
Intensity -インテンシティ -緊迫-- ★★★
放送局: FOX
プレミア放送日: 8/5/97 (Tue) 、8/6/97 (Wed) 20:00-22:00
製作: マンダレイ・エンタテインメント Mandalay Entertainment
製作総指揮: トム・パトリシア
製作: プレストン・フィッシャー
監督: イヴ・シモノー
脚本: スティーブン・トールキン
出演: ジョン・マッギンリー(殺人鬼エドグラー)、モーリー・パーカー(チャイナ・シェパード)、ディアンナ・ミリガン(ローラ)、パイパー・ローリー(ミリアム)
物語: チャイナは幼少時にほとんどアル中同然の母とそのボーイ・フレンドに育てられ、彼らが殺人をするのを目の当たりにしたこともトラウマとなって、成人してもほとんど他人に心を開かない生活を送っていた。しかし同じウエイトレス仲間のローラとは過去の話もできるほど姉妹同然に仲良くなり、彼女の実家に感謝祭の休暇に招待される。ローラの家で家族の暖かさを認識し、ローラの兄と親しくなったチャイナは、幸せな気分のままうたた寝をする。しかし突然、誰かの叫び声で眠りを妨げられたチャイナは、得体の知れない侵入者が家の中を歩き回っている物音を聞く。危機一髪のところでベッドの下に隠れ難を逃れたチャイナは、ローラの両親が惨殺され、ローラもベッドで瀕死の重傷を負っているのを発見する。離れ家にいるはずのローラの兄も既に殺されており、しかも侵入者はローラをトレーラーでどこかへ運び出そうとしていた。意を決したチャイナはローラを助け出そうと咄嗟にトレーラーの中に忍び込む。謎の男は途中立ち寄ったコンビニエンス・ストアでも店員を殺害、たまたま通りかかり、チャイナが助けを求めた女性ミリアムも、連絡した警察が本気にしないため自分で男を挑発した揚げ句、殺されてしまう。そして謎の男の隠れ家まで辿り着いたチャイナは、そこで男が一人の女の子を監禁しているのを発見する。自分の暗い過去と決別するためにも、チャイナは彼女を助け出そうと決心するが、男は実は、チャイナがトレーラーに忍び込んで、家の中まで入り込んでいたことに既に気づいていた‥‥
スティーヴン・キング、クライヴ・バーカーと並ぶホラー界三羽ガラスの一人、ディーン・クーンツの96年発表のベストセラーとなった同名原作をミニ・シリーズ化。クーンツ作品では心に傷を負った主人公の心象風景とストーリー展開そのものがシンクロして物語を盛り上げ、クライマックスに一気に爆発して強烈なカタルシスを得るのを特色としているが(少なくとも私が読んだ限りではそうでした。間違ってたらごめんなさい)、このあたり、細部を丹念に書き込むことによってじわじわと恐怖を盛り上げていくスティーヴン・キングとは一味違う。どちらがいいかというのはたんに読む人の好みの問題でしかないだろう。「インテンシティ」でも、心にトラウマを持つ主人公の女性チャイナが、たまたま招かれた友人の家で連続殺人鬼と遭遇、後にその男が幼い女の子を監禁していることを知り、自分の暗い過去と決別するためにもその女の子を助け出す決心をする、という風に展開していく。
殺人鬼を演じるジョン・マッギンリーは、「プラトーン」、「ウォール街」、「ザ・ロック」、「セブン」と、数多くのヒット作に出演している。主演作こそ数少ないが、重要なバイ・プレイヤーとして重宝されている。チャイナを演じるモーリー・パーカーは、インディペンデント映画の「キスト」で知られるようになった新鋭である。4時間を通し、基本的に物語はこの二人を中心に展開する。そのためポイントは二人の出来いかんにかかっているのだが、二人ともよく期待に応えている。マッギンリーはなんで殺人鬼の役がこんなに自然に説得力たっぷりに演じられるのか、あんた本当に人殺したことがあるんじゃないの、と思えるくらいはまっている。対するパーカーも適役である。死体置き場で働く主人公を演じた「キスト」が効いて、同様の根暗っぽい印象を役柄に持ち込めると判断されたのだろうが、その判断は正しかった。女性主人公が虐げられたり追い詰められたりするのはこの種の作品の常套なのだが、結局最後には何倍も力のある男や殺人犯を打ち負かすというホラー映画の定石にうんざりしている身には、彼女の翳りのある、いたいけな雰囲気は貴重である(とはいっても結局最後には彼女もヒーローになっちゃうんだけどね)。彼女の生命力の希薄さみたいなものは、ホラーのヒロインにばっちりと見た。これからもこの手の役でTVといわず映画といわず、活躍し続けて欲しい。この二人の他には、「愛は静けさの中に」、「ツイン・ピークス」で知られるパイパー・ローリーが、途中チャイナに頼まれて殺人鬼を追いかけるという役所で顔を出している。監督のイヴ・シモノーは80年代ヨーロッパを中心に活動していた。90年代に入ってからはアメリカに拠点を移しており、主にTVを中心に活躍している。
不特定多数の視聴者の獲得が至上命令のネットワークTVでは、ベストセラーの本をよくTV映画化、ミニ・シリーズ化する。年齢に関係なく多数にアピールするホラー作品はTV化される筆頭とも言える分野で、特にスティーヴン・キング作品はABCが何度もTV化している。血しぶきが乱れ飛ぶクライヴ・バーカー作品が世論に敏感なTVから敬遠されるのはよくわかるが、クーンツ作品は映画にはよくなっているが、TVではあまり目にしない。クーンツ作品の主人公がいつも暗い雰囲気を持っているのと関係があるような気がする。それなのに、こういう思い切りダークな番組がネットワークTVに登場することが稀にあって、そういう時は思わず喝采を送ってしまう。これは同じFOXで「X-ファイル」を成功させたクリス・カーターの功績が大きいだろう。カーターは昨年、「インテンシティ」よりもダークな「ミレニアム」を製作しており、今ダークなホラーならFOX以外見るチャンネルはない。FOX頑張れ、いかにルパート・マードックが世界中のメディア界の敵と見なされようと、こういう番組を製作し続ける限り私は応援するぞ。
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