
Stomp Out Loud -ストンプ・アウト・ラウド- ★★★1/2
放送局: HBO
プレミア放送日: 12/6/97 (Sun) 20:00-21:00
製作: イエス/ノー・プロダクションズ Yes/No Productions Ltd.、イエロー・ハウス・フィルム・カンパニー Yellow House Film Company
製作: デイヴィッド・マークス
監督: スティーヴ・マクニコラス、リューク・クレスウェル
撮影: クリストフ・ランゼンバーグ
編集: リチャード・ドウズ、ジェイソン・ポートハウス
「Stomp」は1991年、英国ブライトンで活動しているスティーヴ・マクニコラスとリューク・クレスウェルのコラボレーションにより生まれた、セリフ、音楽共に一切なく、ただ物を叩いたり打ち付けたりする音だけで構成するというパフォーマンスである。94年にはニューヨークのイースト・ヴィレッジのオフ・ブロードウェイの劇場でパフォーマンスを開始、その斬新な発想が広く受け入れられ、瞬く間に人気を獲得した。今年のアカデミー賞授賞式で、様々な映画から戸を開け閉めするシーンや人を殴るシーン等を集め、音のないその映像に合わせて舞台に据えられたドアをガタピシャいわせて効果音を添え、満場のスタンディング・オヴェイションを受けていた、あのパフォーマンス集団である。「Stomp Out Loud」は、そのオリジナル公演に新セグメントを加えて構成した1時間の特別番組。半分を観客を相手に行なった劇場版と同じパフォーマンスの録画、残り半分をニューヨークでロケした、劇場では行なっていない新パフォーマンスのヴィデオ録画から構成している。マクニコラスとクレスウェルが、劇場版同様TVも監督、パフォーマーはすべて実際に劇場出演中のメンバーである。
番組は、まずニューヨーク、クイーンズのとあるビルの屋上に拵えた巨大なビルボードから吊り下げられたパフォーマーが、振り子のように揺れながら交通標識やアルミ・ホイール、バケツなどを叩きまくるシークェンスから始まる。このビルが、クイーンズに住んでいる人ならお馴染みのビルなのです。地下鉄7ラインは、通称オリエント・エクスプレスとも呼ばれるアジア系移民の多く住むラインなのだが、クイーンズに入ると地上に出る。そこでわりとすぐ現われるビルの屋上に、彼らが吊るされる「Silver Cup」のビルボードが立っている。このビルボード、わりと色んな映画やミュージック・ヴィデオに出てくるクイーンズの隠れ名所だから、映画やMTV好きなら絶対どこかで見たことがあるに違いない。因みに劇場版でも同様のパフォーマンスがあり、一つのクライマックスとなっている。その他、劇場版ではオープニング・パフォーマンスとなっている最も有名なほうきを使ったパフォーマンスや、バケツ乱打が観客の前で披露される。その他、録画したパフォーマンスとして、小屋の中にいる作業員がカード (トランプ) をテーブルに叩き付ける音で構成するパフォーマンス、ニューヨークの小汚い街角でのバスケットボールのドリブル音によるパフォーマンス、キッチンで皿を置いたり洗ったりする音による食堂従業員のパフォーマンス、地下でパイプを叩く作業員のパフォーマンス等が新しく付け加えられている。
オフ・ブロードウェイということで敷居も低く、ブロードウェイより安い値段で、しかも劇場自体が小さいから結構出演者を間近で見られる「Stomp」は、あまり予算のない時に日本から来たツーリストをニューヨーク観光案内しなければならない時にうってつけである。セリフがないから言葉の壁もないし。というわけで私も2度ばかり見たことがある。うるさいがリズム感があって実に楽しい。番組はその公演を録画したものなのかなと思っていたら、新パフォーマンスも付け加えられており、しかもバスケットボールのシークエンスなど、街頭ロケが見事に活かされている上にパフォーマンスとしてもよくできており、非常に感心した。なかなか拾い物の一編である。ただし、私が最も好きなパフォーマンスである、ジッポのライタの蓋を何人かでかちゃかちゃ言わせてリズムをとるパフォーマンスは入っていなかった。薄暗い舞台で、ジッポ特有のあの蓋を開け閉めする時の音と共に、一瞬点いた揺らめく火に仄暗く照らされる顔‥‥あれ、よかったのになあ。なんで入れなかったんだろう。ここでニューヨークで「Stomp」を見ようと思っている人に一言。絶対一番前の席に座ってはいけません。オープニングのほうきパフォーマンスで目一杯埃を吹っかけられます。喘息持ってなくてもあれは苦しいだろうなあ。
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