28)TVコマーシャル製作アシスタント
ロジャー・ビンガム(53)教師
ジェフ・バーナー(34)インターネット・デザイナー
アリシア・キャラウェイ(32)フィットネス・トレイナー

オガコ族:
マラリン・ハーシー(52)引退した警官
コービー・ドナルドソン(26)カスタム・カー・デザイナー
ミッチェル・オルソン(23)ミュージシャン
ジェリ・マンゼイ(30)女優
キース・ファミー(40)シェフ
ティナ・ウェッソン(40)看護婦
ケル・グリーソン(33)陸軍オフィサー
アンバー・ブキック(22)アドミニストレイティヴ・アシスタント

内容: オーストラリア北東部、クイーンズランドの原生林で、男女8人ずつ計16人の参加者を42日間サバイバル生活させて競わせるゲーム/リアリティ・ショウ。16人は8人ずつクッチャ (アボリジニーの言葉でカンガルーを意味する)・チームとオガコ (ワニ)・チームに別れ、サヴァイヴァル生活を強いられる他、定期的にチーム対抗のゲームに参加しなければならない。ゲームに勝ったチームはマッチや毛布等の貴重な生活必需品を与えられるが、負けたチームは何も貰えないだけでなく、チーム内で最もサヴァイヴァル生活に貢献していないと見られる一人を投票によって選ばなければならない。選ばれた者は即刻退去を命じられる。参加者が最後の二人になった時点で、それまでに去った者の投票によって優勝者を決める。優勝金額は100万ドル。次点が10万ドルで、40万ドルが残りに分配される。

Survivor II 前回の「サヴァイヴァー」ではまりまくってしまい、毎週見続けていくのに大幅にエネルギーを消耗して疲れてしまったので、今回はもう既に番組がどういうふうに進んで行くのかはわかっているわけだから、プレミアだけ見た後は、続きは見るのはパスしようと思っていた。実際、プレミアだけ見て、後は時間が合えば見る、という感じで見ている。だから番組自体についてはあまり書けないのだが、今回、内容はともかく、この番組を巡るアメリカTV界の動きが非常に面白いので、そのことを書こうと思う。

「サヴァイヴァー II」のプレミアは、アメリカの「紅白歌合戦」とも言える「スーパーボウル」の直後に編成された。 ナショナル・フットボール・リーグ (NFL) の決勝戦の中継、「スーパーボウル」は、毎年視聴率で文句なしの1位となる超お化け番組である。「スーパーボウル」は、NFL中継に金を出しているネットワークが毎年持ち回りで中継するという決まりになっており、今年はCBSに順番が回ってきた。CBSはこの機を逃さず、その直後に「サヴァイヴァー II」を編成したのだ。

もちろん「サヴァイヴァー II」のプレミアは、昨年の「サヴァイヴァー」の最終回に匹敵する高視聴率を獲得した。しかし、面白いのはこれからである。CBSは、「サヴァイヴァー II」の第2回目以降を、NBCが誇る無敵の木曜夜のラインナップに正面からぶつけてきたのだ。「マスト・シー・TV (Must See TV)」と呼ばれるNBCの木曜のラインナップは、8時「フレンズ」、8時半「スティーヴン・ウェーバー・ショウ」、9時「ウィル&グレイス」、9時半「ジャスト・シュート・ミー」、10時「ER」と続く、ここ数年無敵のラインナップである。CBSはこれに対し、8時にまず「サヴァイヴァー II」を持ってきた後、9時には昨秋金曜に編成して人気を得た新番組「C.S.I.」をわざわざ移動して持ってきて、さらに3月からは、再放送が主体となる10時の「ER」に対し、力を入れている新番組「ビッグ・アップル (Big Apple)」をぶつけてきたのだ。CBSは本気でNBC潰しにかかっている。これが面白くないわけがない。ここ数年無敵を誇ったNBCの「マスト・シー・TV」の牙城が崩れる時がついに来たか。私にとっては、今回は「サヴァイヴァー II」の内容そのものよりも、このCBSの大博打の行方如何の方に大いに興味をそそられたのであった。

このCBSの動きに対して、NBCも危機感を募らせた。当面、「フレンズ」は裏番組として当てられた「サヴァイヴァー II」に対抗する手段として、普段は30分の「フレンズ」を10分間延長し、40分番組にするという策に出た。10分延長したからなんだと思うのだが、「フレンズ」ファンがそのままNBCを見続けてくれたら、ということらしい。9時までの残りの20分には、「サタデイ・ナイト・ライヴ (SNL)」の特別版が当てられた。 私は、「サヴァイヴァー」がどんなに人気があろうとも、これは無謀だと思っていた。とにかく「フレンズ」は、ここ数年、視聴率でCBSの「エヴリバディ・ラヴス・レイモンド」に劣ったことが何回かあるとはいえ、裏番組との直接対決で負けたことはなかったのだ。私はてっきり、「サヴァイヴァー」はそれなりに善戦はするだろうが、「フレンズ」には勝てまいと思っていた。

それがどうだ、蓋を開けてみると、「サヴァイヴァー」は余裕をもって「フレンズ」を下してしまっただけでなく、その余勢を受けて、続く「C.S.I.」までが「ウィル&グレイス」、「ジャスト・シュート・ミー」より高い視聴率を獲得してしまったのだ。私にとってこれはまったく意外だった。いくら「サヴァイヴァー」がヒットしたとはいえ、既に番組の進行を誰もが知ってしまい、新鮮味のなくなった番組を、またもう一度人が見るとは到底思えなかったのだ。実際、私はもう追っかけでは見てないし。そうかあ、皆、もう一度見てもいいと思っているのか。結局「サヴァイヴァー II」は、現在数字の上では「ER」とためを張って、すべての放送局が放送する全番組の中でトップの視聴率を争っている。

「フレンズ」ファンのために言っておくと、だからといって「フレンズ」が視聴率を落としたわけではない。むしろ普段より高い視聴率を獲得しているくらいだ。「サヴァイヴァー II」は、単純にそれよりも高い視聴率をとっているだけで、つまり、普段はTVを見ない人間がチャンネルを合わせているのだ。「サヴァイヴァー II」は、その後も放送されたすべての回で「フレンズ」を撃破している。「サヴァイヴァー II」おそるべし。ところで「フレンズ」は、「サヴァイヴァー II」と直接対決となった3回目に、後半の20分に「SNL」の代わりに「フレンズ」のNG特集を編成した。これがまた笑えるのだが、このNG特集、なんと本編の「フレンズ」よりも高い視聴率を稼ぎ出したのだ。「フレンズ」関係者は喜んでいいのか悲しんでいいのかよくわからない、というのが本当のところだったろう。

さて、ここまで来たら、CBSが蹴落とすべき次の相手は、大本命の「ER」である。これは簡単には行くまい。いくら向かうところ敵なしの「サヴァイヴァー II」だって、「ER」と直接対決になったら勝てるかどうかは本当にわからない。そこでCBSがとった手段は、まず、「ER」の放送が再放送主体となる3月まで待つ。その時点で、強力な新番組を投入するというものであった。これに選ばれたのが、ABCの人気刑事ドラマ「NYPDブルー」の製作者であったデイヴィット・ミルチが製作する新しい刑事ドラマ、「ビッグ・アップル」である。いくら裏番組が「ER」であろうとも、以前見たエピソードの再放送であったら、視聴者は他のチャンネルの新番組を見る可能性が高いだろうと踏んだわけだ。

しかし、そうは問屋が卸さない。NBCはここで、本当なら再放送が予定された3月第1週の「ER」に、数が限られている新エピソードを投入したのだ。ここで新エピソードを投入してしまうと、シーズンの終わりが近づいた山場の5月に今度は再放送主体となってしまってやばいはずなのだが、とにかく今はそういうことは言っていられない、CBSの攻勢を止めるのが先決ということである。もちろんそれもわからないではない。「マスト・シー・TV」があってこそのNBCなのであり、この一角が崩れることはそれこそNBCの死活問題なのだ。とにかく、まず「ビッグ・アップル」を調子に乗せないこと。まずはそこからである。結局、この勝負は 「ER」が「ビッグ・アップル」を大差で下し、NBCはなんとか面目を保った。

「サヴァイヴァー」余波はこれだけに留まらない。3月のアメリカTV界は、「マーチ・マッドネス (March Madness)」と呼ばれる、人気のあるカレッジ・バスケットボールのトーナメントの大詰めが展開する。この多くを中継するのがCBSで、これが木曜夜に結構試合があるのだ。この中継のある時は、NBCの「マスト・シー・TV」もわざわざ勝負することを避け、再放送でお茶を濁す。CBSはこれを中継しないといけないから、その間、「サヴァイヴァー II」を水曜に編成する。

そのわりを食ったのが、今度はABCである。ABCは、人気コメディアンのデイモン・ウェイアンズを主人公とする新シットコム「マイ・ワイフ・アンド・キッズ (My Wife and Kids)」のプレミア放送を3月7日の水曜8時台に予定していた。その時点ではCBSはまだバスケットボール中継の間、「サヴァイヴァー II」を水曜8時に編成し直すことを発表していなかった。ところが、「サヴァイヴァー II」が水曜に来たら、いくらなんでも「マイ・ワイフ」が食われることは目に見えている。それでABCは急遽、既に発表していた3月7日のプレミア放送日時を撤回、2週間後の「サヴァイヴァー II」がまた木曜に戻った後にプレミア放送を編成し直した。ABCは実は木曜にも結構影響を受けており、これまで常に高い視聴率を獲得していた木曜9時の「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」が、「C.S.I.」に連続して食われている。そういうこともあって、NBCだけでなく、ABCも今回の「サヴァイヴァー II」を擁するCBSの攻勢に、劣勢に立たされているのだ。

そんなこんなで、「サヴァイヴァー II」を巡るアメリカTV界のパワー・ゲームは、これがゲームでない実際の局の将来がかかった現実であるだけに、私にとっては「サヴァイヴァー II」のパワー・ゲームよりも面白い展開となっている。ネットワーク首脳陣は負けたら島から追放どころではなく、本当に自分の首が飛ぶかも知れないのだ。各ネットワークの駆け引きは熾烈である。私がもしABCかNBCの編成担当だったら、木曜に「サヴァイヴァー II」を編成したCBSの編成担当の首を絞めてやりたくなるだろうと思う。たった一つの救いは、「サヴァイヴァー II」が人気があればいつまでも続くドラマではなく、2か月後には最終回を迎えるリアリティ・ショウということである。この間、なんとか凌ぐしかない。血で血を洗うアメリカTV界のパワー・ゲーム、当分は目が離せない。

追記 (2001年5月):
いやあ、今回の「サヴァイヴァー」はあまり真面目には見ていなかったんだが、やっぱり最終回は気になってしっかりと見てしまった。最後まで残った二人はコルビーとティナ。これまでに番組を最も面白くしていたマイケルがやけどを負って負傷退場、最も可愛かったアンバーとエリザベスも最後までは持たなかったため、あまり盛り上がらないなあと思っていた。そしたらCBSも色々考える。最終回は3時間枠のうち、最初の2時間が本編、後の1時間が参加者をまた全員集めての討論会である。その2時間枠の最初の1時間45分が録画で、全員の投票が終わった時点で、なんとホストのジェフ・プロストは投票用紙が入った壺を持って、ヘリコプターに乗り込んで去ってしまったのだ。そして番組は‥‥5月の「サヴァイヴァー」最終回の最後の15分の生放送の開票へと続くのであった。いやあ、半年近くも最後の二人はどっちが勝ったかを知らないままもんもんと暮らしたのか。

そしてヘリコプターで去っていったプロストは、半年後、またヘリコプターに乗ってLAのCBSスタジオに現れ、最後の開票となる。無茶苦茶作為的な構成だが、ここまでやると確かにそれなりのドラマを盛り上げてくれる。スタジオでは緊張の面持ちのティナとコルビー、それと最後の投票を行った面々が待っている。そして開票が始まり、またまた前回と同じように3対3と票が割れる。そして最後の1票は‥‥ティナでした。まあ、今回はまともに全回見てたわけじゃないから、それについては別に言うことはないが、化粧をして少しは美人に見えるティナはともかく、髭を剃ったコルビーは、ただの普通のアメリカ人になってしまった。しかもなんかちょっと太ってるし。コルビーは髭があったほうが野性味があってよかった。これじゃあ道ですれ違ってもあの有名人だとはまず気がつかない。

しかし私が最も感心したのは、プロストがヘリコプターに乗ってくるという生のシーンを含めて、きっちりと最後の15分間ですべてをまとめてみせた製作者の技術である。この点は、特にプロストの司会の技術に多くを負っていると言えるが、それでも、ちゃんとすべてを過不足なくまとめて、はい、きっちり1時間。それじゃ、次、参加者の全員を集めて生放送の討論会行ってみようか、という進行を本当にうまくまとめる。いや、感心しました。

さて、気になる最終回の視聴率/シェアの方は、22.5/33と、残念ながら前回の最終回の28.6/45には大きく及ばず、今回のプレミア放送の24.5/39にも達しなかった。今回は二番煎じでもあるし、前回のように社会現象となるほど話題になったわけではないから、それはしょうがないだろう。それでも全米2億人の総人口の約5分の1の4,000万人以上が見た計算になるそうだ。毎回「フレンズ」も撃破していたし。

次回の「サヴァイヴァー」は今秋、アフリカ版の製作が決まっている。次もまた人気が出るかはわからないが、やっぱりそこそこの結果は出すんだろう。それよりもこれならいけると思ったのが、企画中だという「サヴァイヴァー」セレブリティ・ヴァージョンである。ハリウッドやアメリカTV界のスターを集めての「サヴァイヴァー」、シュワルツネッガーやスタローンを出せとは言わないが、それなりにメジャーのスターを集めることができれば、これは面白くなりそうだ。もしそれが実現したら、今度は最初から全部見るぞ。是非実現して欲しいものだ。


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