
Spin City - スピン・シティ- ★★1/2
放送局: ABC
プレミア放送日: 9/17/96 (Tue) 21:30-22:00
製作:UBU Productions/UBUプロダクションズ、Lottery Hill/ロッテリー・ヒル
製作総指揮: ゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグ
クリエイター: ゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグ
監督:トーマス・シャム
出演:マイケル・J・フォックス(マイケル・フラハーティ)、カーラ・グジノ(アシュリー)、コニー・ブリットン(ニッキ)
物語: マイケルはニューヨーク市長のオフィスで働いている市長のブレイン。しかしそのオフィスの中でも虚々実々のパワー・ゲームがまかり通っており、マイケルを一応立てながらも、その部下のスチュアートは隙あらばマイケルを蹴落とそうと狙っている。その他、いつもピントがずれているプレス秘書のポール、楽天的なスピーチ・ライターのジェイムズや私生活が荒れている経理のニッキ、ゲイ・アクティビストのカーターらがますますオフィスを混乱に陥れる。ご法度?のはずのオフィス・ラヴも水面下で広がっており、実はマイケルのガール・フレンドは本当は口をきいてはならない天敵であるはずの新聞記者のアシュリーであった。後から後から起こる愚問難問にもくじけず、マイケルは時にハッスルし、時にぐったりとしながらも日々をこなしていくのだった‥‥
映画スターとして世界中に知名度のあるマイケル・J・フォックス主演のシットコム。今回フォックスが扮するのは、世界の首都、ニューヨークの市長オフィスに勤める市長のブレイン。とにかく何かというと問題が絶えず、生き馬の眼を射抜くニューヨークのポリティクスの世界にあって、山積みの難題に対処し、時には市長演説の草稿を書き、時には苦情の応対に当たる政治の影の主役。そのフォックスと、彼のチームの活躍を描くシットコムである。クリエイターは、昔フォックスを一躍スターに押し上げた「ファミリー・タイズ」製作のゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグ。
ABCがこの番組をどれだけ推していたかというのは、放送前から1年分22話のエピソードを前もってオーダーしていたということからもわかる。通常、アメリカでは新番組放送に当たっては、放送局は小出しに追加エピソードをオーダーする。放送前に6エピソード、放送後、視聴率と評判を見ながら6エピソードずつ、というのが普通である。一気に1年分をオーダーするというのは、よほどのスターが出演しているか、内容に絶対の自信を持っているかのどちらかである。「スピン・シティ」の場合、その両方で文句なしに推されたと言える。最近映画でヒットが見当たらないといえども全世界的知名度を持つスターの主演、それにどんな事件が起こっても不思議ではないニューヨークの市長オフィスが舞台となれば、誰だって食指が動こうというもの。
私も期待して見た口だが、期待度が高すぎたのか、こんなもの?という感じだった。別に面白くないわけではないし、結構うまいなとは思うのだが、やはりたかだが30分の番組で、さあ、あらでも探そうかと待ち構えているひねくれた視聴者まで納得させるのは難しいに違いない。私ももっといいところはいいと虚心坦懐に見ればいいのだが、あまりに事前にマスコミが騒ぐので閉口してしまったのだ。まあ、確かにこの番組が今シーズンのイチ押しだったのはわかるのだが、見る前からあれこれ騒がれ過ぎてて、ついむずむずとひねくれの虫がうずきだしてしまった。何事も事前に騒ぎ立て過ぎるのはよくありません。
追記 (2000年5月):
パーキンソン氏病に冒されたフォックスが今シーズン限りで番組を去るということは、しばらく前から発表になっており、フォックスが主演する最後の回でもある今シーズンのシーズン・フィナーレに前々から注目が集まっていた。1時間という特別枠で放送されたシーズン・フィナーレは、別にとりたてて特別仕立ての内容というわけでもなく、いつもの「スピン・シティ」が1時間になっただけという感じだった。実際、番組自体は最終回というわけではなく、今後も続いていくわけだから、そりゃそうだろうと思う。最後の大花火という感じでどどーんとこの回作っちゃたら、次シーズンから主演するチャーリー・シーンがやりにくくってしょうがないだろう。私としては、フォックスのパーキンソン氏病にやたらと注目しない番組作りにほっとした。いかにも感動して下さいという内容になってたらどうしようと思っていたのだ。でもそれは、番組が終わった後に今後のフォックスの動向というわけで少し紹介が流れただけで終わり、ほっとした。
このシーズン・フィナーレ、「スピン・シティ」としては前例のない高視聴率を記録した。まあ、話題性抜群だったし、当然でしょう。それよりもおかしかったのが、このシーズン・フィナーレが放送されるのと前後して、フォックスの住むマンハッタンのアッパー・イーストに連続レイプ魔が出没したこと。高級住宅地のレイプ魔ということで、すわ報道陣が繰り出し、その辺りで街頭インタヴューを行なったり取材していた。そこへ通りがかったのが、多分ジョギング帰りと思われるフォックスその人。「スピン・シティ」シーズン・フィナーレに関係してフォックス取材も加熱していた時のことである。自宅までマスコミが押しかけてきたと早合点したフォックスは、いきなりカメラに向かって怒りの表情を向けると、全力ダッシュで逃げ出したのだ。もちろんそれはフォックスの勘違いでしかないのだが、レイプ魔を取材に来たマスコミが、たまたま有名人がいたということでちゃっかりカメラを向け、しかも本筋にまるで関係がないというのに夜のニュースで流しちゃうというところがおかしかった。有名人もつらいよなあ。
追記 (2001年11月):
「スピン・シティ」は現在、視聴率の低迷で汲々としており、多分今シーズンが最後のシーズンになるだろうと噂されている。フォックスの代わりに指名されたチャーリー・シーンの熱演も実を結ばなかったようだ。番組として可哀想だと思うのは、「スピン・シティ」は人気は漸減傾向にあったが、それでもシーンやヘザー・ロックリアといった新キャラの導入により、まだまだ新しい展開が見込めたこと。確かにフォックスがいなくなったのは痛いが、まだ先があったのだ。
それが新シーズンになっていきなり視聴率が急落した。その理由は幾つか取り沙汰されているが、もっともらしく言われているのが、9月11日のテロリスト・アタック関係である。この事件では、ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニが大きくクロース・アップされた。ショックを受けているニューヨーク市民や事件の被害者に対して、慰めの言葉をかけ、パニックを起こさないようなだめ、勇気を奮い起こすよう呼びかけるなど、人々の先頭に立って獅子奮迅の働きを見せた。いつニュースを見ても生放送で彼が画面に映るので、いったいいつ寝ているんだと思ったくらいだ。反対政党の者でも、かつて見たことのないほどのリーダーシップを示した今回の彼の働きは認めないわけには行くまい。この働きのおかげで、ナイトの称号を受けるという話も持ち上がっており、一時は三選は認められない市長職に、法律を改正してもう一度ジュリアーニを市長にしようという話が本気で持ち上がったくらいだ。
「スピン・シティ」は、そのニューヨーク市長をおちゃらかすシットコムである。それに視聴者が反感を持ったという業界話がまことしやかに流布している。それが正鵠を得ているかはともかくとして、ニューヨークに住んでいる者としての印象から言うと、話自体に説得力は大いにある。今、ジュリアーニはヒーロー視されているのだ。誰も彼をパロディの対象にしようとは思っていない。そのため、視聴者が見たい市長像とは違う市長像を提供してしまう「スピン・シティ」から人々は遠ざかったのだという話には、頷かざるを得ない重みがある。さて、「スピン・シティ」は生き延びることができるのだろうか。
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