Sessions at West 54th - セッションズ・アット・ウエスト・フィフティフォース- ★★★
放送局: PBS
プレミア放送日: 7/5/97 (Sat) 23:00-0:00
製作: オートマティク・プロダクションズ/Automatic Productions, Inc.
製作総指揮: ジェブ・ブライアン
製作: アレン・ケルマン
監督: ジム・ゲイブル
編集: ワイアット・スミス
ホスト: クリス・ドリダス
内容:ニューヨークの西54丁目(ウエスト・フィフティフォース)にあるソニーのスタジオで行なわれた小規模なコンサート(セッション)を収録。決して大きくはないスタジオで聴衆がアーティストを取り囲むように座り、アットホームな雰囲気の中、思い思いに演奏する等身大のアーティストをとらえる。

「セッションズ・アット・ウエスト・フィフティフォース」は、公共放送(日本のNHK教育のようなチャンネル)のPBSが放送する、どちらかというとマニア向けのコンサート番組である。番組の第1回に登場するアーティストは、ポーラ・コールとk.d.ラング。コールのアルバム「ディス・ファイア (This Fire)」は息の長いミリオン・セラーになっており、その中からカットされたシングル「ウェア・ハヴ・オール・ザ・カウボーイズ・ゴーン (Where Have All the Cowboys Gone?)」もヒットしている。実は私もこのアルバムを持っており、よく聴いてます。歌詞を読むと思い込みが鼻につくが、声とメロディを聴いている分には何度でも聴けるいいアルバムだと思う。k. d. ラングも、結構メイジャー(と私は思っている)なアーティストで、わりとよく知られているこの二人をまずプレミアで放送し、その後埋もれているアーティストを順々に紹介していく。

プレミアでは、コールは自らクラリネットを吹いてみせ、ラングは長年彼女と組んでいるピアニストと二人だけでのショーを演出して見せるなど、好きなように歌っている。しかし二人とも自らのヒット曲ではなく、他人のカヴァーやアルバムに含まれていない曲ばかり歌っており、コールの「ウェア・ハヴ・オール・ザ・カウボーイズ・ゴーン」やラングの「コンスタント・クレイヴィング (Constant Craving)」のようなヒット曲の別ヴァージョンが聴いてみたいと思っていた口にとっては少々物足りないかも知れない。それはそれで興味の尽きないセッションではあるが。

さて、この番組の本当の醍醐味はその後、ほとんど知られていないアーティストが続出する2回目以降にある。私も半数以上は初耳だった。ジャズとブルースを融合した音楽で人気のあるタージ・マハール、ハバナ生まれでサルサとロック、ジャズをミックスした音楽を聴かせるアルバイタ、天才的なギター弾きと評判の高いビル・フリセル、ニュー・オーリンズ出身のブルース・シンガー、ケブ・モー、等々。その他、もちろん有名人もおり、アカペラを聴かせるボビー・マクファーリン、カントリー界の大御所ナンシー・グリフィス、ジャズ界の現在の第一人者ウィントン・マルサリス、フォーク界のベテラン、スザンヌ・ヴェガ、懐かしのソニック・ユースなど、興味の尽きない人選となっている。


追記(2000年6月):
Rufus Wainwright この番組が私にとって忘れられないものとなったのは、元トーキング・ヘッズのデイヴィッド・バーンがホストを担当した第2シーズンで、ルーファス・ウェインライトとローラ・ラヴという二人の未知のアーティストを発見したからである。ラヴは多分ネイティヴ・アメリカンの血が混じっていると思われるが、彼女のファンキーな歌声はとても印象に残る。ウェインライトは‥‥ウェインライトは、そう、この数年間で最大の発見であった。番組では主にピアノの弾き語りとギターを弾きながら姉とのデュエットが主体であったが、哀調のある声といい曲といい、何も言うことはありません。もう、すぐさまCDを買いに走りましたよ。1枚しか出てなかったけど。このCD、既に何百回聴いたことやら。マンハッタンでのコンサートも当然行きました。ニューヨークに来てもうすぐ早10年、わざわざコンサート会場まで足を運んでアーティストの生の姿を見に行ったのは、後にも先にもウェインライトただ一人である。2時間弱、立ち見もなんのそので頑張った。まあ、その後で弱った腰を叩きながら、もうどんな好きなアーティストであろうと立ち見コンサートはお断りだと思ったけど。


追記(2002年2月):
2月13日と14日のヴァレンタイン・デイに合わせて2日間にわたって開かれたウェインライトのコンサート、前年発売された新CDのできがこれまた素晴らしかったこともあり、またまたコンサート会場まで足を運んだ。今回は映画「ムーラン・ルージュ」やミシェル・ファイファー主演の「アイ・アム・サム」にも彼の曲が使われていること等もあって、知名度が上がったんだろう、立ち見じゃなく、7、800人程度は入るだろうミッド・マンハッタンのシティ・ホールでのコンサートである。

ゲイのウェインライトに申し合わせたように、これまたゲイのカップルが多い。ヴァレンタイン・デイという日にち柄もあるだろう。いずれにしてもウェインライトの人柄が偲ばれるよいコンサートであった。前回と違って座ってゆっくりと音楽に浸れたからということもあるかもしれないが、前回は、本当にCDそのままの音楽をただ生で聴いたという感触しか受けなかったが、今回はアレンジも凝ってて、堪能できた。特にCDには入ってない、ハレルヤをコーラスするあの曲は本当に素晴らしかった。コンサートの後もしばらくは頭から離れなかった。次のCDの発売はいつなんだろう。


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