
Malibu Shores - マリブ海岸物語 - ★★
放送局: NBC
プレミア放送日: 3/9/96 (Sat) 20:00-22:00
製作: スペリング・テレヴィジョン/Spelling Television
製作総指揮: アーロン・スペリング
監督: クリストファー・ライチ
出演: ケリ・ラッセル(クロイ)、トニー・ルッカ(ザック)、グレッグ・ヴォーン(ジョッシュ)、ケイティ・ライト(ニーナ)、ミシェル・フィリップス(スキ)、カリスマ・カーペンター(アシュリー)
物語: マリブの高級住宅街に住むクロイは上級生のアシュリーの主催するビーチパーティに誘われ、親友のニーナと共に参加する。クロイはそこで、近くの砂浜でたむろしていたザックと彼の仲間たちと出会う。クロイは粗削りな中にも繊細さが感じられるザックに惹かれるものを意識する。しかしこのビーチはアシュリーの親の所有する私有地であったため、出ていくよう要請したクロイの兄ジョッシュとザックが口論から喧嘩に発展、ザックは警察に連行されてしまう。その後クロイは周りのものの反対に耳を貸さずザックと頻繁に会うようになる。一方、ザックの将来を心配する両親は、ザックをクロイが通う、上流階級向けの学校に転校させる手続きをする。しかしもちろん、着るものも喋り方も考え方も違う人間の住む学校にいきなり放り込まれたザックは孤立してしまう‥‥
南部ジョージア州の古い街並みで人気のある都市サヴァンナを舞台としたプライムタイム・ソープ「サヴァンナ」がWBで始まったばかりのアーロン・スペリングが製作する、新たなプライムタイム・ソープ。実はこの「マリブ海岸物語」のすぐ後にも、またまたFOXで、今度はヴァンパイアが主人公のゴシック・ソープ「キンドレッド」が始まる。とにかくスペリングは「メルローズ・プレイス」と「ビバリーヒルズ青春白書」で確立した「ソープの帝王」の名に恥じなく、最近矢継ぎ早に新番組を続々と発表している。
「マリブ海岸物語」は基本的には、まあ「ビバリーヒルズ青春白書」なのだが、ポイントは上流階級のクロイと、せいぜい中流の下の階級出身のザックという二人の主人公の障害のある恋ということで、私が受けた印象が、ザックの役をジェイムス・ディーンがやったらさぞやはまっただろうなということ。というのも、このいつも何かを追い求めているがそれが何か自分でも判然とせず、周りの世界に苛立っているというザックの役柄が、ディーンがこれまでにやった役を彷彿とさせるのである。その伝で言えば、ディーンほどのカリスマはないにせよ、ザックを演じるトニー・ルッカは別に悪くない。登場人物が金持ちのお坊ちゃまお嬢様だらけで、私にとってはまるで現実味のない別世界にしか見えない「ビバリーヒルズ」に較べれば、こちらの方が断然好感が持てる。
クロイに扮するケリ・ラッセルも初々しく、好演している。清純派という表現がよく似合う。クロイの兄ジョッシュを演ずるグレッグ・ヴォーンはカルヴァン・クラインのモデル出身。「ビバリーヒルズ青春白書」にはアーロン・スペリングの娘のトリ・スペリングが出演しているが、今回も息子のランディ・スペリングが出演している。自分の番組を私物化するのはやめてくれんかね。しかし私にとって一番の拾い物は、クロイの母スキに扮するミシェル・フィリップス。何を隠そう私は昔「デリンジャー」の彼女に胸をときめかせたことがあるのだ。今見るとただの普通のおばさんで、彼女のいったい何がそんなによかったのか、今となっては自分でもよくわからないのだが、普通のおばさんになったというのがわかっただけでもなんか得した気分になった。
私はこの番組を最初、「ロミオとジュリエット」的な身分違いのかなわぬ恋を描く恋愛ドラマと思っていたのだが、才能さえあれば一獲千金が全然夢ではないアメリカではそういう発想はないようで、上流階級のクロイはともかく、下の階級と見られているザックにしたって高校生のくせにボロとはいえ既に自分の車を持っている。全然低層階級でも何でもないじゃない。私は日本にいる時は自分のことを中流階級出身の一市民だと思っていたが、それでも高校の時に自分の車を持つなんて夢のまた夢だった。まあ、確かに車がないと生活に直に影響するアメリカと日本では単純な比較はできないだろうが、それでも全然下の階級には見えない。あれだろうな、自分ちにボウリング・レーンまであるスペリングは、貧乏というものを知らないんだろう。あるいは視聴者が見たいのは貧乏じゃなくて、金持ちの生活であると確信しているのか、その両方が少しずつ混ざっているような気がする。
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