Buffy, the Vampire Slayer - バフィ 恋する十字架 - ★★1/2
放送局: WB
プレミア放送日: 3/17/97 (Mon) 21:00-22:00
製作: ミュータント・エネミー、クズイ/サンドラー・プロダクション
制作総指揮: ジョス・ウェドン、サンディ・ゴーリン、ゲイル・バーマン、フラン・クズイ、葛井克亮
撮影: マイケル・ガーシュマン
出演: サラ・ミシェル・ゲラー(バフィ)、アンソニー・スチュワート・ヘッド(ジャイルス)、ニコラス・ブレンドン(ザンダー)、カリスマ・カーペンター(コーデリア)

物語: バフィは見かけはまったく普通の女子高生だが、吸血鬼や魔法使い等を見つけて退治する力を持っており、彼女の二人の友人ザンダーとウィロウ、そして学校で司書として働くジャイルスがバフィに協力していた。ある日、バフィは母の薦めもあり、学校のチア・リーダーの選抜テストを受ける。テストを受ける者の中には、キャンパス・クイーンとして常にバフィと対立しているコーデリアと、かつての名チアリーダーの娘、エイミーがいた。コーデリアは難なく選ばれるが、バフィは次点、エイミーも落ちる。エイミーはしょげ返るが、そんな時、コーデリアが何物かに憑かれたようになり、自動車の教習を受けている最中に車を暴走させて事故に遭う。繰り上がってチア・リーダーの一人に選ばれたバフィはハッスルするが、それも束の間、バフィも倒れてしまう。エイミーが何かの力によって呪いをかけているのを確信したバフィとジャイルスはエイミーの自宅を訪れ、母親に会うが、彼女を見たバフィは、過去の栄光を忘れられない母親が魔法の力によってエイミーと身体を入れ替えていることに気づく。

buffy 「バフィ 恋する十字架」は、「バフィ ザ・バンパイア・キラー」というタイトルで公開された92年度製作の学園ホラー映画をTVシリーズ化した番組である。映画は、ホラー、コメディ、アクション、学園ものといった要素をふんだんに詰め込み、現在ではティーンエイジャーご用達のカルト作品となっている。今回のTVシリーズは映画版とは出演者は異なっているが、基本的な設定は同じであり、シリーズの利点を利用し、バフィの私生活など映画では切り捨てられた細部も書き込んでいるのが特徴。映画ではどちらかと言うと知的とは言えない能天気な女の子として描かれていたバフィが、TVシリーズでは自宅に帰ると母親との意思の疎通に悩む普通の女の子という、よりティーンエイジャーの実像に近く描かれている。

バフィに扮するサラ・ミシェル・ゲラーはABCのソープ・オペラ「オール・マイ・チルドレン (All My Children)」出身で、エミー賞を受賞したこともある。映画で製作/監督を担当したクズイ・エンタープライズのフラン・クズイは今回は製作のみにまわり、脚本を担当したジョス・ウェドンがTV版ではクリエイターとして全面的に指揮をとっている。ウェドンはディズニーの「トイ・ストーリー」の脚本で著名であり、「バフィ」では脚本だけでなく、数本で演出も兼ねている。

追記 (11/99)
お気楽に楽しめるティーンエイジャー向けSFアクション・シリーズ「バフィ」‥‥のはずだったが、これが「お気楽」でなくなったのは一体いつの頃からだったか。多分後にバフィと恋仲になるヴァンパイアのエンジェルが番組に登場した頃ではなかったか。とにかく、気がつくとバフィは、悩み、傷つく実際のティーンと等身大の主人公として多大な共感を得ていたのだった。特にセックスを含めた恋愛面での悩みの要素を加えることで、ティーンエイジャーの圧倒的な支持を得ることに成功している。

私はプレミアを見て以来、こんなものだろうと思って長い間番組から遠去かっていたのだが、この間久し振りに見直して感心した。青春ドラマとして非常によくできている。「バフィ」では人間とヴァンパイアという別種の生物のため、主人公の恋愛が成就できない運命にある。これがせつない感情を盛り上げる。この構図は、「ポーの一族」以来連綿と続く日本でのSF少女マンガを連想させる。SF少女マンガで恋愛を絡めない作品はまずないが、「バフィ」はそれを実写ドラマとして見事に映像化している。この番組を最初に見た時、私はこんなもんかと思ったのだが、現在では、なかなかどうして見応えのある青春ドラマとなっている。同じWBで放送している「ドーソンズ・クリーク」もティーンのセックスを主題に人気のあるシリーズだが、「バフィ」の方が数段出来がいい。人気のあるのもむべなるかなだ。

人気がある限りいつまでも続くアメリカのTV番組では、マンガと違って主人公も歳をとらざるを得ない。バフィも今シーズンからは晴れて大学生になった。これから番組がどう展開していくか期待大である。ただし、子供が粘土をこねくり回して失敗したようなヴァンパイアの造形はやはりいただけません。ところで、何かあるとすぐ何とかという団体が抗議して製作者を閉口させる機会の多いアメリカでは、番組製作者は世論に敏感にならざるを得ない。今年子供の銃乱射事件が頻発して世論を賑わせたため、「バフィ」も本来なら5月に放送予定だった昨シーズンの最終話を秋口に延期して放送した。その回で登場人物が銃を乱射するシーンがあったため、世論に配慮したのだという。TV番組製作も楽じゃないよ。

「バフィ」はタイム・ワーナー系のWBで放送されているが、製作はライヴァル・メディア・コンゴロマリットの20世紀FOXである。ネットワークとしてのFOXは、今シーズン編成した新番組がことごとく不調で苦労しており、そのためWBに対し、もっと製作費を出さなければ「バフィ」を供給するのを止して、自ネットワークで放送すると通達した。ひどい一方的な勝手な言い草だが、裏を返せば、FOXはそれだけ追い詰められているということだろう。なにせ今シーズンのFOXは、何とか頑張っている「アリーmyラブ」を除けば、目ぼしいものはほとんどない。老舗で安定している「シンプソンズ」は一応別格として、せいぜい「ダット・セヴンティース・ショウ」くらいのものか。「X-ファイル」も今シーズン限りと言われているし、お先真っ暗なのだ。もしかしたら来シーズンからは「バフィ」はFOXで放送、ということになるかも知れない。

追記(2001年4月):
もしかしたらFOXに移動するんじゃないかと噂されていた「バフィ」であるが、なんと二転三転の経緯を辿った挙げ句、今秋から「バフィ」は新進ネットワークのUPNで放送されることが決まった。とにかく今放送しているWBは、1本約120万ドル払っている現在の放映料を、180万ドルまで上げましょうと譲歩したが、それでも20世紀FOXは首を縦に振らなかった。しかし、それで自分とこの直系ネットワークであるFOXで放送すると、今度はヒット番組を競争によらず独占放送したとして、独禁法違反だのなんだので訴えられる怖れがある。また、WBにしても、若者にカルト的人気のある「バフィ」ではあるが、別に「バフィ」が局で最も人気のある番組というわけではない。WBには「ドーソンズ・クリーク」もあるし「チャームド」だってある。実は一番人気のある番組は「セヴンス・ヘヴン (Seventh Heaven)」であって、「バフィ」は手元には置いておきたいのはやまやまではあるが、それが至上命令というわけでもないのだ。

一方、WBとほぼ同じ時期に創業したライヴァル局と見られているUPNは、今、人気のある番組はプロレス中継の「WWFスマックダウン!」しかない。はっきり言って私は別にプロレスに興味はないため、このチャンネルを見ることはほとんどない。多分プロレスに興味のない他の視聴者も同じことだろう。つまり、ネットワークの一つとはいいながら、このチャンネルを見ている視聴者はほとんどいないのだ。そこで「バフィ」獲得に食指を動かしたのである。UPNは、「バフィ」放映権として1本230万ドルを提示、20世紀FOXがそれを飲んだ。これで今秋から「バフィ」はUPNでの放送が決定した。果たして「バフィ」はチャンネルが変わっても依然として今の人気を維持することができるか、UPNは新しい視聴者を獲得することができるか、興味津々である。


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